今回はタイトル通り海の上。楽しんでいただけたら幸いです。
ハハコモリを壁まで吹き飛ばし、残心するコマタナさんに駆け寄り、抱き上げるソハヤ。アーティはハハコモリと、興奮して乱闘せんとしていたケッキングをボールに戻しながら困った笑みを浮かべた。
「参った、参ったね……コマタナさんだけじゃなく、君も強いね。ソハヤさん」
「い、いえそんなことは!私は、コマタナさんがめいっぱい戦えるようにするだけで精いっぱいで……」
「トレーナーの戦い方は人それぞれさ。できることをやればいいんだ。…それを学ぶためにもちょうどいいんじゃないかな、ブルーベリー学園は」
「そうですよ!ソハヤさん!」
アーティに促され、興奮冷めやらぬまま駆け寄ってくるタロ。手にしたスマホロトムをぷるぷる震わせて掲げた。
「コマタナさんも!素晴らしい戦いでした!手持ち制限があるとはいえ大人げなく本気を出したジムリーダーを前に、決して劣らないコマタナさん!」
「大人げないって……君のリクエストだよ?タロさん」
「そしてその窮地を救うソハヤさんの素晴らしい判断!そしてチェックメイトに追い込んでからの、強力な一撃!これほど素晴らしい試合はブルーベリー学園でもほとんど見たことありません!カキツバタとネリネの名勝負を思い出しました!これなら文句なしだと思います!行きましょう、ブルーベリー学園へ!」
「は、はい…?」
一気にまくし立てたタロの勢いに押されるソハヤの腕の中でコマタナさんは呆れた声を零した。
翌日。ブルーベリー学園へ向かう船に乗るためプライムピアにやってきたソハヤとタロ。ソハヤの腕には定位置と言わんばかりにコマタナさんが、頭にはメラルバが乗ってる。ちなみにメラルバが28.8kgでコマタナさんが10.2kg(正確には小柄なのでもっと軽い)メラルバの方が重かったりする。つまり、重い。見送りに来たアーティが引いていた。
「ああ、そうだ伝言。カミツレさんが「なんで私のところに来なかったの!」だってさ。ジムリーダー内で期待の新人トレーナーだったんだよね、ソハヤさん。次は自分だと息巻いてたらブルーベリー学園に行くって聞いて怒ってたよ」
「カミツレさん……?」
「ライモンシティのジムリーダーでスーパーモデルの有名人ですよ。知らない?ソハヤさん」
「実は親の影響で世間に疎くて……えっと、ごめんなさい?機会があればぜひバトルしたいですけど……」
「ははは。伝えておくよ。いってらっしゃい」
本当に知らないらしいソハヤに笑いつつ、船に乗るソハヤとタロを見送るアーティ。そして、定期船は出港した。
定期船の甲板で。メラルバとコマタナさんと共に海を一望し、目をキラキラさせるソハヤ。その様子を見てタロは「かわいい…」と唸っていたが、すぐ頭を振って正気を取り戻す。
「すごい……海だよ、コマタナさん!メラルバ!」
「私はホドモエシティ出身だからそう珍しくもないけど、海、初めてですか?」
「私はソウリュウシティの出なので……スカイアローブリッジから見たことはあったけど、海の上に来るのは、初めてです!あ、せっかくだし……みんな、出ておいで!」
メラルバとコマタナさんを下ろし、バッグからボールを取り出してモノズ、バルチャイ、デスバーンを出すソハヤ。まだまだ子供なモノズとバルチャイは言わずもがな、デスバーンもあまりに美しい海の光景に目を奪われる。
「みんなで楽しまないと損だよね!」
「あ、じゃあ私も……プラスル、マイナン。ドリュウズも!」
タロもボールを取り出し、プラスルとマイナン、そして相棒であるドリュウズを繰り出した。ずしん、と少し船を揺らす重量級のドリュウズは、コマタナさんと視線を交わし、そして互いに確信する。「強い」と。
「本当はフェアリータイプを使うんですけど、今回は里帰りなのでこのメンバーです!」
「ドリュウズだ、かっこいいですね…!」
「ナタッ!?」
そうして睨み合っていると、ソハヤが目を輝かせてドリュウズを見るもんだから狼狽えるコマタナさん。ドリュウズはフッと笑って勝ち誇る。バトルのやかたやソウリュウジムでドリュウズはよく見るので、子供心に憧れていたソハヤにはクリティカルヒットであった。決してコマタナの使用率が少なすぎて見たことなかったからではない、決して。
「そういえば、ブルベリーグ四天王にははがねタイプのエキスパートもいるから気が合うかもしれませんね」
「ブルベリーグ四天王?」
「ブルーベリー学園はご存じの通り、バトルの腕が物を言う場所でして。ブルベリーグ四天王はチャンピオン含めてその頂点に立つ五人の生徒のことを言います。ちなみにチャンピオンはカキツバタなんですよ」
