シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜   作:電動ガン

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見たいな・・・

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第41話 原風景

かけっこ。それはウマ娘が本能のまま行う走り。私は・・・本能のまま走れてるだろうか。

 

「はぁっ・・・ハァっ・・・!!!」

 

「はふ・・・はひ・・・」

 

「ふふ。どうですか2人とも。」

 

「ヘーイ!!!G1バを舐めないことね。」

 

「あらら・・・」

 

強い!!!強すぎる!!!なんだこの2人!?菜々さんは手加減してくれたようだけどヘレンと美優さんはマジ走りだ!!!美優さんは手加減してくれると思ったのに!!!

 

「2人とも後30分しかありませんよ。」

 

「えーもう終わりですかぁ・・・?」

 

「ですです。仕方ないですね。」

 

「凛。」

 

「何・・・?ヘレン。」

 

「貴方に極意を教えるわ。着いてきなさい。」

 

「へ・・・?」

 

「美優、菜々。貴方達も。」

 

「はい。」

 

「はーい。」

 

「まゆは少し休んでますねぇ。」

 

まゆはコースの端にちょこんと座るとふりふりと手を振っている。私もちょっと休みたいんだけど。

 

「凛。まず貴方、姿勢が悪いわ。」

 

「え?こう?」

 

とりあえずまっすぐ立ってみた。

 

「ノンノン。違うわ。走る時の姿勢よ。」

 

「え?」

 

「もっと地面と並行になる様に体を倒しなさい。」

 

「こう?」

 

「ノン!!!!こうよ!!!!」

 

ヘレンはババっと姿勢を取るとほぼ地面と並行に構えてみせた。この動き・・・どこかで・・・

 

「スパートをかける時。風の抵抗を受けると大幅に減速する。追い込みはそんなことしたら追いつけない。故に、こう!!!」

 

今度はヘレンに支えられて私が構えを取った。ちょっとこの姿勢で走るのは怖い。

 

「そして・・・ストラァイドを・・・こう!!!!」

 

ヘレンは脚を大きく振り上げた。それこそあげた脚が顎に付きそうなほど。嘘でしょ・・・

 

「このストライドと姿勢でスパートをかけるの。やってみなさい。」

 

「うん。」

 

スタートラインに立って・・・よーい、ドン!!!

 

「よし・・・!!」

 

私は最後尾。そしてヘレンに並ばれた。

 

「凛!!!行くわよ!!!最初からトップスピードで!!!」

 

「え!!??」

 

「ハリーアップ!!!加速の姿勢を取りなさい!!!」

 

こうなりゃヤケクソだ。言われた通りの姿勢で加速する。そして、脳内に溢れ出した確かに存在する記憶。そうだ・・・この姿勢!!!この足運び!!!ゴルシに言われて身につけたモノ!!!!

 

「グゥゥッド!!!そしてそのまま先頭へ!!!」

 

「ッッッ!!!!」

 

速い!!!ちょっと怖いくらい加速し始めた。私、こんなスピード出せるんだ!!

 

「まぁ・・・」

 

「おっとぉ・・・?」

 

「はあああぁぁぁぁ!!!!」

 

美優さんと菜々さんをぶち抜き、先頭へ躍り出た、と思ったその瞬間。

 

「エェェェェクセレンッッッ!!!私も本気になるわ!!!!」

 

ドン!!!!と見たことないくらいの加速でヘレンが抜き去っていった。くっ・・・!!!

 

「うわぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」

 

「なんですって!?」

 

ヘレンに追いつきたい!!!負けたくない!!!そんな思いで脚の回転を上げる。だがストライド走法なので限界があるが・・・それでも!!!

 

「なかなかやるわね・・・凛!!!」

 

「はぁぁぁぁーーーーーッッッ!!!!」

 

見えた!!!私は先頭に躍り出た。全員ぶち抜いて・・・初めて見えた。これが先頭の景色!!!なんて・・・なんて綺麗なの・・・!!!

