とある魔術の禁書目録の世界に原作の知識がほとんどない転生者が行って上条当麻救われるという薄味話

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駄文失礼します。


原作未読転生不死者が上条当麻に救われる話

「やめろケンジ!確かにお前のやり方だったら世界中のほとんどの悲劇は消えて無くなるかもしれない。人類が丸ごと分かり合える日が来るのかもしれない。けどたとえどんなに素晴らしい世界ができようともそのやり方は間違っている」

上条当麻が鬼の形相で繰り出した憤怒の言葉は、しかし飄々として怒りなど忘れてしまったとでも言わんばかりな態度の青年に遮られる。

 

「間違っていようが構わないんだよ、ヒーロー。お前が教えてくれたんだ。世界中の不幸を身に受けながら、降りかかるのが自分で良かったと心の底から笑って言えるお前が教えてくれたんだ。誰に感謝されたい訳でもない。ただお前のような人間に笑っていて欲しいからそのためなら俺は何を捧げてでも世界を救ってみせる」

 

その言葉を聞き上条当麻はさらに目を血走らせるほど怒り先程遮られた言葉の続きを言う

 

「ふざけるなよ。ふざけるなケンジ。お前が本当に自身を犠牲にすることでしか世界を救えないなんて思い上がりを抱いて、世界なんて曖昧なものが自分の命よりも重たいと思い込んでるなら、まずはその幻想をぶち殺す」

 

そのセリフを聞いて飄々とした青年は本当に嬉しそうに笑い、そして決意を強める。

 

「だから、俺は戦えるんだ」

 

そう言って、青年は自分のルーツを思い出す。

 

 

・・・

 

この世界に不死として二度目の生を受けて早数千年。

無間地獄のような今世でも嬉しこと、悲しいこと、苦しいこと、楽しいこと、色々なことを経験して、色々な人間にあってきた。

 

それは、ただの高校生だった俺が、超越的な視点を獲得するに至るには十分な時間であり、何の因果か分からないが授かった二度目の生と不死性はこの悲劇に溢れた世界を救うためのものだと思った。

それからというもの、俺の人生は世界を救う魔術を発動させるための計画に全てを費やしてきた。

世界を救うための方法論として、まず思い浮かんだのは魔術の活用であり

これは最後まで変わらなかった。しかし、魔術といってもその性質は星の数ほどに枝分かれしており、力の使い方が分からず最初は上手くいかなかった。

十字教や神装術、薔薇十字の方法論ではあらゆる位相を含めた世界を救うことは不可能だった。隠世に住む魔神どもの力にも注目したが彼らには全てが救われた新たな世界を創ることは出来ても、今ある世界の全てを救い尽くすことは出来なかった。

そのまま、百年程経過したとある日、偶然北欧の魔人に遭遇し、とある方法に思い至った。かつて、彼女が世界を破壊した時、また世界を創造したとき、どれだけ魔神としての力を振るおうと俺の存在に干渉することさえ出来なかったことを。理由は明白だ。なぜなら俺の魂ははなから位相などという概念すら存在しない真なる外から飛来したものだからである。

そして、考えた。それならば俺という存在はこの世界の全ての位相を包括した大いなる枠組みすら包み込むことができるのではないかと。

本当にそれができるのであれば戦争や死などのこの世界のあらゆる苦しみや悲しみを不死者であり、世界に匹敵する核を持った我が身に流し正の性質へと変換してまた世界へと還す、そんな大いなる循環を作るだけで世界は救われる。

 

 

方法論は完成した。あとは術式を完成させるために座標ではなく不変たるこの世界の根本に術式の根幹をなす杭を刺す。

それこそが、幻想殺しである

しかし魔術発動までの目処がつき、計画も佳境となったある日、前世のことなどはもうほとんど何も覚えてはいないというのに、急に一つだけあることを思い出した。

 

『とある魔術の禁書目録』

この世界の名前を

思い出したのは計画の障害となるであろう人物をリストアップしていた時に見た二人分の人名、魔術の最奥に手をかけた人間、禁書目録と今代の幻想殺しである上条当麻、その名を目にした時だ。

俺は前世ではあまり活字は得意でなかったし、アニメも日曜夕方にいつものものをみるくらいであったため、その物語についてあまり詳しくは知らない。

しかしよく高校をサボってパチンコ屋に行って遊んでおり、その中でも特に気に入っていたのがとある魔術の禁書目録2だ。ド派手な演出や、上条当麻の快活さと今どき珍しいくらいに主人公然とした熱血漢なセリフが好きだった。

 

