また、前回について補足をば。ムシャーナはソハヤに触れずに悪夢をだしてるので、ソハヤの夢は関係ありません。あれはムシャーナが過去に食べたゼクロムレシラムが激突するという悪夢を、自分で思い出すことで悪夢として召喚した形になります。これについては後々。時系列が関係しているとだけ。
今回はシッポウシティへ。ちょっと変則的なバトルを描きたいと思います。楽しんでいただけたら幸いです。
3番道路を逆走し、古い倉庫や機関車の線路跡などの昔の町並みを残す町、シッポウシティに辿り着いたソハヤたち。目的地であるヒウンシティはシッポウシティに隣接しているヤグルマの森を抜けた先のイッシュ最大の大橋スカイアローブリッジを渡った先にある。結構な長旅である。まずはヤグルマの森に入るためのきずぐすりやどくけしを購入し、翌日に出発する予定だ。
「コマタナさん、見てみて。今日は水曜日だからカフェ「ソーコ」がサービスデーでサイコソーダもらえるみたい。行こ?」
「ナタッ」
観光地としても有名なシッポウシティを満喫するソハヤとコマタナさん。そして訪れたのは、シッポウシティ一番のランドマークたる博物館だ。
「今やってるのは、ガラル展……だってさ。見てみる?」
「ナタナタッ」
入るなり目に入ったのは、落書きみたいな壁画が描かれた巨大な岩盤……の縮小レプリカ。ラテラルタウンというところに実際あるもののレプリカらしい。その他にも普段はナックルシティの宝物庫に保管されている者を特別に貸し出されたという“ブラックナイト”なる厄災の顛末が描かれた四つのタペストリー、英雄が使ったという剣や盾の模型、ガラル王家から寄贈された過去の王家が眠っていたという石棺、ターフタウンにあるという宝のありかを示すとされる巨大な石碑の模型や地上絵の航空写真、巨大歯車が目立つエンジンシティのミニチュアなどなど、目白押しだ。
そして目玉となる展示品は、ホテル・スボミーインから貸し出されたらしい中心に聳え立つ立派な剣と盾を持った黄金の英雄像だ。
「……はるか昔、ガラル地方の空に黒い渦ブラックナイトが現れ、あちこちで巨大なポケモンが暴れまわったが、剣と盾を持った1人の英雄によって沈められた……イッシュの伝説とも似てるね」
先日、実体化した悪夢として対決したゼクロムとレシラムと関係している、イッシュの建国伝説。それとはベクトルこそ違うが、キーとなるのが「英雄」であることに違いはない。
「英雄ってすげえ!俺もいつか、英雄になるんだ!」
「カッちゃんならやれるよ!」
英雄像の前で二人の子供がはしゃいでいる。それを見て微笑ましく思いながら、ソハヤは考える。
「……私は、英雄にはなりたくないかなあ」
「ナタッ?」
「ううん、独り言。なんでもないよ。それより、この博物館は奥が図書館でもあるんだってさ。なにか勉強になるかも知らないし見に行こうよ」
「……」
奥に進むソハヤとコマタナさんを、無言で見つめる瞳に二人は気づかなかった。
「えっと……コマタナさんが見たいのはこれだよね。「武道の歴史」…?であってる?」
「ナタッ!ナタッ!」
コマタナさんが指さした本を背伸びして手に取り、開いて見せるソハヤ。
また剣技も存在し、エルレイドの様な変幻自在な斬撃の他に、ネギガナイトから連なる騎士道剣術、さらにイッシュには聖剣士と称されるテラキオン、ビリジオン、テラキオンなる準伝説ポケモンが各地に生息している、とのこと。特に最後の情報はコマタナさんにとって値千金だったようで普段は冷静な瞳が好奇心に満ち溢れていた。
「タイプ相性の本もあったけど……覚えるの難しいや……フェアリーって何い……?ドラゴンタイプの技無効化っておかしくない…?」
ソハヤはソハヤで目的の本を見つけたらしいがあまりの複雑さに混乱していた。と、そんなときだった。
きゃあああああああああああああ!?
「!」
「あ、待って!」
博物館の方から聞こえた悲鳴に、スタタタタッ!と走って飛び出すコマタナさん。ソハヤも慌てて追いかけた先で見たのは、異様な光景。いろんな展示物が浮かび上がって客目掛けて襲い掛かっている光景だった。
「なになになになに!?」
「きゃあああああ!?」
「たすけてー!」
まるで嵐の様に吹き荒れて客たちにぶつかろうとし、それを駆け付けたコマタナさんが斬り弾いていく。タペストリーや石棺は固定されているのかビクともしてないが、それ以外のものは軒並み動き出して客に襲い来り、縦横無尽に駆け巡るコマタナさんが舞う様に刃を振るう“つるぎのまい”で弾き、その間に職員が避難させる。ソハヤにも襲い掛かってきた石碑の模型をコマタナさんが蹴り飛ばした、その時だった。
「う、うわああああ!?」
「カッちゃん!」
動き出し、暴れる英雄像がその剣を振りかぶり、先ほど英雄に憧れていた少年に襲い掛かる。それを見て、コマタナさんは刃を振るって斬撃を飛ばし、少年の前方に光の障壁を張って攻撃を防いだ。“ファストガード”だ。
「ナタッ!」
「ムン…!」
さらにコマタナさんは“ちょうはつ”で注意を惹きつけ、英雄像の振るった剣と刃をぶつけ、斬り弾く。体格差が違いすぎるそれを防ぐのはコマタナさんでも至難の業だった。そのまま放たれるシールドバッシュで殴り飛ばされるコマタナさんは、宙返りして壁を蹴りつけ、加速した勢いのまま“アイアンヘッド”英雄像の手から盾を弾き飛ばし、着地。続けざまに振り下ろされた剣を、両手の刃を頭上で交差して防いでギリギリと押し合う。
「コマタナさん!」
「ナタア…!」
コマタナさんは自分を心配するソハヤの声に不利だと悟るや否や、刃を放してローリングで回避。英雄像の剣が床に突き立てられ、固定される。引き抜こうとする英雄像の横っ面に、壁を蹴って跳ね返ってきて蹴り込むコマタナさん。英雄像はぐらりとバランスを崩し、転倒。そのまま動かなくなった。ソハヤがコマタナさんを抱えて無事を確認していると、メガネをかけた冴えない男が近づいてきた。
「やれやれ……アロエがホドモエシティに行っていて不在の間にこんなことが起きてどうしたものかと思ったけど……助かったよ、そのコマタナは君のポケモンかい?」
「え、あ、はい」
「助かったよ!君ならアロエともいい勝負ができそうだ!アロエは私の妻でね……しかし、なんでこんなことが……」
「ナタッ」
シッポウジムリーダー・アロエの夫を名乗った男の疑問に、コマタナさんは刃である方向を指した。そこにあったのは……。
怪奇事件もポケモンならではのイベントですよねって。今更だけど今作では、ポケモン蟲シリーズにおいて採用していた技四つの制限はなかったりします。ポケモンは覚えた技は全部使えるけど、四つ選抜してバトルで指示して使うことで練度を上げる……という手法という感じ。
どうでもいいけどポケモン界のスポーツ事情を詳しく知りたい。BWでバスケとかあるのは知ってるんですけども。剣技とかどうなんだろう。
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