【死神の子】    作:ランハナカマキリ

1 / 16

アニメ放送記念として、月一投稿します。
この作品を現在連載中の『愛と呪いは紙一重』とクロスさせるのかはまだ決めていません。

2/27に訂正。
ユキがアイを殺害したのは2年前から8年前に変更。



プロローグ

 

"最強"の殺し屋がいた。

 

その名は坂本太郎•••

 

彼は全ての悪党から恐れられ、全ての殺し屋の憧れだった•••

 

 

 

そして"死神"と呼ばれた殺し屋がいた。

 

その名は星野ユキ•••

 

彼女は凄まじい殺意と強靭な意志を持って標的を殺す•••

 

これは"死神"星野ユキの話ーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロシア東部の小さな漁村。

 

『人は命に感謝しない。もっと繊細にするには、恐怖を見せ付けなくては。奴らに違う生き方をするよう強いる、それが私という恐怖だ』

 

ウクライナの連続殺人鬼、アナトリー・オノプリエンコの言葉だ。

 

彼は幼い頃に母を亡くし、父に孤児院に送られ、その恨みが積もり積もって連続殺人を行い6年間で50人の犠牲者を出した。

 

「彼は死刑を求刑されたけど、1999年の欧州連合からの要請で死刑制度が廃止されたため終身刑となった。その後は連続殺人の世界記録を樹立するために何度も釈放するように要求した。無論、その要求は叶わず•••ここまでついてきている?」

 

「はい•••мать(母さん)

 

「いい子ねворона(カラス)。ここからが面白い。1996年3月、事件の容疑者として一人の男を逮捕している。だがこの男はアナトリーではなかった。拷問により自白を引き出そうとするが失敗し死んでしまう。その責任により7人の捜査員が懲役刑を課せられた。人を殺しておいて懲役刑だ。人数は違うが、アナトリーも捜査官も人を殺してる。両者の違いは何?正義の有無?それとも立場によって殺人は許されるの?」

 

「•••違いなんてないでしょう。その殺人鬼も捜査官も人を殺した。もし違いがあるのなら、それは受け取る相手にある」

 

「うむうむ?」

 

「事件の被害者は、やっと犯人が捕まったから安心できる見方を。復讐したいって奴は、責任を誰かに背負わせる見方を。何も知らない奴は、誰かに情報を伝えたいから焦った見方を。テレビメディアは金になる見方を。ただの捻くれ者なら、俺らみたいな見方を」

 

「悪くないわ。けどね、ворона?どんな見方をしても、自分の考え方が正しいとばかり思ってると足元を掬われる。私にも自分が正しいと思って人を始末していた時期があった。"ある人物"を見つけるために、何人も、何十人も、何百人も。正しいと思ってた」

 

「けど8年前、貴方に出会う前••••殺し屋から足を洗おうって考えてね。それも正しいと思ってたの。殺連が最後の任務を私に与えた。女性一人を殺すだけの簡単な任務。ターゲットの家についてインターホンを鳴らして••••出てきたターゲットの腹を撃ち抜いて••••私は崩れ落ちた。ターゲットは、やっと見つけた()()()()だった」

 

「••••」

 

「私は仕留めたかどうかも確認しないで逃げた。私は怒った。私は泣いた。時間が戻せたらどんなに嬉しかっただろうね。けど、進んでく時計の針は戻せない。頭が真っ黒になって•••気づけば、任務を与えた張本人の麻樹と上層部を鏖殺してた」

 

「•••んで、その姉は?死んだ?」

 

「死んだよ。大動脈を弾丸が貫いていたらしい•••姉さんの子供は生きてるらしいけど」

 

「•••アンタは最期に罪を懺悔するような人じゃないのは知ってる。なんでその話を俺にした?」

 

廃墟の一室に光が差し込む。

 

そこには椅子に座る白髪の少年と、ベッドに眠った女がいた。

彼女の顔は土着色で、今にも死んでしましそうだった。

 

「•••私は貴方に全てを教えた。銃の撃ち方、潜入の仕方、ナイフの握り方、殺し屋として生き延びるための全てを。けど、貴方の手を血で染める事はしなかった。貴方は、人を殺さずに生きて。それが貴方への私の願い」

 

「さようなら•••мальчик(坊や)。愛してる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の行動はバタフライエフェクトとなって、この舞台の役者の運命を変えてしまう。

 

ーー3、2、1、アクション!!

 

死神に拾われた、二代目死神の物語

 

【死神の子】

 

 

 

東京•••某所、とあるネットカフェにて•••

 

少年がシャワーを浴びていた。

 

背中には大きなカラスの刺青と、ラテン語で書かれたFORTIS FORTUNA ADIUVATの文字。

 

シャァァァァァァ!!!キュッ!!