だから詳しくは知らなくとも思い出してしまった。

そして、思い知った。俺はこの世界における救世主ではないんだと。

彼こそがそうであるのだと。

 

それからは早かった。俺ではなく上条当麻が本当にこの世界を救う救世主たり得るのだとすればそれはそれでいいのだ。むしろそうだとすれば、俺が下手に動いてしまい逆効果だっまなんて事態になりかねない。それを避けるためにも俺は上条当麻と同じ高校に入学して彼を見定めることにした。

 

それから彼と過ごした夏休みまでの数ヶ月間は俺の二度目の生の中でいちばん楽しい時間だった。彼は完璧な救世主などではなかった。俺の理想には遠く及ばない。でもそれでもいいと、完璧なんかじゃなくても俺みたいなズルを使わずとも彼なら世界、良い方向へ持って行ける力があるとそう思って、計画の進行を止めてしまった。

 

そして8月28日上条当麻の記憶が破壊される。

 

俺は間違っていた。誰かに縋ってはいけなかった。どんなに恐ろしい未来が俺を待っていようと、俺自身の手で世界を救うもと決めたのだから。

 

10月5日、上条当麻右腕に杭が打ち込まれる。

 

 

 

・・・

「お前を救うためなら戦える。だって俺が躊躇わなければ、少なくともお前の記憶は失われなかった。わかってる、お前が記憶のあるなしで変わるようなヤワな男じゃないことくらい。でも、俺が躊躇ったこの数ヶ月間お前を含めて世界でどれだけの悲劇があった?迷っては行けなかったのだ世界の全てを背負っているのだから」

青年は初めて感情を露わにして、後悔の念を叫ぶ。彼にとって世界を救うことは身近な選択肢のひとつでそれをしないことは、許し難い怠慢のように思えてしまうのかもしれない。しかし、それでも、と上条は叫ぶ。

 

「お前とっては世界を救うことなんて手を伸ばせば届くような簡単なことなのかもしれない。だけどな、インデックスが言ってたぞ。例え魂が高次にあろうとこの世界の内側に存在する限り苦痛の尺度は同じはずだって。俺は記憶を失ってからのことしか知らねえがそれでも何度も死ぬほど苦しくて痛い思いをしてきた。そんなのを世界中分誰か一人に背負わすなんてしていいはずがない。どんなに苦しくたってそれは自分で背負わなきゃいけないんもんなんだよ。」

 

上条は右の拳を握りしめて青年に、ケンジに向かって走りだす。ケンジはそれを見て諭すように語る。

 

「幻想殺しは俺には聞かない。そちらの世界の修正点では俺を変容させることは出来ない。諦めて楔となって世界を救う一助をなせ!」

 

ケンジはそう言うと幻想殺しに刻んだ術式を発動させるための魔術を右の拳に握り上条へと先に殴り掛かる。しかし、上条はその拳を避けてクロスカウンターの如くケンジの顎に右拳を叩き込む。

 

「いいか、何度でも言ってやる。お前が自分は世界の異物なんだと思い込んで自分さえ傷つけば全てが解決するなんて思い込んでるなら、まずはその幻想をぶち殺す。」

 

そしてさらに左拳もふりかぶり、殴る。

 

「馬鹿なダチの目を覚ますのに幻想殺しなんて大それたもんは必要ねえよ。この拳さえあればいいんだ!学校に帰ってこい大バカ野郎!!」

 

(俺を産むために母が衰弱して死んだ、俺を育てるために父が過労で死んだ、不死を狙った魔術師から俺を守るために友が死んだ、あらゆるいい人理不尽に死んでいくのが許せなかった。ただそれだけだった。それだけの願い世界中で叶えるために)

「俺は止まっては行けないのだァァァァ」

 

今度は魔術を握りこまずに純粋な膂力で殴りかかるケンジに上条当麻は友の胸の内を分かっているかのように優しく語り掛ける。当たれば容易く弾ける脆弱な身を晒して手を差し伸べる。

 

「前の俺と違って今の俺は頼りないかもしれない。それでも一度は俺と共にゆっくりとでも世界をいい方向にしていけると思ってくれたんならもう一度やり直そう。きっとそれなら手を貸してくれるやつは沢山いるはずだ。だから」

 

そもそも本来この魔術とはケンジ以外にはメリットしかないものであるのにも関わらず、それでもと、死が迫るなかあの上条当麻が拳を開き手を差し伸べてくれた。恐ろしい永遠の苦痛の連鎖の未来と上条たちと手を取り歩いていく未来を比べた時、もうケンジも拳を開きその優しい手を取るしか無かった。

 

「あぁ、ありがとう」


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