魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
それから2人で絵画に没頭し、夕暮れ近くなってきたので家に帰ることにした。
その前に互いに描いた絵を見せ合うことにする。
「初めてだから上手く描けなかったけど…どうかな?」
ダビデは自分の作品を差し出した。
それは風景画だった。木々が立ち並ぶ中にある湖を描いたもので青空と山々、そしてそれらを映す鏡のような水面が描かれている。
そして風景にはないはずのものが1つ描かれていた。それは空の向こうに天使が飛んで行く様子だったのだ。それを見てソロモンが言った。
「初めて描いたとは思えないよ。きっと観察眼や審美眼が元々優れているんだろうね。それにこの遠くにいる天使が創造性があって素敵だと思うよ」
褒められて嬉しいのか照れくさそうに笑う姿は実に愛らしいものだった。そんな彼女の様子を見てソロモンの心は満たされていくのを感じたようだ。
「ソロモンが描いた絵も見せてくれないか?」
そう言われると嬉しそうに微笑んで差し出したのは印象派の絵画のような抽象画だと思われた。
まるでスケッチブックいっぱいに色とりどりの花が咲き誇っているような鮮やかさを感じるものであった。
よく見ると小さな白い鳥の群れも一緒に描かれているようだった。
それを見た瞬間、胸の奥が熱くなるような感覚を覚えたのだがその正体に気づくことはできなかったようだった。
「綺麗……だね……」
思わず呟くように言う彼女の言葉を聞いて満足そうに微笑んだ後、照れ臭くなったのか俯いてしまったようだ。
「君、絵まで上手なんだな……驚いたよ」
そう声をかけると顔を上げた彼は澄ました顔で言う。
「はは、ただの練習だよ。絵画は始めてみると奥深くてね。私もまだまだ勉強中なんだ。これからもっと練習して上達したいと思ってるんだよ」
「これで練習なのか…上手く言えないが、君の絵は好きだ。なんというか、こう心が暖かくなるような気がするんだ」
ダビデの言葉に一瞬ぽかんとした表情を浮かべるもすぐに微笑みを浮かべたソロモンは再びダビデを抱き寄せるとその頭を撫でながら言った。
「君にそう言ってもらえるなんて光栄だな。私も君の絵が好きだよ」
そう耳元で囁くとそっと頰にキスをしたのだった。ダビデは少し恥ずかしそうにしていたが嫌がってはいないようで大人しくされるがままになっていたようだ。
そんな様子を見ていると愛しさが湧き上がってくるのを感じたソロモンは思わずぎゅっと抱きしめてしまう。
するとそれに応えるように背中に手を回してきたのでますます離したくなくなってしまうソロモンであったがさすがにこれ以上遅くなったらまずいと思い渋々手を離すことになったようだ。
2人の間には何とも言えない空気が流れていたようだがソロモンの方から切り出した。
「さて、そろそろ帰ろうか」
と言って立ち上がるのを見てダビデも慌てて立ち上がった。
そのまま手を繋いで歩き出す2人であったがふと思い出したように振り返るとそこには夕日に照らされた草原が広がっているだけだったという……