 

母親ーー星野ユキが死んでから3年。

 

少年は彼女の遺体を手紙に書かれた通りに鳥葬し、海にばら撒いた。

 

もともと廃墟だった家を燃やし、色々なツテを使って日本に来た。

 

彼はある人物を探していた。

 

名は坂本太郎。

 

母の後輩で、最強の殺し屋。数年前に引退してから誰も彼の居場所を知らないのだ。手紙には『坂本太郎、南雲与市、赤尾リオンに私の死を伝えること』と書かれていた。3人の所在・・・南雲与市以外は分からなかった。

 

「けど南雲与市はORDER・・・敵なんだよなぁ」

 

そう、星野ユキが前会長である麻樹を殺害したので星野ユキには100億の懸賞金がかけられている。当然、その養子であり、星野ユキへの手がかりである少年にも懸賞金がかけられている。星野ユキ死亡が知られない限り、懸賞金は消えない。

 

そしてORDERとは殺連直属の暗殺部隊の総称であり、殺連が選定した危険性の高い殺し屋や殺連に仇なす者の抹殺を任務とする殺し屋界の秩序を守る怪物たちだ。

 

目立った行動をすると即殺だし、つーか何もしなくても殺される可能性が高い。

 

「どうする・・・グーーー」

 

少年は他の問題も抱えていた。

 

星野ユキの遺産も残り少ない。大部分は口座凍結されているし、持っていた金も日本に密入国するためにあらかた使ってしまった。バイトをしようにも少年には戸籍がないからバイトをすることができない。

 

その戸籍を買う金もない・・・つまり詰みである。

 

だから金を節約するために、パン屋でパンの耳を買い、一食一本で乗り切った。デパートの試食を食べ、虚しさを覚えた。街中のテレビで寿司やらラーメンのCMが流れると殺意が芽生えた。

 

金がない。

しかも最近は物価高のせいで食べ物の値段が上がっている。

 

「残りの金は・・・500円か。物価高なんだよなぁ」

 

たまたま入った牛丼屋で500円でギリギリ牛丼並を食うことができた。

 

「会計お願いします」

 

おぉ、彼を見よ。

 

腹を満たしたことによる幸福感と、有り金を使い切ってあとは10円玉しか貯金がない絶望感の板挟みになってしまった。

 

神よ、どうか彼を救いたまえ。

 

「•••ん?」

 

街中、電柱に貼られた一枚のポスター。

 

ドラマ『恋の一本背負い』

エキストラ募集中!!

日給は5000円!!

 

(日給は5000円•••)

 

ーーー5000円

 

女神は彼に微笑んだ。

 

 

『恋の一本背負い』は柔道部を退部になった主人公と部員一名の柔道クラブの少女のラブストーリーだ。

 

少年がエキストラとして演出するのは街中のチンピラ役だ。

クライマックスにチンピラの集団が少女を誘拐し、そこに主人公が助けに来たという設定で撮影することになった。

 

「それではエキストラの方は配置についてくださ〜い」

 

「3、2、1、アクション!!」

 

主人公役はアクション俳優としてキャリア5年のベテランだった。今年23歳、2年前に黒帯を獲得したことが、彼の誇りだったし、少し調子に乗っていた。ちなみに独身で、保護猫1匹と同居しているOLのお隣さんがいる。

 

だが、目の前のチンピラ役を台本通りにいなしていったその時だった。

 

『おい、びびってないでやっちまえ!!』

 

リーダーのチンピラ役に命じられ、少年が歩み寄り、胸ぐらを掴もうと手を伸ばし•••

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公役は、錯覚した。

 

牙を剥いたオオカミが、

口をひらくコブラが、

翼を広げたカラスが襲ってきたと錯覚した。

 

だから本能的に、透かした。

 

透かすとは、柔道用語で相手が技を掛けてきたときに、自分の身を引くなどして相手の足技を避け、足を空振りさせることである。

 

『っ!』

 

だが、少年は足を踏ん張り、釣り手と引き手を効かせ、後ろ足に体重をかけることで、相手の重心を後ろに崩した。 この隙をねらい、相手の後ろから軸足を刈って背中から落としーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーたりはせず、透かされて投げられた。

 

ドサッ!!

 

「カット〜!!今のいいね〜!!」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「•••別に。大丈夫です」

 

その様子に違和感を抱いた者はなかった。監督はいいシーンが撮れたなという認識だった。他のエキストラたちは俳優ってすごいなと思い、裏方のスタッフたちは次の撮影に向けて準備していた。主人公役の俳優が、服の下にものすごい汗をかいているということに気づいたものはいなかった。そしてエキストラ役の少年が、凄まじい"何か"をーー"殺意"を出していたことを誰も気づかなかった。

 

一人を除いて•••

 

 

「・・・・・あの子、何者?」

 

 

その後、撮影は終わり少年は報酬の5000円を受け取り、スキップしながら帰ろうとしていた。

 

「ねぇ、そこの貴方。ちょっとお茶しない?」

 

「・・・誰?」

 

「あら、みんな私のこと知ってるものだと思ってた」

 

「自意識過剰か?」

 

なんだコイツ。

 

「では改めて・・・不知火フリルよ。貴方は?」

 

「・・・烏有(うゆう)だ」

 





主人公情報
烏有
年齢 15歳
身長 170cm
体重 62.4kg
趣味 なし
好物 なし
戦闘術 システマ(ロシアの合気道)、柔道、実戦空手、柳生心眼流、コマンドサンボ、北派中国拳法、etc•••
経歴 不明
誕生日 某アイドルと同じ

著者の執筆作『愛と呪いは紙一重』『愛と呪いは小説より奇なり』とクロスさせるか?なおクロスのさせ方は著者が決めるものとする。

  • させる
  • させない
  • クロス短編集を作る
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。