魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
今日もいつものように魔術の訓練をする2人。
「この短期間でずいぶん上達したね」
ソロモンに褒められて嬉しそうな表情を浮かべるダビデだったが、次の瞬間には真剣な表情に戻っていた。
「でもまだ足りないんだ。もっと強くならないとね」
「君は真面目だね〜」
呆れたような口調とは裏腹に優しい笑みを浮かべるソロモンだったが、ふと何かを思いついたような表情になるとダビデに声をかけてきた。
「そうだ、ちょっと試してみたいことがあるんだけど協力してくれるかい?」
ダビデは少し考えた後で頷くと答えた。
「いいよ、どうすればいいのかな?」
それを聞いてソロモンはニヤリと笑うとこう言ってきた。
「私とセックスして欲しいんだ」
その言葉に一瞬固まった後、顔を真っ赤に染め上げたダビデだったが慌てて反論するように冷静な口調で言った。
「もうその手には乗らないよ。残念だったね」
しかし照れを誤魔化すためにクールに振る舞う彼女の反応を楽しむかのようにニヤニヤと笑うソロモンを見てからかわれているだけだと判断したダビデは怒りを込めて睨みつけた。するとその視線に気づいたソロモンは肩をすくめると言った。
「そんなに怒らないでくれよ〜ちょっとした冗談さ」
「まったく君ってやつは……次やったら怒るからね」
2人はそんなやり取りをしながら笑い合うのだった。その後、再び訓練を再開することになるのだがーー
「そろそろ休憩しようか」
そう言われて時計を見ると既に1時間以上経過していることに気づいたダビデは頷きを返すとその場に座り込んだ。体力的にはまだまだ余裕があったが精神的にはかなり疲労していたようだ。
そんな様子を見かねたのかソロモンが飲み物を差し出してきたのでありがたく受け取ることにする。喉を潤すと一息つくことができた。
「それにしても本当に強くなったね。最初はどうなるかと思ったけどここまで成長するなんて正直思ってなかったよ」
感心したように言う彼に対して照れ笑いを浮かべつつ謙遜するように答えたが内心では自分の成長を感じて誇らしく思っていた。それと同時に自分が成長したことを実感することができたのだ。だからこそこれからも頑張っていこうと思えるようになったのである。
そんなことを考えていると突然背後から抱きしめられる。
「えっ…」
「大丈夫、ここには誰もいないから安心していいよ」
耳元で囁かれると背筋がゾクッとした感覚に襲われると同時に力が抜けてしまいそうになる。
そして安心感と心地良さが入り混じったような感覚に襲われて身を委ねてしまっていた。
(やはり…関係が変化してきている。この前のことがあってから…)
以前ならダビデは突っぱねたり拒絶したりしていたのだが今はむしろ受け入れてしまっている節があることに気づいていた。それが何故なのかはまだわからないけれど……
(僕は……どうなってしまったんだろうか……)
そんなことを考えながらも彼に抱かれることを拒否することができずにいる自分に戸惑いを覚えるダビデであった。
その後、異空間からカルデアに戻った2人はたわいもない話をしながら廊下を歩いていた。
側から見れば仲睦まじく恋人同士のように見えなくもないだろうその光景を目にした職員たちは微笑ましいものを見るような目で見守っていたという。特に女性陣からは羨望の声が上がるほどだったとか何とか……。
ソロモンは、擬態魔法を使い、ダビデ以外からは別の姿に見えるように幻想をかけているのであの魔術王とは誰も気付いてないようだ。
だが、陰でそんな2人に目を向ける、先日ダビデが遭遇したソロモンの妻だった英霊ーーシバの女王の姿があった。
(ソロモン王……)
彼女はソロモンの擬態を見破っていた。そしてその目は傷つき、嫉妬に燃えていたのだった……
***
自室に戻ったダビデを送った後、ソロモンは先程のことを思い返しながら1人歩いていた。
(ああ……ダビデ……私の愛しい人……)
先ほどのやり取りを思い出して口元を歪める。
(あの表情!たまらないなぁ……!)
幸せな思いが溢れてくるが、どんどん気持ちが抑えられなくなってくるのがわかる。
(やはり…離れたくないな……)
そんなことを考えていた時だった。不意に声をかけられたので振り返るとそこには意外な人物が立っていた。
そこにいたのはシバの女王だったのだ。しかも何故か険しい表情をしているように見える。何かあったのだろうかと思い声をかけることにした。
「やあ、今日もお美しいですね」
当たり障りない言葉をかけるが内心は警戒していた。ソロモンはその並外れた知力により、洞察力に優れている。
彼女が自分に対し何を求めているか察しはついていたのだが敢えて気づかないフリをしてやり過ごすことに決めた。
だが今の彼女は好戦的に見える。それは怒りのようにも感じられたため不思議だと感じていたところ予想外の言葉が飛び出してきたことにソロモンは一瞬動揺してしまった。
「ソロモン王。私と勝負なさい!」
「……はい?」
意味がわからず困惑するソロモンだったが次の瞬間にはその理由を理解した。
なぜならいつの間にか周りの景色が変化しておりそこは闘技場になっていたからである。
おそらく魔術によるものであろうということは理解できたのだがいつの間にこんな場所に連れてこられたのかわからなかったのである。
「これは一体どういうことかな?」
困惑しつつも問いかけると返ってきた答えは簡潔かつストレートなものだったがその内容はさらに混乱を招くものだった。
「貴方に勝ってみせるわ!」
どうやらこの女性は自分に勝つつもりでいるらしいと理解したソロモンだったがなぜそのようなことになったのか理解できなかったのである。
確かにこの世界は英霊同士の戦いも珍しくないがあまりに唐突で不可解だ。
無意味に戦うことはソロモンにとって不本意であるものの、目の前の女王の表情を見てしまうと断るわけにもいかなかった。
(仕方がない……相手をしてやるしかないようだな……)
2人の英霊の戦いが始まるのだったーーーー