【死神の子】    作:ランハナカマキリ

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・大家への説明
朧について、『生き別れの弟』と言ったら信じた。

・MEMちょとはその後•••
朧と連絡先を交換した。




今回はちょっと短めかも•••


6

あれから4日、殺し屋は来ず、3人は平和な1日を過ごしていた。

明日、尋問先から報告があると聞いた大樹は前の日から準備をしていた。

 

一方、烏有は朧に近接格闘術を手解きしていた。

 

「はい終わり。隙を見せすぎ、武器主体すぎ」

「げっほ、げっほーーーテメェ殺す気かよ?」

 

 

 

マンションの屋上、日差しが照りつける中。

 

汗だくでコンクリートの床にぶっ倒れる朧と涼しげな顔で朧を見下ろす烏有がいた。

 

「いざという時、体が動いた方がいいだろ」

「••••今までも戦ってきたんだぞ」

 

「戦ってきたんじゃない。戦えてきた、だ。武器に頼ってるようじゃ早死にするぞ」

「ーーーっ」

 

「んじゃもう一回。今度は素手で戦ってやる」

「舐めやがって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、6戦6勝で烏有が勝った。

 

 

翌日

 

『鷹梨クリニック』と書かれた診療所にて。

学校に行った烏有と家にいる朧の代わりに診療所にやってきた大樹は1人の痩せた男と面会していた。

 

その男は長髪で、無精髭を生やし見るからに職場に缶詰めな人種だった。

 

「お〜す。調子いいか?仁太先生」

「•••おぉ、こちとら禁煙18年3ヶ月20日目だぜ•••」

 

小鳥遊 仁太(たかなし じんた)

町外れのボロい診療所を運営し、治療を行っている一方で、捉えられた殺し屋の尋問をしているいわゆる尋問屋である。

この間拘束したニンニンマンの尋問の成果を聞きに来たのだ。

 

「尋問は上手く行った。ただのビタミン注射を猛毒入り注射だってハッタリかましてやったら、やっこさん色々なこと話してくれたぜ」

 

どうやら、尋問自体は簡単に終わったようだ。

普段なら彼の目の隈がもっと深いのだが、少し薄まっている。

 

「まず•••奴を雇ったのは殺連非公認の研究所だ。名前は、『エンジニアの遊び場』だ。もちろん検索してみたが何にもヒットしなかった。だが情報はもっとある。お前が前に渡してくれたEのネックレスは、その研究所の下っ端どもの標準装備らしい」

「つまり、烏有と朧はイカれ科学者どもに目をつけられてるってことか?」

「問題なのは、お前らが預かってる朧ってガキは兎も角、なんで死神坊主が理系オタクどもに目をつけられたのかって話だな•••」

「朧が一番重要じゃね〜の?いや、俺らは朧から話を聞いただけで、薬を飲んだやつが本当に生き返るのかは見てないからな?正直怪しいぜ?」

 

小鳥遊は無精髭の生えた顎をさすりながら、パソコンのキーボードに手を伸ばす。

 

「死者蘇生の薬って聞いた時は、少し驚いたさ。

だが、正直言って••••••ありえない話じゃない。

 

俺は、死産だったはずの赤ん坊が目の前で息を吹き返したのをこの目で見たことがある。

心臓も停止して、脳波も無かった•••それなのに赤ん坊は棺桶の中で産声をあげたんだ。

 

世の中には人の常識じゃ測りきれないモノがある。

•••そういう薬があってもおかしくない」

 

まるで医者にあるまじきセリフを吐き、ニコチン不足で震える手を、もう片方の手でぎゅっと握る。

人の常識では、測りきれないものをオカルトと呼ぶ。

 

それが彼の見解だった。

 

「••••そういや噂で、殺連はモノホンの占い師を抱えてるって聞いたことがあるな。それに烏有も、人の中に炎が見えるとか言ってた」

「ーーん?もしかして、それが理系オタクどもに狙われてる理由なんじゃねぇか?」

 

