これは語られるはずのない物語   作:篠崎勇気

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お久しぶりです。篠崎です。
大変!お待たせしてしまって!申し訳ありませんでした!
いや、待ってる人いるかわからんけど。
そんな悲しいことは置いといて、誰か待っててくれたと思いたい!
ってな感じで(どんな感じ?)、仕事の合間少しづつ進めていくので見捨てないでくださいな⁉

とまあ、茶番はここまでにしといて、本編です。
ここからキャラ崩壊が加速していくので、そこらへん、お気をつけてお読みくださいなっと


予期せぬ再開

一同は仲良く池の水を並んで飲む。

オーガの肉は予想をはるかに上回る不味さであったが、貴重な食料品であることには変わらないため、きれいに完食した。しかし、口に残る不快感を紛らわそうと、全員で池の水を飲み始めたのだった。

 

「うぇ~。まだ口の中に残ってる気がする~」

「これは、いつも美味しいご飯を作ってくれてる人に感謝しないとだね」

 

おかゆとスバルは、日ごろから美味しい食べ物を作ってくれてる人に、心からの感謝を述べる。利終も同意しつつ、こんな風に感謝することなんて普通ねえけどな、と心の中で思う。

しばらく五人は口をゆすいでいたが、利終が今後の方針を決めるために、一度全員を集める。

 

「さて、今後の行動についてだが、それを決める前に、いろいろ整理をしよう」

 

そう言いながら利終はホワイトボードとペンを生成すると、ペンを走らせながら、これまでの行動について説明をする。

 

「まず、それぞれのこれまでの行動をまとめよう。俺は森林地帯の中で目覚めた後、適当に歩いてたら山脈地帯に到着した。そこでミオと出会い、生活基盤を求めて水海地帯を目指した。その道中、変異種のウルフ率いる群れに遭遇し、フブキに助けられる。その後、水海地帯にたどり着き、スバルがいつの間にかいた。この水海地帯で俺たち・・・って言っても俺ほぼ何にもしてないけど・・・。まあともかく、拠点を作ることに成功した。拠点が完成し、生活基盤を整えるために情報を求め、廃墟地帯に訪れ、そこでゾンビの群れに襲われる。ミオ、フブキ、両名の頑張りとおかゆの誘導によって何とか難を逃れることが出来た。その後、フブキ、スバル、おかゆの三人が図書館に向かっている間、俺とミオは上の階の物音の正体を確かめに行く。そこで黄道の一体、正式名称『スキーロス・スコーピオン』を発見。何とか逃げることに成功し、拠点に帰還することに成功する。そして、ポーションの材料の一つ『清潔な水』を求めてここまでやってきたが、オーガに襲われ、何とか撃退して今に至るって感じだな。長くなったけど、俺のこれまでの行動はざっとこんなもんかな」

 

ホワイトボードに島の全体図を描いた後、利終は緑のマーカーで森林地帯に緑の点を書くと、そのまま山脈地帯、水海地帯と訪れた場所に線を引いていく。一通り書き終わると赤いペンを生成し、ミオに渡す

 

「次はうちの行動だね。って言っても、うちは山脈地帯で目を覚まして、人を見つけようとさまよってたら、倒れちゃって、目が覚めたら利終君がいたって感じ。後の行動は利終君と一緒だね」

 

ミオは山脈地帯の場所に赤い点を書くと、そのまま利終が描いたルートに合流させ、説明を終わらせる。

次はフブキ、とミオが言うと、利終は青いペンを生成し、フブキに渡す。

ペンを受け取ったフブキはミオと交代してホワイトボードの森林地帯の場所に青い点を書く。

 

「白上は最初、森林地帯で目を覚ましまして、しばらくりんご集めをしてました。一応いろいろと歩いて人がいないか探し回ったんですけど、この森迷いやすくてですね。どうにか森を抜けようと頑張っていたところで、赤い煙を発見しまして。人がいるとおもってかけつけたら、腕をなくした利終君がいたってわけです。その後は利終君やミオとおんなじですかね」

