【死神の子】    作:ランハナカマキリ

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最近モンハンとゼンゼロにハマって進捗遅れてます。
友達に勧められた漫画にもハマって、映画も観に行って•••
それでいて新しい小説に手をだす自分を許してください。


モジュロおもしれ〜


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"死神の子"と"血池の白鳥"が激闘を繰り広げ、復讐のために輝く星野アクアが後の理解者となる少女の心を救っていた頃、母のような一番星になりたいと夢見る少女『星野ルビー』とアクアに言いくるめられてアイドルになった元天才子役の『有馬かな』はSNS上で繰り広げられる黒川あかねを誹謗中傷する投稿を見ていた。

 

「黒川あかね、バチボコに燃えてるわね・・・まああの内容なら当然なんだけど」

「こういうのって、人前に出るようになったら慣れるものじゃないの?」

「多少はね。でも個人差があるから慣れない人はずっと慣れないものよ」

「私だってその日のメンタル次第では本当に死んでやろうかって思う日もある・・・」

「ことさら耐性のない10代の少女が初めて罵詈雑言の集中放火に晒される心境はあんたには想像もできないでしょうねーーそれは、人生が終わったと錯覚するほどよ」

 

かなは冷たい表情でそう言うと、側で聞いていた社長の『斎藤ミヤコ』がソファから立ち上がる。

 

「恋愛リアリティショー番組は世界各国で人気だけれど今まで50人近くの自殺者を出している。国によっては法律で出演者のカウンセリングを義務付けているほどよ」

 

「50人が死んでるってことはその10倍はギリギリ死ななかったけど死ぬほどの思いをした人がいるって考えた方がいいわよ。リアリティショーは自分自身を曝け出す番組•••叩かれるのは作品がどうのじゃなくて自分自身。そりゃキツイわよ」

「お兄ちゃん言ってた。嘘は自分を守る最大の手段だって•••」

「言い得て妙ね。ある程度キャラ作ってたらまだマシなんだけど素の自分で臨めば臨んだだけダメージは深い。SNSは有名人への悪口を可視化。表現の自由と正義の名の下毎日のように誰かが過剰なリンチに遭ってる… みんな自分だけは例外って思いながらしっかり人を追い込んでるのよ。何の気無しな独り言が人を殺すの」

「•••お兄ちゃんは平気かなぁ?」

「気をつけても無駄よ〜〜?"無くて七癖有って四十八癖"って言うでしょ。誰だって少なからず難はある。燃える要因は必ず持ってるものなんだしーー

 

 

 

 

ーーというか前から聞きたいことがあったんだけど、この雪代烏有って奴アンタらの親戚?目元とかめっちゃ似てるんだけど?」

「えー知らない。他人の空似じゃない?」

 

有馬が指差す画面の中には、銃を構える烏有がいた。

すると速報が入る。

 

『え〜速報です。深夜11時ごろに県道〇〇号線付近で大型トラックの荷台が、()()()()()()()事故が発生しました。しかも付近の電柱や道路のアスファルトには〜およそ10mにわたって()()()()()()()()()()()()()()()跡が残されていましたが、事故による影響ではないかと思われています。ええ〜続いてのニュースは〜』

 

「こわ•••玉突き事故かな?」

「怖いわね•••あら?アクアからだわ•••」

 

 

♫〜♩〜♬〜

 

これは•••『白鳥の湖』?

 

私が子供の頃、初めて踊った曲•••

バレエを始めたのはお母様の影響だった。体が弱かったお母様、私が小さい頃に亡くなったけれど、あの優しい声は今でも覚えている。

 

背筋を伸ばして、手足を真っ直ぐ•••

 

多分、父は死んだお母様を思い出してしまうから、私からバレエを取り上げたのだろう。

 

 

 

 

 

 

それにしても最後まで分からない人だった。

殺しの神に愛されてるくせに、殺しをしない。

そして私の首に伸びる大鎌と血のようなドロリとした瞳•••

 

あの人(星野ユキ)と同じ瞳をした彼に、私はーーー

 

「ーーーん•••?」

 

