──地獄を見た。
──いずれ辿る、
俺は転生者だ。
転生。今では、ごくありふれた
転生した者は転生先で華々しい活躍をして名声を得る。
俺が転生した先は、機動戦士ガンダムSEEDと呼ばれる
一言で言えば、モブ厳な世界である。
だから、成り上がろうとかそんな気持ちは一切なく。
モブである俺はいずれ死ぬのだと、この世界で生き残る事を諦めていた。
だから死ぬまで楽しく生きる。その日その日の享楽にふける、刹那的な生活を俺は狂ったように続けていた。
当時の俺は、周囲から見て狂人、あるいは道化に見られていたと思う。
そして始まる。
血のバレンタインによる大量虐殺。
ニュートロンジャマーによる
あれよあれよと世界は
そして俺は、ある時これまでの人生全てを悔いる出来事に遭遇した。
父が死んだ。母が死んだ。姉が死んだ。
連絡を受け、俺が駆けつけた時には全てが終わっていた。
戦争に巻き込まれたのではない。
まだまだ比較的平穏な土地だった。
我が家も国からの電気は止まっていたが、倉庫に眠っていたほとんど骨董品のガスタービン発電機のおかげで一家が暮らすには不自由なかった。
だから家業の農耕も続けられたし、得られた作物は近隣になるべく回し、地域からは大層感謝されていた、らしい。
だからだろうか。飢えた者が噂を聞きつけたのか、それとも地域の住民の妬みだったのか。
ある夜、俺の家族はすべてを奪われた。
家は火を放たれ、3人は死体も残らなかったらしい。
──地獄を見た。
知っていたとして、コネもない。チートもない。たった一人の、知識を持つだけの俺に何ができただろう。
だが、動かねばならなかったのだ。世界を守るには小さすぎるその
復讐などは考えなかった。
これは、俺の罪だ。
キャンプが趣味で、極寒の寒空の下に何度も連れ出してきた父。火起こしの達人で、火を囲み抜けるような星空の下で何度も悩みを聞いてくれた。思い出す父の背中は、今も大きい。……小さくなるまで、待ってはくれなかった。
料理下手で、俺の味覚を鍛えてくれた母。笑顔が素敵で、いつも父とイチャイチャしていた。怒らない人で、それでも一度だけ幼少の俺が世界への絶望から自暴自棄になっていたのを叱ってくれた。家を出ると決めた俺の背中を、いつも優しく頭を撫でるその手で送り出してくれた。……家を出た事を後悔してはいない。その優しさを、間違っていたと思いたくないから。
暴虐無人、無人の荒野を行くが如く、弟の貴様に人権などないと振り回してきた
そして、ザフトによる地球への侵攻が始まった。
モブ厳な世界?違う。これはリアルだ。
そこに息づく人がいる。モブなんかじゃない。誰かにとって大切な誰かなんだ。守りたい。たとえそれが、俺の身の丈を超えた願いだとしても。
俺は軍に入隊し、そして。
目の前に佇む巨人の前で誓う。
「誰かの笑顔のために、俺は戦う。この手が届く限り、俺は決して諦めない。だから力を貸してくれ、相棒」
105ダガーのバイザーが応えるように光を反射した気がした。
その
道具は使う人次第。
破壊する為のものじゃない。
誰かを守る為の力。