 

青い点を指しながらフブキは説明をし、言い終わった後、線を引いて利終が引いた線に合流させる。どうやらフブキは利終達と出会う前は迷子だったらしい。まあ、あの深すぎる森の中で目が覚めたら仕方がないとは思うが。

利終が森を出られたのは、矢で目印をつけられたからだ。目印をつけることが出来れば、同じところをぐるぐるするということはない。

説明を終えたフブキは、スバルと交代する。スバルは先ほど利終からもらった黒のペンを持って、これまでの経緯を説明する。

 

「スバルはね、最初は浜辺で目を覚ましたんだ。その後、人がいないか歩いて探してたんだけど、誰も見つからないし、おなかもすいてきたから森に入ったんだ。そしたら、入ってすぐくらいにりんごの木を運よく見つけられてさ。そこのりんごと湖の水でしばらくやり過ごしてたんだけど、ある日、声が聞こえてさ。その声のほうへ行ったら、片手がない人が、頑張って木を持ち上げようとしてて、それが利終君だったって感じかな。」

 

スバルは黒い点を水海地帯の場所に書き、そのまま線を引っ張って利終が書いた線に合流させる。スバルの言葉に、違和感を覚えた利終は、スバルに質問をする。

 

「なあスバル。声が聞こえたって言ってたけど、何人くらいの声だったのかわかるか?それと、誰の声だったのかも」

 

利終の質問にスバルは少し頭を悩ませた後、こう答える。

 

「聞こえてきた声は一人だけだよ。誰かって言われると利終君だと思うよ?男の人の声だったし」

 

スバルの返答を聞き、利終は少し頭を悩ませる。

スバルが聞いた声というのは、利終ではない可能性が高い。なぜなら、スバルが来る直前まで利終は眠っており、起きてからもそこまで大きな声を出していないからだ。もし、利終の声が聞こえていたというなら、その時一緒にしゃべっていたフブキの声も聞こえるはずだ。

しかし、スバルは一人だけだと言った。

つまり、この五人以外の人間が、この島にいる可能性が高いのではないか。

利終はそう考えたが、口には出さず、紫色のペンを生成すると、そのペンをおかゆに渡す。

おかゆは利終からペンを受け取ると、スバルと場所を交代し、ホワイトボードに紫色の点を書くと、説明を始める。

 

「僕はね~、あそこのビルにあったバリケードの中で目が覚めて~、その後、探索に出ようとしたんだ~。そしたら外がゾンビだらけになってるのに気づいて~。そのままバリケードの中に戻って引きこもってたんだ~。図書室はその時に見つけたんだ~。それで~、引きこもってたら外が騒がしくなって~、窓の外から見たらフブちゃんたちがいたって感じだね~」

 

紫色の点から移動していなかったらしく、おかゆは説明をしながら利終の線と合流させる。

おかゆがもとの位置に戻るのを確認した後、利終が口を開く。

 

「とりあえず、全員の行動はこんなもんか。ってなると一度拠点に戻るとして、その次はどうするかだな」

 

当初の予定では、清潔な水を手に入れて、回復アイテムを確保する予定だったが、清潔な水はここにはなかった。その為、清潔な水を探す必要があるが、どこにあるのか見当がつかない。

利終の発言に対し、フブキが手を上げる。

 

「はい!利終せんせー!白上は温暖草原地帯にむかうのがいいと思います!理由として、他の地帯に比べると非常に住みやすい気候なので、人がいる可能性があるのではないかと!」

「うむ。いい案であるが却下であるフブキ副会長。理由として、集団を見つけられたとしても友好的であるかわからないうえ、集団争いに巻き込まれる可能性もあるからだ」

 

フブキの提案に対し、利終は付け髭をつけながらそう答える。提案を却下されたフブキは肩を落とし、顔をしょぼん(´・ω・`)とさせている。

利終が付け髭を外そうとすると、今度はスバルが手を上げた。

 

