懐刀のコマタナさん   作:放仮ごdz

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どうも、まだコロナの後遺症に苦しめられてる放仮ごです。今回はクロスオーバー?回となります。自作品のキャラが出るのはクロスオーバーというのだろうか。

今回は拙作「ポケットモンスター蟲【本編完結】」からとあるキャラが登場。楽しんでいただけたら幸いです。


大都会だよコマタナさん

「ナタッ」

 

 

 目を覚ます。見覚えのある機械が並んでいる、白を基調とした部屋。ポケモンセンターの治療室だとわかって、ベッドから飛び降りる。時計を見る。午前二時。どうやら外は深夜らしい。自分があのビリジオンと戦って倒れたのは夕方ぐらいだったので、結構気絶していたことになる。こんな時間だとジョーイさんも自分が起きたことに気付くのは時間がかかるだろうと断じて、コマタナさんはひょこひょこ歩き、ぴょんっと跳ねてスイッチを蹴ることで扉を開けて、それを繰り返してポケモンセンターの外に出た。風に、当たりたかったのだ。

 

 

「ナタッ……」

 

 

 外に出ると、そこは港に面した道路で。埠頭に出ると、海風が心地よく感じた。そして思い出す。この風に乗って、あのビリジオンは現れたのだと。強かった。自分が相手した中で二番目の強さだと確信している。自分も遠いところまで来た自覚はあったが、世界にはまだまだあれほどの強者がいる。そう知れただけでも、得難い経験だった。

 

 

「ナタッ…!?」

 

 

 そして戻ろうと振り返り目にしたのは、煌びやかな大都会。ソウリュウシティの輝きしか知らないコマタナさんの目には、それは眩く輝いていて。ふらふらと、引き寄せられるのも無理のないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝った。勝った。勝った。負けた。勝った。勝った。勝った。勝った。サンヨウシティに生まれて、10数年。敗北したのは後にも先にもあの一度だけだ。

 

 トウヤ。イッシュ地方のチャンピオンになり得るはずだった少年。チャンピオン・アデクを先にNに倒されて、そのNを打倒しゲーチスの野望を打ち破ったのち、チャンピオンを辞退して新たな旅に出た男。一年前のあの日、まだ旅の途中だったトウヤを相手に挑んで、負けた。この上なく負けた。完敗だった。ただ負けただけじゃない。その時考えうる限りの最強のメンバーで、全力で挑んで、それで一方的に敗北して、「弱い」と告げられた。あまりの屈辱に俺は折れた。主人公には勝てないと思い知らされ、俺は今日も無気力にヒウンシティをふら付いている。

 

 

「……はあ。なにしてるんだ、俺は……」

 

 

 カフェ「憩いの調べ」を出た先でゴミ袋に引っかかって転倒し、路地裏を見上げてため息を吐く。みじめだ。能力で順風満帆な生活を送るはずだったのに、今や底辺そのもの。ゴミにまみれるのがふさわしいってことか…?

 

 

「はあ……うん?」

 

「ヤブクロウ……」

 

「………」

 

 

 はて。ゴミ袋が動いたような。酒は飲んでないが酔っぱらったのかな?と目を擦る。ゴミ袋と目が合った。

 

 

「う、うわああああ!?」

 

「ヤブクロウ!!!」

 

 

 そこにいたのは、ゴミ袋じゃなかった。ゴミぶくろポケモン、ヤブクロン。それが数匹。見た目通りゴミ袋と産業廃棄物が化学変化を起こして生まれたポケモンだと言われている。ゴミが好物であり主食であり、燃える・燃えない問わずゴミに満ちた不衛生な場所を好み、ゴミ捨て場やゴミ箱の中にいる事が多く、ゴミをポイ捨てしようとする人間を見つけると自分によこせとばかりに追いかけ回してくる、それを踏み潰してしまったらしい。最悪だ。

 

 

「く、くそっ……ゼブライカ、ゾロアーク……は宿に置いてきたんだった!?」

 

 

 あまりに惨めな自分を見せたくなくて相棒たちを置いてきたのを今更になって思い出す。やばい。身体能力には自信があるが、この状況はやばい、既に吸ってしまった。ヤブクロンは食ったゴミを即体内で栄養となる毒素に分解されるのだが、悪臭のどくガスも発生する。それは息やゲップとして常に口から漏れ出ており、満腹になるとほぼ確実に吐き出すそれは、人間や多くのポケモンにとっては有害で、吸ってしまうと一週間も寝込んでしまい、最悪入院レベルというほど体に悪いものだ。幼い子供だと命に関わるほどらしい。

 

 

「くそっ、げほっ、ごほっ!?」

 

 

