Silent war of the girl, by the girl, for the girl. 作:不皿雨鮮
高校生活において、生徒が最も恐るべき出来事とは何だろうか。
――定期テストでの赤点。
――それによる留年。
その他、想像さえすれば割とありふれており、また周囲には一人ぐらい典型的な例を提示してくれている生徒がいるだろう。
さてさて、その中で最も恐れるであろう出来事。悪い意味で言うと『イベント』。
少なくとも私が思うにソレは――
――イジメ。
もしくはそれに付随する何かではないだろうか。
例えば。
昨日まで仲良く話し、深夜になるまでグループチャットに興じていたクラスメイトが、明らかに、露骨に、それはもう、ものの見事に無視をしている、など。
それどころか私の名前だけが私に届くよう、陰口を叩き続けている。
大体の予測は付いている。いや、予定通りと言うべきだろうか。
動揺しているフリをして、ちらっと首謀者であろう『大親友』――もとい『元大親友』を一瞥する。
彼女は中学の頃に知り合い、「同じ高校に行こうね」だとか、「私達は一生友達だよ」だとか、「最高の親友同士」だとか、現実世界でもSNSでも盛大に拡散していたと記憶している。
どうせ、そのアカウントは既に退会し、新しいアカウントを作って、私を除いた新しいソーシャルネットワークで、新しい『大親友』について拡散していることだと思う。
彼女はどうも賢しい面がある。彼女について深く語ろうとすると、私の元友達という死屍累々をそれぞれ説明しなければならない為に、省略。
簡潔に簡略に安易に纏めるならば――自分を世界の中心だと思い込んでいるのだ。
嘲笑の声が聞こえる。どうせ彼女の声だ。まぁ、一時の優越感に浸っていればいい。
誰からも話しかけられない癖に、私の名は聞こえる。酷く不愉快だが、今日は諸事情により音楽を聞いてそれを掻き消すことは出来ない。仕方がないので、自分の机で眠ることにした。
そうして翌日。深夜に少し盛り上がってしまい寝不足にはなってしまったが私にとって最も願っていた瞬間を、最初から最後まで見ておきたいので、クラスメイトの誰よりも早く教室に入った。
私の次に、わらわらと数人が教室に入ってくる。そこに彼女の姿はない。彼女の登校時間は大体HRが始まる二十分前。イコールとして、あと十分ほどだ。
誰も私に目を合わさず、誰も私に話しかけない。一昨日ならばあり得なかった光景だ。まぁ、それも昨日と今だけの幻になるのだが。
そうしてある程度の鞄がそれぞれの机に乗って来たところで彼女が、堂々と教室に入ってくる。
同時に、瞬間的に、刹那。教室の賑やかだった空気が一辺、凍りついたように静まり返る。
明らかに、露骨に、それはもう、ものの見事な『始まり』だ。
当然、賢しい彼女はその異変に気付く。気付くが、その理由をつかめない。
クラスメイト全員が彼女を無視し、彼女の存在を消し去っていた。
難しく言うならば、彼女がいる世界が私達がいる世界に干渉出来なくなってしまったかのように。
簡単に言うならば、昨日の私のように。
そこで彼女は私の視線に気付いた。そして気付いた。
呆然と、愕然と、その場に彼女は立ち尽くす。
彼女は気付いた。私を独りぼっちに孤独に追いやったと思い込んでいたソレが、実は彼女は彼女自身を独りぼっちに孤独に追いやってしまったことに。
絶望というのは、幸福を得てから突き落としてしまえば広く深いモノになる。
静かに。それこそ無音のまま、私は彼女と『勝利の確定した戦争』をしていた。全ては私の為に。
会話文無しでやってみたかっただけです。
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