【死神の子】    作:ランハナカマキリ

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今後の流れについて
第1章(最初から恋リアまで)で主人公側になるオリキャラを全員出して、推しの子主要キャラを登場させたい。第2章(2.5次元舞台から高千穂まで)でSAKAMOTODAYSのキャラを出していこうかなと考えてます。なのでORDERと坂本太郎が出てくるのはかなり先かな•••

投稿スペースを月一話投稿は確実で、月二話、できれば三話くらい投稿できたらなと。


・烏有の大鎌について•••大陸で放浪中に壊されてしまい、持ち手部分をただの棒として扱っていた。夏生が武器職人だということを知り、クレープ屋の頭金を出す代わりに大鎌の修理・改良を依頼した。

・大樹のコンパクトボウと仕込み矢
コンパクトボウのイメージは赤色のツインリムコンパウンドボウ。
仕込み矢の種類として、テルミットの熱矢、アシッドの毒矢、グレネードの爆矢、スタンの絶矢など。

・大樹のキャラ設定について
Fateのアーチャーの性格を妹思い(シスコン)にして親しみやすい感じにした感じ。


4

 

その日の夕暮れ、本日休業と書かれた看板が貼られた勢羽クレープの店。

その上の階にある勢羽兄弟の居住エリアにて•••

 

仮眠用のベッドに、大樹は眠っていた。

 

「んぅ•••はっ!?」

「目が覚めたか•••」

 

目の前に、自分が殺そうとして返り討ちにあったはずのターゲットがいた。

 

「っ!?」

「身構えんな。射創が開くぞ」

「おい烏有ーーお、目覚したのか」

 

部屋に入ってきた烏有が、包帯と鎮痛剤を大樹に投げ渡す。

その後ろから夏生が現れる。

 

「お前ら••••何のつもりだ」

「俺らに助けた理由を聞くのは後にしーー「お兄〜!!」

「ぐふぅっっっっ!?」

 

大樹の腹に少女が凄まじい勢いでダイブし、苦悶の声が上がった。

その少女は、どんでん会に人質に取られたはずの妹の未来だった。

 

「げっほーーー未来•••?なんでお前が!?」

「あのね?あっちのお兄ちゃんが怖い人たちボコボコにしてくれたの!!」

「•••嘘だろ、夢じゃ無いよな?」

 

目の前のことが現実と受け止めきれない大樹に、烏有がベッドの隣に座りながらことの顛末を話す。

 

まず自分のスマホからどんでん会の仕業だと知ったこと。

知り合いの情報屋から会社の位置を割り出したこと。

 

「そして•••まぁ妹さんがここにいる時点で察しているだろうが。お前の会社潰した」

「お、おう・・・」

「分かるぜ、こいつイカれてるよな。どんでん会の社員は全員半殺しにして警察署の前に置いてきた。明日にはニュースになってると思うぜ?」

 

夏生が烏有を揶揄い、烏有は満更でも無いような顔をしていた。

 

「••••一つ質問いいか?」

「何?」

 

「なんで俺を助けた?」

「••••人は殺さない。それが母との最期の約束だからだ」

「前科つくのめんどいしな〜」

 

烏有は真面目に、夏生も半ば真面目に質問に答えた。

ふたりの態度についていけずに、大樹はベッドに座り込んだ。

 

 

一方その頃•••

 

「ねぇ〜!一緒にMEMちょの配信見よ!」

「•••?いいぞ?」

未来は完全に烏有に懐いたようだ。

ちなみに烏有はYouTubeをあまり知らない。

 

その時台所から真冬が顔をだす。

 

「兄貴、烏有〜飯だぞ〜」

「お〜すぐ行く。お前も食ってけ」

「は?」

 

「未来ちゃんだっけ。苦手なものは?」

「ピーマン!!」

「ソレはよかった。ピーマンは鍋に不向きだからな」

 

 

数分後、食卓の中心に鍋が置かれて全員分の食器が並べられる。

 

「「「いただきま〜す!!」」」

 

「兄ちゃんポン酢とって」

「ん•••」

 

「•••」

「食わないのか?」

「え?お、おう•••」

 

塩見大樹19歳は、考えることを放棄した。

 

 

みんなで鍋を囲み、勢羽兄弟に見送られながら烏有と大樹は帰路につく。

未来はお腹がいっぱいになったからか、それとも疲れたのか大樹の背中ですやすや寝てしまった。

 

「どんでん会の本部、よく見つけたな」

「•••カフェを経営してる情報屋に教えてもらった。元どんでん会所属の殺し屋だったらしいし、結構簡単だった」

 

