始まりの勇者は未来で勇者学園に通う 〜幼馴染と魔王を添えて〜 作:黒色エンピツ
『俺は今から通信魔道具で学園に一報入れてくる。少しの間相手をしておいてくれ』
『わかりました』
隊長が離れていく。持っているあの魔道具なんだろう? 魔法の師匠の彼女なら見ただけで内包された魔法がわかるんだろうが俺にはまだできない。
「それにしても勇者の学舎があるなんて、随分と勇者の数は多いんだな」
何人も勇者が必要になるほどに今の世界は危険なのか?
「ええ、今や勇者は各地にいて、常に魔王の出現に目を光らせていますから」
「魔王もそんなにいるのか……」
そう考えると釣り合っているとは言えるな。……いや、釣り合ったらダメだろう。
「初代様の時は1体だけだったんですね」
「初代様は止めてくれ。アインでいい。まだそっちだって疑ってるだろうし、所詮俺は女神に選ばれただけのただの農民なんだから。……そうだな。1人の魔王が、モンスターを大量に従えていた。城も作っていたな。」
「魔王が城を作っていたんですか……」
「今は違うのか?」
「今の魔王はどこからともなく現れて近くの村や町を無差別に襲っていますね」
「何も考えてないみたいに思えるな」
「違うんですか? 正直、壊す事と奪う事だけしか興味がないように思えますけど」
確かに、さっき倒した魔王はそんな感じだったな。無差別に破壊する事に快楽を覚えているみたいだった。
「俺の時はなんというか……人間味があった。戦っている時も殺し合いよりも戦いその物を楽しんでいるみたいだったし、死ぬ間際には俺と雑談をしたり、恋愛にもどこか興味がありそうだった」
「今と比べると変わった魔王ですね」
「俺からすれば今の方が変わって見える」
俺はあの後ここに飛ばされたが、魔王はどうなったんだろうか。間違いなく殺したはずだが、現状を考えれば魔王もなにかあったかもしれない。
「ところで、魔王を倒したのはもしかしてその剣ですか……?」
「ん?ああ、この剣だけど」
なにかマズいことでもしたか……?
「やっぱり!じゃあそれがアインさんの『勇者特剣』なんですね!?」
「確かに『勇者特権』は使ったけど、これは別に俺のじゃないぞ。倒れた人から取ったもんだから」
「え……? でも勇者には1人1つ『勇者特剣』があってそれで戦うはずじゃ……?」
「だから『勇者特権』は使ってるって」
「……また食い違ってる気がしますから確認しますけど、私が言っている『勇者特剣』はそれぞれこ勇者に与えられた特殊な武器の事です。勇者がどこからか生成するもので形は剣だけでなく、槍や弓や杖など様々で能力を持っている武器もあります」
「便利になったんだな。俺の『勇者特権』は持った武器がとにかく破損しなくなるだけだ。なんの能力もないぞ」
「祖父から聞いた初代から『勇者特剣』はあったと聞いていましたけど、アインさんは無かったんですね……! ……これ、学会で発表したらとんでもないことになりそう……」
あっちからしたら2000年以上も昔のことだからな。テキトーに旅の話しただけで驚かれそうだ。
「仲間はいなかったんですか?教えてもらった初代……ええと、実際には2代目になるんですっけ。彼には3人の仲間がいたそうですが」
仲間……仲間かぁ……
「……良い奴だと思った男にダンジョンの奥でアイテム根こそぎ持ってかれた上で置き去りにされたり、酒場で気が合った女に楽しく酒を飲まされた次の日に奴隷として売られかけた話聞く?」
「あっ、結構です」
自力でなんとかしたから良かったものの、下手したら世界滅んでたぞ。今ではいい思い出……とは言えないな。
『おーい、連絡終わったからそろそろ行くぞ』
『あ、わかりました』
「行くのか?」
「はい、アインさんの荷物はありませんか?」
「無い」
「じゃあ、行きましょうか」
2人が馬に乗る。
「……俺はどうすればいいんだ?走ってもいいが」
「それは流石に……良ければ一緒に乗りませんか? まだ色々お話を聞いてみたいです」
ミリアが手を差し出してくれて、その手を取った。
「俺の話せる範囲でなら喜んで」
早めの更新を考えると1500〜2000くらいが書きやすいですね。
これ書いてる最中に新しくオリジナル小説思いついちゃったんですよねぇ……しかも、自分の小説を読んでくれてる人的にはこれよりもそっちのが好きそうなスケベ寄りなのが。いつか書こうと思います。