清香「私が…相棒?」
トリンの話によると私はトバスピノの相棒として選ばれたのだという。
トリン「トバスピノは最初に完成した獣電竜の1体なのだが、最初の獣電竜である故に暴走の危険性が高く、その危険性に目をつけた敵によって暴走状態に陥った事があったのだ。」
清香「そんなトバスピノが何故私を相棒にしたのですか?」
トリン「トバスピノはかつて1人の人間の巫女の歌の力によって正気を取り戻し敵を倒した。それ以来トバスピノは地球の歌のメロディを奏でる者にのみ力を示す事がわかったのだ。」
トバスピノが地球のメロディに反応を示すと言う事は私のフルートの奏でる旋律もトバスピノにとって地球のメロディって事になり、それで私が彼に選ばれたってことになる。
トリン「君はこの山でよくフルートの練習に来ているのだろう? 実はこのすぐ近くの山中でトバスピノは眠りについていたのだが君のフルートの旋律で再び目覚めたのだ。」
私は昔から母に連れられて一緒にフルートの練習にこの山に何度か訪れた事があった。
人里から離れ、自然豊かな場所であれば新しい曲のインスピレーションも浮かぶ上にリラックスした状態で演奏をする事ができるからだ。
トリン「獣電竜は相棒がいる事で100%の力を発揮する事ができる。この獣電池に自身のブレイブ…つまり強き竜の者の勇気の力を込める事で相棒と心を通わせる事ができるのだ。」
トリンはそう言って獣電池と呼ばれる物を私に見せてくれる。電池にスピノサウルスの絵柄が描かれていて、トリンの言うブレイブを込めるためのスイッチらしき物が付いている。
清香「そのブレイブを込めて獣電竜と共に戦う戦士がさっき話していた強き竜の者、キョウリュウジャーって事ですね?」
トリン「その通りだ」
つまり獣電竜と一緒に地球を滅ぼす悪い存在と戦う戦士をキョウリュウジャーというらしい。私はトリンが話すキョウリュウジャーがまるで漫画やアニメのヒーローみたいに思えた。
清香「私はそんなヒーローの器ではないですし、地球の危機を救える程の力は…」
トリン「だが君のフルートの旋律にトバスピノは導かれた。さっきの戦いで恐れながらも子供を守るためにゾーリ魔に立ち向かっていく君の姿を見て私は実にブレイブを感じた。」
「ブレイブを感じた…ですか」
トリン「敵であるデーボス軍の力が増してる今こそトバスピノと音楽で繋がれる君の力が必要なのだ、地球の危機を救うために君の力を我々に貸してくれないだろうか?」
トリンは私にそう言って頭を下げてくる。さっきの地球の危機の話といい私には荷が重すぎるのではないだろうか?それに…
(貴方だけの旋律を見つけなさい)
母に言われたあの言葉の通り、私は私だけの音楽を見つけきれていない。それに地球を救うなんてそんなすごい役割に選ばれたといえ、私はすぐには受け入れる事が出来なかった。しかし力になりたいという気持ちもあったため…
清香「わかりました。でも私に少し考える時間を下さい。」
私はそうトリンに伝える事にした。今すぐ焦って答えを出したらきっと後悔してしまうから。私はそうトリンに自身の今の正直な気持ちを伝えた。
トリン「すまない。君の今の気持ちはよくわかった。今はじっくり自分の気持ちと向き合ってみて欲しい。そして次会った時に君の気持ちを改めて聞かせてほしい。」
そう言ってトリンとトバスピノは姿を消してしまった。この決断に下すには自身の気持ちを整理する必要があるみたい。でもその前に私は…
清香「練習…しなくちゃ」
手元に残された黄色の銃を見つめてそう呟く私。そして、フルートリサイタル本番の日が刻一刻と迫っていた。
次回 音楽の力