実際、どんでん会の主力だった殺し屋コンビのボイルと帯黒の二人は数年前にとある事情*1で殺し屋を引退している。

つまり主力を欠いた殺し屋会社など翼のないハゲワシと同じだ。

カフェを経営してる情報屋•••通称『ボイル』からどんでん会の本部の場所を聞き出し、会社の下っ端から上層部そして社長まで分け隔てなくボコボコにして大樹の妹を救出した。

 

ちなみにカフェの店名は『hard-boiled』である。

 

「もう一度聞くが、なんで俺を助けた?お前の親•••星野ユキの遺言だけじゃないだろ?自分を殺しにきた殺し屋を助けて、殺し屋会社を一人で潰すとか意味分からないことができる訳ないし•••」

「•••質問で返すが、何でお前は会社を裏切らなかった?妹を助けるための方法なんていくらでもあっただろ」

 

「そんなことは••••考えなかった」

「父親が会社を裏切って、逃げる途中に車に轢かれたせいで、向こうには俺らに父親が遺した借金と裏切りの代償があったから•••くっそ、全部父親のせいだよ」

 

今は死んだ父親に対して悪態をつく大樹。

背中で寝てる未来に気を遣ったからか、物に当たりはしなかったがその表情は暗かった。

黙っていた烏有は口を開く。

 

「俺の母親、11年前に子持ちのアイドル殺したらしい」

「おいそれ言って大丈夫か?」

 

先ほどの重苦しい空気が一気に変わった。

 

「旧約聖書のエゼキエル書の第十八章二十節によると"罪を犯す魂は死ぬ。子は父の悪を負わない。父は子の悪を負わない。義人の義はその人に帰し、悪人の悪はその人に帰する"らしい。また申命記二十四章十六節には"父は子のゆえに死に定められず、子は父のゆえに死に定められない。人は、それぞれ自分の罪のゆえに死に定められる"とも」

「••••」

「ぶっちゃけーーー親の罪はお前の罪じゃない。だから気にすんな」

「•••ありがとな」

「ん?おう•••」

 

2人は、お互い背を向け家に向かって帰っていった。

昼間には殺しあった仲なのに、夜には友人のように語らっていた事を思うと非常に可笑しかった。

 

2人の間には奇妙な友情が芽生えていた•••

 

 

 

 

 

 

 

烏有の自宅、マンションのドアの前にて。

 

「•••奇遇だな」

「お前隣の部屋だったのかよ!?」

「むにゃ•••もうおうち?」

 

今日一番の驚きが、大樹を襲った。

 

 

3日後•••烏有は社長に呼び出されていた。

 

「•••貴方は私の予想以上に働いてくれてるし、とても頑張ってるから、私はとっても感謝してるの。けどね、今私が怒っている理由は分かるかしら?」

「••••さぁ」

 

ニッコリ笑いながら眉間に皺を寄せる大宮と、頭の上にハテナを浮かべる烏有。大宮は火山に例えるとするなら、今にも噴火しそうなマグマがドロドロと湧き出す火山のような雰囲気を醸し出していた。後ろに控えていた社長の秘書はその火山弾が自分に振りかからないようにしようと、必死に空気になろうとしていた。一方、烏有は彼女が怒っている理由が分からなかった。本当に分からなかった。なので今までの自分の行動を振り返ることにした。

 

まず、会った初日にハンコを使って契約書を提出した。

 

次に、撮影現場で本職の殺し屋2人を撃退し、本物のアクション俳優を1人辞めさせた。もう1人はまだしぶとくやってるらしい。

 

それからどんでん会の殺し屋、約10名ほどをスタジオや私生活で撃退していた。これに関してはあまり目立たずにやっていたので怒られる心配はないと思う。

 

この前街中での撮影中にひったくり犯を捕まえておばあちゃんに感謝されて•••

 

昨日の騒動は目立たずに慎重にやっていたから、怒ってる理由から除外する。

 

あと、何度かフリルにラーメンを奢ってもらった。

 

 

 

・・・

 

 

 

・・・

 

 

 

「••••心当たりありません」

「数日前、CMの撮影中に街中でひったくり犯のバイクを掴んで止めてTwitterのトレンドになったでしょう?しかもその後にフリルにご飯奢って貰ったそうね?」

 

そういえば、そんなことがあったか。

というかスマホもあんまり使ってないし、そもそものそも基本的には写真か電話しかでしかスマホを使っていない。

情報収集に関することなんて、殺し屋関連の裏アプリや懸賞金サイトの検索にしか使っていない。

 

そもそも自宅として使っているマンションにはWi-Fiがない。

 