 

「ゴールですよぉ。」

 

「ふはッッッ!!!はぁッッッ・・・はぁ・・・」

 

「ワンダフルよ凛。私達は本気では無かったけど手を抜いたわけでもなかった。それをぶち抜いたんだから十分走れる。」

 

「ふふ。凛ちゃん楽しそう。」

 

「凛ちゃん大丈夫ですか?」

 

まだ目の前がちかちかする。初めて見た・・・先頭の景色。それは・・・私が憧れるには十分なものだった。

 

「すごいですねぇ・・・凛ちゃん。逃げて差してましたよぉ。」

 

「はへ・・・?まゆ・・・?」

 

「あらら自分の走りを客観的に見れないとダメですよぉ。」

 

まゆが何か言ってるが・・・頭に入ってこない。先頭の景色に夢中で・・・なんというか・・・

 

「眠い・・・」

 

「おわー!!!凛ちゃん寝ちゃダメですよぉ!!!」

 

「凛ちゃん!起きて!起きて!」

 

「凛!!向こう側へ行くつもり!?」

 

私はコースに転がったまま・・・微睡の中に落ちて行くのであった・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「はっ。」

 

起きた。辺りを見渡すと・・・スピカの部室のソファー?

 

「あ、そっか・・・かけっこの後寝ちゃったんだ・・・」

 

マズイなぁ・・・まぁでも仕方ないか。

 

「ん・・・」

 

LANEを見る。菜々さんやまゆからスピカのトレーナーさんに任せましたと来ていた。

 

「お、ブルー。起きたか。」

 

「トレーナー。」

 

「お前〜休みの日にぶっ倒れるまで走るやつがあるか。」

 

「ごめん・・・」

 

「ま、何か得る物があったなら良い。どうだ?」

 

「・・・うん。あったよ。」

 

「そうか・・・」

 

そしてトレーナーは机に置いてあったコーヒーを飲んだ。

 

「ブルー。」

 

「何?」

 

「お前に足りない物を教えよう。」

 

「え?」

 

「それはな。勝負根性だ。」

 

「?」

 

「ウサミンとママユから話は聞いた。お前小さい頃からかけっこしたこと無かったんだってな?本来ウマ娘はかけっこで精神を養うんだ。そこで勝負に対する熱意なんかを手に入れて、トレセンに入って爆発させる。そういうルートがあった。」

 

「うん・・・」

 

「だがブルーにそれは無い。」

 

「・・・うん。」

 

「楽しいレースを経験させなきゃならないんだ。それは勝つ勝負でも負ける勝負でも良い。とにかく楽しいって思える勝負だ。今日はそれ、出来たか?」

 

「・・・出来たよ。」

 

「そうか。なら成長出来た筈だ。」

 

「うん・・・あ、あとね。」

 

「なんだ?」

 

「ちょっとお願いしたい事があるんだけど・・・」

 

「なんだ?」

 

「あのね・・・」

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

翌日。

 

「あの・・・ブルーちゃん。」

 

「なんですかスズカ先輩。」

 

「本当にいいの?」

 

「はい。お願いします。」

 

「・・・わかったわ。」

 

スズカ先輩とのマッチレース。そう併走では無い。レースだ。昨日のかけっこでもしかしたらと思った事がある。それを確かめる為に。

 

「おーいーブルー、今日特訓の約束だったろー?」

 

「ごめんゴルシ。後でやるから。」

 

「全く。次はねーかんなー?」

 

「うん。」

 

準備運動して備える。スズカ先輩にはレースだから、とお願いしてある。まさか手は抜かないだろう。全力では無くとも本気では来る筈。

 

「よし!位置に着いて!」

 

スタート位置に着く。スタートが肝心だ。集中して・・・

 

「よーい・・・ドン!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ!?」

 

「なんで!?」

 

「どうしてですの!?」

 

「嘘!!」

 

「おいおいおい・・・本当だったのかよ。」

 

このマッチレース、ある策を講じた。勝つためでは無く。確かめる為に。

 

「・・・ッ!」

 

「フッ・・・!!!」

 

「おいおいおいおい!!!どうなってんだトレぴっぴ!!!」

 

「あ、ああ・・・」

 

なんでスズカの前に出てんだ(・・・・・・・・・・・・・)!?ブルーは追い込みじゃ無かったのかよ!!!」

 

「それに・・・もう400メートルも先頭ですわ!!」

 

「すごい・・・スズカ先輩が手こずってる・・・」

 

「スズカなにやってんのよさ!!!」

 

「へぇ・・・凛ちゃんやるじゃない。」

 

「ですね。私でもスズカちゃんに追いつくのは苦労するのに。」

 

「ふーん。凛ちゃん考えた・・・のかな?」

 

まだ!!!まだまだ!!!もっと!!!先頭の景色を!!!

