シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
年末。もう1年終わりか。ホープフルステークスの日になった。トレーナーが私がジュニア期に目標にするG1だと言っていた。というわけで中山レース場に来ている。
「見とけよブルー、ジュニア王者の誕生の瞬間だぞ。」
「うん。」
ホープフルステークスにはまゆ、美嘉、泰葉、肇が出走する。恐らくこの4人の誰かが勝つだろう。パドックで素人目だが実力を感じたのはこの4人だ。他は緊張していたり、調子がイマイチそうだったりしていた。
「ゲートインだ。」
「うん。」
出走だ。ガッシャンとゲートが開き、駆け出した。
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『キャッスルミカ!!!キャッスルミカ!!!キャッスルミカ!!!ニッポーママユと並んで駆けて行く!!!抜け出せるか!!!残り100メートル!!!抜け・・・抜け・・・抜け・・・抜け出した!!!キャッスルミカ先頭!!!キャッスルミカ先頭!!!』
『キャッスルミカはここでひとつ頭を出しましたね。キャッスルミカにとってニッポーママユは因縁の相手です。ここぞと仕掛けましたね。』
『ニッポーママユ苦しいか!!キャッスルミカと差が開いて行く!!!』
『勝ちましたね。』
『キャッスルミカ先頭のままゴーーーーーーールイン!!!ジュニア王者はキャッスルミカ!!!実力を見せつけましたーーーーーー!!!!』
勝ったのは美嘉。まゆとの差はほとんど無いと言っていい。強いね・・・
「勝ったのはキャッスルミカか。ニッポーママユを差し切ると最初から狙いを定めていたのが功を奏したな。ニッポーママユ惜しい!」
「そうだね。」
「どうだブルー。来年はお前が出るんだぞ。」
「うん・・・」
G1の舞台に・・・私が、か。出来るのかな。
「弱気だな。お前なら間違い無く上がれる。」
「そう、かな。」
「ああ。ブルーの実力は同年代なら圧倒、上の世代・・・ニッポーママユ達が相手でも良い勝負が出来る。」
「ふーん。」
これがトレーナーの過大評価じゃなきゃいいけど。
「さて、じゃあ何か食って帰るか。」
「ウイニングライブは?」
「残念だが門限に間に合わないぞ。」
「そっか・・・」
仕方ない。帰ろう。
「ブルー、年末はどうする?実家に帰るか?」
「そうする予定、何かある?」
「正月、食べ過ぎないようにな。」
「もう!!!」
大丈夫だよ!!!・・・大丈夫だよね?
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年末。毎年の様に実家で過ごそうと思ってたら本家の忘年会に呼び出される事になってしまった。
「ほらブルーちゃん。これも美味しいよ。」
「はい。」
「ブルー、良い肉を持ってきた。」
「はい。」
「ブルー、高級バナナだぞ。」
「はい。」
私はこれでもかと可愛がられていた。ナリタ家は全体的に見てもトレセンに入る子が少なくなってきてるからだ。当主さんまでやってきて激励してくれた。来年デビューで、ステイヤーだと言ったら長距離シューズまでプレゼントしてくれた。やったね。
「ブルー、私のところにはあんまり遊びに来てくれないから寂しいよ・・・」
「ハヤヒデさん・・・」
「姉貴、ブルーはトレーニングで忙しいんだぞ。」
「ブライアンはブルーと仲良くトレーニングしたそうじゃないか。私にはそんな話来てないんだが?」
「たまたまだよ。」
「ぐぬ・・・」
「ら、来年は・・・来年は頼みますから・・・」
「本当か?約束だぞブルー。」
「姉貴はブルーに掛かりすぎだ。」
そう言ってハヤヒデさんはブライアンさんにバナナを突っ込まれていた。本家の忘年会に参加したのってもっと小さい頃だったから楽しい。
「ブルーちゃん!ジュース持ってきましたよ!」
「ありがとうトップロードさん。」
タイシンさんは来てないらしい。騒がしいの苦手だからと言っていた。
「いやーナリタ家の忘年会・・・規模がデカいな。」
「そうだなぁ俺は何回もお世話になっているが・・・」
「沖野は初めてですか。」
「おやっさんと羽柴は手慣れてるなぁ。」
そしてトレーナー陣もいる。早速酒を飲んでおり、賑やかだ。飲みすぎたら怒るよトレーナー。
「ブルー、そろそろ良い時間だ。お風呂に行こうか。」
「あ、はいハヤヒデさん。」
「む、なら私も行こう。」
「私もご一緒します!」
4人でお風呂へ。なかなかデカいお風呂なので名家ってすごいって思った。
