沙条愛歌は恋してる。   作:藤丸立香ガチ恋女(故人) 


原作:Fate/
タグ:藤丸立香 沙条愛歌 憑依失敗 捏造設定
とある藤丸立香(ぐだ男)ガチ恋夢女は死んで沙条愛歌に憑依しようとした(無意識)
 しかし憑依は失敗。が、ガチ恋女の置き土産「藤丸立香への恋心」が全能の形をした少女をバグらせる!!

「セイバー、きっと【彼】を知る前の私があなたにあったら恋をしていたかもしれない。でもごめんなさい、私の王子様はあなたじゃない。
 ーーーー【自害しろ、セイバー】」

「愛してる。とってもとっても愛してる。あなたに会うために世界一つ滅ぼすくらいに大好きよ!」

「やっと会える。ようやく会いに来てくれる!
 早く会いたい、早く会いたい、早く会いたい!
 私の立香、私の王子様!」

「立香、立香!私ね、あなたに会いたくて頑張ったの。会うだけでよかったの。でも、足りなくなっちゃった。ずっと、立香と一緒にいたい。
 ーーーおねがい、私の王子様。汎人類史のことなんて忘れて、私と一緒にここにいて」

 それは世界を滅ぼす恋心。右か左か、さじょうまなか。愛欲のRとLのその間。

 ビーストⅢ-M(マドリー)が恋に惑溺し、そして採捕されるまでの物語ーーーに、なるかもしれないお話。

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沙条愛歌は恋をする。

 それは、偶然だった。本来なら起こり得なかった。

 第四の壁の向こう。一人の女が、画面越しの『少年』に恋をした。初めましては2016年。初回リリースから半年ほど遅れて出会ったソーシャルゲームの中の少年、もしくは少女。初めは名前も知らなかった。だけど 彼と共に/彼らを操作して 旅を続けるうちに名前を知った。彼にぴったりのいい名前。「始まりを作る」のアナグラム。数ある考察の中の一つだけど、彼女は「とても彼らしい」とその名前を受け入れた。

 だけど一年、また一年と歳を重ねて気づけばリリース九周年が過ぎた。高校生だった女はいつしか社会を回す歯車の一つになっていて、純粋に恋をするには色々なことを知りすぎた。

 そんな女が死んだ。死因は急性カフェイン中毒。彼女は夢を見ながら死んでいった。ゲームの世界に生まれ変わって、藤丸立香(だいすきなひと)に告白する夢。どんな敵をも圧倒する力を持っていて、彼の隣で戦う夢。

 夢に見るほどの情念は夢を通じて世界の壁を超えた。超えてしまった。そして『どんな敵をも圧倒する力の持ち主』の所へ彼女の魂を導いたーーーーーが。

 

「……?」

 

 その魂が肉体に宿ることはなかった。まるで道端の蟻を踏み潰すような無情さで、小蠅を振り払うようにさりげなく。その魂は「根源の姫」に食われる。

 本来ならばただのエネルギーとなり消える魂。だが世界を超えてしまうほどの 強い強い恋心が/どうしようもない狂気が 「消費されてはい終わり」にさせなかった。

 

「ふじまるりつか……」

 

 少女の形をした全能に生じた異常(バグ)。数ある未来の中の一つ。平行世界の少年のたどる旅の追想。

 

「……わからない。どうしてあの人は世界を救おうとしたの?

 一人で戦う力もないのに、どうして立ち向かったの?

 どうして、どうして、どうして?」

「わからないの。私、こんなの初めてよ。ほんとのほんとに、生まれて初めて」

「夢で出会った、遠い世界で生きてる人。私の未来にいない人。

 あなたのことを考えるだけで苦しいの。息をするのもやっとなの。でも、世界に初めて色がついたの」

「りつか、藤丸立香。私に()()をくれた人。私の、おうじさま……」

「私、あなたに会うためだったらなんだってできるわ」

 

 そして、沙条愛歌は恋を知った。まるで一方的なロミオとジュリエット。別世界からのストーカー。今まで少女にできないことはなかった。わからないことはなかった。初めてできないことを知った。

 いくら根源に繋がっていたっておうじさまに会いに行く手段がないなら意味がない。おうじさまと話したくても話せない。愛歌は彼の全てを知っているのに、彼は愛歌の存在に気づくことすらない。もどかしくて、腹だたしくて、それでいて楽しい。

 彼を通せば世界がとっても綺麗なものに見える。愛おしく思える。でも、時々すごく憎い。おうじさまに会うには第二魔法が必要で、それを使うにはリソースが足りない。でも、言い換えれば【リソースがあれば会える】

 大聖杯。あれさえあれば愛歌の願いは叶う。

 早く、早く、1秒でも早く。無駄な時間はかけられない。こうしている間にも羽虫が湧く。愛歌の方がずっと前から知っているのに、一番最初に好きになったのは愛歌なのに。

 

 「ねえ、セイバー。多分【彼】を知る前の私があなたに出会っていたら、きっと恋をしていたわ。

 でも、ごめんなさい。私の王子様はあなたじゃないの。だから……【自害しろ、セイバー】」

 

 最高効率で戦争を終わらせた。英霊を全て大聖杯に捧げたけれど魔力が足りなかったから追加で生贄も用意した。あとは第二魔法を使って彼のいるカルデアに行くだけーーーー………。

 

「やっぱり、私が出向いて会いに行くより、立香に迎えに来て欲しい」

 

 愛歌が整えた特異点を二人で修復して、手を繋いで「愛してる」と言われたい。

 そんな少女の気まぐれで、世界は燃えて人理定礎は破壊された。特異点となったことで彼の魂は無事「愛歌が整えた舞台」にたどり着く。ヨハネの獣が闊歩する世界。愛歌が堕として掬い上げた黒化英霊が、【ビーストのマスターだから】という理由で愛歌の命を狙う……という設定の世界。

 

「大丈夫ですか?」

 

 燃え盛る大地。炎で赤く染まる世界に、青い瞳が光っている。()()()()()()少年の目に自分が映る。ずっと、憧れだった。差し伸べられた手のひらに、自分の手を重ねること。

 

「会いたかった……っ!」

 

 これが、特異点ができるまでの経緯(プロローグ)である。

 




*続きはありません。

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