始まりの勇者は未来で勇者学園に通う 〜幼馴染と魔王を添えて〜   作:黒色エンピツ

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8話:学園長オリヴィア・エヴァーテイル

 

 

 

扉から入ってきたのは赤い髪の女性だった。

 

「面倒なのに見つかったわね」

 

「面倒とは酷いな。私と君の仲だろう?」

 

「学生時代に魔法教えてあげたくらいでしょ」

 

「その人は?」

 

「やあ、はじめまして。初代。代々学園長の間で伝えられていたから存在は知っていたが、まさか会えるとは光栄だ。私はこの学園の学園長を務めで勇者の1人、オリヴィア・エバーテイルだよ。よろしくね」

 

「アインだ。どうしてフィリアが行くのはダメなんだ?」

 

「それは彼女の立場にあるのさ。君は知らないだろうが、彼女は今現在世界でもトップクラスの魔法使いでね。そう簡単に好き勝手行動させる訳にはいかないんだよ。それに仕事もあるからね」

 

「へぇ、あの泣き虫が随分と……」

 

「泣き虫は止めてくれますか?」

 

ジロリとフィリアの目がこちらに向けられた。

 

「仲が良いね。話を戻そう。すぐに彼女と一緒に行かせてあげる事は出来ない。しかし、今年の修学旅行の場所をその場所の近くにする事はできる。」

 

「修学旅行……?なんだそれ」

 

「ま、簡単に言えば学園の旅行だ。厳しく訓練するのもいいけど、こういった息抜きのイベントもちゃんとないとね」

 

「なるほど、それならフィリアは来れるのか?」

 

「普段なら無理だけど、なんとかしてみるよ。偉大なる初代様のお願いだからね」

 

「そういう特別扱いはいい。俺も所詮数百いるだろう勇者の1人だ」

 

「いいや、特別扱いするとも。私を含め『勇者特権』なんてものを持っている勇者はいない。恐らく君しかもっていないだろう。それに、たった1人で魔王を倒したのは初代である君だけだ。二代目ですら仲間と共に戦ったと伝えられているのにね」

 

「そうなのか……」

 

他の勇者は仲間がいる事に少し気が沈んでしまう。いや別に、1人で勝ったからいいし。俺も死んだけど。

 

「それに、君が戦ったのは魔王『軍』だろう?軍勢を作ったのも初代の君の時だけだ。その数万の軍勢相手に1人で勝ったのが初代、君なんだよ。私も先代の学園長からこの話を聞いた時はそんな人物がいたのかと心が踊ったものだよ。さて、これで初代勇者と魔王がどれだけ特異であったかがわかっただろう?」

 

「大体な。聞きたいんだけど、軍勢を率いていないなら今までの魔王はなにをしていたんだ?」

 

「殺戮だ。ただ殺す。それだけの為にあちこちに単身で攻め入っていたよ」

 

そういえば、初日に倒した魔王もただ目に付いたものを破壊しているだけのように見えた。

侵略だとか、領土拡大とか、そういうのを考えているようには見えなかったな。

 

「まあ、いいか」

 

敵は全員倒してしまえば良いだろう。

 

「あ、そうだ。フィリアは修学旅行まで動けないんだろ? その間俺はどうすればいいんだ? 前みたいに旅に出るって訳にもいかないだろうし」

 

「ああ、それについてだが、君には学園に入学してもらう」

 

「え”っ……」

 

「そんな嫌そうな顔をしないでくれ。ちゃんとサポートはするさ」

 

「そもそも言葉わからないけど……翻訳魔法があったとしてずっと効果が続くとは限らないだろう?」

 

「あー……それについては、そこの騎士の彼女に一旦を通訳頼みたいんだが、構わないかな?」

 

「え!? わ、私ですか!? その、隊長、どうしましょう?」

 

「ふむ……わかりました。ミリアの事はそちらにお任せします。ですが、あまり無理をさせないようにお願いします」

 

「ああ、もちろんだとも。という訳だ。頼んだよ」

 

「え、ええと……はいぃ……」

 

オリヴィアがミリアの肩に手を置くと、諦めたように肩を落とした。

 

「すまない、ミリア。まだまだ迷惑をかけてしまうようだ」

 

「あはは……ま、まあ仕方ないですよ」

 

「迷惑をかけたお詫びになにかさせてくれ。ただ、今の俺に出来ることは限られているが……」

 

「……変な事をしてはいけませんよ」

 

「は、はい」

 

フィリアが横から釘を刺す。ミリアが変な事をしそうには見えないが、なにかあるんだろうか。

 

「で、では、訓練をつけてもらえたらと思います」

 

「訓練を? それは構わないけど、そんな事でいいのか?」

 

「はい!」

 

もっと欲張っても良いと思うが……まあ、本人が良しとしているなら良いんだろう。

 

「そうか……わかった。訓練を人につけた事はあまりないが、なんとかしてみよう」

 

「ありがとうございます!」

 

「いや、お礼を言うのはこっちなんだけど……」

 

困っていると、パンッと手を叩く音が聞こえて、

オリヴィアの方を向く。

 

「よし、じゃあ早速だが君のクラスがこれから能力測定だからそこに合流してくれ。場所は訓練所だからわかるだろう?」

 

「ああ」

 

学園長が扉の方へと歩き出し、その後を追って扉へと向かう──次の瞬間、目の前に炎を纏った拳が迫っていた。

 

「あぶなっ──」

 

手の内に風の渦を作り出して拳の勢いを落とし、炎を散らす。ぱしっ、と乾いた音と共に拳を受け止めた。

 

「今の一瞬でその繊細な魔力操作をするとは、恐れ入った」

 

「もっと本気で殴ってきてたらこうはいかなかったよ」

 

「……アインさんは魔力操作ド下手くそですよ。感覚と直感のみでやっているので。今のもちょっと間違っていたらこの部屋の紙という紙が散乱してましたよね?」

 

「…………だって急に殴ってきたから」

 

本当ならもっとちゃんと操作出来てるし……

 

「今度私と魔力操作の訓練ですからね」

 

「えっ」

 

思わぬところで確定した訓練に軽く絶望しているとオリヴィアがおかしそうに笑う。

 

「はははっ!そうしてると普通の子供だねぇ」

 

誰のせいだと思っているんだと睨むと愉快そうに笑って部屋から出ていった。

……今度絶対に仕返ししてやる。

 

 

 

 






この物語は常に書いてる最中のアドリブで設定とキャラが増えていってるので矛盾があるかもしれませんが、大目に見てくれると幸いです

最近blender触り始めました。
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