 怒っているヤブクロンに囲まれたうえで、その毒ガスを迂闊に大量に吸ってしまった。眩暈が……こんなところで、俺は死ぬのか……。

 

 

「ナタッ!」

 

 

 そこに、なにかが反射して煌めいた。それは電灯を反射する鋼の刃であり、鋭く素早く振るわれて、ヤブクロン達を斬り捨てる。目が眩みながらも目にしたのは、通常よりも小柄なコマタナだった。ソウリュウシティ付近に生息するはずのそれがヒウンシティにいるはずもない。トレーナーの手持ちか?と思考がグルグル回る。駄目だ、気持ち悪くなってきた。視界の端でヤブクロン達が逃げていくのが見えた。思わず安堵して、すぐに目を見開いた。

 

 

「ダストダァアアアスッ!!!」

 

「……嘘だろ」

 

 

 逃げたヤブクロン達が路地裏の物陰から連れてきたのは、路地裏を埋め尽くさんばかりの巨体を誇るごみすてばポケモン、ダストダス。それはコマタナを見下ろすと、見る見るうちにただでさえ大きい巨体が膨らんでいく。恐らく、“たくわえる”だ。

 

 

「まずい……!?」

 

「ナタッ」

 

 

 そして二段階たくわえてからの“はきだす”が放たれた。それは凄まじい勢いで跳躍したコマタナが今の今までいた場所に着弾、シューシューと融解して煙が上る。あんなの喰らったら。死ぬ…!?

 

 

「ダストダァアアアアスッッ!!!」

 

 

 再び“たくわえる”からの“のしかかり”。このダストダス、はがねタイプに無効のどく技を覚えているだろうに使わない。隙を見せたくないからだ。かなり戦い慣れている…!

 

 

「ナタッ!」

 

 

 その“のしかかり”を、コマタナは壁を蹴って上に跳躍することで回避、縦に高速回転したかと思えば、“かかとおとし”としか思えない一撃を頭頂部に叩き込んだ。コマタナは覚えないはずの技に唖然としていると、それでも立ち続けるダストダス。恐らく“のみこむ”で回復したんだ。

 

 

「ダストダアスッ!!!」

 

 

 “10まんボルト”が放たれるがしかし、コマタナは宙返りで回避。それどころか刃を掲げて電撃を受け止めると、刃に帯電。そのまま赤熱する右手の刃を構えて、再び“たくわえる”からの“のしかかり”を行ったダストダスに対して身構え、一閃。赤熱する刃がダストダスの胴体に突き刺さり、大きく抉り裂いた。

 

 

「ダアアアス!?」

 

「ナタッ」

 

 

 驚愕の表情を浮かべて崩れ落ちるダストダスと、それに駆け寄るヤブクロン達。ヤブクロン達はこちらを睨みつけると、そのままダストダスを引きずって路地裏に消えていった。恐らく下水道にでも逃げたのだろう。すると、足音が聞こえた。

 

 

「なんかすごい音がしたかと思ったら……コマタナさん!こんなところにいた!」

 

 

 振り向くと、小綺麗な格好の少女がいて。コマタナさんと呼ばれたコマタナは、口元を押さえてびくっとする。ああ、なるほど。彼女の手持ちが勝手に外を歩いていたわけか。

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「……大丈夫じゃ、ないな」

 

「病院に連れて行きます!えっと……手伝って、デスバーン!」

 

「デスッバァアアンン……」

 

「へ?」

 

 

 すると少女が繰り出したのは、まさかのデスバーン。近くの木の板に俺を乗せると、“ポルターガイスト”と思われる技で板を浮かべて俺を持ち上げて運んでいく。……デスバーンってことは、この少女ガラルから来たのか…?っそうか。なにも、イッシュにだけ固執する理由もなかった……。それに、コマタナさんと呼ばれたコマタナ。凄まじく強かった。あんなポケモンがいれば、俺だって……。

 

 

「……ありがとう。どうすればいいか、わかったよ」

 

「え?どういたしまして?」

 

 

 いきなりお礼を言われた少女は首を傾げるが、それはどうでもいい。このグレイが、どんな方法を使ってでも、トウヤを見返して、いつかこの世界の天下を……そうだ、王になってやる。そう、決めた。




というわけで「ポケットモンスター蟲【本編完結】」第二部における悪役、グレイの登場となりました。この男のこと知らない人に説明すると、いわゆる神様転生した転生者です。時期的にはトウヤに負けてこじらせていた頃。つまりこの世界、ポケモン蟲と同じ世界観となります。

あと今更ですが時系列はポケモンBWストーリー→一年後(現在)→ポケモンBW2となります。サンヨウトリオやアロエがジムリーダーしてるのはそういうことですね。

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