魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
「ダビデ。君、このところ悩んでることでもあるのかい?」
ソロモンが突然そんなことを言い出したので驚くダビデだったが心当たりがないわけでもないので黙り込んでしまう。その様子を不審に思ったのか顔を覗き込んでくる彼に観念したようにため息をつくと言った。
「いやー、悩みというか。聖杯戦争って殺し合いなんだろう?悪い奴ならともかく自分が勝つためだけに他人を殺すっていうのはどうも気が乗らなくてね……」
それを聞いたソロモンは神妙な面持ちになったかと思うと彼女の両肩を掴み真剣な眼差しを向けてきた。
「そうか。それが君の本音なんだね。確かに聖杯戦争は殺し合いの側面は否めない。君が躊躇するのは特に人間であるマスターの命を奪うことだろう?」
サーヴァントであれば霊核が残っていれば、戦いで死んだとしても復活することはできる。だが人間であるマスターは文字通り「死」を迎えることになるためそう簡単に割り切ることはできないだろうということは想像がつく。だからこそ悩んでいるのだろうと思ったのだ。
「ここで、我々の目的を改めて確認しようと思う。我々が望むのは万能の願望器たる聖杯を手に入れることだ。そしてそのために必要なのが7人のマスターによるサバイバル方式によるバトルロイヤルを勝ち抜くことだ」
ソロモンの言う通り、彼らは万能の願望器たる聖杯を手に入れるために戦わねばならないのである。そのためには手段を選んでいられないこともわかっているはずだ。それでも割り切れないものがあるのだろう。
そんな葛藤を見抜いた上でソロモンが言葉にしたのはーーー
「私が出会った日に言ったことを覚えているだろうーーこの世界は未来に破滅するかもしれない。だが聖杯があればそれを回避できる可能性があるんだ。私はそんな世界を見たくはないし、守りたいとも思っているんだ……」
その言葉をダビデは真剣な顔で聞いていた。
「我々の目的は、人類を守ることだ。それは、聖杯戦争に脱落したマスター達の未来を守るためでもある。そして彼らの大切な人間達も含めて全てを救うことができる可能性を手にするために我々は戦うんだ」
その言葉にハッとした表情になるダビデを見て優しく微笑むとソロモンは言葉を続けた。
「だが・・・他のマスターの命を極力奪いたくないと君が望むのであれば・・・それを我々の方針にしないか?聖杯戦争はマスターまたはサーヴァントどちらかを殺すもしくは戦闘不能にすることが勝利条件だ。我々は彼らを殺さず、彼らの命を守ることができればいいのではないかと思うんだ」
それを聞いて考え込む様子のダビデであったがやがて顔を上げると言った。
「……そうだね。僕もできることなら犠牲を出したくないと思っていたからその考えには賛成するよ」
こうしてダビデ陣営は、他の陣営を可能な限り殺さないように立ち回る方針となったのだった。
だがーーー
ダビデとソロモン達は正しい心を持って聖杯戦争に臨んでいるが・・・そうではない者も混在していることを忘れてはならないのだ・・・。
彼らの戦いはまだ始まったばかりであった。
次話から第二章ハワイ編に入ります。