「へえー……………ええ!?あにぃが!?」
「あ、やっぱり知らなかったんだ。ちなみに私はブルベリーグ四天王の一人なのです、えっへん」
「す、すごい……」
「ナタッ、ナタッ!」
憧れの視線をタロに向けるソハヤに、コマタナさんが胸を張って「自分がいるからすぐチャンピオンになれる」と言わんばかりにふんぞり返る。「目の前のドリュウズよりも強いんだぞ!」とも言ってる様だった。それを見てわかっているのかわかってないのかコマタナさんに笑いかけるソハヤ。
「うん、そうだね。あにぃはすごいね」
「ナタッ」
違う、そうじゃない。と、その時だった。サイレンの音が鳴る。緊急事態を表す合図だ。
「大変だ!バスラオの魚群だ!」
「気を付けろ!」
「バスラオの魚群…!?」
船員から聞こえてきた声に、手すりに掴まって身を乗り出すタロ。ソハヤも、コマタナさん以外をボールに戻しながら視線を海に向ける。海面の一部が盛り上がって蠢きながら凄まじい勢いで迫っていた。目を凝らせば、凶暴な顔つきの魚ポケモンの大群がなにやら喧嘩しながらこちらに迫っているのが見えた。らんぼうポケモンのバスラオは乱暴かつ獰猛な気質で、大きな顎で食べられるものなら何でも食べてしまう上に、繁殖力も高く、釣り人が釣った挙句に放流して見境なく喧嘩を売り生態系を荒らすポケモンとしても有名であった。次々と海面を跳ねて“アクアジェット”襲い掛かるバスラオに、手すりが破壊されて残骸が転がる。
「プラスル、“スパーク”!マイナン、“ほっぺすりすり”!」
海面から跳ねて襲い掛かってくるバスラオを、プラスルとマイナンで迎撃するタロ。するとコマタナさんが手すりの上に乗り、“メタルクロー”の連打を放ち、次々と襲い掛かってくるバスラオを突き飛ばしていく。すると巨大な影が水面に浮かび上がってきた。
「ばっしゃらあ!!」
「あれは……イダイトウ!?」
現れたのは、“しろすじ”という現代ではキタカミの里かブルーベリー学園にしか現存しないと言われている古代種のバスラオが捨て身の果てに進化したみず・ゴーストタイプのおおうおポケモン。色が赤いため雄個体の様だ。しろすじ個体は“あかすじ”や“あおすじ”と比べると温厚だが、進化すると凶暴化する。3mで110.0kgの巨体が水を纏い船に迫る。“ウェーブタックル”だ。
「まずい!あんなのがぶつかったらひとたまりもない!」
「っ、そうだ!デスバーン!これを“ポルターガイスト”!」
すると何かを思いついたらしいソハヤがデスバーンを繰り出し、手すりの残骸を“ポルターガイスト”で操作。しかし“ウェーブタックル”に阻まれ攻撃が届かない。しかし。
「ドリュアアアアッ!」
「ナタッ!」
そこに、じめんタイプであるため控えていたドリュウズがコマタナさんとアイコンタクト。コマタナさんを抱え上げると、勢いよく投げつけ、飛んで行ったコマタナさんは両手を振りかぶり突撃する。
▼コマタナさんの“つじぎり”
▼こうかはばつぐんだ!!
十字に斬り捨てられたイダイトウの巨体が天高く打ち上がり、バスラオたちは蜘蛛の子を散らしたように逃げ始める。それを見たソハヤはデスバーンに、甲板に設置されていた椅子やテーブルを操る様に指示した。
「デスバーン、それで足場を!」
「デスッバァアアンンッッッ!!」
「ナタッ!」
そして、“ポルターガイスト”で操られた足場に乗ったコマタナさん。タロが投げて空中のイダイトウを捕獲したモンスターボールをキャッチしてから甲板に戻り、船員や乗客からの歓声が上がった。
「ナタッ」
「ありがとう、コマタナさん。このイダイトウは、キタカミの里でぐらいしか確認されてません。恐らくブルーベリー学園の誰かが放流したポケモンです。それにバスラオは煽動された…ということかと」
「なるほど…?」
コマタナさんから受け取ったボールを見ながらそう真剣な顔で告げるタロに、理解してないのか首を傾げるソハヤ。ボールをしまったタロはニコッと笑って賞賛した。
「にしてもさすがでした!このデスバーンも強いですね!キュート!」
「デスッバァンン???」
いきなりかわいいと言われて困惑するデスバーンをよそに、船は進む。目指すはブルーベリー学園だ。
ブルーベリー学園、しろすじ個体やバサギリとか御三家とかいて生態系とち狂ってるよね。
現在カキツバタがチャンピオンなので、オリジナルキャラのブルべ四天王とかもいたりします。ブルーベリー学園ではオリジナルキャラをたくさん出す予定。あの姉弟とも早く絡ませたい。
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