「はい!利終せんせい!なら森林地帯を探索するのはどうですか!森の中であれば清潔な水が見つかるかもしれないし、運が良ければ食料も大量に確保できるかも!」

「残念だがスバル応援団長、森はやめたほうが良い。遭難する確率が高いうえ、見晴らしが悪く、奇襲を受けやすい。あそこの探索は避けたほうが良いじゃろう」

 

スバルの提案に却下を出す利終。スバルはフブキの隣でしょぼん(´・ω・`)とした顔になり、仲良く体育座りになる。

二人仲良く落ち込んでいると、おかゆが手を上げ、発言をする。

 

「ならもう一回廃墟地帯に戻るのはどお~?あそこなら情報も手に入るし、物資の調達もし易そうだけど~」

「うむ。襲われたからあの場所を離れたのに、戻ろうとは大した度胸じゃ。却下だ」

 

利終がそう言うとしょぼん顔(´・ω・`)が一人増え、体育座りで横に並ぶ。コントかな?

利終があーでもない、こーでもない、と頭を抱えていると、残ったミオが手を上げる。

その様子を見た(´・ω・`)三人衆は、最後の希望を見たという顔でミオを見つめる。

 

「三バカは放っておくとして、一度拠点に帰ってみてから話し合ったほうがいいと思うよ。この洞窟だって安全地帯ってわけじゃないんだし、警戒しながら今後のことを考えたって、いい案出るとは思えないから」

 

ミオの言葉に三バカと利終は一理ある、と頷く。利終は洞窟の出入り口付近に向かうと、水筒の水を飲みながら鉄の壁を作る。

洞窟の入り口は、横20m、縦10mとかなり広いが、『ラージリカバリークリスタル』の効果のおかげで、体力を気にしなくていいおかげで、入り口を完全にふさぐことに成功する。一応、何か所か小さい穴をあけることで、空気の出入り口を確保する。

問題がないと判断した利終は、四人のもとに戻ると、布団を五つ生成し、そのうちの一津を選ぶと、他の四つから少し遠ざけ、他の四人に布団に入るよう促す。

四人は顔を見合わせ頷くと、布団を利終の近くにもっていき、全員で布団に入る。

 

「って、わざわざ距離を離した意味!わかってないんですかね⁉」

 

左から、おかゆ、スバル、フブキ、ミオ、利終の順番に布団が敷かれているが、距離が近いという利終。その言葉にフブキが反論する。

 

「いやいや、分かってますとも。利終君も男の子ってことくらい。ただですね、いつ敵襲があってもいいように、皆固まったほうがいいと思いまして」

 

フブキの正論に、ぐうの音も出なくなる利終。どうにか言い訳を考えようとするが、その前に四人とも寝てしまい、何も言えなくなる。

騒いだところで起こすのは明白だったため、利終はしぶしぶミオのとなりにある布団に入り、目をつぶる。

この世界に来てから、初めて安全に寝れるという状況に、緊張がとけたのか、すぐに眠気が押し寄せてくる。

 

「・・・絶対に守らないとな」

 

利終がぽつんとこぼしたその言葉は、寝たふりをしていた一人の少女の耳以外には入らなかった———。

 

 

 

 

 

「・・・ん?」

 

かすかな声を聴き、フブキは目を覚ます。

フブキは音の聞こえてきた方向に、白い耳を立て、その音が何の音かを確かめようとする。

 

「おろ?前に来た時、こんな壁なかったよな・・・」

「そうでござるな・・・。楓君、壊してみるでござる?」

「いやいや、危ないでしょ。中から怖~いモンスターが出てきたら大変じゃん?」

「ふっふ~ん!任せてよ!ここは特性の爆弾で~」

「ストップ!洞窟崩れたらどうするの⁉」

「いいね、派手にやっっちゃお~う」

 

かすかに聞こえてくる声は、フブキにとってどこか聞き覚えある声だったが、爆弾という言葉を聞いて、慌てて皆を起こそうとする。

 

「ちょちょ⁉みんな!起きて!緊急事態だよ!」

 

フブキが全員の体をゆすり、全員の覚醒を促す。

 

