シンデレラダービー 〜にゅーじぇねれーしょん〜 作:電動ガン
合宿が終わった。9月になった。まだ残暑であるが、もうすぐ秋。トレーニングも年末のG1を見据えた物になってくる。
「まぁ休みなんだけど。」
私はついこないだ三戦目を走ったので休み。暇だ。なのでカフェさんの所でコーヒーをしばいていた。
「どうですか・・・ブルーさん・・・キリマンジャロの特濃なんですが・・・」
「風味が効いて美味しい。」
「そうですか・・・良かった・・・」
今日はタキオンとレイジーレイジーの2人はいない。タキオンはなにやらトレーナークンに相談があるんだよぉ!と飛び出していった。フレデリカと志希は多分トレーニングだろう。あの2人が真面目にトレーニングできるのかとは思うが・・・
「こ、こんにちは・・・」
「おや・・・コウメさん、コーヒーですか・・・?」
「う、うん・・・そう・・・」
「ふふ、どうぞこちらへ・・・」
やってきたのは小梅だった。耳をぷいぷいさせながら椅子に座ると。黒いマグカップを出してきた。マイカップらしい。
「コウメさん・・・今日のコーヒーは、少し濃いです・・・良ければミルクを入れてください・・・」
「わ、そうなんだ・・・」
「どうぞ・・・」
小梅はまず一口飲んでみる事にしたらしい。だが一口飲んだだけで顔がぎゅっと縮こまった。すぐミルクを入れている。
「しゅごい・・・濃い・・・」
「そうですよ・・・今日の豆は特濃です・・・」
「うみゅみゅ・・・」
穏やかな時間が流れてカフェさんと談笑する。まぁしょうもない話だったが仲良く話した。だがそこでコウメが話を切り出した。
「適正って・・・どうやって測るの・・・?」
「トレーナーと一緒に測るんだよ。いろんな距離をいろんな作戦で測るの。」
「そうなの・・・?トレーナーがいないとダメ?」
「たぶん・・・」
「自分で・・・測る方法も・・・ありますが・・・適正は客観的な意見が・・・いるので・・・」
「そっかぁ。」
「どうしたの急に。」
「あ、あのね凛さん・・・幸子ちゃんが・・・本格化して・・・ね?トレーナーが欲しいって騒いでるから・・・」
「あー・・・」
「幸子ちゃん・・・自分の適正がわからないのに本格化しちゃって・・・」
「なるほどね。」
「適正がわからないから・・・模擬レースも勝てなくて・・・本格化したのに。」
「それは・・・困りましたね・・・」
困ったな幸子は。本格化したならば尚更適正に合った距離馬場作戦じゃないと勝てないよそりゃ。協力してあげたいけど暇なトレーナーなんていないしなぁ。
「それに・・・さ・・・」
「なに?」
「幸子ちゃんの・・・トレーナー・・・だよ?プロデューサーさんみたいに・・・特殊な訓練を受けたトレーナーじゃないと・・・務まらないと・・・思うの・・・」
「あー・・・確かに。」
「その、サチコさん?というウマ娘は・・・そんなに気性難なんですか・・・?」
「気性難は気性難だけど・・・問題はバイタリティというか・・・」
「幸子ちゃんは・・・陸、海、空、全ての環境に適合するウマ娘・・・だと思うから・・・」
「な、なるほど・・・?」
カフェさんが困惑している。アイドルの幸子なら南極も行ったけど遂に50代では宇宙に行ったからな。並のトレーナーでは抑えきれないだろう。こりゃ大変だ。
「こんちはー」
「?」
「え・・・誰・・・?」
急に小豆色のジャージを着た男の人が入ってきた。誰?
「ああ・・・吉成トレーナー、どうしました・・・?」
「おお、晴山トレーナー知らない?」
「トレーナーさんなら・・・今日は出張ですよ・・・?明後日帰ってきます・・・」
「ありゃ、それは聞いてなかった。」
「ふふ・・・何の御用だったんですか・・・?」
「いや〜晴山トレーナーに良い子紹介してもらおうと思って。」
「なるほど・・・」
「!」
そこで小梅が反応した。ズリズリと椅子に座ったまま移動し吉成と言われたトレーナーの前まで来る。
「あ、あの。トレーナー、さん。」
「おう!どうした?君は?」
「あ・・・私、トウカイコウメです・・・」
「よろしくな。」
「あの・・・担当を・・・探しているんですよね・・・?」
「そうだなー良い子がいれば良いんだけど。」
「あの・・・トレーナーさんは・・・資格を持ってますか・・・?」
「資格?まぁそれなりに持ってるけど・・・トレーナー業に活かせそうなのは無いなぁ。」
「!じゃ、じゃあ!例えば、どんな資格を・・・?」
「大型二輪だろ?スキューバダイビングインストラクターだろ?スカイダイビングインストラクターだろ?船舶免許だろ?大型特殊もあるな。他には効き日本酒、カッパ捕獲許可証。自衛隊にいたから戦車もあるしレンジャー、空挺の資格もある。他には・・・」
「す、すごい・・・」
「り、凛さん!この人!この人しか・・・!いないよ・・・!」
「確かに・・・資格だけでもかなり体力がいる資格ばかり。それに体格も良いし顔も良い。」
「うん・・・!うん・・・!」
「あと何あったかなーラーメンソムリエも持ってるしスイーツコンシェルジュもあるし森林インストラクター、キャンプインストラクター、夜景観光士、歴史能力検定もあるぞ。」
「あ、あのね!トレーナーさん・・・!」
「おう!もしかしてコウメちゃんが担当になってくれるのか!?」
「あ・・・違うよ・・・?」
「違うのか・・・」