 

その日の午後、烏有はドラマの撮影を終えて帰路に着いていた。

電話が鳴り、烏有はスマホの通話ボタンを押す。

 

相手は大樹だった。

 

「おい烏有、今話せるか?」

「・・・どうした」

「朧が出て行っちまった・・・」

 

机の上には朧の書いた置き手紙があった。

 

『烏有と大樹へ。

この5日間、とてもお世話になりました。

本当に感謝してます。

 

けど、また、周りの人を失うんじゃないか。

そう思うと、夜も眠れないんです。

 

実際にこの5日間で、安眠する事はできなかった。

あなたたちのせいじゃありません。

これは自分の問題です。

 

あなたたちが強いのはわかるけど、この問題にみんなを巻き込みたくない。

 

体術を教えてくれてありがとう。

今までありがとう。

さようなら。

 

追伸、秘薬をあげます。

水と一緒に飲むんじゃなくて、そのまま飲み込んでください』

 

「•••探すぞ」

 

 

朧は町を小走りに歩いていた。

 

家出当然で烏有のマンションを飛び出したのは、手紙に書いてあったことがすべての理由である。

それを狙ったものがいた。

 

「貴方が鳳 朧ですね」

「っ!?」

 

ガキンッ!!!

 

「〜〜〜っ!!いぃぃぃぃ!!!??」

「声のする方への跳び後ろ蹴り•••流石ですね」

 

妥当な攻撃だ。わずか3日間の間に学んだ体術で、これ以上の最善を高望みをするには失礼なほどだった。

そう、完璧なはずだった。

 

 

 

 

相手が、()()()()()()•••

 

「なんだよお前ーー腹に鉄板でも入れてんのか••••!?」

「•••その質問には答えられません」

 

真っ白な喪服のドレスに身を包み、金髪の髪と不自然なほどに青い瞳と彫刻のような白い肌を、モーニングベールで隠した女は朧の襟を乱雑につかみ、少し離れたところに止めてあるバンへと引き摺って行った。その間に人の目につく道を行ったのだが、彼女はそんなことさえ気にしなかった。朧は抵抗を続けるが、女は彼を持ち上げ、地面へと勢いよく叩きつけた。

 

「ぐぅっっーー!!?」

 

ビシビシとヒビの入った氷のように、地面に亀裂が入った。朧は激痛に表情を歪めるが、彼女はスンとも表情を変えなかった。

まるで冷たい仮面をかぶっているかのように。

 

「ターゲットを回収しました。後部扉を開けてください」

「りょうか〜い」

 

バンの後部扉が開き、その中に朧を無作為に投げ入れる。

 

「ーーっう!!」

「ま〜た乱暴にやっちゃって〜•••ちゃんと生きてるよね?」

「呼吸、脈はあります」

「でもさぁ、もうちょっと人の扱いを覚えたほうがいいよ?もっと優しくやりなよ」

「わかりました」

 

「ーーっ、何だよ•••お前、は?」

「その質問にはーー「答えてあげなよぉ」ーー"エンジニアの遊び場"所属、大和田リサです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烏有と大樹がその場にやってきたのは、数分後だった。

大樹は殺し屋時代に鍛えられた観察眼で周辺にある足跡から、この間買った朧の靴を見つけだした。

 

「・・・間違いねぇ、あいつの靴跡だ。ここでジャンプして後ろに飛び蹴りしたんだ。そして何かがあって地面に倒れて・・・あそこまで引き摺られた」

 

あそこ、と指を指すのは、少し離れたところにあるパーキングエリアだった。

 

「車に乗せたか•••」

「どうする?何処に連れて行かれたのかーー「5km、南西を移動中・・・多分高速道路を通ってる」ーーなんで分かるんだよ」

 

烏有はスマホ画面を大樹に見せる。

そこには小さな点が高速道路を移動しているのが映っていた。

 

