シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
私はお金持ちの家に生まれました。ただのお金持ちではありません。自宅にコースがあり、プールがあり、別宅がある。東京ドーム何個分もある土地を持ったお金持ちです。
「スマイルお嬢様、髪をお梳きいたします。」
「スマイルお嬢様、爪のお手入れをさせていただきます。」
「スマイルお嬢様・・・」
「あっ・・・はい・・・」
私はシンボリスマイル。又の名を・・・島村卯月です。シンボリ家の次女として生まれました。私は・・・前世の記憶があります。楽しい、本当に楽しかったアイドルの記憶が。どうして、私はまた生まれたのだろう。どうして前世の記憶を持っているのだろう。大事なお友達や大切な人がどうなったのかは・・・今となってはわかりません。
「ああっ・・・!スマイル様、如何なされたのですか。」
「どこかお辛いのですか・・・?」
「大丈夫・・・大丈夫です。」
私は・・・出来るならば生涯を終えて眠りたかった。輪廻の輪に入りたかった。それがどうして・・・こんな事に・・・何もしていないのに涙が溢れてしまいます。その所為でお手伝いさん達にいらない心配をかけてしまいました。
「凛ちゃん・・・未央ちゃん・・・」
今・・・どこにいるの・・・?
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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私の日課は。お屋敷の花壇のお手入れです。ワガママを言って、私の好きなすみれのお花を植えてもらいました。今は時期じゃないので咲いていませんが・・・それに学校は・・・いけてません。なので時間はたっぷりあります。なんで行かなくなったかというとウマ娘のこの体は、思いもよらないパワーで誰かを傷つけてしまうとわかったからです。ちょっと腕を振るっただけで、誰かを骨折させてしまうかもしれない。そんなパワー、元人間の私がコントロール出来るわけがありません。お屋敷に引き篭もって・・・1人で時間を過ごす事が多くなりました。
「・・・。」
いじいじと当てもなく土をいじります。肥料を混ぜて、耕して。そうだ野菜を育てるのも良いかもしれません。私は普通の子の筈なのに普通じゃなくなっちゃいました。大好きだった長電話も・・・お友達がいなくて出来ません。はぁ・・・
「・・・。」
「よう。」
「!」
話しかけて来たのは・・・
「シリウスお姉ちゃん・・・」
シリウスお姉ちゃんは従姉妹です。いつもルドルフお姉ちゃんと言い合いをしててちょっと怖いですが・・・いつも私には優しくしてくれます。
「スマイル、また土弄りか?」
「はい・・・」
「そんな暗い顔すんな。ちょっと付き合えよ。」
「でも・・・」
「大丈夫だ。私はウマ娘。ちょっとやそっとじゃ怪我なんてしない。な?いつも言ってるだろ?」
「・・・はい。」
シリウスお姉ちゃんは・・・帰ってくると私をいつも連れ出します。・・・コースに。私とかけっこしようと言ってくるのです。
「よし。じゃ。運動着に着替えてきな。」
「わかりました。」
私はお屋敷に戻って・・・お手伝いさんに手伝われてジャージに着替えます。シューズはお父様が買ってくれたピンク色の可愛いシューズ。それをえいやっと履いて。コースに行きます。
「来たな。」
「はい。」
「じゃ。準備運動しろ。手伝ってやる。」
「ひ、1人で出来るもん!」
「お、そうか?」
「うん。」
「よーしなら教えた事を思い出せ。体を温めるようにやるんだぞ。」
「はい。」
うーんと伸びをして、脚を伸ばします。ゆっくりゆっくりやって少しずつ慣らして・・・
「よし。じゃあジョギングするか。」
「はい。」
シリウスお姉ちゃんに従ってジョギングします。私の走りは・・・よくわかりません。シンボリ家に来るトレーナーさんがいろいろ教えてくれた後、来なくなりました。私には走りの才能が無い可能性が高いです。
「よし。じゃあやるか。先ずは1000メートルからだ作戦はどうすればいいかわかるか?」
「えっと・・・先行?」
「そうだ。それがスマイルの1番得意なやつだ。わかってるな?」
「はい・・・」
「まぁ先ずは自由に走れ、内は譲る。着いてきな。」
