シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
10月になって数日。早苗さんのマイルCS南部杯の日になった。みんなで・・・というわけには行かず、トレーナーと楓さん、私の4人。ダートだけど勉強になるってトレーナーが私を連れて行った。
「ふーん。盛岡。」
「初めてか?」
前世ではクラシックホールにライブがあって行った事がある。でもそれは言うわけには行かなかった。
「初めてかな。」
「そうか。レース場も初めてか?」
「うん。」
「そうか。まぁそう緊張するな。ポリスの走りはダート専門だがブルーと同じ追い込みだ。良い勉強になる。前にも言ったろ?」
「うん。」
「良いか。本気のレース場の雰囲気を感じろ。ブルーにはそれも必要だ。」
「わかった。」
新幹線で盛岡へ。途中、早苗さんと楓さんはファンサしていた。
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1泊して、盛岡レース場へ。まず私と楓さんはお小遣いを渡されて会場グルメを食べていた。
「凛ちゃん、こっちのおにぎりも美味しいですよ。」
「はぁ・・・」
「うふふ。会場グルメって大好き。」
出走の時間までもうすぐ。おにぎりを食べて、関係者席へ。
「楓さん、早苗さんってどれぐらい強いんですか?」
「そうねぇ・・・早苗さんはいつもダーット走るから・・・」
「は?」
「うふふ。」
楓さん・・・
「まぁそうね・・・早苗さんは今の所ダートのトップスリーに入るわ。」
「え・・・」
「ダートの赤鬼って言われてるスマートファルコンちゃんに土を付けたのは早苗さんだけよ。今の所。」
「ファル子先輩ってそんなに強かったんだ・・・」
「スマートファルコンちゃん。何個レコード持ってると思ってます?」
「ええ・・・」
するとコースにウマ娘が現れ始めた。ファンファーレだ。
「うわ・・・」
「いつ聞いてもすごいわ。この歓声。」
初めての、レース場の大歓声。すごく広いコースで、ウマ娘がゲートに集まっていく。
「・・・。」
「すごいでしょ。凛ちゃん。」
「・・・うん。」
「これが、レースよ。」
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早苗さんは1番人気として紹介された。そして・・・勝負服。それはボンバーロワイヤルの衣装だった。
「あれは早苗さんの勝負服のひとつよ。」
「ひとつ?」
「ええ。早苗さんは勝負服を自費でいくつも作ってるの。」
「ええ・・・」
「多分アイドルだった頃が忘れられないのね。私もだけど。」
「・・・そっか。」
早苗さんがゲートインし、走り出す。最後尾から。
「早苗さんね・・・この世界に生まれたこと。とても喜んでたわ。」
「え?」
「また・・・みんなと会えるって。またみんなと騒げるって。またみんなと・・・アイドル出来るかもしれないって。」
「・・・。」
「でもトレセンに入ったんだけどね。」
「・・・。」
「レースの世界は・・・アイドルと同じくらい過酷だった。」
「・・・そっか。」
「早苗さんがジュニアの時は。私も一緒に血を吐いたわ。沖野トレーナーもなかなか厳しいトレーニングを敷いてて。」
「そんなに?」
「ええ。でも、それ以上に優しかった。今でも優しいけどね?」
早苗さんは1000メートルを通過して。大外を通って捲り始めた。強い・・・
「早苗さん、強くなるって。強くなりたいって。それが前世がある、輝きを持つ私達の使命なんだって言ってた。」
「輝き・・・」
「わかる?凛ちゃん。自分の中にある輝き。」
「・・・まだ、わかりません。」
「今はそれで良い。だけどね。いつか輝きを感じる様になる。その輝きは眩しくて、熱くて・・・そして確かに質量を持ってるの。」
「・・・。」
「ふふ・・・凛ちゃん。」
