【死神の子】    作:ランハナカマキリ

3 / 16

・主人公情報
背中に入れた刺青は星野ユキが最も好きな言葉。
ユキの死後に自分で背中に入れた。

このせいで気軽に銭湯に行けなくなったためネカフェやラブホのシャワー目当てに入り浸るようになった。

・時系列
ユキがアイを殺す。

ユキが殺連上層部を鏖殺する。

大陸に逃亡する金を集めるために殺連施設を襲う。

烏有と出会う。

一緒に大陸へ。

・原作と変わった箇所
アイの死について、『ファンに刺された』ではなく『誰かに撃ち殺された』になる。
いまだに未解決事件となり、平成最大ミステリーとなる。
貝原亮介はまだ死んでいない。



2

どんでん会とは総勢50名を超える殺し屋会社である。

どんなヤバイ仕事も基本ワンオペのブラック企業である。

(闇社会にブラックもクソもないが)

 

『"殺連"からだ。このガキにかけられてる懸賞金は•••15億円だ』

 

 

 

 

烏有は廃ビルにいた。

 

「しねぇっ!!」

 

後ろからナイフを持った男が走ってくる。

 

烏有は微かに後退り、男の両手で握ったナイフによる刺突をいなし、すれ違い際に顎、鳩尾、股間を蹴り上げた。

ナイフが男の手から滑り落ちて宙を舞う。

 

そのナイフの柄を蹴り上げーー壁の後ろにいたもう一人の刺客の頭に当てる。

 

「ーーっが」

 

目の前から3人のハンドガンを持った男たちが現れて発砲。

 

バンバンバン!!!

 

烏有は壁に向かって走り、その壁を蹴り上がり、天井スレスレに宙返りして銃弾をかわし、一人目の頭を踏んで跳躍。続けて一人目の頭にナイフを投擲、照準を合わそうとする二人目の顔面をトルネードキック、呆然とする三人目を胸を蹴り飛ばし後方に宙返り。

 

「けっ•••三流共が」

 

死体から拾ったハンドガンで頭を狙い•••

 

パン!!!

 

 

 

 

「はいカット〜いいね雪代くん!!」

 

エキストラたちがセットから出て、撮影スタッフが撮ったシーンについて話し始めた。モデルガンをテーブルに置いて椅子に座る烏有の元に監督が小走りでやってきた。

 

「いや〜すごいね君。ほんとに殺し屋だったりして?」

「いやいや・・・そんなわけないですよ」

「んなわけないか〜ははは!!」

 

これはドラマの撮影だった。

あれから、フリルの事務所に入って1ヶ月。

有名俳優の代役、スタントマンとして、少しずつだが名を売り出している。

 

『すごい動きができるスタントマン』

『同じ人間とは思えない殺陣だった』

『本物の殺し屋みたいだった』

 

「君に依頼してよかったよ〜流石天才スタントマン!!」

「はい、今後もよろしくお願いします」

 

スタントマンで売っていくと決めたのは社長のアドバイスがきっかけだ。

 

『貴方運動神経いいのよね?スタントマンやってみない?』

 

スタントマンになるには、高い身体能力と冷静さ、技術習得の意欲、優れたコミュニケーション能力、安全意識などが求められる。また、ダンスや新体操、武術などの技能があると、幅広いアクションシーンに対応できる可能性ができるらしい。

 

そのどれも烏有の得意分野だった。

幼少期から叩き込まれた"技術"。

何処にでも潜り込めるようなコミュニケーション能力。

そしてユキと同じ"才能"。

 

とはいえ手加減を間違えると簡単に人を殺められる。

 

「まぁ•••やりすぎないようにしねぇとな」

 

今回の撮影は好きに暴れてるように見えるが、これでも手を抜いているほうだ。

最初の撮影は大変だった。

 

A『誰だあいつ』

B『新入りだってよ』

C『どうせコネだろ』

D『あとでシメるか』

 

まず共演する同じ事務所の連中に嫌味を言われた。

挨拶したら舌打ちしたりわざと肩をぶつけたり、まるで子供だった。

 

(ムカつくが、こいつらをボコす理由がなーー

 

 

こいつら全員病院送りにしたら俺の仕事増えるのでは?)

