始まりの勇者は未来で勇者学園に通う 〜幼馴染と魔王を添えて〜 作:黒色エンピツ
「押し車に乗った貴方を見送った後の事です。いつになく慌てた様子の族長がエルフの森を抜け出すのに無理矢理ついていって、エラン村に行きました」
カップを見つめながら、遙か昔の出来事を思い出している。
「私達が到着したのと同時に国王やドワーフの頭領、魔法研究所の所長等、様々な人が集まっていました」
フィリアが気を落ち着かせるように深呼吸をした。
「私が貴方の棺桶を見ると、中には貴方と──その幼馴染が入っていました」
「嘘だッ!!」
椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がる。
そんな馬鹿な事があるか。
「村にいて、おっさんが守ってたんだろう!?死ぬわけがッ……!」
「事実です。私だって驚きましたよ。少し前に会った彼女が亡くなっていたんですから」
「……ハァ、なんで死んだんだ?」
「服毒による自死です」
「どうして、そんな事を……」
「確か……そう、村に帰ってきてからすぐに貴方と結婚したそうです」
「結婚……?いやいや、死んでたんだろ?」
「えぇ。でも、彼女はそれが信じられなかったそうです」
「……じゃあ、まさか」
「はい。1週間程一緒に生活していたらしいですよ。その後、ベッドで貴方を抱き締めて亡くなっていたそうです」
それって、そんなのって……なら、殺したのは──
「俺のせいか」
意識せず、言葉が零れ落ちた。
「そんな事はないですよ!アインさんがそんな事──」
「いいえ、残念ながらそう捉えるしかないでしょう」
「……いいんだ。よし、続きを話してくれ」
「はい。それから葬儀が始まりましたが、その前にドワーフの頭領が貴方の剣を打ち直す事になりました。それからそれぞれが複数の加護と魔法を剣に注いで貴方と彼女と剣を揃って棺桶に入れ、土葬しました」
「わざわざそんな事まで……」
「魔王は倒されましたが、勇者が死んだ事をみんなに知られては余計な不安を煽ります。なので、貴方が死んだ事は隠蔽されました」
「そうか」
「それから、貴方を鍛えてくれた騎士の方は騎士を辞めて墓守になりました」
「おっさんが!?」
あのおっさんがそんな事するなんて、償いのつもりだろうか?あんなに訓練で厳しかったのに?
「今でも守り続けていますよ」
「……ん?今でも?」
「えぇ、アンデッドになって守っています」
「え、えっと、それって禁呪法じゃなかってでしたっけ……?」
ミリアが手を上げる。
「そうですね。まあ、あの頃は別に禁呪じゃなかったので」
「うわぁ……」
「どこかのタイミングで会いに行ってあげてください。今でもあの場所を1人で守り続ける彼を安心させてください」
「ああ、わかった」
「大体こんなものですかね。……ああいや、後1つだけありました」
「まだあるのか?」
「貴方のかつての肉体は恐らくまだ骨にならずにまだあります。族長が言うには女神がなにか手を施したそうでが……今、体になにか違和感はありませんか?」
「いや、これといった不調はないが……」
「少し触りますよ」
椅子から立ち上がってこちらに来たフィリアが俺の胸に手を当てる。つい、さっきの事を思い出してドキッとする。
「ふむ……これは、なるほど……」
「……なにかわかったのか」
「推測ですが……魔力の上限がごっそり落ちてますね。とはいえ元が膨大だったのもあったので今でもかなりの魔力量ですが」
「俺は特にそんな感じはしないぞ?」
「今の状態が万全だからでしょう。そのせいで上限が減っている事に気付けなかっただけでしょうね。外部から調べればすぐにわかります。」
「つまり、これのせいで俺に『勇者特剣』っていうのが無いのか」
「あ、多分それは最初から無かったと思います」
「……そうか、そうか」
欲しかったなぁ、専用の武器……
「そんな残念がらなくても……墓の中にある剣が専用武器みたいなものでしょう。旅立ってから買い換えずにずっと使い続けたものでしょう?」
「だってあれグラン銅貨20枚分だぞ……」
「それならなんで買い換えなかったんですか。もっと良い武器もあったでしょう。それに、別にあれ以外にも武器持ってましたよね? 確か属性付与された色々な魔剣や聖剣とか剣以外にも色々持ってましたよね?」
「まあ、あるけど……ずっと使ってたら馴染んじゃったから……」
「勇者なんですから、自分の強さに見合った武器を選んでください。『勇者特権』で壊れなくなったとはいえ、剣本来の斬れ味などはまた別でしょう」
「はい……」
「とりあえず、当分は保管してある他の武器を使うようにしてくださいね」
「わかったよ……」
どの武器使うか後で選んでおこう。
「と、とにかく、昔のあれこれはわかった。とりあえず俺の墓を目指せば良いんだろ?どこにあるんだ?」
「口で説明するのは難しいですね。幻影の魔法で隠されているので私が案内するのが1番早いと思います」
「じゃあ今から行くか」
「そうですね」
俺とフィリアが立ち上がると聞きに徹していた2人が慌てふためいた。
「え!? 今からですか!? 急すぎませんか!?」
「フィリア様、いきなりそんな事を言われては困ります……」
「でも俺1人じゃ行けないらしいし……」
「私にとっての勇者はアインさんだけですからついていくのは当然では?」
「え?」
「はい?」
フィリアを見ると不思議そうな顔で見つめられた。
「他にも勇者たくさんいるじゃんか」
「あの日私を助けてくれたのは貴方だけですから」
それはそうだが……まあいい。これは後回しにしよう。とりあえず一緒に来てくれるならそれでいい。
「いや、ダメに決まっているだろう」
「チッ」
その言葉と共に1人の女性が入ってきた。
とりあえず書きたいこと書いてるんで内容しっちゃかめっちゃかかもしれないです