魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜   作:bpro

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14話 ソロモンの自己犠牲

ソロモンから蘇生させられたダビデは彼からある鍵を渡された。

 

「これは私の研究室の鍵だ、この中にはあらゆる魔術に関する資料や材料が全て揃っているから自由に使ってくれて構わないよ」

 

 

そう言われたダビデはそれを受け取ると大事そうに懐へとしまった。

 

 

 

(どうしたんだろう?いくら僕がマスターだからって、ここまでしてくれるなんて)

 

そんな疑問を抱いた彼女に対し、彼は微笑みながらこう言った。

 

 

「君のことを大切に思っているからこそだよ」

彼の言葉を聞き頬を赤く染める彼女を見て満足げに頷くとさらに続けた。

 

 

「それにこれからは君自身の力で聖杯戦争を勝ち抜くことができるようになってもらわないといけないからね」

 

 

 

その言葉を聞いて一瞬胸がチクリと痛んだ気がした。何だか嫌な予感がすると思ったが、その予感が的中することになるとはこの時はまだ知る由もなかったのであるーー

 

 

 

 

「ねえ、今日はお願いをしてもいいかい?」

突然そう言われてキョトンとする彼女に構わずソロモンは言った。

 

「君に贈ったドレスを着て見せて欲しいんだよ」

 

その言葉に彼女の顔が赤く染まっていくのが分かった。

 

 

「いいよ。そんなことくらい…」

 

普段なら皮肉や冗談を交えて突っぱねそうだが、今日はさすがに素直な態度のようだった。

 

 

恥ずかしそうにしながらも了承してくれた彼女が着替えた後に寝室に連れて行き、ベッドに腰掛けさせるとその前に跪き、恭しく手を取り口づけをした。

するとみるみるうちに白い肌が赤みを帯びていき耳までも真っ赤に染まってしまったようだったがそれでもなお美しいと感じるほどだった。

 

そんな彼女を見つめながら心の中で呟いた。

 

 

 

(綺麗だな……)

 

うっとりとした表情を浮かべていると視線に気付いたのか慌てて顔を背けられてしまったがそれすらも愛おしく感じられたので特に気にはしなかったのである。

むしろもっと見ていたいという気持ちの方が強かったくらいだ。

 

しかしいつまでも見つめているわけにもいかないと思い直し立ち上がると今度は包み込むようにして抱きしめた。

 

 

「わっ!?」

 

突然のことに驚きの声を上げる彼女だったが抵抗することなく大人しくしているのを見て安心するとそのまま耳元で囁いた。

 

「大丈夫だよ、怖がらないでおくれ……ただ君の姿を見たいだけなんだ」

 

そう言うと小さく頷くのが見えたのでそのまましばらく抱き合っていた。

 

 

どのくらいそうしていたのだろうーーー

 

 

 

 

(うん…?あれ…?)

 

抱き合っているとダビデは違和感を感じる。なぜならソロモンの体が少しずつ霊体化していっていることに気付いたからだ。

それと同時にソロモン自身もそのことに気付いているようで申し訳なさそうな表情を浮かべているのがわかる。

 

 

「ごめん、もう限界みたいだ」

「え………?」

「実はね……私は消えてしまうんだ」

「!?何、言ってるんだ!?そんなことあるはずないだろう!!」

 

思わず声を荒げてしまったことで逆に冷静になることができたようだ。深呼吸をして気持ちを落ち着かせるように努力しながら再び問いかけた。

 

 

「……どういうことか説明してくれないか?」

 

それに対して返ってきた答えは意外なものだった。

 

 

 

「……死者を蘇生させる魔術は禁忌とされている。そして代償を払わなければならないんだ」

「……まさか、君の魂が代償なのか……?」

 

その言葉にソロモンは静かに頷いた後で答えた。

 

 

「……そうだとも、私の霊核そのものを捧げること。私はもうすぐ消えてしまう」

「なんで…何でだよ!!何で僕なんかのために君が犠牲にならなきゃいけないんだ!?」

 

 

泣き叫ぶように言う彼女を宥めるように背中を撫でながら優しく語りかけてきた。

 

 

「落ち着いて聞いてほしいんだけど、元々私は死んでいる身なんだ。こうして存在していること自体おかしいことなんだよ」

 

それを聞いてハッとした表情を浮かべるがダビデは反論する。

 

 

「生きてるじゃないか。英霊だって生きてるようなものだし、何より君自身がそう言っていただろう!」

 

その言葉を聞いたソロモンは小さく微笑むと言った。

 

 

「フッ…これは私のエゴだ。君を失うより自分が消えてでも君に生きてほしいって何よりも願ってしまったんだよ」

 

 

それを聞いた瞬間、涙が溢れ出してきた。嗚咽を漏らしながらも必死に言葉を紡いでいく。

 

 

 

「嫌だ……!消えないでくれ!やっと会えたのにまたお別れだなんてあんまりだ……!」

 

 

泣きながら訴える彼女に困ったように笑いながら言った。

 

「泣かないでおくれ……大丈夫、私たちはいつでも繋がっているんだから寂しくはないさ」

 

涙を拭ってやるとそっと唇を重ね合わせた。

 

触れるだけの口付けを交わすとようやく落ち着いたようだったので唇を離した後、最後にもう一度強く抱きしめる。

 

 

 

だがそれも保たなかった。

体が透けていっていき輪郭が崩れていくのが分かるとダビデは涙を流しながら叫んだ。

 

 

「いやだ……!!消えないでくれよぉぉおおおお!!!」

 

 

そんな悲痛な叫びも虚しく、ソロモンの姿は完全に消えてしまったのだったーーー

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