シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
黄金世代。シンデレラ世代の陰に隠れた、強者達である。主にスペ先輩、グラスワンダー先輩、エルコンドルパサー先輩、キングヘイロー先輩からなる世代である。なんで今その話をしたかというと・・・
「ひぃ・・・」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
私の目の前で・・・バチバチと火花を散らしているからである・・・なして・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
うっかり。そう、うっかりだ。私はスマイルの前でこんな話をした。
「ふーん。じゃあその陰に隠れた世代が強いって言うんだ。」
「そうですね〜うちのエル先輩とグラス先輩。そして天田トレーナーのところのキングヘイロー先輩が強いんだよ〜」
「ふーん。」
そういえば私達の同僚が強すぎて他のウマ娘の話を聞いた事なかった。G1は同僚が圧巻してるらしいが、勝利数はぶっちぎりで黄金世代が多いんだという。
「4人で勝利数を分配というか分け合ってるというか・・・」
「ふーん。」
「うーんスマちんとブルりんは強い先輩がいていーなー」
「いやいや何言ってんのさミツボシ。」
「そうですよ。レース出走数はカノープスがぶっちぎりで多いんですよ。」
「でもさー」
「でも・・・何?」
「あっ。」
「えっ。」
「!?」
瞳子さんだ。もしかして今の話聞いてた?
「未央ちゃん・・・私が強さっていうのを教えてあげようかしら?」
「あ、あはは・・・ご遠慮・・・」
「行くわよ。」
「あーーーーーーーっ!!!」
南無・・・ミツボシ・・・お葬式には出てあげる。
「あはは・・・行っちゃった・・・」
「ミツボシはなんか抜けてるなぁ・・・」
「あははは・・・」
「にしても・・・シンデレラ世代ってそんなに強いのか・・・」
「そうですねぇ・・・G1の勝利を持ってるのは私達の同僚が多いんですけど・・・」
「うーん・・・そうなると・・・ひとつの物差しでは測れないね。」
「そうだね・・・でもさ。」
「G1は同僚で分け合ってる状態でしょ?黄金世代はいろんなレースで勝利を上げてる・・・どう考えても黄金世代の方が強い・・・」
「そう・・・なるのかな?」
「うん・・・」
「・・・。」
「・・・。」
「「誰が1番強いんだろうね?」」
ふふ。考えてる事一緒だった。
「まぁそんな誰が最強か論争なんていつどんなところでも不毛だよ。私達の時もそうだったでしょ?」
「そうですね!結局シンデレラガールが誰が1番人気だなんてわかりませんでしたしね!」
「あはは!」
「あははは!」
「聞きマシタ。」
「はい。聞こえましたね。」
「聞こえたわ。」
「聞こえちゃった。」
「!?」
「ブッ。」
「ヘイヘイヘーイ!スマイルゥ随分な話をしてマスネ?」
「ふふふ。誰が最強か・・・確かに不毛です。ですが・・・」
「いざ問われたら決めたくなりますね?」
「ブルーちゃん!私だよね?ね?」
「あはは・・・」
「あ、あは・・・」
「スマイル。」
「スマイルちゃん。」
「ちょっと着いてくるデース。」
「スマイルちゃん・・・ね?」
「ひぃぃ〜〜〜!ブルーちゃん助けてぇ!」
「ええ!?」
「ナリタブルーライトさん?」
「はひ!」
「初めまして。キングヘイローですわ。」
「は、はい・・・」
「・・・。」
「・・・。」
「ひぃ・・・」
「ね!ブルーちゃん!私だよね。」
「そうですね。」
「なんで私だけ雑なの!?」
「エル、グラス、行くなら私も行くわ。」
「へぇ・・・やるデスカ?」
「負けませんよ。」
「おーっほっほっほ!このキングが1番に決まってるじゃない!」
「私です!」
こえ〜・・・目が笑ってない・・・いらん虎の尾を踏んでしまったな・・・
「行くわよ。」
「行きマスヨ。」
「行きますよ。」
「行きますか!」
「ふえぇ〜〜〜〜!」
「ひぃぃ・・・」
こうして・・・黄金世代最強ステークスが始まるのであった。
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
第6レース場。そこで黄金世代最強ステークスが行われる事になっている。
「ふぅ・・・燃えてきたデース。」
「ふふ・・・エル、調子に乗ってると痛い目見ますよ?」
「痛い目見るのは貴方達よ。このキングを侮ると大変なんだから。」
「レース前のエネルギー補給!あむっ!」
私達は見届け人と達筆で書かれた垂れ幕の掛かった席に座らされている。こわい。
「おーおーやってるなぁ。」
「はぁ・・・スマイル。貴方の仕業らしいわね?」
「急にキングがやってきたからびっくりしましたよ。」
