魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
一方、ダビデとソロモンは見つかった手がかりをホテルに帰って詳しく調べることにしたが、まだ夕暮れ前なのでせっかくだから観光しようということになった。
「そうだ、ダイヤモンドヘッドまで行ってみないか?」
ソロモンの提案を聞いてダビデは首を傾げる。
「何だそれは?」
「火山のことだよ。この島のシンボルみたいなものさ」
その説明を聞いたダビデの顔がぱあっと明るくなる。どうやら興味津々のようだ。
早速行ってみることにする二人であったがその前に一つ注意事項を伝えておくことにした。
それはこの付近に魔術師がいるらしいということだった。
彼らは魔術師であるが故に普通の人間とは異なる気配を放っているらしくその存在を感知しやすいのだという。
そして彼らと鉢合わせするわけにはいかないということらしい。
そのため細心の注意を払いながら進んでいく必要があるというわけだ。
ダイヤモンドヘッドは本来は登山しなければならないが、霊体モードで近づけば問題はないだろうとのことだった。
人間であるダビデは、英霊のように霊体化するなど本来は不可能なはずである。
だがソロモンと魂の融合を行い彼の魂の性質も共有できるようになったことで、英霊の特性である霊体化もできるという特殊体質に変化したのだった。
だがこの秘密がバレてしまうわけにはいかないので普段使うことは控えている。
(何だか自分が幽霊になったみたいで不思議だな…)
と思いつつも霊体化して浮遊しながら移動するというのは新鮮であり楽しいものだった。
しばらく進んでいるうちに目の前に大きな山が現れるのが見えた。あれがソロモンが言うダイヤモンドヘッドなのだろう。
近づくにつれてその大きさがよく分かるようになり思わず圧倒されそうになるほどだった。頂上に近づくにつれ気温が上がっていくのが分かったがそれも気にならないくらいに熱中してしまう自分がいることに驚きを感じるダビデであった。
「これは凄いな……!」
感嘆の声を漏らす彼女に同調するように頷きつつ自分もまた目の前の景色に見惚れていた。海が一望でき絶景という言葉が相応しい場所だと感じたからだ。
まるでこの世のものとは思えない美しさだと思いながら暫しその光景に見入っていた2人。
「確かこの土地は観光や旅行に人気の場所らしいね」
元古代人だったダビデも、他のマスター達から話を聞いてハワイという場所については知ってはいたが、実際に訪れたことはなかったので興味があったのだ。
「ああ、私も生前一度くらいは来てみたかったんだがなあ……」
残念そうに呟くソロモンを見てダビデは嬉しそうに笑って言った。
「だけど今こうして2人で来れたじゃないか!」
その言葉にハッとした表情を浮かべるソロモンだったがすぐに笑顔になるとそうだねと答えたのだった。
いつもこんな風に、今を楽しもうと前を向く。ダビデのそんなところがソロモンには眩しかったのかもしれない。
「さあ、遅くなるからそろそろ帰ろうか」
ソロモンは手を伸ばし、ダビデの手を取るとその手を引いて歩き出す。
最初は驚いた様子だったものの、やがて照れ臭そうに微笑み、彼女の手を握り返すとそのまま寄り添うように歩いていくのだった。
そんな二人を祝福するかのように、夕日に照らされた二つの影が伸びていった……。
***
ホテルに帰ってからさっそくソロモンは今日の調査で入手した魔術具らしき物や撮影した魔法陣の写真を整理して解析を始めたようだった。
そして数分後……。
「なるほど……そういうことだったのか」
何かに納得したかのように頷いている彼の様子に疑問を抱いたダビデが問いかける。
「何かわかったのか?」
すると彼はこちらに向き直り真剣な眼差しを向けてきたかと思うとゆっくりと口を開く。
「……これは恐らく封印を解除するための魔術具だろうね」
「封印?ハワイに眠っている力を解放するために作ったということか……?」
その問いに頷くソロモン。しかしその表情はあまり優れないように見える。
「おそらくそうだろう。そして聖杯戦争に関係があるかもしれない」
「何だって?それはつまり…僕達と同じく聖杯戦争参加候補者の仕業ってことかい?」
驚くダビデに対し、ソロモンは静かに答える。
「いや、そこまで断定はできないが可能性はあるだろう」
彼らの予感は的中することになるのだった。そしてハワイに危機が迫ろうとしていたのである……!