懐刀のコマタナさん   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。活動報告で書きましたが絶賛コロナにかかっておりダウンしてました。まだ回復してないけど書かない方がつらい。

今回はコマタナさんの格上との対決。楽しんでいただけたら幸いです。


せいなるつるぎだよコマタナさん

 視線を向ける。我が聖域たる森にて闘いを行い、そして勝利を納めた者たちが森から去っていくのを見守る。あの少女は、心優しく理知的な者だ。一緒にいた男は、ジムリーダーと呼ばれるものの一人だろう。ずば抜けた指示力、相手が上回っていただけで、その腕は見事という他ないほど素晴らしかった。

 

 

あの二人組は、森の生態系を破壊せし者たちだったが、それも自然の摂理だと断じて、せめて被害が出ぬように見守っていた。それが打破されるとは、驚くべきことだ。私とて無傷で倒すのは難しい相手だった。

 

 

 デスカーンによく似たものも強力無比であったが、特にあのコマタナ。あの体格差であの二体と渡り合える実力。ただのコマタナではあるまい。恐らくあの強力なポケモンたちが跋扈するこの地方の禁域に生息する者たちの一匹か。そういえばあそこには、凄まじき進化を果たしたキリキザンがいたな……、コバルオンの様な精神力、私の様なスピード、テラキオンの様なパワーを兼ね備えた【究極の刃】あやつを思い出す。いつだったか勝負を挑んできてテラキオンと張り合って相討ちに持って行っていたか。奴の面影を感じる、息子か?

 

 

 故に、試してみたくなった。コバルオンには迂闊に人前に顔を出すな、と言われているが。あれほどの強者を前にして試し斬りしたくない剣士などいないはずだ。故に私は、彼らを追って森を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカイアローブリッジ。ヤグルマの森及びシッポウシティとヒウンシティを繋ぐ、世界で一番長いと謳われる橋。ヤグルマのもり側から時計回りに270°のカーブの坂道を経て、そこから一直線にヒウンシティまで続いている、そこに。コマタナさんを両手で抱え頭にメラルバを乗せたソハヤと、それを見て心配そうな視線を向けながら同行するアーティが歩いていた。

 

 

「だ、大丈夫かい?男の僕ならともかく少女の君にはメラルバは結構重いよ…?」

 

「だ、大丈夫です……コマタナさんいつも持っているのでパワーはあります…!」ゴキィ

 

「今大丈夫じゃない音がしたよね?」

 

「ナタッ……」

 

 

 強がるソハヤに呆れた声を上げるコマタナさん。新しい仲間が増えてはしゃいでる主人のことは微笑ましいが、それで首を痛めたら洒落にならない。そう伝えようと窘めようとして。一陣の風が舞った。

 

 

「え?」

 

「なっ?」

 

「ルバ?」

 

「……ナタッ」

 

「……」

 

 

 そこに立っていたのは、四足歩行のポケモンだった。高身長なアーティすら優に超える巨体に、明るい緑を基調とした細身な体。左右に突き出した刃状のツノによるブーメランの様な頭部や、長い首から左右一枚ずつ生えた葉が目立つ。その鋭き視線は二人を射抜いて見下ろしていた。

 

 

「そんな、まさか君は……ビリジオンか!?」

 

「ビリジオンって、アーティさんの言っていた伝説の…!?」

 

「ききゅああああーっ!」

 

 

 咆哮を上げ、その衝撃波が疾風となって吹き荒れ、ソハヤとアーティはその場にとどまりなんか耐えていると、コマタナさんがソハヤの腕から抜け出して橋の中央に立ち、身構える。それを見下ろして不敵に笑うビリジオン。

 

 

「まさか、目的はコマタナさん?」

 

「そうみたいだね……君のコマタナなら大丈夫だ!僕たちは離れよう!」

 

 

 アーティはハハコモリを出してソハヤと己を守りながら奥に進むことで退避。十数メートル離れたスカイアローブリッジの中心で、コマタナさんとビリジオンは睨み合う。

 

 

「…ナタ、ナタッ(強いな、お前)

 

ききゅああああっ……(一つだけ問いましょう)

 

ナタッ(なんだ?)

 

ききゅあああっ……(貴方の親は、黄金のキリキザンか?)