トレーナー達も集まっている。まぁ無断でレースするわけにはいかないしね。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
こわい・・・こわいよぉ・・・なんであんな事言っちゃったんだろ・・・不毛だって言ったじゃん・・・
「行くデス。」
「行きます。」
「行くわよ。」
「行きます!」
うわゲートまで出てきた。距離は2200メートル。芝。観客も増えている。
「ありゃ〜始まっちゃった?」
「す、スカイ先輩・・・助けて・・・」
「いや〜みんなよく知ってるけどさ〜負けず嫌い度だったらシンデレラ世代以上だよ?何言っちゃったの?」
「ちょっとうっかり・・・」
「うっかりかぁ〜ブルーちゃんさぁ。トレセンは気性難の巣窟なんだから言動は気を付けないとほんと怖い目に遭うよ。」
「痛感してます・・・」
「ま、私も来年こそ・・・」
ガッシャン。スタートした。出遅れなし。全員で先頭争い。
「こわ〜ガチガチのガチだよ。」
「うう・・・」
「スマイルもブルーちゃんも見届けなよ〜見届け人なんだから。」
「うひぃ・・・」
500メートルを通過。先頭からキング先輩、グラス先輩、エル先輩、スペ先輩の順。トレーナー達も本番レースの如く見守っている。
「あっ。キングちゃんがリード取ったね。」
「・・・。」
「だ、誰を応援すればいいかわからない・・・」
「にゃはは〜」
1000メートル。3バ身程リードを取ったキング先輩が抜け出している。だがまだレースは1000メートルしか通過してない。
「おっとエルが仕掛けた。」
「グラス先輩が焦ってます!」
「無事に終わって・・・」
1500メートル。ちょっと早いがエル先輩が仕掛けた・・・と思ったら。
「おおおスペ先輩が捲ってきたね。」
「すごい・・・」
「行って・・・スペ先輩が勝って・・・!」
2000メートル。残り200メートル。スペ先輩がキング先輩に迫る・・・そして、抜かして・・・
「ゴール!!」
「いやースペ先輩が勝ったね。」
「ああ〜〜〜〜」
ゴールした先輩方は・・・まだ怖い。まだギラギラしてる。ひぃ。
「はぁ・・・はぁ・・・スペちゃん・・・もう一回デス・・・」
「ふぅ・・・はぁ・・・くっ・・・」
「ぐぬぬ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「やった〜〜〜!はぁ・・・はぁ・・・私の、勝ち!」
もう一周しそうな雰囲気だがトレーナー達が待ったを掛け、ぶーぶーぷんぷんの先輩達を引き連れて帰っていった・・・ああ怖かった。
「はふぅ・・・」
「ひぃ・・・」
「あははは・・・まぁ面白かったね。」
「それはそうですけど・・・」
「もう2度と口は開かない・・・」
「いやブルーちゃん何言ってんのさ・・・」
こうして黄金世代最強ステークスは幕を閉じた・・・と思いきや。スピカのトレーナールームに集結していた先輩達は運良く全員出走登録していた大阪杯で決着を付けると息巻いていた。
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
1週間後。大阪杯は木場さんが勝っていた。木場さんやっと勝ててよかったね(目逸らし)
「ふぅ・・・」
そして私はトレーニングの日々。もう騒ぎは起きてない。
「よし・・・」
「ブルーちゃん。」
「はい。なんですかスズカ先輩。」
「あのね・・・」
スズカ先輩がやってきたと思ったら相談があるという。なんだろ。私に相談だから大した事ではないだろう。
「私・・・ドリームカップに移るか・・・海外挑戦するか・・・どっちがいいと思う?」
前言撤回。大した事だった。まだデビューもしてない私にそれ聞く!?
「う、うーん・・・」
「まぁ・・・わからないわよね・・・」
「で、ですね・・・個人的にはドリームカップに移って欲しいですけど・・・」
「そうなの・・・でも海外挑戦には最後のチャンスって言われてるの。本当に迷っちゃって・・・」
「う、ううーん・・・」
困った・・・私が答えを出せる問題じゃない・・・
「うううーん・・・」
「大丈夫よブルーちゃん。」
「え?」
「どの道、私はちゃんと帰ってくるもの。」
「・・・。」
そこは心配してないが・・・まぁ良いだろう。
「私個人としてはドリームカップに移って欲しいですが・・・」
「うん。」
「私のウマ娘の部分は海外挑戦が良いって言ってます。」
「・・・ふふ。なにそれ。」
「・・・すみません。」
「わかったわ。もっとトレーナーさんと相談してみる。」
「それが良いと思います。」
「さて、じゃあもっと走ってくるわ。」
「はい。」
そう言ってスズカ先輩は走り出した。スズカ先輩はもう最初の3年間を過ぎている。だけど・・・
「あの様子だといつまでも走りそうだな・・・」
景気良く走るスズカ先輩を見て、そう思った。