「あいつの靴にGPSを仕込んだ」

「・・・おまえマジかよ」

「因みに俺とお前の靴にも入れてんぞ」

「マジかよ!?」

 

 

 

 

もし、朧が敵にさらわれたらどうするのか。

烏有はその答えを最初から出していた。

 

「•••助けに行くぞ」

「勢羽に電話するか?」

「一応••••だが、あいつが着く前に事を済ませるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

とある研究所、その牢獄にて。

白衣を着た男と、牢獄に入った朧がいた。

 

「助けが来ると思ってるのかい?」

「•••••別に」

「だろうね。殺し屋はモラル・ハザードを地で行く人種だ」

「っ•••」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モラル・ハザードという言葉を知っているだろうか。

 

2007年4月1日に中華人民共和国の南京地区裁判所にて、転倒した老人が自らを助けた男性に損害賠償を求める訴えを起こし、この裁判で訴えが認められた。この事件は『彭宇事件』と呼ばれ中国社会に大きな影響を与えた。

この事件以降、中国国内では人助けを行うリスクという懸念から、道路上で倒れている人を見捨てるようになり、遂には見殺しにする事態が発生するまでに影響した。

 

 

モラル・ハザードとは倫理の欠如、つまり倫理観や道徳的節度がなくなって社会的な責任を果たさないことである。

 

 

『っていうのが、この言葉の一つ目の意味•••まぁ、他にも意味はあるから安易に使わないほうがいいわね』

『〜〜〜っっっ!!?かっは・・・・!!?』

『ほら立て•••内臓破裂するまで授業(心理学コンバット)は続けるわよ?』

 

星野ユキ考案『心理学コンバット』

一講義中にユキと格闘戦をし、その間に一撃を入れられないと講義終了後にナイフまたは拳銃で一回攻撃される。

尚、内臓が破裂するほどの重傷を負わないとリタイアできない。

 

烏有曰く『あの人頭とか心臓狙ってくるし、俺じゃなかったら死んでる』

 

 

「まさかここにたどり着くとはな•••」

「東京宇宙開発博物館•••一般人も多いな」

 

この博物館には一般の入場者も多く来館していた。怪しい組織がここにいるとは誰も思っていないだろう。

烏有たちは博物館を取り囲む森林の木の上から、敵陣を覗いていた。

 

館内には一般人も多いが、博物館スタッフに扮した警備員が大勢いる。正面突破で攻め込んだとしても数の暴力で手こずるだろうしその間に逃げられたら本末転倒だ。そして騒ぎになって、もし警察に捕まったり写真を撮られでもしたらコッチは会社から多額の違約金を請求されてしまうだろう。

 

それに館内以外でも警備は多い。

屋上には4名ほど警備員が見張っていた。

 

「こちら屋外班、今のところ異常はありまーー」

シュトッ!!

「ん?どうしーー」

シュトッ!!

「俺帰ったら彼女に告白するんだっーー」

シュトッ!!

「いや、フラグ作んな•••あれ?どこーー」

シュトッ!!!

 

だが、大樹の弓の前ではただのカカシだ。

 

「相変わらず凄まじい腕だな•••本当に死んでないんだろうな?」

「信じてねぇのな•••勢羽に頼んで特注の麻酔矢を作ってもらったんだぜ?•••料金は高かったけどな」

 

気絶した警備員の服を脱がし、大樹は警備員に変装する。

 

「本当に()()()()でいいのか?無謀じゃないのか?」

 

烏有は小馬鹿にしたように笑い、言った。

 

「かのフランス革命の軍人ナポレオンは言った•••"じっくり考えろ。しかし、行動する時が来たら、考えるのをやめて、進め"と」

 

 

 

 

「俺ができると考え、判断した。これ以上の理由がいるか?」

 

 





・現在の烏有のレーダーチャートは?
タレント力 D
バラエティ力 未知数
ネット・SNS C
話題性 D
役者 未知数
楽曲 D
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