アコードをぶっ潰す!   作:呼び水の主

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時系列はちょい前です。


作戦前夜

「これはどういう事だね、タオ宰相?」

 

 モニターに映るのは、正気に戻ったフリーダムと、正気に戻したユーラシア連邦の105ダガー。そして、それら2機と戦闘するシュラの操るブラックナイトスコードシヴァだった。

 

(……現場はどうなっている、シュラ!?)

(おのれブリタニアァァァッ!この卑怯者めがぁ!)

(ブリ!?なんだ!何と戦っているシュラ!?返事をしろシュラ!!)

 

 信じて送り出したシュラは心を何かに囚われたかのようにこちらの呼びかけに応じない。

 

(クソッ!あのユーラシアのナチュラルのせいで私の作戦はめちゃくちゃだ!しかしもう後戻りはできん!このまま核ミサイルを奪い、報復の口実としてやる!)

(いいんだな!?オルフェ!?)

(構わんやれ!目撃者は全て消せ!)

(りょーかい!ハハッ!奴ら、ブルーコスモスに襲われたらしい!発射装置はも抜けの殻だぜ!)

(……ブルーコスモスがユーラシア領内に逃げ込んだ?いや、今は悩んでいる場合ではない!やれ!)

 

 ブラックナイツの乗っ取りにより、ユーラシア連邦の核ミサイル(信管抜き)がファウンデーション王国へと発射される。

 それを遠方から撮影する一団がいた事は、ブラックナイツは知る由もなかった。

 装備品である迷彩マントを解除して立ち上がるアストレイアウトフレームと、その横に随伴する2機のNダガーNがミラージュコロイドステルスを解除して姿を現す。

 

「撮影できたか?ジェス・リブル殿」

「ああ、バッチリ撮ったぜ!ブラックナイツの真実を!」

「こういう作戦は君の心情に反しないだろうか?」

「!俺はただ、このレンズを通して世界に真実を伝えたいんだ!今回もコンパスの活動をユーラシア側から取材できればと思って来たけど、まさかこんな事になっちまうなんて思いもしなかったけどな……。ブラックナイツ、カッコいいと思ってたのに残念だよ……」

「……そうだな(この配置も全て、アナタの予想通りというわけですか。我らの星よ。まるで預言者……。いや、なんという戦略眼だ)」

「……それで、アンタらのその機体なんだけど……」

「我が領内での撮影物はこちらの監修を受けた上で公開していただく契約ですので……」

「だぁぁぁぁぁぁ!やっぱそうだよな!!」

 

 その後、ジャーナリストとしても有名な彼の撮影したこの動画は、全世界へと拡散されアコードたちの悪行を世に知らしめる事となる。

 

 ※

 

 では、これより本作戦の概要を説明する。

 今回の作戦は、かねてより情報庁が担当していた目標《ファウンデーション王国》と、世界平和機構コンパスによるブルーコスモス殲滅作戦の監視・支援、およびコンパス総裁ラクス・クラインの身柄の救出である。

 今回のブルーコスモス殲滅作戦において、戦闘時の混乱に乗じて、目標による我が軍への攻撃が予想されるとの情報が入った。

 国境に配置されたGMCLMk72巡航戦術核ミサイルの乗っ取りと、それによる自国民の虐殺。そしてそれを口実とした我らの首都モスクワへの報復攻撃である。

 

 君たちも既に知っての通り、先の大戦で独立した彼の国から亡命してきた者たちの証言によると、目標領内ではディスティニープランの実行とそれに賛同しない国民への武力による弾圧が横行している。

 既に他国ゆえ不干渉を貫いてきたが、彼らは元は我らと同じユーラシアの民、同胞である。彼らを核により焼き払い、報復の為の舞台装置とするのならば、ファウンデーション王国への人道支援という名目で我らは突入する!

 狙撃班は乗っ取られたミサイルの迎撃。

 潜入班は司令部にいるコンパス総裁ラクス・クラインの身柄の保護及び司令部の将官2名の撤退を援護。

 防衛班はゼレンスキー中尉の現場指揮に従いブルーコスモス、及びブラックナイツからの防衛に専念せよ。

 

 以上、諸君の健闘を祈る!