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翌日。新年だ。あけましておめでとう。
「ブルー、あけましておめでとう。お年玉だ。」
「ええ・・・」
ハヤヒデさんからお年玉をもらった。まだ学生なんだから遠慮すると言ったらものすごくしょんぼりされたのでもらっておいた。
「新年会やるぞぉーーーーーwwww」
「おおぉーーーーーーwwwwww」
「やっほーーーーーーあけおめーーーーwwwwww」
大人達は盛り上がりすぎじゃない?大丈夫?そして酔ったままの大人達に次々にお年玉をもらった。すごい額になってしまった・・・名家やばいな。
「おせち食べようブルー。」
「はい。」
もぐもぐとおせちを食べた。美味い・・・海老が美味い。好き。そして新年の挨拶に忘年会に来てなかった親族がやってきていた。
「あーーーー!!!凛ちゃ!!!」
「?」
急に声を掛けられた。その子はトトトトっと私の隣にやってくるといただきまーーーー!とおせちを食べ始めた。
「・・・薫。」
「凛ちゃん!あけましておめでとうございまーーーー!」
その子は薫だった。今10歳だという。
「久しぶりだね。薫。」
「うん!凛ちゃんも!」
「まさか親戚に薫がいるとは・・・」
「うん!ナリタソレイユだよ!」
「可愛い名前。」
撫でたらえへへーと可愛らしくはにかんだ。うん。好き。
「凛さん。」
「うん?」
また声を掛けられた。振り向くと・・・
「ありす!?」
「お久しぶりです凛さん。」
ありすもいたのか・・・親族に同僚いるとむずむずするな。11歳らしい。
「私もご一緒していいですか?」
「いいよ。」
「失礼します。」
「ありすちゃんあけましておめでとうございまーーーーーー!!!」
「あけましておめでとうございます薫さん。」
「ありすもいたとは・・・」
「本家の新年会に来るのは初めてなので知らなくても仕方ありません。」
「ふーん。名前は?」
「ナリタアリスです。」
「またありすだけど・・・」
「いえ、ちょっとむずむずしますけど、ウマ娘の名前だと考えたら珍しい事でもないのでそれほどこだわりは。」
「そっか。」
ありすもおせちを用意してもらいもぐもぐ食べ始めた。
「2人ともトレセン入るつもりなの?」
「そうでーー!!」
「そうです。その為に今、倶楽部で頑張っています。」
「そっか。トレセン、同僚いっぱいいるからね。」
「え!?」
「そうなんですか!?」
「うん。流石に卒業しちゃう同僚もいるけど・・・」
「それは・・・まぁ仕方ないですね。」
「そうなんだーーー!」
「完全に346プロだよ。ちひろさんもいるし、専務もいるし。」
「わーーーー!!!」
「ええ・・・」
2人はトレセンの魔境っぷりに困惑している。薫はわーと言いながら目を回し、ありすはうむむとうなづいている。
「まさか・・・フレデリカさんも・・・」
「いるよ。」
「じゃあ文香さんは・・・?」
「いるよ。」
「!」
文香がいると聞いてありすの顔が明るくなる。大好きだもんな。
「ふふふ・・・」
「はは・・・」
「海老おいしーーーー!!!」
「薫口の周りべとべと。」
「あわわ薫さんちょっとこっち向いてください。」
「ありがとうございまーーーー!!!」
「ブルー。」
「あ、ハヤヒデさん。」
「その子達は?」
「今年から来始めた子達だって。」
「そうか。2人とも、私はビワハヤヒデ。よろしく。」
「よろしくお願いしまーーー!!!ナリタソレイユでーーー!!!」
「ナリタアリスです。よろしくお願いします。」
「うーん・・・」
「どうしたんですか?」
「可愛い・・・」
「は?」
「2人がトレセンにくる頃は私は大学部か卒業してしまっているな・・・」
「・・・。」
ハヤヒデさん・・・私の時もそうだってけど・・・ロリコンの気が・・・?
「ふふふふ・・・2人がトレセンに来るのを楽しみにしているよ。」
「はーーーーい!!!」
「頑張ってトレセン行きます。」
「うむ!そうだ。ブルー。当主さんが子供達を集めていたよ。お年玉をくれるらしい。」
「え、もう結構もらったのに・・・?」
「薫さん行きましょう。」
「ごちそうさまでーーー!!!」
わーーーと2人は行ってしまった。私も行くか。
「じゃあ、ハヤヒデさん。行ってきます。」
「気をつけろブルー。」
「へ?」
「当主さんは子供好きだから、かなりの額のお年玉を渡されるかもしれない。抵抗は難しいかもしれないから覚悟するように。」
「はひぇ・・・」
名家・・・名家って・・・大変だ・・・良い事ばかりじゃないな・・・