オルフェは頭を抱えていた。
彼の立てていた計画はそれはもうとんでもない事になっていた。軌道修正不可というヤツである。たった1人の愚かなナチュラルの蛮行を皮切りに、あれよあれよと崖を転がり落ちるかのように、綿密な計画はただの絵空事へと成り果てた。
「なぜだ!?」
★オルフェの作戦のここがやばい!一覧★
作戦目標①奇襲によりコンパスを壊滅させる
→友軍救助の名目で駆け付けたユーラシア連邦軍がファウンデーション王国軍と交戦を開始し、コンパスの撤退を援護。誰1人欠けることなく生還させられる。
Q.なぜだ……!ユーラシアの現場指揮官や政治屋連中には鼻薬を嗅がせていたはずだ!
A.みんなユーラシアの星に脳を焼かれてるのでそんな物は効かない。我らの星!加盟はしてないがコンパスの理念には共感。かつ揃いも揃ってブルカス(テロリスト)絶許マンだった。
作戦目標②ラクスの身柄確保
→司令部に詰めていたユーラシア高官たちと、どこからともなく乗り込んできたユーラシア特殊部隊に拉致(保護)されてしまう。
Q.なぜだ……!?こちらの警備は完璧だったはずだ!
A.デスティニープランによる職業強制の弊害。そして国民全員ユーラシアからの独立にそもそも不満タラタラ。な、なんで独立した!?ふざけんなよこの顔と能力がいいだけの金髪スカシ宰相がぁ!イングリッドちゃんの恋心を無視しやがって●ね!全裸ピアノおじと金髪美少年、どうしてここまで差がついたのか……。慢心、人望の違い……。
作戦目標③核兵器を使わせることでユーラシアの首都を焼く口実作り
→なぜかどこからともなく現れたユーラシアの狙撃班達により防がれる。ブラックナイツが核兵器を発射する動画が全世界に拡散される。これにより、ユーラシア連邦がファウンデーション軍へ一方的に攻撃を仕掛けてきたという口実が使えなくなり大義名分が死ぬ。
Q.なぜだァ……!?
A.先の展開を知っている特大イレギュラー(異世界ガノタ)が相手陣営にいた。その男への周りの好感度がカンストしていた結果、最高の迎撃体制が整っていた。
「おのれおのれおのれおのれぇ!」
「オルフェ……」
頭を掻きむしり取り乱すオルフェを、イングリッドが労しそうに見やる。完璧超人に見えていたオルフェが、ここまで荒れるのを彼女は初めて目にした。同時に、彼をここまで追い詰めた人物は一体何者なのか気に掛かった。メタ的に言うと、そう遠くないうちに出くわすことになるので、今は考えない方がいい……。
「イングリッド!放送とレクイエム発射の準備をしろ!かくなる上は、神に等しき武力でもって我らアコードの存在を世界に知らしめてやる!よろしいですね!?母上!?」
「そ、そうじゃ!我らをここまでコケにしたユーラシアなど、焼き払ってしまえぃ!元々ナチュラルに配慮したのが間違いだったのじゃ!我らがここまで穏便にディスティニープランを広めようとしたというのに!ヤツら自身がその選択肢を捨てたのじゃ!」
「なればこそ!自ら選んだ業火に焼かれ、己の愚かさを思い知らせてやりましょう!照準、ユーラシア首都モスクワ!」
「レクイエム、発射準備完了!」
「運命に見捨てられた愚かな子らよ……!せめてその死に際に受け取るがいい!我らの、私の!神の祝福を!」
月面裏側のダイダロス基地。そこから一条の光が地球へと放たれた。
目標、ユーラシア連邦首都モスクワ。
劇場版SEEDFREEDOMにて、幼い少女の命を筆頭に、人々の営み、育んできた大地そのものを地獄の業火で焼いた、悍ましい光。
たとえどれだけの悲劇を救ってきた男でも、神の力の前では無力なのか。宇宙から迫るその膨大な熱量を前に、地球は、モスクワはただ。何も……。
「ところがぎっちょん──!」
その光の切先に、潜んでいた105ダガーの大部隊がミラージュコロイド・ステルスマントを脱ぎ捨て突如として現れる。
全機が特徴的なストライカーパックを装備し、その光から地球を庇うように立ち塞がった。
「貴様らに地球を撃たせはしない!全機!フィールドッ!全ッ開ッ!!!」
「やってみる価値はありますぜ!」
「俺たちの手で地球を救おうってんだ!こんな名誉な事ありませんよ!」
「オレの力をみんなに貸すぞ!!」
「人の叡智が生み出したものなら!人を救ってみせろ──!」
「誤ちは、繰り返させない!」
【アルミューレ・リュミエール展開──!】
その日、レクイエムは地球到達の直前で100を超えるダガーが展開した多重結界と化した光の防壁に『受け止められた』。
自称「神」の光と、「人」の心の輝きがせめぎ合う。
それは絶望から誰かを守る、希望のカタチ。
かつて黒き巨人から民を守った、ありし日の星の輝きを、地表から宇宙を見上げた人々は思い出した。
「「「頑張れ!我らの星!!」」」
誰もが皆、自分の力で星になれる。
Tips.我らの星:ユーラシアの国境を超えて世界中の人々の間で度々使われる用語。
とある英雄への敬意、国への忠誠、相手への気遣い、肯定など様々な意図をもって使われる便利な言葉。頑張る誰かに向けられたエールでもある。我らの星。
アルテミスの傘を作ったのも、ハイペリオンのアルミューレ・リュミエール(モノフェーズ光波シールド)を作ったのも!全部ユーラシア連邦さんのおかげじゃないか!
その頃のジャガンナートさん
(オイオイオイ、大義名分もラクス様の後ろ盾もなしにレクイエム撃っちゃったよ!これ決起しちゃったらヤバい。ヤバくない?)
部下
(ヤバいですね)
ジャガ
(だよなー!!!)
追記
コメント欄に触発され一部加筆しました。
コメントありがとう!