 

「くッ・・・!!!」

 

「はぁぁ・・・!!!」

 

後ろからの気配が濃くなった!!!スズカ先輩が来る!!!

 

「ブルーちゃん・・・やるわね・・・!!」

 

「はっ・・・!はっ・・・!はっ・・・!」

 

「でも・・・先頭の景色は私の物よ!!!」

 

ドバッとスズカ先輩が加速し、私を追い抜いて行く。だが、まだだ。まだ終わらない。

 

「いけーーーー!!!スズカ先輩をぶち抜けーーーー!!!」

 

「ブルーーーーー!!!まだ差は開いて無いわよーーーー!!!」

 

「おらーーーーー!!!ブルーーーーー!!!なに考えてんだかしらんがとっちめろーーーーーー!!!」

 

みんなが応援してる・・・なら、それに応えたい!!!

 

「ハァーーーーー!!!」

 

「えっ!?」

 

「驚いた・・・ブルーのやつ差してやがる・・・」

 

「ああ・・・ゴルシ、とんでもないやつだぞ。ブルーは。」

 

「はぁ〜〜〜ブルーすげぇカッケェなぁ。」

 

「ばかねウオッカ。私のブルーなんだから当然よ!」

 

「いつからブルーはお前の物になったんだよ。」

 

ゴール!!!・・・よし。やっぱりだ。

 

「おかえりブルー。まずは水飲め。」

 

「うん・・・ごくっ・・・」

 

「スズカも。」

 

「はい。」

 

水を飲んで息を整える、私はそれほど疲れてはいなかった。

 

「驚いたよブルー。まさか適正が逃げと追い込み(・・・・・・・・・・)だなんて。」

 

「うん。私もびっくりした。昨日ちょっと先頭で走る事があって・・・」

 

「そうか・・・うわあああああ俺ブルーのレースは逃げるか最後方かどっちか選ばなきゃならねぇってことか〜〜〜?!」

 

「ふふ・・・そうだね。」

 

「笑い事じゃねーぞ。普通そんな両極端な適正持つやついないんだからな。」

 

「うん。」

 

「スズカどうだった。」

 

「・・・。」

 

「スズカ?」

 

「悔しいわ・・・」

 

「え?」

 

「私、レースの半分も先頭の景色を奪われた・・・」

 

「はは・・・」

 

スズカ先輩は耳を絞ってご機嫌斜め。やり過ぎたかな・・・?

 

「でもすごいわ。あれだけ走れるならジュニアは負けなしなんじゃないかしら。」

 

「そうだな。だがそれは俺が逃げか追い込みか適切な方を選べた時のみだ。」

 

「ふふふ・・・責任重大ですね。トレーナーさん。」

 

「まいったよ・・・」

 

「ふふふ・・・」

 

「ブルー、これからはスズカとゴルシとの合同トレーニングを増やす。逃げはスズカの前出られるくらいの脚はあるがまだ荒削りだ。追い込みの方から徐々に鍛えて行くぞ。」

 

「うん。」

 

「お〜〜〜いおいおいおい。」

 

「なんでゴルシ泣いてんの。」

 

「あたしのブルーが浮気したぁああああああ!!!」

 

「なんでそうなるの!!」

 

相変わらずスピカは騒がしい。でもそれが良いところだ。先頭の景色も・・・逃げで見るのも良いけど。追い込みで最後方からぶち抜いて見る方が綺麗なんじゃないかって思うんだよね。そう言ったらゴルシはケロっとしてた。わかんないやつだなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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