魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
初めて見る悪魔の姿にダビデが圧倒されていると、1体が前に進み出て恭しく跪くと挨拶をした。
『我が王よ、お久しゅうございます!』
その口調はまるで従者のようだったが、見た目は獣人の姿をしており、ライオンの顔を持ち騎士のような格好をしている。
「やあ、フルフル。フォルカス。サブナック」
ソロモンは普通に返事をしているが、ダビデにとっては驚愕の光景だった。
(これが悪魔か。想像していたよりはおぞましくないが、異形の部類だね)
「ソロモン王。今日はどのようなご用件でしょうか?」
雄鹿の姿をした悪魔がそう尋ねるとソロモンは頷きながら答えた。
「実はハワイで異常気象が起きていることは知ってるかな?」
その問いに残りの2体も頷いて答える。
「はい、存じておりますとも。原因はまだ判明していませんが……」
3体共深刻そうな表情をしており、事態の重さが窺える。彼らはソロモンに忠誠を誓っている様子が見て取れた。
その様子を見てダビデは思う。
(ソロモンは本当にすごい男だな……悪魔がこんなに従順だなんて信じられないけど)
ソロモンはその内の1体である、ライオンの顔を持つ悪魔に向かって命令を下す。
「君の力でハワイを覆っている吹雪を止めてくれないか?」
その言葉に頷くと、彼の周囲に魔法陣が出現しそこから凄まじい冷気が溢れ出す!!
(凄い魔力量だ!さすがソロモンといったところだね)
圧倒的な力を持つ悪魔の力を目の当たりにして感心していると、あっという間に吹雪は止んでいくではないか! その様子を見ていたダビデは思わず感嘆の声を漏らす。
「サブナック、礼を言おう。フォルカス、最近起きているハワイの異常気象の原因の調査を頼む。フルフルは異常気象の背後にある魔術の追跡調査を行ってくれ」
ソロモンの命令に再び頭を下げると各々散開していくのだった。
「今は我が配下のサブナックがハワイ島に防御結界を張り、吹雪の影響を抑えてくれている。だがあくまで一時的処置に過ぎないから早急に原因を突き止め対応する必要があるだろうね」
ソロモンの言葉に頷くダビデだったが少し疑問に思うことがあったので質問してみることにした。
「最初からあの悪魔達に調査を任せれば良かったんじゃないか?」
「いや。いくら彼らが配下とはいえ、便利屋のように使うわけにはいかないさ。奴隷ではないからね」
「なるほど、そういうことか」
確かにソロモンの言うことにも一理あった。自分達の力で解決できない問題ならば協力を仰ぐのが正しい判断なのだろうと思ったからだ。
その後ソロモンから悪魔使役に関して聞いたこととして、彼は悪魔達とは「等価交換」をすることで契約しているらしい。つまり対価を払って彼らの能力を借りるというわけだ。
具体的には魔力の提供といった行為によって彼らを使役することができるのだそうだ。ただし、ソロモンには無尽蔵な魔力があるので必要最低限のコストで済んでいるらしい。
またソロモン以外の魔術師が悪魔召喚を行ったとしても大した効果は得られないらしく、せいぜい使い魔程度にしかならないようだ。
(等価交換……つまり彼らにもメリットがあるということか。悪魔使役にも隙がないというかなんというか。流石としか言いようがないな)
考えてみれば、マスターも魔力供給することで英霊の力を借りているのだからそれに似たものなのかもしれないな、と思うダビデであった。
(うん…?待てよ)
だがソロモンに対しては、自分は魔力供給してないのにサーヴァントとして助けてもらっている。つまり彼は無償で自分に尽くしてくれていることになるのではないか?
(それって……かなり申し訳ないことなんじゃ……)
今更になって罪悪感に苛まれるダビデであった。それに普段から彼には与えてもらってばかりで、自分は何か返せているのだろうかという不安も湧き上がってくる始末である。
そんなことを考えていると不意にソロモンが声をかけてきた。
「どうしたんだい?浮かない顔をしてるけど……もしかして体調が悪いのかい?」
心配そうに顔を覗き込んでくる彼に慌てて否定するダビデだった。
「あ、ああ……何でもないよ!ちょっと考え事をしてただけだから気にしないでくれ!」
そう言うとソロモンは少し怪訝そうな顔をしたがそれ以上追及してくることはなかった。
(危ないところだった)
ホッと胸を撫で下ろすダビデであった。しかし同時に自分が何もしてあげられないことに不甲斐なさを感じるのだったーー