 

烏有はそう考えた。

撮影が始まる。

 

内容としては、刑事である主人公たちABCDが犯人を追い詰めるも、犯人に雇われた殺し屋が来て混戦になってしまう。Aが犯人を追いかける間、BCDが殺し屋を食い止めるという流れだ。

 

烏有は殺し屋役ーーまぁ適任と言えば、適任だ。

 

『とまれ動くーーー』

 

静止してるくせに悪意に満ちた顔でニヤニヤしながらリボルバー式拳銃を向けるC。

 

手に持っているリボルバー式拳銃のシリンダーを左手で掴み、撃鉄を右手で押さえる。

 

銃が撃てなくなったら右肘を顎に入れ、左手をCの胸に当てて発勁。

 

『ーーぐふっ』

 

Cが倒れる。

 

Bが拳にメリケンサックをつけて、殴りかかる。

 

『お縄につけ!!』

 

『誰がつくかよ』

 

ここで違和感。

 

(ん?)

 

ヒュン、ヒュン!!

 

(んん?)

 

ヒュウ!!ビュウ!!

 

(あれ•••これ殺し屋混じってないか?

 

今向かってきてるBとDから殺意を感じた。どんでん会に雇われた殺し屋か?まぁ、関係ない。死なない程度に、放送しても問題ないくらいで、ボコす。

 

パンチを紙一重で避け、バク転しながら、下顎を蹴り上げる。

そして崩れたBの水月を踏み台にし、肩に登って顎を膝蹴り。

 

Dがスタンガンを持って突っ込んでくる。

 

『これでとどーー』

 

スタンガンの火花が散る。当たったーーと見せかけてからの、鳩尾への一撃。

 

『ーーっか』

 

 

 

 

『か、カット〜!!雪代くんいいねぇ!!!期待以上だよ!!今後ともよろしく!!!』

 

BとDは気づけばいなくなっており、Cは退職届を出したそうだ。

 

というわけで俺のスタントマン業は順調。

社長から初任給で借りれるマンションを教えてもらい、ネカフェやラブホと野宿を繰り返す生活から脱することができた。

 

なお、体を鈍らせないために毎朝新聞配達と近くの工事現場でバイトをしている。戸籍を手に入れて1番良かったことは正規のバイトができることとーー

 

「死ね!!このクリーニング栗井がーー」

 

死角から放たれた刃物を片手でいなし、捌く。そしてその手首を掴み、前足を一歩後ろに引いて、相手を自分の前に引き摺り落とす。合気の正面打ち入り身投げのアレンジである。

 

気絶した栗井を談話室のゴミ箱にねじ込んだ後、喉の渇きに気付いてエントランス付近の自動販売機の前に立ってミネラルウォーター110円のボタンを押す。

下でガシャんと音が鳴り、ペットボトルを取ろうと思ったその時、視線を感じて振り向いた。

 

「ーーお、気づかれた。雪代くん。調子どう?」

 

自分が芸能事務所に入るきっかけとなった不知火フリルがそこにいた。自販機の隣にある長椅子に座る。するとまるでそこに座るのは当然と言わんばかりに隣に座る。今、日本で1番売れているマルチタレントが隣にいる。もしここが公園で衆人環視の前にいたら烏有はファンに包丁で刺されまくっていただろう。

 