社長が見せたTwitterには、バイクのタンデムシートを片手で掴んでいる烏有の姿があった。

 

コメント欄にはいろいろ書かれていた。

 

『何涼しい顔してバイク掴んでられるんだよ』

『ターミネーターか?』

『もはや怪物だね』

『レスリングとかやってます?』

『こいつスタントマンやってるっぽいよ?』

 

「いい?所属タレントは言い換えれば会社の顔なの。今回は良い事をしてTwitterにあげられてるけど•••あまりイメージを変えたり悪影響を与えることはしないでほしいのよ」

「•••はぁ」

 

「それに常日頃から週刊誌に撮られないようにしなさい。あなたはなんてことないかもしれないけど、フリルはそんなことない。写真1枚で、今までのすべてのキャリアが崩れ落ちることになるかもしれないのよ」

 

改めて芸能人(一般人)は大変だなぁと思った。

俺が母親だったら、週刊誌の本社を襲撃して、撮ったやつを半殺しにして••••もしも母さんが現役だったら全社員とその家族も皆殺しにしていただろう。そしてそれに関連する企業、子会社の上層部を皆殺しにして、自分の足枷になるものは全て消していたかもしれない。例の3人と出会う前までは、実際そんな感じだったらしいし、ありえない話じゃないだろう。

 

「•••別に一緒に食事をするなって言ってるわけじゃないわ。フリルも敢えて週刊誌の記者に撮られないような店を選んだようだし。だけど、これからは気をつけなさい」

「不知火と関わんなって言われるのかと思った」

「言おうとしたら•••フリルに『もしそんなこと言ったら私ゴネるよ』って言われて•••」

(ガキっぽいな)

 

想像がたやすい。

 

「••••兎も角、今後は気をつけること。いいわね?」

「分かりました」

「分かってくれたら良いんだけど••••あ、もしもしーー」

 

電話に出る大宮社長を見ながら、烏有は秘書の人に声をかけた。

 

「•••社長って不知火に甘い?」

「••••はい、娘みたいに思ってそうですよね」

 

「何か言ったかしら?」

 

「「いえ全く」」

 

 

ぷるるる•••ピッ!

 

「もしもし『よぉ烏有。お前が俺に頼んだ件なんだが、少し進展あったぜ』まじ?」

 

社長に呼び出された日の午後、会社のビルの非常階段で大樹からの電話に出ていた。大樹には、あの3人の中で1番見つけるのが難しいであろう坂本太郎の情報を集めてもらっていた。坂本太郎は、星野ユキが失踪した数年後に引退したらしく、その後の動向を知るものは全くいない。もしも仮に見つけたとしても、相手はあの伝説の殺し屋、()()()()()()()()()()()()だ。しかも母と同様に元ORDERだったことから、激しい戦闘になるかもしれない。その情報を掴んだと言われたら、迷わず飛びついてしまうだろう。

 

『あくまで噂だけど、5年前に尾久旅付近で見かけたってやつがいたらしいぜ。坂本太郎が引退したのは大体その頃だよな?』

「あぁ•••それ以降は?」

『何にも、坂本太郎のメガネに似たメガネをつけてるやつを見つけたと思ったら、ただのデブだったし。確証のない噂だけど、一般人と結婚して子供まで生まれてるらしいぜ?伝説の殺し屋がそんなことするわけないよなぁ〜』

「だな•••」

 

殺し屋に限らずとも、裏社会の人間は一般社会の人間とは関わらないのが常識である。いざと言う時に襲撃されたら自分たちは防衛できるかもしれないが、相手は違う。しかも一度関わればろくな目に合わないし、かといって抜け出そうとしても完全には抜け出せない。

 

『何か分かったら連絡する。じゃあな親友』

「おう•••••親友?」

 

親友、はじめての言葉に烏有は何とも言えない感情に襲われた。暖かくてふわふわするような、そんな感情。

そんな感情に浸っていた矢先に••••

 

「よっ、烏有くん。こないだぶりだね」

「げっ・・・」

 

先ほどの社長との話に出てきた悪魔が現れた。

 

「『げっ•••』ってひどいな。これでも先輩だよ?フリルせんぱ〜いって呼んで?」

(めんどくせ••••)

 

確かにコイツのおかげで餓死せずに生きている。しかし、フリルとの距離感が近い事は、将来何らかのトラブルを招くだろう。それはおそらく社長も懸念しているだろうし、自分もこのことが自分のスタントマン人生ーーもとい芸能人生に関わるのではないかと思っている。そもそも芸能界に入ってまだ2ヶ月しか経っていないが、今のところ、どんでん会に関わる情報しか手に入っていない。本命のORDERに関する情報も引退した坂本太郎と消息不明の赤尾リオンに関わる情報は全く手に入っていない。