 

ナタナタッ(生憎と、アレはキリキザンではないな)

 

ききゅああっ(そうか。では、参る)!!」

 

 

 刃を構えるコマタナ。頭部から黄緑色に光り輝くエネルギーの刃を展開するビリジオン。同時に足場を蹴り、刃と刃が激突する。巨大な吊り橋・斜張橋であるスカイアローブリッジが大きく揺れ、ソハヤとアーティは咄嗟に手すりに掴まった。

 

 

「ファンタスティック…!できることなら構図に納めたい!」

 

「言ってる場合ですか!?コマタナさん…!」

 

 

 風圧で吹き飛ばされそうになっているメラルバを抱えながら、コマタナさんを見やるソハヤ。コマタナさんは“ロックカット”で素早くなり、橋の支柱を蹴って空に舞い上がって空中から刃を振り下ろし、ビリジオンはその場で留まったまま首だけを振るってコマタナさんを弾き飛ばし、隙あらば“はっぱカッター”で攻撃。吹き飛ばされたコマタナさんは空中で刃を振るってはっぱカッターを斬り飛ばし、手すりに着地。

 

 

「ナタッ」

 

 

 スタタタタッと駆け抜けてビリジオンの横を抜けると、巨体のビリジオンが橋の上では振り向くのも難しいのを利用して背後から首を狙って“つじぎり”を仕掛けるコマタナさん。しかしビリジオンは大きく跳躍することで回避、空中に舞わせた“はっぱカッター”を足場にして宙を駆り、旋回して上空から勢いよくコマタナさんに斬りかかる。

 

 

「ナタッ!!」

 

 

 ビリジオンの叩きつけた刃を“アイアンヘッド”で受け止めるコマタナさん。しかし体格差から押し込まれ、スカイアローブリッジがぐらぐらと揺れる。すると蟹股で何とか耐えていたコマタナさん、“みがわり”を発動してそれを盾に大きく後退。“みがわり”人形が真っ二つに切り裂かれて宙を舞った。コマタナさんにとって、戦術を知る者(アロエ)とも、めんどうな相手(デスバーン)でも、ましてや組むことで厄介になっていた相手(ケッキングとペンドラー)でもない、完全な格上。それが、このビリジオンだった。

 

 

「ナタッ……」

 

「ききゅあああっ!」

 

 

 “エナジーボール”がビリジオンの目の前に展開されたと思えば、ビリジオンは素早く頭を振るって“エナジーボール”を斬り刻み、草エネルギーの手裏剣として発射。質量が減って速度が上がったそれを、コマタナさんは宙返りで回避。したところに、空中に先回りしていたビリジオンの振り下ろしを受けてスカイアローブリッジに叩きつけられた。しかしギリギリ刃を交差して受け止めていたコマタナさん。お返しに“かまいたち”で攻撃。ビリジオンは宙を蹴って回避すると、“はっぱカッター”の雨を降らしてくる。それは、回避しようのない刃の雨霰。それに対し、コマタナさんはグググッと身構えた。

 

 

コマタナさんの“つるぎのまい”

 

 

 本来は攻撃力をぐーんと上げるだけの“つるぎのまい”それを、コマタナさんが使うと、刃をドームを描く様に振るって真空を作り上げる防御手段へと変化する。自らに降り注ぐ“はっぱカッター”の(ことごと)くを斬り刻んでいくコマタナさん。しかし、それを目暗ましにして、ビリジオンが目の前まで迫っていることには、気付かなかった。

 

 

「ナタッ…!?」

 

ききゅあああああっ!!(我が真の剣、受けれるか!)

 

 

ビリジオンの“せいなるつるぎ”

 

 

こうかはばつぐんだ!!

 

 

 

 “はっぱカッター”を囮に溜めに要する時間を稼ぎ、放たれたのは極大の大きさにまで膨れ上がった光の剣。ビリジオンは自らとここまで渡り合える好敵手を前に冷静さを失っていた。スカイアローブリッジごと斬り裂かんと迫るそれを、コマタナさんは呆けた頭をフルに回転させ、一瞬でそれが主を害するものだと判断。

 

 

「ナッッタ…ァアアアアアアッ!!」

 

 

 咄嗟に自らの最大の技たる“つじぎり”を未完成の構えのままで放ち、受け止めた上で斬り弾いて見せた。弾かれたビリジオンは我に返り、慌てて“せいなるつるぎ”を解除すると、身構えるコマタナさんの目の前に降り立った。

 

 

「……ナタッ……」

 

「ききゅああああ……」

 

 

 そのまま俯せに倒れ伏したコマタナさんに、ビリジオンは敬意を表すように頭を下げると、そのまま“はっぱカッター”を蹴ってヤグルマの森方面に空を駆けていった。

 

 

「……完全に腕試し、のようだったね。しかしアレを弾くとは、なんて力だ……」

 

「コマタナさん!」

 

 

 慌ててメラルバと共にコマタナさんに駆け寄るソハヤ。気を失ったコマタナさんを抱えて、慌ててスカイアローブリッジを抜けるのだった。その先は、ついにヒウンシティである。




今作のビリジオンは冷静だけど熱いものがあるタイプとして書いてます。


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