「う~ん?何~?どうしたのフブちゃ~ん?」

「あと三分、いや五分だけ~」

「・・・くぅ」

「・・・んが」

 

必死に体をゆするが、なかなか起きない四人。

どうしよう、と慌てていると、突然後ろから爆音が響く。

鉄の壁が破壊され、破片が光の粒子になりながら、あたりに飛び散る。

その音を聞き、四人はいっせいに飛び起きる。

 

「え!何々⁉」

「うるさいな~!スバルの安眠を邪魔しないでほしいんですけど~!」

「ッ!耳が痛い!」

「『物質生成』」

 

いや、約一名状況判断早すぎん?

利終は襲撃を受けたと判断し、即座に弓と矢を生成する。

土ぼこりが発生し、襲撃者が誰かわからないが、利終は弓に矢をつがえ、その土ぼこりに向ける。

やがてその土ぼこりが晴れ、相手の姿があらわになった。

 

「いや俺言ったよね⁉爆弾はダメだって⁉ほら見て!お相手さん完全に敵意むき出しだよ⁉」

「いや~、つい我慢できなかったもので」

「まあまあ、そうかっかするな。それにそこのやつが打ってきても俺が対処しよう」

「さっすがこより!派手にやったね~!」

「いや、獅子原君の言うことが正しいでしょ。楓君は脳筋で解決しようとしない」

「右に同意するでござる」

 

出てきた人数は六人。

一人は金髪の男。全体的にチャラい雰囲気を漂わせているが、この中で一番まともかもしれない。爆弾を止めようとしていたのが雰囲気で分かる。

二人目はピンク色の髪をした獣人の少女。片手に爆弾を持っており、あきらかに関わっちゃいけない人の雰囲気をしている。

三人目は暗い紺色の髪に、紫色の目をした青年。背中から生えた白と黒の翼が、彼の異様さを物語っている。

四人目は青髪の少女。一見かわいらしい見た目をしているが、その両手に持った金色の斧が、彼女の異質さを物語っている。

五人目は黒いフードをかぶっている灰色の少女。フードには絵柄が書かれていて、どこかシャチを彷彿とさせる雰囲気を持っている。

最後の一人は金髪の女の子。背中に刀を背負っており、東洋の侍を思い出させるような服を着ている。

 

六人の姿を確認した利終は、警戒の色を少し薄め、矢を下ろす。

利終が矢を下ろした理由は、その六人のうち四人に見覚えがあったからだ。

それは、ほかの四人も同じで———。

 

「え⁉すいちゃんにいろはちゃん、クロヱちゃんにこよまで⁉」

「え⁉フブキ先輩⁉それにミオ先輩やスバル先輩におかゆ先輩まで⁉」

 

知っている顔を見て驚愕するフブキ。どうやら驚いたのは向こうも同じらしく、金髪の侍少女がフブキたちを見て、驚愕の表情を隠せないでいる。

 

「んお?知り合いか、いろは?」

「姫華楓君知らないでござるか⁉風間たちの先輩でござるよ⁉」

「悪い、知らん」

 

紺色の髪をした青年の質問は悪びれる様子もなくそう言い切る。

それを聞いた金髪の侍少女が何か言っているが、あちらこちらで聞こえる再会を喜ぶ声にかき消され、何を言っているのかがわからない。

なかなかカオスなことになってきた、と利終が思っていると、金髪の男が利終に話しかけてくる。

 

「いや~、とにかく知ってるやつばかりでよかったぜ~。んで、俺の知る限り、アイツらのグループにはいなかったあんたは、どこのどなたさんかな?」

 

一瞬、全員の声が鎮まる。

周囲の人間が、この会話を聞こうとしているのを察知した利終は、警戒心を隠そうともしない金髪の男に、警戒心を隠しもせず言い放つ。

 

「奇遇だな。俺も知っている限り、アンタとそこのやつは、聞いたことも見たこともないけど、誰なんだろうな?」

 

利終の返答に、金髪の男はおちゃらけた雰囲気を放ちながら言葉を続ける。

 