位置について・・・よーいドン!シリウスお姉ちゃんは速いです。トレセン・・・学園?に通ってるから。レースの勉強をしてるから、速いし強いです。それはルドルフお姉ちゃんも一緒ですが・・・
「ふぅ・・・よし。」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ほらスマイル、水。」
「はい・・・」
シリウスお姉ちゃんは汗もかいてません。すごい・・・
「スマイル、次は1600メートルだ。」
「は、はい・・・」
「なんだ不安か?」
「は、はい・・・トレーナーさんもそんな長い距離やった事なくて。」
「大丈夫だよ。私の見立てではスマイルの得意距離はマイルから中距離だと思ってる。」
「そう、なんですか?」
「ああ。」
シリウスお姉ちゃんが言うならそうなんだろう。マイルって・・・1400メートルから1800メートルの距離だっけ。家庭教師に教えてもらったことがある。
「そら行くぞ。」
「・・・はい!」
とにかく一生懸命走ります。前にシリウスお姉ちゃんに言われました。手を抜いて走るのは相手に失礼だって。
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・・・・・・・
・・・・・・
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・・・・
・・・
・・
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「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ふぅーーー今日はこんなもんだろ。」
「はぁ・・・はぁ・・・はい。」
「・・・。」
シリウスお姉ちゃんはじっと私の顔を見てきます。泥とか芝とか付いてるかな。
「やっぱり・・・スマイル・・・才能が・・・」
「?」
「まぁいい・・・スマイル、お前中学校はどこにするか決めたか。」
「え、いや・・・まだ・・・です。」
「そうか。ならトレセンにしろ。」
「え・・・ええ!?」
「なんだ私と同じ学校は嫌か?」
「い、嫌じゃないです・・・だけど。」
「大丈夫。家庭教師と勉強はしているって聞いてるし、走りも申し分無い。ばっちり受かる。」
「・・・でも。」
「大丈夫。お前のパワーでも周りがウマ娘だらけなら怪我をさせる心配も無い。逆に跳ね返されて怪我をする心配をした方がいいくらいだ。」
「・・・。」
「スマイル、トレセンなら私が目をかけられる。少々頼り無いがルドルフもだ。トレセンが良い。」
「・・・。」
「スマイル。」
「・・・。」
「はぁ〜〜〜〜・・・まぁいいじっくり考えろ。」
「はい・・・」
「スマイル、トレセンに来れば不幸になる事なんて無い。ウマ娘の幸せは、走ってなんぼなんだ。」
「・・・はい。」
「ま、考えた挙句別な学校でも怒りはしないさ。ルドルフは悲しむだろうがな。」
「はい・・・」
「じゃあな。」
「あ・・・はい。またねシリウスお姉ちゃん。」
そう言ってシリウスお姉ちゃんは帰っていきました。明日までいるそうです。私・・・トレセンに行けば・・・幸せになれるかな。
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私は家庭教師にトレセン学園を受けたいと伝えました。お父様とお母様にも伝わったようで、とても喜んでくれました。ルドルフお姉ちゃんには秘密にするそうです。驚かそうと思います。
「スマイルお嬢様。先ずは東京レース場の構成から・・・」
「はい。」
トレセン学園に入学するのはそれなりに大変です。家庭教師さんと夕方の勉強をしていると部屋がノックされました。
「私だ。」
「シリウスお嬢様。どうなさいました?」
「シリウスお姉ちゃん・・・?」
「スマイル、私が入学に使ってた問題集を持ってきた。これ使え。」
「ありがとう・・・お姉ちゃん。」
「気にすんな。」
「うん・・・」
「大丈夫だ。トレセンに行けば友達も出来るだろ。」
「うん。」
「ルドルフにはくれぐれも秘密にしとけよ。驚かせてやれ。」
「・・・うん。」
ルドルフお姉ちゃんに内緒なのは気が引けるけど・・・まぁいいか!
「それではスマイルお嬢様。続きをしましょう。」
「はい。」
新しい友達・・・ちょっと楽しみ。いっぱい出来ると良いなぁ。