シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
6月・・・もうすぐ7月、と言った頃。私はトレーニングが終わった後、シャワーを浴びてまだ晩御飯まで時間が余ったので、教室で勉強することにした。
「うーん・・・中山レース場・・・芝高低差5.3メートル・・・URAレース場最大・・・」
レース場の研究はなんぼやっても良い。全てが私のためになる。
「あら?ブルーライトさん?」
「あ・・・先生。」
「勉強してたの?えらいわ〜」
「いえ・・・」
「その勉強してるとこ悪いのだけれど・・・ちょっと手伝ってくれないかしら。」
「あ、はい。なんでしょう。」
「職員室から機材を理科室に運んで欲しいの。良いかしら。」
「わかりました。」
ミッション発生。がんばるぞい。
⏰
「よっこいしょ・・・」
理科室に機材を運び終えた。なかなかでっかい機械。何に使うのかはわからないが・・・まぁ授業で使うものだろう。
「さて。教室戻る前にカフェテリアでコーヒーでも飲もうかな。」
そうして理科室を出た。すると・・・鼻腔をくすぐるコーヒーの香り・・・え?カフェテリアまで結構離れてるのになんで?
「・・・?」
こっちだ・・・というか隣。理科準備室から漂っている。なんで?
「・・・???」
とりあえず扉を開けた。鍵、開いてる。
「おや?」
「?」
「おやおやおやおや。」
中には白衣を着たウマ娘が何やらフラスコと試験管を持っている。そして・・・目がやばい。イッちゃってる。
「おやおやおやおやおやおや。客人かい?」
「あ、はい。」
「ふむふむ。まさかモルモットが向こうからやってくるとは・・・これも日頃の行いかねぇ。」
「ええ・・・」
モルモット!モルモットって言った!やばい!実験される!
「ふむふむ・・・じゃあまずはこの薬品を飲んでくれるかい?」
「え、あ、いや・・・私はコーヒーを・・・」
「なに?コーヒー?」
白衣のウマ娘はうむむと顎に手を当て思案している。なに?
「カフェの客人だったか。ちょっと待っててくれたまえ。おーい!カフェー!カーフェー!!!」
「カフェ・・・?」
すると奥から金毛のウマ娘が顔を出した。あれって・・・
「タキにゃーん、カフェちゃん今手が離せないってー」
「フレちゃん君。ならカフェに客人だと伝えてくれ。」
「客人ー?・・・わーお!凛ちゃん!」
「フレデリカ・・・」
「んふふー凛ちゃんどうしたのーフレちゃんに会いたくなっちゃったー?」
「え、いや、違うけど・・・」
「がーん!!!」
よよよと崩れ落ちるフレデリカ。間違いない。フレデリカだ。
「まーいーや。それでどうしたの凛ちゃん。」
「あーいや・・・コーヒーの匂いがして・・・それで・・・」
「あーそっかそっかーちょっと待っててねー入って入って。」
「うん。」
中に入ると濃厚な薬品・・・と濃厚なコーヒーの匂い。フレデリカが奥に行くと。何やらフライパンに向き合う黒毛のウマ娘が1人。
「カフェちゃーん。お客さんだよー」
「ちょっと・・・待ってて・・・ください・・・フレデリカさん・・・今・・・良いところ・・・なので・・・」
「コーヒーの匂いに釣られた子だよー」
「なんですって・・・?」
そう言った黒毛のウマ娘はこっちに向いた。うわ、なんか目力つよ。
「すみません・・・今・・・豆の焙煎中なもので・・・」
「ああ・・・はい・・・」
「私は・・・マンハッタンカフェです・・・貴方は・・・?」
「あ、ナリタブルーライトです。」
「ナリタブルーライトさん・・・ちょっと待っててください。今コーヒーを淹れるので・・・」
「あ、いや、お構いなく・・・」
「いえ・・・せっかく・・・来たので・・・是非・・・」
「はい・・・」
なんか妙に押が強いな。まぁいいか。この香りのコーヒー、気になる。
「タキにゃーん。シキちゃんはー?」
「シキ?シキならそこで寝てるよ。」
「えー?」
「志希もいるの?」
「いるよーほらシキちゃん起きて。凛ちゃんだよー」
「ふわぁ〜・・・凛ちゃん・・・?』
「そそ。凛ちゃん。」
「ふ〜〜〜〜ん・・・」
そう言って机の下から姿を現したのは制服を着崩した一ノ瀬志希。ほんとにいた。
「うーん凛ちゃぁぁ〜〜〜〜ん。」
「うわ。何志希。」
「ハスハス〜〜〜〜」
「うわああああああ」
覆い被さってきた志希に思いっきり匂いを嗅がれた。こういうとこ変わってない!!!