「おいおい、質問を質問で返すなよ。まず、俺の質問に答えたらどうだ?」

「おいおいおい、何を言うかと思えばそれかよ。人の名前を尋ねるのなら、まず自分から名を名乗るのが礼儀なんじゃないか?」

「おいおいおいおい、こちらの質問を無視して言う言葉か?礼儀知らずはどっちだよ」

「おいおいおいおいおい」

「おいおいおいおいおいおい」

「いや、おいおいおいおいうるせえよお前ら」

 

二人が不毛なやり取りをしていると、青年のげんこつが二人を襲う。

青年の力はかなりあり、二人はそろって頭を抑えながら講義する。

 

「「痛ってえな!悪いのはあっちだろ⁉」」

「喧嘩両成敗だ。にしても、そっちの子はともかく、獅子原はどうしてそんな喧嘩腰なんだ?」

 

青年の言葉に、獅子原と呼ばれた青年は答える。

 

「なんとなくだが?いやな予感というか、こいつといると良くない気がしてな。つっても、俺の勘だから対して頼りにならんかもだが」

 

獅子原と呼ばれた青年の返しに対し、青年が答える。

 

「そうか?俺の勘ではそこまで悪い奴ではなさそうだが?あんまり場を乱したりすんなよ?」

 

青年はそう言うと、利終に向きなおり、握手を求めるように手を出しながら言う。

「連れが悪いことをしたな。俺の名前は(ひいらぎ) 姫華楓(かえで)だ。よろしく頼む」

「あんたが誤ることではないだろ。まあ、俺の名前は葛音 利終だ。こちらこそよろしく頼む」

「しゃあねえ、俺もするか。俺の名前は獅子原(ししはら) 。よろしく~♪」

 

三人はそう言って、お互いに自己紹介を行う。

それを見た他の八人は念のため、と言って自己紹介を行う。

 

「はいはーい!そしたら白上達もしますね~。白上の名前は白上フブキです。よろしくお願いしますね~、姫華楓君に和希君!」

「次はうちだね。うちの名前は大神ミオだよ。よろしく、柊君に獅子原君」

「そしたらスバルが行くね。スバルの名前は大空スバルだよ~。よろしく~、姫華楓君に和希君」

「次は僕だね~。僕の名前は猫又おかゆだよ~。よろしくね~、姫華楓君に和希君~」

「そしたら風真の番でござるな~。風真の名前は風真いろはでござる~。よろしくでござるよ、利終殿」

「じゃあ、次は沙花叉の番!沙花叉の名前は沙花叉クロヱで~す!よろしく~りおくん!」

「こんこよ~♪こよの名前は博衣こよりだよ~。よろしく~利終君!」

「最後は私だね。私の名前は星街すいせいです!気軽にすいちゃんって呼んでね~」

 

全員が一通り言い終わると、男三人はそれぞれの呼び方を決める。

 

「了解。風真に沙花叉、博衣に星街な。よろしく頼むよ」

「えっと、白上に大神、大空に猫又な。大空だけ呼びにくいから、スバルでいいか?」

「フブキちゃん、ミオちゃん、スバルちゃんにおかゆちゃんね。よろしく~♪」

 

利終、姫華楓、和希の順でそう答える。ちなみに、スバルは姫華楓の申し出にOKを返した。そして、すいせいは利終に苦言を呈した。

 

「え、すいちゃんって呼んでねって言ったよね?なんで無視するの?」

「いや圧‼すいません、初対面の子をあだ名で呼ぶのはハードル高いっす・・・。これで勘弁してください・・・」

 

すいせいから放たれる圧に、たじろぐ利終。

その様子を見た周りは、様々な反応を見せるが好意的なものがほとんどである。

 

「・・・」

 

一人を除いて———。

 

 

 

 

 

「なるほど。あの壁はアンタらが作ったものなのか」

自己紹介が終わった後、お互いの状況を話し合った結果、利終達の拠点に行くことになった。姫華楓達は拠点を持たず転々としているらしく、利終達の拠点に案内すると言うと、即座に飛びついた。

