シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
本格化したウマ娘にはやる事がある。お昼に戻ってきた沖野トレーナーはそう言った。なんだろやる事って。トレーニングは出来ないし、成長痛を和らげるマッサージとかかな?と思っていると沖野トレーナーはこう続けた。
「それはな・・・食べる事だ。」
「えっ。」
「俺の感覚からするとそろそろだな。」
「えっ?」
すると急にお腹がぐぅぅぅ〜〜〜と鳴り始めた。その瞬間。
「うっ・・・!ぐ・・・!?」
お腹と背中がくっつきそうになるくらい凹む。なにこれ?!
「始まったな。食堂行くぞ。話は付けてある。」
「おほ・・・!?」
「行くぞブルー。」
よろよろと食堂に向かう。あまりにもフラフラで肩を貸してもらった。すごい空腹感。胃にブラックホールが投げ込まれたみたいだ。
「は・・・かは・・・」
「ほらブルー、がんばれ。」
「かひゅ・・・」
食堂に近づくに連れ良い匂いがする。それが空腹感を刺激し、更なる飢餓を呼び込んだ。
「はっ・・・はぁ・・・!」
「ほら、食え。」
食堂に着いて椅子に座る。そしてドカン!と置かれた特盛カツ丼。早く・・・早く食べなきゃ!!!
「い、いただきまもぐ!!!!」
「喉に詰まらせるなよー」
がつがつがつがつ!!!成長痛なんてなんのその。私はひたすらカツ丼を貪った。
「もぐもぐもぐ!!!」
「お茶だ。」
「グビ!!!」
「熱々を一気飲みかよ・・・」
「むしゃむしゃむしゃむしゃ!!!!」
早く!早く胃に叩き込まないと!!!餓死する!!!!
「ふぅ・・・!」
カツ丼を平らげた。まだ入る。次!
「ほら次のハンバーグ。」
「むしゃむしゃむしゃむしゃ!!!」
食べなきゃ!!!食べなきゃ!!!それだけが頭を支配する。とにかくカロリーを!!!
「もぐもぐもぐもぐ・・・ごくん。」
「ほらお茶。」
「グビ!」
「もう何も言わん。」
4段ハンバーグを掻き込む。もっと!もっと!!!
「ほらおかわりだ。」
「!!」
おかわりが来た!!!それにも手を伸ばす。
「がつがつがつがつ!!!!」
「良い食いっぷりだ。これは本格化は面白い事になるぞ〜」
「もぐもぐもぐもぐ!!!」
沖野トレーナーが何か言ってるけどそれどころじゃない!!!食べないと!!!
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・・・・・・
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・
「・・・ふぅ。お腹いっぱい。」
結局私は特盛カツ丼4杯。ハンバーグ17枚。ライス5キロ。蕎麦4キロ。コンソメスープ7リットルを胃に叩き込んだ。この量ほんとに入ったの・・・?
「・・・あ。」
「うおすげー腹だな。」
「見ないで!!!」
私のお腹は今食べた量が収まってるのか収まってないんだか・・・ぽっこりと膨れている。すごいな。
「うー・・・!」
「はははそう怒るな。いいかブルー、本格化はその食事量で成長具合を測る傾向にある。これだけ食べるんなら、かなり身長も伸びる筈だし、体つきもそれなりのものになるだろう。」
「ふーん・・・?」
「多分4時間後にはお腹鳴る筈だから。これ、おにぎりな。空腹の時間をなるべく少なくするんだ。」
そう言って渡されたのは私の顔程もある特大おにぎりが5個。これすぽっと食べちゃうのか・・・
「本格化ってすごいね・・・」
「ああ。本格化はウマ娘の神秘のひとつだ。明らかにヒトでは考えられない成長をする。1日で身長20センチ伸びるやつもいるぞ。」
「そんなに・・・」
「ブルーも身長は160以上は欲しいな。まぁこの食いっぷりだと心配する事は無さそうだが。」
「ふーん。」
「さて、ブルー、部屋に戻って軽くストレッチして寝な。睡眠も多く取らないといけないのが本格化だ。」
「はい。」
こうして爆発的な量を食べる事になった。そして確かに4時間後には空腹になり、おにぎりを平げ、晩御飯に挑んだ。
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夜。昼間に寝過ぎて、寝られなくなった。ちょっと散歩しよう。
「成長痛、痛み止めないとやばかったな・・・」
ポテポテと海沿いを散歩。すると・・・何故かギターの音が聞こえてきた。
「・・・?」
うわ。このギター、へったくそ。私の方が上手くできる気がする。
「・・・こっちかな。」
ギターの音を辿って行くと。遊歩道のベンチに2人の人影が見えた。
「ぐす・・・ぐす・・・なんで・・・」
「李衣菜ちゃん泣かないで。すぐ上手くなるよ。」
