『我々は卑劣なナチュラルの裏切りによって地上を追われた!平和と安定のみを望む我々の思いは、またしても頑迷なナチュラルによって踏み躙られたのだ!』
オルフェの演説がモスクワの街頭モニターで発信されている。
人々は足を止め、それを聞いてお互いの顔を見合わせた。
「「「???」」」
街行く人々みんなが、顎に手を当て首を傾げた。
裏切り?そりゃコッチのセリフだぜ!というのがユーラシアの、ひいては世界の総意だった。
この時すでに、有名なジャーナリストであるジェス・リブルによって全世界にブラックナイツの侵略行為や暗躍が終始バッチリ撮影されて公開されていたのである。
「皆さん。ゼレンスキーです。真実をお話しします!」
そしてたっぷり84秒のオープニングから始まったこの動画は、かなり鮮明高画質かつ長押しで4K対応!核ミサイルを自演で自国に向けて発射するブラックナイツの姿や、シュラと戦うユーラシアの星とコンパスの象徴フリーダムの戦いが収められていた。
「たかがメインカメラをやられただけだ!(ま、前が見えねぇ……!)」
「ここから先は、一歩も通さない!(背後に市街を背負いながら)」
「意地があるんだよ!ナチュラルだってなぁ!」
などのやりとりも機体からデータを取って合成されており大変迫力のある仕上がりであった。
なお、洗脳されたキラの駆るVSフリーダム戦もバッチリ収められている。この時キラ・ヤマトはブラックナイツにより何らかの洗脳を受けていた、という解説も入り、それを見た地上に取り残されてユーラシア連邦に保護されていたファンデーション王国民は、なぜか自分たちの意に反してユーラシア連邦からの独立を支持していた当時の事を思い出した。
「私たちは、洗脳されていた……?」
実際に国民全員を洗脳できるかといえば、実はグリフィン・アルバレストにはそれができた。ただし、アコード全員の力を結集しグリフィンに全てのアコードパワーを集めてようやくの事である。そしてその後グリフィンは体中の穴という穴から色んな汁を出し2、3週間寝込んだ。
ポプ子は性格がクズよりなのでそれを煽って笑った。グリフィンは泣いた。
ファンデーション王国民は激怒した。
彼らは自分たちの心すら踏み躙り、運命を捻じ曲げ、あまつさえ核で焼こうとすらしたのだ。
必ず、かの邪智暴虐の女帝を除かねばならぬ。
立て!国民よ!まずはユーラシア連邦に帰属しようぜ!
そしてファウンデーション王国の技術はめっちゃユーラシアに流出した。
ちなみに、この動画の公開から2時間後、あまりの要望の多さにめっちゃ魅せる角度で撮影された105ダガーの戦闘シーンが劇場で無限ループで応援上映されたので、ユーラシアのシアターは随分儲かった。
特に格上と目されるフリーダム相手に罠に嵌めて判定勝ちをもぎ取るシーンでは場内は声援で溢れた。
「それでこそ私のライバルだ!!」
「いけー!人の光ー!」
「光になれぇぇぇぇ!!」
そしてシアターの支配人たちはその儲けをゼレンスキー難民支援団体へと寄付し、世界はまた少し優しくなったのは別の話である。
誰かの眩しい姿は、それを見た誰かが引き継ぎ、世界中に伝わっていく。
『我らの名はアコード!プラントに暮らすコーディネイターたちよ!我々はあなた達の兄弟だ!』
「ジャガンナート中佐……!」
「ふざけるな!なぁにが兄弟だッ!!アコードめ!我らの志を踏み躙ったな!!たとえナチュラルが憎くとも!守るべき一線というものはある!!」
「では、我々はどうすれば……」
「……レクイエムは、我らの罪。その責任を取る!全艦、発進せよ!」
本来ならばアコードとともに地球を滅さんとしたザフトの反乱軍が。
「元はと言えば、レクイエムを作り出した私たちにも責任があります」
「これ以上、滅びに怯える世界を見過ごしてはならない」
「地球に死の刃を向けたレクイエムを決して許すな!!」
そしてコンパス理事国の代表達が。
「地球、プラントに住むナチュラル、コーディネイター、全ての皆さんへ。私たちは世界平和監視機構コンパス。あなたの生殺与奪の権利を、他の誰かに委ねてはなりません。今はまだ、平和とは程遠い世界かもしれません。私たちの力が届かないこともあるでしょう。未だ世界は明るいのか暗いのかも分からない。未来は何も見えない。 だけど繋げる手があれば、支え合っていける心があれば、見えない所にも進めるでしょう。あなたの横にいる誰か、名も知らぬ誰かの。互いのことを知りましょう」
ここで一息溜めを入れて、ラクスはグッと握り拳を作った。
「平和ではないから手を取り合えないのではありません!手を取りあえば平和なのです!どうか私たちに、力を貸してください!」
清々しいまでの脳筋ラクス構文が炸裂した。
ノーラブ・ノーピース。
アコードのやらかしにより、世界は今愛に気付きつつある。
コズミック・イラ4000年(※1)の歴史上かつてないほどの一体感である。
人々が種を超えて手を取り合う時が来たのだ。
「ラクス、その演説は大分ゴリ押しじゃないか?」
「アスランは黙っていてください」
「!!(デデン!)」
ユーラシア連邦によって救出されたラクス・クラインと、実はズゴックで暴れ回っていたアスランたちが。
「行こう。たとえ何度も花が散るなら、散らないくらい強くなる為に」
そして色々あってメンタルが鉄骨入りPS装甲になったキラ・ヤマトが立ち上がった。
日刊ランキング4位!?自分史上最高の評価に震えて夜しか眠れない。
みなさん本当に応援ありがとうございます。
※1:コズミック・イラは4000年も続いていない。しかしこの世界のラクスはたまに変なネタを思いついては1人で笑っていることがあるお茶目さん。
ゼレおじ小噺
Qなぜ105ダガーにこだわり続けるの?
A操縦技能は高いものの、各地を転戦しまくる&あくまでただのナチュラルなので被弾自体はめっちゃする。
だから予備パーツが充実してないワンオフ機はちょっと難しいなぁというのが整備班の意見。
第一次大戦当時数を揃えるために国産機であるハイペリオン系列の量産から、大西洋連合からライセンスもらったダガー系列の生産に踏み切った結果、今から国産機に生産ラインをシフトして現行機のダガーを退役させるのは現実的ではない。
そしてそんなこんなしてる間にゼレおじの活躍で105ダガーの国内人気が鰻登り。もはやユーラシア連邦の顔。
だったら魔改造して国産機なみに扱えばいいやん!という事で徐々に大西洋連合側のダガーとはベツモノになりつつある。
それと1番の理由は、ゼレンスキーが
「自分は特別な存在ではなく、誰もが誰かの為に立ち上がれる」
という願いを量産機のダガーにかけているから。
そんな噂があるとかないとか。
「あと量産機ってなんかかっこいいじゃん?」