シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
夏合宿中。美由紀が本格化した。この時期に本格化するのは去年の私が該当するが、美由紀はちょっとマズイ。
「はぁ・・・はぁっ・・・はぁ・・・」
「ううむ・・・」
私は直近で本格化したから面倒を見る様トレーナーに言われたのだが、美由紀は相当苦しそう。美由紀は本格化が重いパターンだったのだ。帯同してる保険医が栄養注射したり、点滴を打ったりしながら診てくれている。
「トレーナーさん。」
「なんでしょう。」
「ナイスミユキさんですが・・・少々手こずるかもしれません。」
「そうですか・・・」
「ええ・・・でも本格化では苦しむほど成長する可能性が高い。ナイスミユキさんはすごく強くなるかもしれませんね。」
「それはいいんですが・・・」
「とりあえず、栄養注射と点滴はしました。あとはなるべく早く治まるのを願うしかありません。」
「はぁっ・・・はぁっ・・・うう・・・」
「美由紀、大丈夫・・・?」
「はぁ・・・はぁ・・・凛・・・ちゃん・・・」
「苦しいけど何とか耐えて、頑張って。」
「はぁ・・・はぁ・・・うん・・・」
「私はこのまま様子を見てますので、トレーナーさんは他の子達の元へ行ってください。」
「うす。お願いします。」
「トレーナー、私は?」
「ブルーはちょうど来週1勝クラスのレースがある。今日は休みだと思って、ミユキの側にいてやってくれ。」
「わかった。」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・うぐ・・・」
私は来週レース。美由紀はまさか1週間は苦しまないとは思うけど・・・大丈夫だろうか。
「はぁ・・・はぁ・・・凛・・・ちゃん・・・」
「美由紀、大丈夫、ここにいるよ。」
「凛・・・ちゃん・・・」
「ブルーライトさん、眠剤を飲ませるので体を起こしてあげてください。」
「はい。」
美由紀の体を起こし、保険医が薬を飲ませる。それから30分かけて、美由紀は徐々に微睡の中に落ちていった。
「寝ましたね・・・」
「ですね。」
「ブルーライトさんもちょっと散歩してきて良いですよ。お休みとのことですが軽い運動と栄養補給、忘れないでください。ウマ娘のアスリートはかなりエネルギーを消費しますので。」
「はい。ちょっとおやつ食べてこようと思います。」
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「美由紀は大丈夫か?」
「晶葉・・・そうだね。今は薬で寝てるけど、ちょっと大変かも。」
ホテルのカフェでコーヒーとケーキをしばいているとトレーニングから帰ってきた晶葉達がいた。おやつを食べたらコースに行くらしい。
「本格化とはそんな怖いものなのか・・・」
「いや、多分美由紀が珍しいだけだよ。私もそれなりに大変だったけど美由紀ほどじゃなかったし。」
「目覚めの時を待つのは吝かではないが、目覚めに苦痛が伴うのは如何ともし難いな・・・」
「蘭子もそう心配しなくて良いと思うよ。」
ワイワイとおやつを食べて、みんなはトレーニングへ、私は美由紀の元へ。
「美由紀は?」
「寝てますよ。」
「そうですか。」
美由紀はスヤスヤと寝ている。落ち着いたようだ。
「ナイスミユキさんは、通常通りならば。明日から食べる必要がありますね。」
「私と同じですね。」
「ええ。」
保険医にお茶を淹れてあげて私も椅子に座る。
「う・・・うう・・・」
「魘されてますね・・・」
「美由紀、大丈夫だよ。」
美由紀の手を握り、安心させる。すぐに落ち着いた寝息になった。
「あの・・・」
「なんだい?」
「本格化の重い軽いって・・・他にどんなことがあるんですか?例えば・・・重ければ、どういう症状があるかとか・・・」
「そうだね・・・重いと命に関わる。私はそういう本格化には立ち会った事は無いけれど・・・過去には本格化に耐えきれず、死んでしまった例がある。」
「え・・・!?」
「まぁそう言う場合は本当に稀だよ。飛行機事故に遭う方が確率が高い。」
「そうなんですか。」
「軽いと、本格化に気づかず、いつの間にか身体能力が向上してて力を制御出来ないなんて事もある。」
「力が制御出来ない?」
「ブルーライトさんも無かったかい?コップを力を入れすぎて割ったりとか・・・」
「あー・・・あったかも。」
「でしょう?そして本格化は重い程強力なウマ娘になるという法則の様なものがあります。」
「へぇ。」
「過去、本格化で死亡してしまったウマ娘は、ちゃんと耐えていたらどんなウマ娘になったのか・・・興味は尽きません。」
「そうなんですか。」
「ナイスミユキさんは結構重い方ですが命に関わる程ではないので。強いウマ娘になるでしょうね。」
「なるほど。」
そう言って保険医はお茶を一口飲んだ。そうか美由紀は強いウマ娘になるか・・・楽しみだな。
「うう・・・うん・・・プロ・・・デュ・・・」
「美由紀?大丈夫。大丈夫だよ。」
「プロ・・・」
「大丈夫。大丈夫・・・」
「ち・・・ひろ・・・さ・・・」
「・・・?」
美由紀は少し魘された後、またスヤスヤと寝息を立て始めた。夢を見ているようだ。プロデューサー?
