進め!NERV所属 第零号艦隊   作:園里K元杜

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初投稿です。
礼号作戦がイベント海域ということなので、書き溜めていたものを少しづつ。



第1話 小笠原諸島東方沖、マルハチサンマル。

「2時の方向、敵艦隊見ゆ。砲戦、用意。」

「こっちでも見えているわ! 大淀やるわよ!用意!撃ぇー!」

 

赤い海に浮かぶ大中小3つの影法師。そこから一瞬の閃光と轟音が発せられ彼女らの進路に表れた黒い浮遊物を次々と破壊していく。

 

「ったく、わたし霞が旗艦なのに射程距離の関係で見ているだけなんてバカみたい。」

そうつぶやいた小さい影法師に中くらいの影法師が振り返るとニコリと笑って

 

「戦闘終了です。戦果イ級3、撃破。」

 

つづいて大きい方の影法師が

「だって私、足柄がいるんだもの! 当然の結果よね!大勝利!」

と右手でピースサイン、左手では物足りなさそうに主砲の20.3cm連装砲を振り回している。

 

3人の表情には緊張感は見られない代わりに疲労の上から高揚感を塗り重ねたような、いや目の下のクマは隠せていないが心の底から楽しんでいる明るさがあった。

 

「これなら南鳥にお昼前には着けそうね。進路そのまま、ついてらっしゃい!」

 

先頭を行く旗艦は駆逐艦霞、随伴艦に重巡洋艦足柄、軽巡洋艦大淀の3人からなるデコボコ艦隊は、日本の東のはてを目指して進んでいた。

 

セカンドインパクト後、赤く染まった海に生物はいない。南極に隕石が落下、大爆発して氷が解けて海面が上昇したのは周知のことであるが、それだけで海が赤くなるはずがない。これには先ほど3人が対峙した深海棲艦の出現も関与していると言われている。調査は進められているが公式には何の発表もなく、NERV本部の一部の関係者のみが情報を掌握している。

 

ポツポツと表れる深海棲艦を倒しながら基地から2000km離れた南鳥まで丸2日。途中、父島で休息と補給をしたとはいえ流石の3人も疲れが出始めていた。ようやく水平線の彼方にトラス構造のタワーが見えてくると、大淀の通信機が電波をキャッチした。

 

「南鳥基地から入電。キヨシモガ タベスギタ。クスリ タノム。」

「第1声がそれって、相当ピンチなようね。急ぐわよ!」

「あー、もう、バカばっかり!ドカ食いの清霜も挨拶もよこさない朝霜も!大淀、返信しておいて」

「はいはい、ブレイモノ カスミチャン オイカリナリ。カンミ ヨウイサレタシ。っと」

 

真面目な顔つきでそんな内容を送る大淀と、顔を赤くする霞を置いて足柄は一足先に南鳥基地へ入った。

 

ステンレス製グレーチングのタラップを昇りながら上を見上げると1段上のフロアから銀髪の少女-さっきの電信の発信者だ-がギザ歯を見せながら口をパクパクしているのが目に入った。しかし、何を言っているのかよく聞こえない。海の孤島特有の波音と強風、そして基地中央から響いてくる轟音のせいだ。手旗でも使ってくれればと思ったその時気が付いた。口パクモールス信号だ。

 

「オオヒロマヘ ドウゾ」

 

返事の代わりにウインクを飛ばすと、いわれた通り基地を半周して居住区のドアを開ける。ひと月ぶりの南鳥基地艦娘ロビーである。

 

「ひさしぶりね!朝霜。元気してた?背伸びた?」

「おぅ、ちょびっとな。さすが違いが判る足柄さんだな!」

「じょ、冗談で言ったつもりだったんだけど・・・」

「あたいも冗談さ。」

 

8畳ほどのロビーは防音、冷房完備で快適そのもの。テーブル、長椅子、スチールラックに入りきっていない段ボール、通信装置のスパゲティコード。過酷な洋上から屋内へ入った直後の快感がだんだん薄れ、片づけをしたくてうずうずしだしてしまう。そして急病人の姿が見当たらない。

 

とりあえず艤装品の内ポケットから薬箱を取り出すと朝霜が待っていましたと飛びついて上を見ながら

 

「清霜、よろこべ!那智さんと毎晩飲みに付き合わされる足柄さんの胃腸薬コレクションだぞ!」

 

と大はしゃぎしている。視線の先を見るといつの間にかロフトが出来上がっていて、そこに毛布にくるまった清霜がいるようだ。

 

「それじゃあ、清霜の事は頼んだわよ。私はキッチン借りてお昼の準備するわね。」

 

足柄が真っ先に基地に入ったのは清霜の事もあるが、キッチンを占領するためでもあった。

向かいの壁ののれんの向こうへ足柄が姿を消すと入れ替わりで大淀と霞が入ってきた。ここにロフトから降りてきた清霜が加わると、だいぶロビーは狭くなった。女子4人が再会を果たすとお決まりのガールズトークがさく裂。清霜も薬のおかげでだいぶマシになったところで腹痛の原因の話題となり、3人が到着する前に胃の中に隠してしまっておきたかった中途半端な数のカップケーキをドカ食いしたことが発覚。霞のバカ発言7連発とともに大淀の日誌に記録された。

 

のれんのすき間から顔が現れた。

 

「お昼はカツサンドよ!」

 

キッチンからホカホカ料理を片手に現れたノリノリの足柄に4人がツッコむ。

 

「「腹痛の病み上がりに食わせる飯じゃねぇ!!」」

 

足柄の胃腸薬コレクションがやたら充実しているのは、アルコールだけでなく脂っこい食事にも対応させるためということを全員が思い出した。薬というのは使う機会がないのが一番であるが、これだけ豊富にあるということはそれだけ機会が多かったことを暗に示すのであった。

 




あとがきで少しずつ設定を補足する予定

【用語解説】南鳥海山
かつて南鳥島と呼ばれた場所。セカンドインパクト後に海中に沈んでしまい、名称が変更になった。島内にあった工場を移転した洋上プラットフォームが建設されている。小笠原諸島が日本の最南端の陸地になった。
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