森を歩く間、警戒しつつ話をしていたのだったが、意外なことに話がかなり弾んでいた。

特に利終と姫華楓の二人だ。男同士気が合うのだろう。それに、来るもの拒まずな利終と、自身を貫く姫華楓の性格が上手くかみ合ったことも大きい。

対し、この十一人のパーティーに三人しかいない男のうち、最後の一人である和希は・・・。

 

「へぇ~、利終って弓道やってるんか。俺の幼馴染も弓道部でな!いや~奇遇だな~!」

「そういう和希は野球やってんだろ?俺はそういう団体戦って苦手だから、すげえと思うわ」

「それは同意だな。獅子原の性格上、意外というほどでもないが、集団になじめるのは一種のスキルだと思うぞ」

 

思いっきりなじんでいた。さっきまでの警戒?男なんて打ち明けるの一瞬なんだよ。

利終がつけた目印をたどりながら進む男三人。

その後ろを八人の女性陣がついていく。

 

「へえ~!姫華楓君と最初にあったのはいろはちゃんなんだ~。どんなふうにあったの?」

「それがですね!聞いてくださいよ、フブキ先輩!姫華楓君ったら、出会って早々『だいぶ痛々しい格好のやつだな』とか言ってきたんですよ!風間も好きでこのカッコでいるわけじゃないのに!挙句の果てに、その後なんて言ったと思います⁉」

「あ~あフブキちゃん地雷ふんじゃった~。いろはちゃんにその話題振ると長いよ~?私もさんざんな目に遭ったし」

「え、すいちゃんがそんなこと言うなんて、よっぼどのことじゃない⁉いったい何やらかしたの姫華楓君⁉」

「それがですね~スバル先輩。こよが聞いた限りだとかな~りやらかしてるみたいでしてね?」

「こんこよ~。その話はやめようよ~。さんざん聞かされて沙花叉は飽きちゃったよ。そんな話より、ミオ先輩のお話を聞きたいな!」

「ええ!うち⁉そんな、どおして急に⁉」

「え、さっきフブキ先輩が、ミオ先輩と利終君がとっても仲良しだって話をしてくれましてね?ね~!こんこよ~♪」

「ね~!」

「フブキ‼」

「わぁ~。ミオちゃんが怒った~」

 

カオスである。もう一度言おう。カオスである。

集団の母数が一気に倍に増えたため、今まで以上の騒がしさになるのは必然ではあったが、ここまでとは想定していなかった。

 

「なあ、これ速攻で敵さんに見つかりそうじゃね?」

「見つかりそうってか、見つけてくださいと言ってるようなもんだよな」

「まあ、俺が何とかするから問題ないだろ。・・・よっと」

 

突然、姫華楓が足元の石を投擲すると、その石はすさまじいスピードで森の中に消えていき、小さな断末魔が聞こえてくる。

その突然のことに、呆気にとられる利終やミオ、フブキにスバルとおかゆだったが、他の面子は慣れているかのように、対処する。

 

「お!この感じは鹿だね~。やったじゃん姫華楓君!今夜はいいお肉が食べられそうだ~」

「そしたらいつも通り、俺の『重力』で運ぶわ。いや~、いつもありがとな、姫華楓~」

「そしたら解体は任せるでござる。このチャキ丸の切れ味を披露するでござるよ~」

「そしたら私は薪割だね。こよりは運ぶの手伝って」

「は~い!」

 

ツッコみたいところが多々ある利終だが、それらを飲み込んで一言だけ言う。

 

「お前ら、野生に適応しすぎじゃね?」

 

こいつら本当にアイドルか?、とそんな疑問を持つ利終であった。

 

 

 

 

 

「「「「とうちゃ~く!」」」」

 

拠点に到着し、元気にはしゃぐスバル、こより、クロヱ、和希の四人。

利終は精神的に疲れたという表情であり、さっさと鹿の処理をしようと考えていたところ、その事件が発生した。

 

