懐刀のコマタナさん   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。思ったより感触よかったのでもう一話。楽しんでいただけたら幸いです。


トリプルバトルだよコマタナさん

 コマタナさんを両手で抱えたソハヤは、周囲からの訝しむような視線を受けながら、サンヨウシティの中心にそびえる建物を見上げていた。

 

 

「……緊張するね、コマタナさん」

 

「ナタッ」

 

「うん、怖気づいていられない……私は、ポケモントレーナーになるんだ…!」

 

「ナタッ!」

 

 

 コマタナさんの掛け声に頷き、扉を開けるソハヤ。そこはなんと、レストランだった。赤・緑・青の三色の特徴的な髪型のウェイター三人が忙しなく接客している。

 

 

「え?あれ?」

 

 

 入るところ間違えたかな?と首を傾げるソハヤに話しかける男が一人。

 

 

「よーっす!未来のチャンピオン!タイプ相性を学ぶポケモンジム、サンヨウジムへようこそ!チャレンジャーだね!」

 

「あ、えっと、はい、そうです…?」

 

「最初のポケモンはほのおタイプかな?それともみずタイプかい?いや、くさタイプ?」

 

「えっと、この子、です……」

 

「っ!?」

 

 

 受付の男は驚いた。初心者御用達のこのジムは旅を始めたばかりのトレーナーが押し寄せてくる。その連れてくるポケモンと言えば、御三家と呼ばれるもっとも代表的な三すくみであるほのお・みず・くさのポケモンが常だ。なのにその少女が視線を向けたのは、ちょこんと抱えられているコマタナ。小柄ではあれど、玄人向けのポケモンだ。初心者の振りをした上級者か?と勘繰るが、少女の様子からそうは見えない。自分が何かやらかしたのかと怯えて涙目になってる。男は慌てて宥めた。

 

 

「い、いやなにも問題ないから安心してくれお嬢さん。えっと、そうだな……ポッドさんとかどうかなあ」

 

「待てよおっさん」

 

「興味深いですね」

 

「ええ、ポケモンの強さとトレーナーが噛み合っていないとは」

 

 

 するとそこにやってきたのは、世にも珍しい三つ子で同じジムを経営しているジムリーダー、つい今までウェイターをやっていた赤髪のポッドと、青髪のコーン、緑髪のデントの【トライアルトライアングル】の異名を持つ三人だった。それぞれ仕事をスタッフに任せて少女と抱えられているコマタナを興味深そうに見ている。

 

 

「これは……ジム戦用のポケモンでは太刀打ちできませんね。ポッド、自信は?」

 

「デントもわかってんだろ?相性がいいだけだ。俺のバオップは瞬殺だろうよ」

 

「ふむ、ではこうしましょう。お嬢さん、ポケモンは三匹お持ちですね?」

 

「え、あ、はい。なんでわかったんですか?」

 

 

 言われるままにコマタナを下ろし、ポケットからモンスターボールを二つ取り出す少女に、満足げに頷くコーン。

 

 

「そのコマタナの強さに感服しました。少々特殊ですが我等三つ子がトリプルバトルでお相手しましょう。いかがですか?」

 

「え、じゃあ、お願いします…?」

 

 

 正気か!?という視線を向ける男やざわめく客たちを無視して、笑顔でソハヤをレストラン中心のバトルコートに案内する三つ子。受付の男や客たちは気づかない。ソハヤがトリプルバトルと聞いて何も疑問を抱かずすぐ了承した違和感に、気付けない。

 

 

「1人で三体に指示するのは大変だろうが、頑張ってくれ!」

 

「は、はい!」

 

「緊張せずともよいのですよ。貴女たちはいつも通りに戦えばいい」

 

「お手並み拝見です」

 

 

 右からポッド、デント、コーンと並び、ボールを構える。初心者をジムリーダー三人がかりで相手する初心者向けジムとは到底思えない光景に固唾を飲む観客。ソハヤはコマタナさんを目の前に下ろし、ボール二個を手に取ってスイッチを押すとコロコロと転がすように床に落とした。

 

 

「モノッ!」

 

「チャーイ!」

 

「ナタッ」

 

 

 繰り出されたポケモンを見てさらにどよめく観客たち。出てきたのはそぼうポケモンのモノズと、おむつポケモンのバルチャイと、到底初心者が持っていていいようなポケモンではなかったのだ。しかしモノズは前が見えないせいでぽてぽて歩いてすってんとひっくり返り、バルチャイは空中に飛び出したがバランスが取れないのか頭から落下して髑髏のおむつを晒してしまった。二体より小柄なコマタナさんがすかさずササッと動いて数秒足らずで二体を立たせる。バトルにならないな、と誰もが確信した。ジムリーダー三人を除いて、だが。

 

 

「お願いします。コマタナさん、モノズ、バルチャイ!」

 

「では。いい茶葉を頼みますよ。ヤナップ!」

 