「でも・・・でもぉ・・・」
「・・・?」
「え、誰・・・?」
「誰ぇ・・・?」
「李衣菜・・・?それと・・・泰葉・・・?」
「え・・・凛ちゃん?」
「え!?」
そこにいたのは李衣菜と泰葉だった。そしてウマ耳。2人ともウマ娘だ。トレセンのジャージ着てる。
「凛ちゃん・・・久しぶりですね。」
「りーん!!久しぶり!!」
「うん久しぶり・・・2人も夏合宿来てたんだ。」
「うん。凛ちゃんも?」
「うん。チーム・スピカだよ。2人は?」
「私と李衣菜ちゃんはチーム・アルデバラン・・・」
「凛もいたのかー」
「ふふ・・・不思議、トレセン、本当に346プロだね。」
「え?」
「どういうこと?」
「知らないの?同僚、たくさんいるよ。」
同僚がたくさんいる事に2人はとても驚いていた。あんまり会った事無いのかな。
「知りませんでした・・・李衣菜ちゃんくらいしか知らなくて。」
「そうなんだ。2人学年は?」
「私は中等部2年です。」
「私は1年!」
「そっか。私も1年。ナリタブルーライトっていうんだ。」
「かっこいい!」
「凛ちゃんらしい名前ですね!」
「2人はなんていうの?」
「オカザキナンバーですよ。」
「私はシンガーダリーだよ!」
「2人とも良い名前じゃん。」
「ふふ、ありがとう。」
「えへへ・・・」
「それでなんでこんなとこでギター弾いてるの?」
「それが・・・」
「聞いてよ凛!私ギター弾けなくなっちゃった〜!」
「ええ・・・」
「うえーん!前世で40年掛けて弾けるようになったのに〜!!」
「あはは・・・なのでこうやって練習してるんです。」
「そうだったんだ。」
まぁここで2人に会えたのも何かの縁だ。3人で、夜中のおしゃべりをした。楽しかった。
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・・・・・・
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翌日。
「ふわ・・・ふわぁああ〜」
起きた。みんなは・・・もうトレーニングに行ったらしい。寝坊しちゃったな。
「時間は・・・まだ7時か。」
ご飯に行こう。お腹空いた。早く行かないとまた餓死するほどの空腹感に襲われてしまう。
⏰
「あ、おはよーブルー。」
「おはようございます!ブルーちゃん!」
「おはよ、ブルー。」
「ブルーちゃんおはよ。」
「おはよう凛ちゃん。」
「凛ちゃん・・・昨日は夜中にサイク凛グですか?」
「は?」
みんなからは薄っすら汗の匂いがする。もう走ってきたのかな。
「おはようブルー。」
「トレーナー、おはよう。」
「どうだ体は。」
「そういえば・・・痛みが無い。」
「だろうな。身長が伸びてる・・・160強、ってとこか?」
「え・・・?本格化ってそんな2、3日で終わるの?」
「そういうもんだ。言ったろ?急激に成長するって。」
「ええ・・・」
成長痛はもう無い。だが身長が伸びたかわからない。そしてお茶を飲もうとコップを持った瞬間。
「うわ。」
パリンと割れた。そんなに力入れてないのに。なんで?
「あーまだ力のコントロールが出来てないんだな。ブルー、今日のトレーニングは様子を見つつ、力のコントロールやるぞ。」
「はい。」
「まずはご飯食べな。空腹感が襲ってくるぞ。」
そうだった。すでにお腹はぎゅるるると軽快に鳴いている。あと一瞬食べるのが遅かったらこないだみたいな飢餓感に襲われていただろう。
「ぱくぱくぱくむしゃむしゃむしゃ。」
「いっぱい食べてますわ・・・」
「マックイーンも本格化の時いっぱい食べてたじゃん。」
「ブルーさんほどではありませんわテイオー。ブルーさんはすごい成長をしそうですわね。」
「うんうん!ブルーも成長したらいっぱい併走出来るよ!」
「楽しみですわ。」
聞き流しながら冷奴を吸い込む。併走か・・・本格化したから先輩達と出来るようになるのか。楽しみだな。
「じゅごごごむしゃむしゃむしゃ。」
とろろ芋ご飯を吸い込む。美味い・・・
「よし!お前ら!ご飯食べ終わったら食休みして!渡したメニュー熟せよ!」
「はーい。」
「よっしゃー!行くわよー!」
「ふふ、早苗さんご飯粒ついてますよ。」
「え!?どこ!?楓ちゃん!!」
「ハートは〜ヨーグルト食べよ。」
「アタシさまの納豆が無い!」
「もぐもぐ・・・」
「麗しき妹の仕業だな?!」
「知らないわよ。」
「あ、ジャージの裾ほつれてら。」
「大丈夫ウオッカちゃん。」
「これくらい平気っすよスペ先輩。」
「遊歩道を走ってこようかしら・・・」
「ゴルシちゃんはアイス売ってくるぜ〜」
夏合宿は始まったばかり。ここで一気に実力を付けて行きたい。レースで、勝てるように。