「調子はいい。ていうか、お前バラエティー番組の撮影だったんじゃ?」

「撮影は終わったよ。帰り道にたこ焼き屋寄ろうかなって思ったら定休日で、たまたま君の撮影やってる現場が近かったからマネージャー撒いて会いにきたの」

「・・・1人で来たのか?」

「そ、でも電話したから来るだろうし帰りは大丈夫」

「へー」

「・・・・君に送ってもらおうかな?」

「お断りだ。そんなことして週刊誌に撮られたらどうする?」

「大丈夫だよ。対処マニュアルとかあるし・・・もし撮られても私は大丈夫」

「俺は大丈夫じゃねぇのかよ」

「私の厄介ファンに刺されるかもね」

「はは、死んだら化けてやる」

 

・・・まぁ、そんなことはありえないのだが。

 

「この間勧めたドラマ見た?」

「あれだろ?『今日あま』だろ?」

「そ、どうだった?」

「途中で寝た」

「だよね。私もお姉ちゃんと一緒に観たんだけど、先に眠っちゃった」

「でもまぁ•••勉強にはなったか?俳優する気はないが」

「絶対来なよ。なんなら私が出演してるドラマにねじ込ませようか?」

「•••月9の学生恋愛ドラマだろ?やだね、興味ない」

「へ〜?」

 

ペットボトルのラベルを剥がし、ボトルを資源ゴミ箱に、ラベルを可燃ゴミ箱に捨てる。

 

「正直•••俺はドラマにも、俳優にも、そしてお前にも興味ない。俺は生きてくためにスタントマンしてるだけだ」

 

 

「••••初めてかも」

「は?」

「私の目の前で不知火フリルに興味ないっていう人。多分私の人生の中で君だけじゃないかな」

「へぇ、光栄だな•••あれ、俺ひょっとしてクビにされる?」

「いいや?俄然興味が湧いた。じゃあねーー私のハジメテ貰ったからには責任持って働いてね?」

「おい言い方」

 

 

フリルは迎えにきたマネージャーの運転する車の窓を見つめる。

 

この間のファミレスの時に分かったことがある。

ミートスパゲティーを食べた時、彼はフォークを使っていた。

 

けど最初、スパゲティーが来るまで外を眺めていた彼は、フォークでペン回しをしていた。そしてたまに逆手でフォークを握り、また回す。

これを繰り返していた。

 

彼の癖?それとも体が勝手にそう持つ様になっていた?

 

そしてさっきの撮影でも見せた超人的な殺陣•••

 

「まさかね••••」

 

 

マンションの一室。

窓ガラスを割られ、描いてる途中だった可愛らしい絵とクレヨンが放置されている。

あちこち荒らされたリビングで、青年は電話していた。

 

『聞こえなかったのか?お前に仕事を頼みたい』

「断る・・・俺はオヤジとは違う。殺しなんてしない!」

『命令だ。さもないと、お前のかわいい妹の命はない』

「くっ・・・どんな仕事だ』

 

『ターゲットは"死神"の息子だ。急げよ?殺連はこいつを殺した奴に15億、そして殺連幹部のポストを与えると言っている。どんでん会が成り上がるために、誰よりも早く殺せ!!』

 

「待ってろよ優美。お兄ちゃんが絶対助けるからな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「明日休みか・・・」

烏有はマンションの一室の、何もない部屋の寝袋の中で天井を眺めていた。明日の撮影はない。烏有は高校に通っていないため明日はフリー。

 

「・・・・そうだ」

 

最近会っていなかった知り合いの電話番号に電話をかける。

3コールで相手は電話に出た。

 

『久しぶりだな烏有。まだ生きてるか?』

「よぉ、明日お前の店に行こうと思ってる・・・

 

 

 

 

 

 

俺の武器の進捗は?夏生」





BDの殺し屋•••どんでん会の殺し屋。依頼失敗のため上に殺される。

ACの一般人•••フツーのパンピー。Cは心が折れたがAはまだ芸能界で仕事をしている。

クリーニング栗井•••目を覚ますと記憶喪失に。清掃会社で働いていくうちに『伝説の掃除屋』と呼ばれる実力を身につけることとなる。

フリルのマネージャー•••めっちゃ苦労人。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。