 

「よろしいのですか?大統領」

「なにがです?ゼレンスキー中尉」

 

 そのブリーフィングを壁際で聞いていた1人の女性に、俺はそう切り出した。

「自分の作戦は、思い付きです。それに相手の動きに対する予想も裏付けは取れておりません。正直、ここまで全面的に自分の案が採用されるとは思っていませんでした」

 

 俺の言葉に、大統領は顎に手を当て一瞬考えた後、こう続けた。

 

「そうですね。しかし……。これまでの貴方の重要な局面における判断、いえ嗅覚と呼びましょうか?それは無視するには余りにも、実績を積みすぎていますもの。かつてのアラスカ基地防衛戦での大脱出とか、ね?」

「いぇ、あれは、フラガ大尉……アークエンジェルの呼び掛けに応えたというか……」

 

 そこを突っ込まれると痛い。あれ、下手すると敵前逃亡扱いだったからね?実際大西洋連邦側からは敵前逃亡を主導したと抗議が来たのだ。どの口で、と突っぱねてくれたのも目の前のこの人なんだけど。

 

「一時は貴方が大西洋連邦かザフトのスパイじゃないかと大いに揉めたのですよ」

「Oh……マジですか」

「マジです。まあ、あれだけ国を、仲間を救ったのですから。アラスカ基地の自爆から味方を先導して撤退に導いた救国の英雄。たとえスパイだろうが良いだろうと私が捩じ伏せましたが」

「……捩じ伏せたんですか?」

「はい。それに前職が芸人で、全裸になって自分のイチモツでピアノを演奏する馬鹿な男を誰が好き好んでスパイにするのかと問うたら皆納得しましたが」

 

 勘が良過ぎるのも考えものですね?と大統領はお茶目に片目を瞑った。

 

(そこは納得しないで欲しかったナーー!!)

「前職に助けられましたね」

 

 そう言ってクスクスと笑う大統領は、普段の張り詰めた雰囲気と違い可愛らしい女性の一面を覗かせていた。その横顔に、思わず心臓が跳ねる。

 

 いや、イヤイヤ。相手大統領よ。めっちゃ地位上なのよ。なんたって戦時下のトップ張る人だからね。普通なら中尉の俺なんかが横で談笑するレベルの人じゃないのよ。

 けど何故かな?俺がアラスカ基地でサイクロプスによる自爆を回避し、ユーラシア側の多くの将兵を救ったとして勲章を戴いた時以来、よく官邸に呼び出されるようになった。

 

 だが俺も軍人だ。戦地を離れて自分だけ後方に抜け出すのは周りに顔が立たない。それに、その間に誰かが死んだら俺は絶対後悔する。それで丁重にお断りしたんだけど、それからは向こうが戦地に会いに来るようになった。

 

 このお転婆娘が!!アンタ息子いるんだぞお身体大事にしてね!!

 そんな事をもっとオブラートに包んで伝えたところ、芸人の頃からのファンだったのだと。あっそう。フーン?……そうなんだ。え?バツイチだから問題ない?いやそういう事を言ってるのではなく……。え?サイン?モチノロンですよ。あっ、色紙に手形とかいります?ジャパニーズスモウレスラーはこうするんですよ。え?いらない?……そう。

 

 俺が軍人になる前の、まあ大分刹那的に生きていた時の頃だから、俺にとっては結構恥ずかしい時期なんだよね。扱ってるネタもネタだったし……。

 それでもねーちゃんの『誰かを笑わせられる男になれ!』を愚直に実行した結果なんだから、俺としては胸を張って……張って……、いややっぱつれーわ……。

 

「……どうか生きて帰ってくださいね」

「勿論ですよ。まだまだやるべき事は残ってますから」

「もう一回国葬なんて真似、私にさせないでくださいね?」

「アッハイ……」

 

 そんなこんなで、作戦の準備は着々と進んで行くのだった。




色々端折りすぎてわかりにくいとのコメントもありましたので、多少補足というか作戦の前夜的なものを書きました。

 信じて送り出したブラックナイツがまさかあんなことになるなんて……。

 ユーラシア大統領はオリキャラです。
 美人だとだけ言っておこう。
 頻繁に会いに行くのは私情もあれど、ガチの国防に繋がるので実益を兼ねてる訳ですね。オマケに現場の将兵の鼓舞までできちゃう。さすが賢い大統領賢い。

 国葬の話はオイオイネー
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