「清らかなる水を提供してください、ヒヤップ!」

 

「瞬時に湯を沸かすぜ!バオップ!」

 

 

 三つ子が繰り出したのはくさざるポケモンのヤナップ、みずかけポケモンのヒヤップ、こうおんポケモンのバオップ。イッシュ三猿と呼ばれるよく似ている見た目のポケモンたちだ。本来なら相手の最初のポケモンに合わせて誰か一人が相手するのが基本のスタイル、しかしこの布陣でもなお不足していると三つ子は直感していた。同時に、動く。

 

 

「ヤナップ、“はっぱカッター”!」

 

「ヒヤップ、コマタナに“ねっとう”!」

 

「バオップ!“やきつくす”!」

 

 

 中心にいるヤナップが敵全体に攻撃が当たる“はっぱカッター”、ヒヤップはコマタナさんをやけどさせる狙いで“ねっとう”、さらにきのみの類を燃やす“やきつくす”で後顧の憂いを断つ。完璧な布陣。

 

 

「モノズ、バルチャイ!コマタナさんの後ろに!」

 

「ナタッ!」

 

 

 しかしそれは、二体が背後に隠れたコマタナさんの目の前に展開された“かまいたち”を盾にして切り刻んでしまい、届く前に霧散する。かまいたちは本来、風の刃をチャージしてから放つ大技。コマタナさんはその準備段階を、防御として使っていた。どよめく観客たち、不敵に笑う三つ子。

 

 

「ならば接近戦です!コマタナに“つるのムチ”…!」

 

「コマタナにぶちかませ!“アクロバット”だバオップ!」

 

「ヒヤップ、コマタナを“したでなめる”です!」

 

「バルチャイ、“おいかぜ”!モノズ、“こわいかお”!」

 

 

 接近戦に切り替えるジムリーダーに対し、ソハヤは一番素早いバルチャイに味方のすばやさを上げる“おいかぜ”を指示、それによりすばやさが上がったモノズに敵のすばやさを二段階下げる“こわいかお”を指示。実質すばやさが四段階も変わり、本来鈍足なのが三猿たちより早く行動できたコマタナがまず突進してきたヒヤップの顔面にあまりに速すぎて一撃に見える“メタルクロー”五連打を叩き込み、攻撃力を上昇させながら突き飛ばす。

 

 

「ナタッ!」

 

 

 さらにアクロバットな動きで踵落としを叩き込んできたバオップの一撃を“かまいたち”による斬撃の渦でからめとってキャッチ、そのまま蔓の鞭を振り回して飛び込んできたヤナップの攻撃をバオップを盾にして防ぐと、二体纏めて“かまいたち”で吹き飛ばした。

 

 

「これほど、とは…!」

 

「他の二体はコマタナを戦いやすくするためだけの…!」

 

「やってくれるぜ!燃えて来たあ!」

 

 

 一番小さいのにモノズとバルチャイ、そして主人のソハヤを守る様に身構えるコマタナさんに、互いを見て頷き合う三つ子。最大最強の技で仕留めよう、言葉を交わさずとも総意だった。

 

 

「ヤナップ、“タネばくだん”!」

 

「“しおみず”ですヒヤップ!」

 

「バオップ!“はじけるほのお”だあ!」

 

 

 大量の巨大なタネ、津波の様に降り注ぐ塩水、凝縮され当たれば爆裂するであろう火の玉が同時に三方向から放たれる。それに対し、コマタナさんはグググッと身構える。

 

 

「え、えっと、モノズは“ずつき”で、バルチャイは“エアスラッシュ”……」

 

「ナタッ!」

 

「コマタナさん…?」

 

 

 慌てて指示しようとするソハヤに、コマタナさんは問題ないとばかりに振り返り、錐揉み回転しながら跳躍。その両の手の刃が、巨大な十字の軌跡を描く。

 

 

 

 

コマタナさんの“つじぎり”

 

 

こうかはばつぐんだ!!

 

 

 

 

 すべてが斬り裂かれた。タネが細切れとなり、塩水は霧となり、弾ける火球は消え去った。その斬撃はそれだけじゃ飽き足らず、驚愕の表情を浮かべる三猿に直撃。一筋の切り傷を作って吹き飛ばした。客に流れ弾が当たらないための透明なエネルギーバリアにぶつかり、崩れ落ちる三匹。スタッと着地したコマタナさんは両腕の刃を交差し、残心。そこにはしゃいだ様子のモノズとバルチャイが駆け寄った。

 

 

「これは、完敗ですね」

 

「ああ、文句なしだ」

 

「参りました。リーグ公認のトライバッジを進呈しましょう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 デントからジムバッジを受け取り、顔を輝かせるソハヤはそのままコマタナさんを抱え、モノズとバルチャイを連れて去っていった。




ポケスぺの三つ子かっこよくて好き。

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