 

あと二、三ヶ月が潮時か•••と考えていると•••

 

「フリルちゃ〜ん!!」

 

2人の目の前の廊下から、赤い髪の、人懐っこそうな顔をした少年が走ってきた。

 

「お、レオンくん久しぶり〜こちらはこないだ話した烏有くん」

「•••君がフリルちゃんの言ってた・・・雪代くんか、()()()()()()宜しくね〜」

「・・・はい」

 

皮肉だ。

機会があれば•••まるで自分とは会えない、共演できないような言い方。

後それから俺と顔を合わせた途端に声のトーンが少し下がって、目が少し細くなった。

会ったばかりだが、コイツのことは好きになれそうにない。

 

「それじゃ〜これからバラエティ番組に出演しないと、またね〜フリルちゃん!!」

「うん、ばいば〜い」

 

烏有は背中を向けて歩いていく彼の背中を見つめ•••瞳を紅く染めて見つめていた。

 

「・・・あいつは?」

「不知火レオン、従兄弟だよ。『スター・キッズ』っていうアイドルグループのセンターやってるの」

「・・・有名?」

「バラエティー番組に引っ張り凧な俳優を、有名というなら有名だよ」

 

烏有には、()()()()が全身を覆っているように見えた。

それが指すのは、激しい嫉妬と憎悪だ。

 

 

変化があったのはーーいや、たいして変化は起きていないのかもしれない。

 

フリルのドラマ撮影を見学したら?というフリル直々のお誘い(無茶振り)にしょうがなく烏有はついていった。

そして撮影スタジオのメイクルームで殺し屋に襲われた。

 

「烏有くん学校はどうするの?」

「来週から陽東高校に編入するってことにはなってる」

「ふ〜ん•••じゃ私が先輩だね」

「•••まだ高校生になって1週間のくせに先輩ズラすんなよ」

 

背後から黒ずくめの男が現れた。

銃口を烏有に向ける。

 

(へっ!!後ろから撃ち殺してやーー)

「寝てろ」

 

バチチチチッ!!!

 

「ーーーう"ぅう!?」

 

化粧中のフリルとの会話途中で、後ろから銃撃しようとしてきた殺し屋を袖の中に隠し持ってた夏生特製小型スタンガンで気絶させた。気絶した男が地面に激突する前に部屋の後ろの壁に置かれていたゴミ箱に突っ込んだ。

 

「ん?今何か言った?」

「•••いや?」

「何か聞こえたんだけど•••気のせいかな」

 

次にメイクルームから出た直後だった。

 

「死ーー」

 

死角から飛んできたナイフ•••

男のナイフが烏有のうなじに突き刺さる寸前ーー2本の指で刃を掴み、投げ返す。

 

「ぐぬっっ」

 

ナイフは男の胸に刺さる。

臓器と動脈をギリギリ避ける神技。

 

頃合いを見計らったように別の殺し屋が、後ろから斧を片手に襲いかかる。

 

「それでは撮影始めま〜す。「テメーーくそーーぐふっ」不知火フリルさん準備は?」

「大丈夫です。ちゃんと見ててよ烏有くん」

「パタン••••おう」

 

フリルが振り返る前に、殺し屋をボコボコにしてロッカーにねじ込む。

撮影セットに入るフリルを見送りながら、サイレンサー付きの拳銃を上に向けて撃つ。

 

 

 

ドタ••••

 

天井にいた殺し屋が、ゴム弾で頭を撃たれて気絶していた。

 

「••••コイツら、何者だ?」

黒いマスクにEと書かれたネックレスをつけている殺し屋たちを、とりあえずゴミ捨て場に捨てようと烏有は考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこか、薄暗い地下室にて•••

 

「•••ドクター、先遣隊がやられました」

「ふふ、予想通りだよ。前から調べていた()()()()()()()についてはどうなってる?」

「現時点で外部委託者の手によって一族はほぼ全滅。製法を知る最後の1人ーー()()は現在逃走中とのことです」

 

「そうか••••もう少し、あともう少しだよ•••梨沙」

「••••」

 

*1
ユキが死ぬ少し前、ボイル・帯黒コンビが烏有とユキの隠れ家を襲撃し反撃に遭う。その際にボイルは自分の本音と限界を知ったため引退。帯黒はボイルを追いかけて引退。





・今の時系列は?

3月上旬
フリルにスカウトされる。
スタントマンとして芸能界デビュー。

4月上旬
大樹に襲撃、どんでん会壊滅。
謎の集団に襲撃される。←今ここ!!
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