魔術王ソロモンと羊飼いの僕が魂を融合したら、チートすぎるマスターになってしまった件〜最強の力を共有した僕の聖杯戦争〜 作:bpro
今日の訓練を終えたダビデは自室に戻ってきていた。いつも通りシャワーを浴びてから部屋着に着替えるとベッドに腰掛ける。
一通り、生活上必要なことはソロモンに教えてもらい現代の道具や文明も何とか適度なレベルまで使いこなせるようになったのだ。
だが今は女性になってしまったのだ。最初は女性用の下着を身につけるのも抵抗があったが今では慣れつつある。今もスポーツブラを胸につけてショーツを履いている状態だが、これが楽なので最近はずっとこの下着である。
(それにしても……大きな胸だ。まあ自分の体になんて興奮しないが)
細身だがなぜか胸だけが大きいというアンバランスさに未だに戸惑いを感じているが慣れるしかないのだろうと思うことにした。
ダビデは先程のソロモンとのやり取りを思い返す。
◇◆◇◆◇◆
「冗談だよ。確かに体の関係を結び続ければ魔力を分けることも可能だけど、君の性格だと応じないだろうしね」
軽い口調だが、彼が尊重してくれていることくらいダビデにもわかっているつもりだった。
(こいつは……常識外れな所はあるし強引だが、優しい奴だからね)
生前は彼の父だったので、クールで合理的だが優しい性格の息子だとわかっている。だから憎めない相手でもあったりするのだが……。
そんなことを思いしんみりしていると不意打ちで唇を塞がれてしまった。不意討ち過ぎて抵抗する余裕もなくされるがままになってしまうほどだった。
「んむっ……」
かなり上手かったのか不覚にも感じてしまい甘い吐息を漏らしてしまうダビデであった。
それからしばらくして解放されると蕩けた表情を浮かべていたことに気付いたのか急いで取り繕うとするのだが時すでに遅しという感じになっていたようだ。
そんな様子を楽しむかのようにニヤニヤと笑うソロモン。
「供給量は少ないけど、キスも魔力の交換の一つだよね♪どうかな?」
正直気持ちよかったことは否定できないので反論できずにいたところに追い打ちをかけるようにこんなことを言われてしまったのだから堪らないというものだ。恥ずかしさを隠すために俯きながら答えることしかできなかったのであるがそれが余計に相手を喜ばせていることには気づいていないようであった。
「口付けは我々イスラエル人の慣習だ……」
それ以上の意味を含んだキスであることは明白だったがプライドからそう答えることにしたようである。それを聞いたソロモンは少し意外そうな顔をしていたが、やがてニヤリと笑みを浮かべて言った。
「じゃあ毎日しようね♡」
「!!こ、断る…!!」
◇◆◇◆◇◆
結局、ソロモンに押し切られる形で毎日キスをする約束を取り付けられてしまっていたのである。
(まったくあいつは……調子に乗りすぎだ……!)
ソロモンのことを考えて怒りが込み上げてきたため、頭を左右に振って雑念を振り払おうとする。ふと思い出したことがあったのか起き上がるとクローゼットを開けた。そこには様々な服が入っているのだがその中に一際目立つものがあったのだ。
(あれ……?こんなドレスいつ手に入れたっけ)
首を傾げつつも手に取ってみると予想以上に軽くて滑らかな肌触りであることがわかったのだがそれ以上に気になった点があったのだ。というのもサイズがぴったりだったのである!明らかに自分用に仕立てられたものであることがわかる。
(一体これは…?)