その時、ふと、楓さんの顔を見た。その顔は・・・確かに輝いて見えた。
「・・・今は早苗さんの輝きを見ましょうか。」
「・・・はい。」
早苗さんは、後続と4バ身差でゴールした。その姿はさっきの楓さんより輝いていた。
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控室。
「ぷはぁーーーー!勝ったわーーーー!!!」
早苗さんはスポーツドリンクを飲みながら勝鬨を上げていた。
「うん。ポリス。今日は堅実な走りだったな。」
「そうねぇ・・・ちょっと思うところがあったのよ。ちょっと最近暴れ過ぎだったかなって。」
「まぁいい。ウイニングライブで暴れたりないって事になるなよ?」
「今日の曲ってディスコ感が足りないわよね。」
「辞めろ!!!」
「早苗さん。お疲れ様。」
「早苗さんお疲れ様です。」
「あら2人とも!ありがと!」
「まったく・・・」
「マルゼンちゃんがいてくれればウイニングライブがディスコになるわね。」
「本当に勘弁してくれ・・・」
「冗談よ。それじゃウイニングライブの準備するから。」
「おう。後でな。」
沖野トレーナーが出ていく。早苗さんは化粧直しを始めた。
「早苗さん、何か食べる?買ってくるけど・・・」
「いやいらないわ。おまんじゅう食べたから。」
「そう。」
「早苗さん、髪、乱れてますよ。」
「ほんと?楓ちゃん頼んでいい?」
「はい!」
着々と準備する早苗さん。そしておもむろに部屋の隅にあった体重計に乗った。
「うわ。思ったより減ってるわね・・・」
「え?」
「あ、凛ちゃんは知らないのか。レースするとね。体重が減るのよ。見て3キロも減ってる。」
「ええ・・・」
「凛ちゃんもレース走ればわかるわ。この間模擬レースしたでしょ?その時も減ってるはずよ。」
「そうなんだ・・・」
「凛ちゃん、レースすると体重が減るのはダイエットじゃないの。やつれるに近いのよ。」
「ごめーん凛ちゃん!やっぱり何か食べ物買ってきてくれる?このままじゃウイニングライブ保たないわ!」
「わかった。」
「早苗さんおっぱい萎んでますよ。」
「萎むわけないでしょ!!!」
そうしておにぎりと牛串を買いに行った。すごい、レースすると体重が減るのか。それほど燃やし尽くして走るんだな。
「早苗さん買ってきたよ。」
「ありがと〜〜〜ちゃちゃっと食べるわね!」
そう言ってもぐもぐ食べ始めた。その間、無料のお茶のドリンクバーに楓さんと向かった。
「早苗さん、少し痩せて来てるんですよね。」
「え?」
「筋肉量が落ちてるって言えばいいんでしょうか。」
「そうなの?」
「はい。恐らくトレーナーはピークアウトが、本格化の終わりが来たって言ってます。」
「本格化の終わり・・・」
「私と早苗さんは中等部3年で本格化しました。最初の3年間がもうすぐ終わるんです。」
「・・・。」
「本格化は3年から長くて4年続きます。それが終われば競技者として衰えるだけ・・・」
「・・・そうなんだ。」
「まぁでも菜々ちゃんという衰えを知らない特異点とかいるんですけどね。」
「え?」
「すごいですよ菜々ちゃんは。三冠取った時も驚きましたけどその後衰え知らずです。もう20代になった筈なのに。」
「えええ・・・」
まじか・・・菜々さんやばいな・・・
「まぁそれは置いといて。戻りましょう。」
「はい。」
控室に戻る。早苗さんはもう食べ終えており、体重が減るのって大変なんだなと思った。
「ふぅ。あ、おかえりー」
「早苗さんお茶どうぞ。」
「さんきゅ!」
ごっきゅごっきゅとお茶を3人で飲み干す。うまい。
「さて!私はそろそろ行くわ!」
「はい。では会場で。」
「早苗さん頑張って。」
「もちろんよ!」
早苗さんを送り出し、私達も向かった。途中で沖野トレーナーとも合流し、ライブを見た。早苗さんはアドリブをいくつもぶっ込んでいて、トレーナーは頭を抱えていた。