目覚めたら知らない天井だった。

 

「お、目ぇ覚めたか」

 

カーテンを開いて現れたのは無精髭の男。

 

「貴方確か•••闇医者の方?」

「えぇ、お初目にかかります。私は小鳥遊仁太、しがない闇医者兼尋問屋でございます」

 

わざとらしく上品に自己紹介する男、だがそこまで不愉快ではなかった。

 

「•••彼に尋問を依頼されたのかしら?」

「いや?ただ傷を治せと•••髪は残念だったな。ウィッグを買うことをお勧めするぞ」

 

差し出された手鏡を手に取り、自分を写す。

鞠菜の美しい銀髪は肩の所で斬られていた。首を一周するように薄く斬り傷が入っていることが、烏有の手加減が見て取れる。

 

「なんで••••雪代くんは私を殺さなかったのかしら•••」

「あ、あと死神坊主から伝言だ。『殺し屋としてのお前は嫌いだが、バレリーナとしてのお前は綺麗だった』だとよ」

「•••変な人」

 

分からない。

 

分かるようで分からない。

 

その気になれば私を殺すことだってできたはずなのに、甘いなんてものじゃない気がする。彼の言っていた死神の遺言、とても彼女らしくない言葉を律儀に守り続けているなんて、私には分からない。

 

でも••••

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この胸の高鳴りの正体は知ってる。

 

「•••惚れた」

「ーーーは?••••死神坊主は、お前に興味なんてないと思うが?」

「いいのよ••••それでいいのよ。私が惚れた相手は"(殺し愛)に興味のない烏有"•••私に興味を持ったら解釈違いだわ」

「••••どっちも同じだと思うが、まぁ良いか」

 

いつか貴方を理解してみせる。

貴方が私に興味がなくとも、私が貴方を理解するために。

 

 

 

 

「ほい、4時間に一錠飲め。傷が開いたらまた来い」

「ありがとうございます•••あら、通知が十件も?•••黒川さんが自殺未遂で警察にお世話になった?」

「あー、あの炎上してる娘か?」

「えぇ•••雪代くん気づいてるかしら?それでは•••」

 

雨が上がった夜道を歩き出し、黒川あかねがお世話になった警察署まで駆け足で急ぐ。

ひょっとしたら途中で烏有くんに追いつけるかも•••?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒川あかね•••••••死ねてたら楽だったのにな」

ポツリと、小鳥遊は呟いた。

 

 

雨が上がり、湿った夜風が肌を撫でる。

公園のベンチに腰を下ろし、烏有は棒つき飴を口に含む。警察署の灯りが遠くにぼんやりと見える。夜の街は沈黙に包まれ、時折パトカーのサイレンが響いては消えた。

全身がまだ火照っている。血の匂いが鼻腔に張り付いて離れない。手の甲についた赤黒い染み、応急処置した折れた左腕、服で隠したあざを見つめながら、あの戦いを思い出す。

すると何者かの気配を察知し、顔を気配の主に向ける。

「来たか」

そこにはツクヨミが立っていた。公園の入り口付近に立ち、月明かりに長い影を落としている。彼女の顔は相変わらず感情を読ませない。

「•••ボロボロだね」

烏有の正面に立ったまま、夜風に白髪を揺らしている。沈黙が流れ、俺は棒だけになったそれを指で弾き、ゴミ箱に落とした。

「お前の言った面白い奴ーー玉内鞠菜•••あいつは、快楽殺人鬼だった」

烏有は静かに告げた。

「五人以上、いや十人は殺してる」

「•••」

「それでだ」

烏有は大鎌をツクヨミの首に突き立てる。

「なんであいつを差し向けた?」

ツクヨミの瞳が、わずかに揺れた気がした。だが口元は動かない。

「••••••俺を殺すためか?なら赤尾リオンの件は嘘か?」

夜気が凍りついた。遠くで犬が吠える声がした。

ツクヨミが口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや•••違うけど?ていうか、"面白い子"って言ったのは玉内鞠菜じゃないけど?」

「•••••え、まじ?」

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