だが今の自分は女の体とはいえ本人の自認は男なので困惑するばかりだったが同時に妙な高揚感を覚えてもいたのも事実だ。
(こんなことをするのはあいつしかいない…)
1人の男の顔が脳裏に浮かんだ瞬間自然と鼓動が早くなっていくのを感じたのだった――
その夜、ダビデの部屋にやってきたのはやはりというかなんというか予想通りの人物であった――
ソロモンだ。
いつもの如く優雅な足取りでこちらに歩み寄ってくると挨拶代わりにキスしようとしてきたものだから慌てて押し返すことで防いだものの内心ではかなり動揺していたようだ。
「あの服は君が用意したのか?」
ダビデは単刀直入に切り出す。
「そうだよ。君に似合うと思って用意させたんだけどどうかな……?」
「あ、ああ……」
思わず口ごもってしまう彼女に畳みかけるように彼は続ける。
「本当はもっとフリルのついた可愛らしいデザインにしようと思ったんだけどやめたんだ。だって君の綺麗な肢体を強調する方が良いかと思ってね」
そう言われて顔が赤くなるのがわかるほど熱くなっていたがなんとか冷静さを保つことに成功すると反撃を試みた。
「僕は男だ。女装などするつもりはない」
するとソロモンは少し残念そうな顔をした後、すぐにまた笑顔に戻ったかと思うと驚くべきことを言ってきた。
「そう、それなら仕方ないな。でも残念だなあ、せっかく君が喜んでくれると思って買ったのに……」
その言葉を聞いた途端心臓が跳ね上がるかのような錯覚を覚えたかと思うと急激に体温が上がった気がした。
(喜んでなんかない……!ただびっくりしただけだ……!)
頭の中で必死に否定するものの実際には図星だったため何も言い返せずに俯いていると、不意に耳元で囁かれた言葉によって思考回路が完全にショートしてしまった。
「デートする時に着てくれたら嬉しいなって思っただけさ」
ああ、駄目だ。こいつには敵わない……そう思い知らされた瞬間だった。
***
翌日、カルデアを1人で歩いていたダビデだがある男が話しかけてきたことによって中断されることになった。
「君はダビデちゃん…だね?」
その男はシルクハットの帽子を被り中世の貴族のような出立ちをしていた若い男だった。
見た目的には20代といったところだろうか?爽やかな印象を受ける顔立ちをしているがどこか胡散臭い雰囲気を纏っており油断ならない人物であることが窺えた。
(この男は……英霊か?)
英霊も人間のように実体化できるので一見普通の人間と変わらない。だがダビデは勘が鋭いので英霊だとすぐにわかったようだ。そして警戒しつつも返事をすることにしたらしい。
「……そうだけど何か用かな?」
男は笑顔を浮かべたまま答えた。
「単刀直入に言おう。私を君のサーヴァントにしてくれないか?私のクラスはプリテンダーでね。ステータスも悪くはない。役に立てるはずだ」
「えっ!?」
ダビデはまだ新米魔術師であり、魔力量も少ない。サーヴァントの召喚方法はソロモンに習ったが今はレベルが低く、召喚はまだ行ったことがない。なので契約サーヴァントはソロモンしかいない状態だ。
なぜわざわざ新米の自分に依頼するのだろう?
「頼む!実は私は先日マスターを失ってね…このままでは魔力供給も切れて、消えてしまう。まだ私は現界したいんだ。どうかお願いできないだろうか?」
悲しそうな顔で訴えかけてくる男を見ているとなんだか可哀想になってきたダビデであった。そこで仕方なく了承することにしたのだった。
「わかったよ、僕の魔力じゃ足りないかもしれないけどそれでもいいなら。ホントは可愛い女の子の方がいいけどね」
「本当か!?ありがとう、恩に着るよ!」
こうして男と契約を結んだダビデ。
(ソロモンに相談しなかったけど大丈夫なのだろうか……?)
そんな不安を感じていたが、男と契約したことで彼の真名を教えてもらうことになった。
「私の名はサンジェルマン。サンジェルマン伯爵とも呼ばれていたよ」
「そうか。よろしく、サンジェルマン」
「よろしくね、ダビデちゃん♡」
(あれ?なぜ僕の名前を知ってるんだろう……?)
不思議に思ったものの深く考えないようにしたダビデであった。
こうして新たなサーヴァントにサンジェルマンが加わったーーー!