懐刀のコマタナさん   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。連載化決定しました。ちょっと短いけど入れなきゃいけない話だったので投稿。主人公の情報を明かさないで展開していくの初の試みなんですが楽しいです。

楽しんでいただけたら幸いです。


夢の跡地だよコマタナさん

「ここが“夢の跡地”……」

 

 

 ジム戦を終えたソハヤがポケモンセンターで回復……する必要もないのでスルーしてやってきたのは、サンヨウシティと隣接しているとある施設の跡地、通称“夢の跡地”だ。ここはサンヨウシティに程近いエリアと「奥地」と呼ばれるエリアに分かれており、同じ場所でありながら出てくる野性ポケモンの練度(レベル)が桁違いなことで有名だ。少女はとあるポケモンを求めてここに訪れていた。イッシュ地方でもここにしか生息しないポケモンである。

 

 

「みんな、出ておいで」

 

 

 コマタナさん、モノズ、バルチャイを繰り出すソハヤ。索敵には向いていないモノズの背にバルチャイが乗り、バルチャイが指示を出してその方向にとことこ歩き、コマタナさんはソハヤの傍で周囲を警戒しながら歩く。

 

 

「えっと、捕まえなくてもいいの。ただ、会いたい。食べてもらって、勇気が欲しいの」

 

「ナタッ」

 

「うん、ありがとうコマタナさん。きっと見つかるよね」

 

 

 不安そうにしていたがコマタナさんに勇気づけてもらい、頷いて先に進むソハヤ。半壊した壁を塞いでいる細い木をコマタナさんが“いあいぎり”で斬り払い、バルチャイとモノズがぽてぽてと足音を鳴らしながら先行する。

 

 

「モノッ!」

 

「チャーイ!」

 

「見つけたの…?」

 

 

 モノズがなにかの匂いをかぎ分け、バルチャイが翼の先端である方向を指さす。するとその方向の草むらの上に、頭からピンク色の煙を放出しているピンク玉のようなポケモンがぷかぷか浮かんでいた。

 

 

「見つけた、ムンナ……じゃない?!」

 

「シャナ?」

 

 

 ゆめくいポケモンであるムンナが目的だったソハヤたち。しかし出くわしたのは、その進化系であるゆめうつつポケモンのムシャーナだった。ソハヤたちに気付くと、びくっと震えて夢うつつのままふよふよ浮いて逃げ出そうとするムシャーナ。

 

 

「シャナ…」

 

「ま、待って!」

 

 

 この際ムンナじゃなくてもいいと思い至り、追いかけようとするソハヤ。それに続くコマタナさん、モノズ、バルチャイ。するとムシャーナはカッ!と目を見開き、黒い煙を頭部の穴から放出する。それはムシャーナが食べた夢が悪夢だという証明。そして、ムシャーナには夢を実体化させる能力があり、黒い煙が出ている時にムシャーナに近づく行為は禁忌とされており、最悪、悪夢が実体化して大変な事になるという。そしてそれは、ここに現実となった…!

 

 

「嘘っ…!?」

 

 

 黒い煙が大きな二つの影を形作り、実体化したのは漆黒の巨体に赤い瞳のドラゴンポケモンと、青い瞳を持つ白い巨体のドラゴンポケモン。イッシュ建国伝説に伝わる、伝説のニ柱たるポケモン。ゼクロムと、レシラム。とある理由でその二体の存在を知っていたソハヤはそのプレッシャーに押しつぶされそうになる。

 

 

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

「モノッ!」

 

「チャイチャイ!」

 

「ナタッ」

 

 

 頭を抱えて丸まりがたがた震えるソハヤを守る様に立ちはだかる三匹。モノズとバルチャイは立ちはだかったものの怯えてしまっているが、コマタナさんは不動で二体を睨みつけている。

 

 

「ババリバリッシュ!!」

 

「ンバーニンガガッ!!」

 

 

 瞬間、蒼雷“クロスサンダー”と紅炎“クロスフレイム”が同時に放たれる。相乗効果を持つそれらは合わさって莫大なエネルギーを生みだして迫り、それをコマタナさんは刃の一振りで斬り裂いた。

 

 

「ナタッ」

 

 

 そうして主人と仲間を守ると、ゼクロムとレシラムの気を引く様に“いやなおと”を響かせながらスタタタタッ!と鈍足とは思えない速度で走り、誘導。次々と放たれる蒼雷や紅炎を斬って捨てながら階段を駆け上り、半壊している上階に移動する。

 

 

「バリバリダー!!」

 

「モエルーワ!!」

 

 

 ならばとゼクロムは上空に蒼い雷を送って“らいげき”の雨を降らし、レシラムはさらに火力を増して色が変わった“あおいほのお”で下から炙る様に攻撃。もはや天変地異であるそれを、コマタナさんは涼しい顔で“かまいたち”や“つるぎのまい”で防ぎつつ斬り捨てながら走り、跳躍。ゼクロムとレシラムの頭上を飛び越えつつ、刃を振るった。

 

 

「ナタッ!」

 

 

 “つじぎり”がすれ違いざまに叩き込まれるも、ゼクロムもレシラムもシンプルなフィジカルだけでそれを弾き、追撃。コマタナさんは通じないと確認するとゼクロムの薙ぎ払った腕を蹴り、跳躍して再度二階に移動。決して下にいるソハヤたちに攻撃が向かない様に誘導する。

 

 

「ナタッ、ナタッ!」

 

 

 ならばとコマタナさんが斬り裂いたのは、ゼクロムとレシラムの上にある上階の残骸。切り刻まれたそれらは瓦礫となって降り注ぎ、次々とゼクロムとレシラムの全身を打ち付ける。

 

 

「ババリバリッシュ…!」

 

「ンバーニンガガッ…!」

 

 

 瓦礫を押しのけて出てくるゼクロムとレシラム。そして、切り裂いた勢いで天高く移動していたコマタナさんが勢いよく頭から落下してきた。その矛先は、ゼクロムだ。

 

 

コマタナさんの“アイアンヘッド”

 

 

こうかはばつぐんだ!!

 

 

 

ズゴバギャンッ!!!!!!!

 

 

 凄まじい音が響き渡り、隕石の如き頭突きを受けたゼクロムはその巨体を揺らがし、勢いよく転倒。レシラムを押し倒し、共にノックアウトされて黒い煙となって空に散った。

 

 

「ナタッ」

 

 

 スタッと着地し、残心するコマタナさん。なお、ムシャーナが悪夢を実体化させてまで怯えていたのは、コマタナさんの圧のせいなのではあるが、そのことを当の本人は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう。ごめんね、ムシャーナ」

 

「ムシャア……」

 

 

 ソハヤの“用事”が終わるなり、怯えてぴゅーんと奥地まで逃げるムシャーナ。コマタナさんはモノズとバルチャイに胴上げされ、そしてキャッチされることなくドスンッと地面に激突し穴を開けていた。そんなコマタナさんを抱え上げ、ソハヤは憑き物が落ちたような笑顔で告げた。

 

 

「じゃ、行こうか。目指すはヒウンシティだ!」

 

 

 

 サンヨウシティに戻るなり、住民が怯えて半ばパニックになっているのが見えたが、ソハヤたちはその原因が自分たちだと気付くことなくサンヨウシティをあとにするのだった。




偽物とはいえ伝説すら相手取るコマタナさん。この悪夢はどこから来たんでしょうね?

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