「あのね・・・担当して欲しい子がいるの・・・名前は幸子ちゃん・・・ボクサチコって言うの。」
「ボクサチコ?」
「うん・・・」
「その子なら俺の担当になってくれるのか?」
「うん・・・!多分、すごく相性が良い・・・!と、思う。」
「そうか!じゃあ早速会いに行くか!コウメちゃんサチコちゃんはどこにいるんだ?」
「えと・・・多分茶室に・・・」
「茶室か。行ってくる。」
「わ、私も行く!」
小梅はぐいっとコーヒーを飲み干し、トレーナーに着いていった。これで幸子のトレーナー決まれば良いけど。
「いっちゃい・・・ましたね・・・」
「ですね。カフェさんおかわりちょうだい。」
「もちろん・・・特濃、お気に召しましたか・・・?」
「うーんもっと濃くても良いかも。」
「そんなに・・・!ですがこれ以上濃いとバランスが悪いですよ・・・」
「そうなんだ・・・」
「ここが分水嶺だと・・・思います・・・やはりバランス・・・コーヒーはこれが大事です・・・おかわりどうぞ・・・」
「ありがとう。」
うーんバランスか。まぁカフェさんが言うんならそうなんだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・
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翌日。まだ私は休み。今日は授業が終わったらカフェテリアでコーヒーとオレンジゼリーで優勝していたので楽しかった。
「あ、乃々。」
「あ、凛さん・・・」
椅子で踏ん反り返っていたらカフェオレを持ってぽちぽち歩く乃々を見つけた。
「ここ座りなよ。」
「ありがとうございます・・・」
乃々が座ってぼんやりとカフェオレを飲み始める。さて何を話そうかと考えていると口を開いたのは乃々だった。
「あの・・・凛さん・・・」
「何?」
「助けて欲しいんですけど・・・」
「どうしたの?」
「幸子ちゃんのトレーナーさんに狙われてるんですけど・・・!」
「ええ・・・」
幸子のトレーナー・・・昨日の吉成トレーナーか。
「なんで狙われてるの?」
「昨日、小梅ちゃんとトレーナーさんが茶室に来たんですけど・・・幸子ちゃんを担当にする!って宣言して幸子ちゃんも受け入れてわっしょいだったんですけど・・・」
「ふぅん・・・」
「そしたら小梅ちゃんも!ってトレーナーさんが言い出して・・・小梅ちゃんもトレーナーさんの担当になったんですけど・・・」
「そうなんだ。」
「最後ににんじんコーラを飲んでたもりくぼに目が合って、君も!!!って言われたんですけど・・・」
「その吉成ってトレーナー、多分新人だと思うんだけど・・・新人は嫌?」
「そうじゃないんですけど!!!もりくぼにはわかるんですけど!!!あの人、絶対もりくぼのプロデューサーと同じ匂いがするんですけど!!!血縁者だと思うんですけど!!!」
「いやいや・・・それはないでしょ。プロデューサーはこの世界にいないし。」
「いいや・・・絶対やばいんですけど・・・また前世みたいに衣装着せられてライブさせられるんですけど・・・」
「まぁG1走れば衣装着てライブはあるだろうけど・・・」
「わかるんですけど・・・あの人、新人なのにすごい優秀だと思うんですけど。そうなったらもりくぼは煽られて木に登らされ、アイドル活動してしまうんですけど。」
「いや、いいじゃんそれで。」
「もうアイドル活動は御免なんですけど。」
「でもトレセンにいるならレースからは逃れられないしレースに出るってことはライブからは逃れられないんだよ。」
「ひぃぃ森に帰りたい・・・」
「帰る森あるの?」
「ありますけど・・・おばあちゃんの家が岩手の森の中なんですけど・・・聖地でした・・・」
「そうなんだ。」
「うう・・・レースなんてむぅーりー」
「いやいや・・・トレセンにいるんだからそれこそ無理だよ。」
「トレセンの道のりは前世と同じでした・・・にっくき親戚のせいなんですけど・・・」
「こっちでも同じだったか。」
「凛さん助けて・・・」
「いや無理だよ・・・諦めて走って。」
「そんなぁ・・・」
「お!いた!ボノノちゃん!」
「ん?」
「ひぃ!トレーナーさんなんですけど!!」
「お、君は昨日の・・・」
「ナリタブルーライトです。」
「ブルーちゃんかよろしくな。」
「ひぃぃトレーナーさん、もりくぼの答えは変わらないんですけど・・・」
「ボノノちゃん、頑張ってる姿を見せるだけで良い。お友達を一緒にやってみないか。」
「そうですよ乃々さん。ボクと一緒に三冠バになりますよ。」
「あ、幸子。」
「ひぃぃぃ幸子ちゃんもいるんですけど!!!」
「乃々、もう逃げられないよ。」
「うひ・・・ひぃ・・・」
「乃々さん!」
「ボノノちゃん!」
「わ、わかりましたけど・・・で、でも!これだけは守って欲しいんですけど!」
「おう!いいぞ!」
「年間レースは10・・・いや、8レースまでにして欲しいんですけど!!!」
「わかった!!!」
「わかっちゃったよ。」
「トレーナーはプロデューサーとすごく似てますねぇ。」
「よし!!!ボノノちゃん!!!早速契約書書きに行こう!!!」
「ひうぃぃああ・・・もりくぼ・・・逃げられませんでした・・・」
こうして乃々・・・ボノノンパサランはトレーナーが決定した。レースの世界へようこそ。乃々。