「ふんすふんす・・・ああ〜〜〜〜〜!!!」
「うわあああああああ」
「あーあーまたかいシキ。」
「まぁあれがシキちゃんだよタキにゃん。」
「このフローラルなお花と・・・蒼〜い香り。間違いない!凛ちゃんだ!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「やぁやぁ。やられたねぇ。」
「志希・・・!!」
「はははは。私は自己紹介し忘れていたねぇ。私はアグネスタキオン。高等部1年さ。」
「はぁ・・・」
「あ、そうそうフレちゃんはフレディフレデリカ!高等部1年!」
「シキちゃんはインフィニティシキ。高等部1年だよ。」
「ふーん。私はナリタブルーライト。」
「ふむ・・・ナリタか・・・実験台にするとブライアン君が出てくるね・・・」
「うわ・・・ゴルシと同じこと言ってる・・・」
それは良い。どうやらこの3人はここを根城にしてるで間違いない様だ。するとカフェさんもやばい可能性が・・・?
「おまたせ・・・しました・・・コスタリカ、ジャサル・カトゥアイです・・・」
「へぇ・・・」
青い・・・いや蒼いマグカップに入って出てきたのはすごく良い香りのするコーヒー。フーフーと冷まして一口飲む。
「・・・美味しい・・・」
「ふふ・・・それは良かったです・・・あ、砂糖とミルクが欲しかったらこちらに・・・」
「いや、これはいらないかな・・・うん。」
「そうですか・・・!」
なんか目力が強くなった。カフェさん・・・コーヒー仲間が出来て嬉しいのかな。
「他にも・・・グァテマラやキリマンジャロもありますよ・・・」
「あ、いや。銘柄には詳しくなくて・・・」
「そうでしたか・・・いえ、コーヒーが・・・好きなだけで、十分です・・・」
うーん美味い。もう一杯欲しいな。
「おかわりですか・・・少し待っててください・・・」
「すみません・・・」
「いえいえ・・・タキオンさんは紅茶派だし・・・フレデリカさんはカフェラテしか飲まないし・・・純コーヒー派は珍しいので・・・遠慮しないでください・・・」
「じゃあ甘えようかな。」
「ええ・・・どうぞ・・・」
こうしてコーヒーを楽しんだ。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
理科準備室でコーヒーを飲みつつ、カフェさんと雑談していた。話題はなんと私達の事になった。
「最近・・・ウマソウルに・・・輝きを持つ子が・・・増えてるんです・・・」
「ウマソウル・・・?輝き・・・?」
「ウマソウルというのは別世界から私達が受け継ぐ魂のことだよ。カフェ曰く、そのウマソウルに謎の輝き、を持つ子いるんだそうな。」
「へぇ・・・」
「おともだちも・・・その輝きに・・・注目しています・・・」
「おともだち・・・?」
「カフェのイマジナリーフレンドのことさ。幽霊みたいなものだ。」
「ふーん・・・」
「おや。信じるのかい?」
「まぁ・・・」
転生なんかがあるのだ。幽霊くらいいてもおかしくない。
「それでフレちゃん君。シキ。君達とナリタブルーライトとはどういう関係なんだい?何やら幼名で呼び合ってるようだが。」
「えっとねー前世からのお友達?」
「んにゃ〜シキちゃんも同じく。」
「まったくカフェのイマジナリーフレンドだけならまだしも2人ともこれだ。」
まぁいいか。2人も真面目に言ってるのかそうじゃないのかわからない感じだし。
「・・・ブルーさんは・・・シンデレラバトン・・・というウマ娘をご存知ですか・・・?」
「シンデレラバトン・・・?」
「はい・・・おともだちが・・・輝きの始まり・・・と呼んでいるウマ娘で・・・調べると・・・と10年ほど前に・・・トレセンにいた・・・記録があります・・・」
「ふーん・・・?聞いたこと無いな・・・」
「そう・・・ですか・・・」
コーヒーを一口。美味し過ぎてもう4杯も飲んでしまった。今日寝られるかな。
「このシンデレラバトン・・・特に勝ったレースが・・・あるわけではないんですが・・・インタビューで・・・自分はシンデレラになれない・・・輝きを持つ子にバトンを渡すのが仕事で・・・輝きの向こう側へ・・・と言っていたそうです・・・」
「ふーん・・・」
「シキさん・・・フレデリカさん・・・ブルーさん・・・共通の接点があり・・・輝きを持つウマ娘・・・ここから導き出されるのは・・・!」
「のは?」
「・・・。」
「カフェさん?」
「わかりま・・・せん・・・」
ずこー。わからないんかい。
「でも・・・ここトレセン内に・・・輝きを持つウマ娘が・・・多くなって・・・活躍しています・・・トレセンに・・・新しい何かを齎してくれる・・・ウマ娘・・・でしょう・・・」
「・・・。」
「ふふ・・・楽しみ・・・ですね・・・?強力な・・・ライバルが・・・いて・・・」
「そうだね。」
輝きがなんなのかはわからないけど・・・転生した同僚が輝きを持つんだっていうのはなんとなくわかる。プロデューサーも言ってた。輝きの向こう側へ・・・って。結局、プロデューサーの言ってたことはわからなかった。輝きの向こう側へ行けたかもわからない。でも・・・
「シンデレラバトン。」
このウマ娘が。転生の何かを・・・知っているのかもしれない。多分。メイビー。知らんけど。