「拠点がちっちゃいな。まあ、仕方ないことではあるか」

「設計図もなかっただろうからね~。そしたら、明日からは拠点の拡張とかしちゃう?」

 

姫華楓とクロヱがそんな話をしており、ふと気になったミオが聞いてみる。

 

「その言い方だと、設計図があるみたいな感じだけど、そんなのあったっけ?」

 

ミオの疑問に自慢げにこよりが答える。

 

「ふっふっふ~!そこは、こよにおまかせ~!名付けて『こよペディア』!!こよが作りたいものをイメージすると、その設計図と必要な材料がわかる、holoXの頭脳にふさわしい能力なのだ!」

 

こよりはそう言うと、試しにと爆弾の設計図をミオに渡す。

その内容を呼んだミオは、あることに気づき、利終に声をかける。

 

「ねえねえ利終く~ん!今必要なものって何がある~⁉」

 

突然声をかけられた利終は、少しあたりを見渡してから答える。

 

「今必要なのはコンロとかじゃね?と言っても、ちゃんと火が着くタイプのやつな?」

 

利終が作れるコンロは、他から火を持ってこないと火がつかないタイプだ。問題があるわけではないが、毎回ミオやフブキに着けてもらっていると申し訳ない。

そんな気持ちで言ったのだが、その言葉を聞いたミオがこよりに聞く。

 

「ちゃんと火が付くタイプのコンロの設計図って出せる?」

「だせますけど・・・。こよの能力では設計図だけなので材料ないと作れませんよ~?」

 

こよりはそう言いつつ、ミオの言う通り、設計図を作りミオに渡す。

それを見たミオは、その設計図を利終のところにもっていき、尋ねる。

 

「ねえ、利終君。この通りに作れる?」

「・・・え?いやいや、話聞いてましたかミオ先輩。材料がないんじゃどうしようも」

「ほれ」

 

利終は設計図を見て作ったコンロをミオに渡す。

ミオはそれを受け取ると、森に向かおうとしてるすいせい達に言いながら、利終と一緒に拠点に入ろうとする。

 

「お~い!火は用意できたから薪を取りに行かなくて大丈夫だよ~!これ使ってみんなでご飯作ろ~!」

「「「いやいやいやいや」」」

 

当たり前のようにする利終とミオの二人を見て、こより、クロヱ、姫華楓の三人が待ったをかける。

心当たりが一切ない利終とミオの二人は、そろって首を傾げるが、三人は息を合わせてツッコむ。

 

「いやまず、どうやって作ったのそれ⁉」

「そして、何故当たり前のように受け取る⁉」

「そして、なんで家の中に入ろうとしてるのかな⁉」

 

三人のツッコミを聞き、利終が一つ一つ答える。

 

「クロヱの質問は能力で作った。姫華楓の質問はミオも知ってたから。んで、こよりの質問は家で飯を作るから。OK?」

「「「何もOKじゃない」」」

 

詰め寄る三人をなだめつつ、利終とミオは拠点の中に入る。他の九人も順番に拠点の中に入るのだが・・・。

 

「狭いな」

 

姫華楓の一言。それがすべてを物語っている。当然と言えば当然だ。もともと、この拠点は四人で住むことを前提に作った拠点なのだから。

いきなり倍以上の人数が入れば、狭くもなる。仕方なく、一同は三グループに分かれ、それぞれの部屋で食事をとることにした。

利終の部屋には姫華楓と和希が、ミオの部屋にはすいせいといろは、そしてスバルが、フブキの部屋にはこよりとクロヱ、最後におかゆが。

お互いの部屋で食事をとり、その後、居間に再び集合した。

久しぶりにまともな食事を取れた利終達はご満悦な表情を浮かべつつ、姫華楓達は雨風凌げる拠点のいこごちの良さに酔いしれる。

そうして少しまったりした後、気を引き締めて、利終が切り出す。

 

「さて・・・。とりあえず明日の話をするとしよう」

 

利終の言葉をきっかけに、彼らの話し合いが始まる。

 

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