「・・・。」
「すみません、ちょっと怪我した子が出たようなので、行ってきますね。」
「あ、はい。」
保険医が行った後、私も椅子に座って船を漕ぎ始めた・・・
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「・・・ルー・・・ブルー・・・」
「はっ・・・」
「ブルー、起きたか。」
「トレーナー・・・」
「ブルー、ご飯の時間だぞ。行ってきな。ミユキは俺が見てるから。」
「うん。」
ご飯の時間らしい。お腹空いた。食堂に向かうとハートさんと楓さんに捕まった。早苗さんはもう戻ったらしい。
「どうだ美由紀ちゃんは。」
「大丈夫?」
「大丈夫だと思う。薬で寝てる。」
「そっか〜本格化が重いのは大変だな〜」
「そうね・・・」
「ハートさんと楓さんはどうだった?本格化。」
「はーと?はーとはなーさっくり終わったなーちょっと成長痛があったくらい。」
「私もよ。お腹が空いて大変だったくらいね。」
「そうなんだ。」
2人は懐かしむ様に自分の本格化を話してくれた。ふーん。
「あ、早苗ちゃんは凄かったぞ。」
「あーそうですね。早苗さんは凄かったです。」
「え?そうなの?」
「うん。食欲がものすごかったんだ。」
「顔も血の気が引いて真っ青なのに食欲がすごくて・・・寮の食堂で白いご飯を50合食べてたわ。」
「50合!?」
「ええ。早苗さん青い顔しながらバクバク食べるからみんな心配しちゃって。」
「あんとき凄かったよなーはーと達のご飯まで食べちゃってたから。」
「ええ・・・」
「ま、本格化も人それぞれだよ凛ちゃん。」
「ですね・・・」
そんなに凄いのか・・・そういや今でも早苗さんは結構食べる。お酒が飲める様になったら更に食べるだろうな。
「ふぅ・・・」
「あ、トレーナー。」
「おうトレーナー。」
「トレーナーさん。」
「よう、ミユキが起きたからな。ご飯持っていってやろうと思ってな。」
「美由紀大丈夫?」
「とりあえずはご飯食べるくらいには落ち着いた・・・かな。まだしんどそうだが。」
「そっか。」
「後でおやつ持ってお見舞いくか〜」
「ですね。」
こうして美由紀が本格化した。他のみんなはまだ本格化の兆しは無いが、そのうちするだろう。楽しみだ。
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翌週。私の2回目のレースの日。なんだが・・・
「よーう凛。」
「ふふ、凛やっと戦えるね。」
「・・・。」
奈緒と・・・加蓮がいるのだ。まぁ出走表でわかってはいたんだが・・・
「前世では同じユニットだったし、LIVEバトルもほとんどしなかったからなー。」
「だね。真剣勝負・・・っていうのは楽しみだよ。」
「私もだよ。」
2人の作戦はわからない・・・だけど・・・
「トレーナーに任せよう。」
まずは控室に行って準備しよう。トレーナーがパドックで見て作戦決めて、いつも通りに。まぁ・・・同僚とやるのは・・・キツイかもしれないが。