千手扉間のブルーアーカイブ   作:トマトルテ

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新章でカヤちゃんとFOXが出るらしく、テンションが上がったのでプロット変更して早めに投稿。
(原作と矛盾が出るかもしれないので、先に投稿すれば大丈夫の精神)


106話:ドリームチーム

 イカれたメンバーを紹介するぜ! 

 

「え? 普通の私がアトラ・ハシースの攻略部隊に……ですか!?」

 

 阿慈谷ヒフミ! 補習授業部の部長! 

 またの姿をトリニティのエージェント・ファウスト! 

 あの羽沼マコトが最も恐れる生徒であると、もっぱらの噂の普通の美少女だ! 

 

「本当に私でいいの!? 私って、ゲームが得意なだけの……え? 言うほど得意じゃあない? それは言わない約束だよね!?」

 

 才羽モモイ! ゲーム開発部のシナリオライター! 

 またの名を、AIマインドクラッシャー! 

 この世で最もAIが危険視する存在! 彼女のゲームは心無き者の心すら揺り動かす!! 

 

(あたし)は別に良いけど……何で、選ばれたの? 百鬼夜行でも、もっと強い人は居ると思うんだけど……」

 

 千鳥ミチル! 忍術研究部の部長! 

 苗字が千鳥だけど、特に写輪眼のミチルとかの、カッコいい二つ名はない! 

 本人は大した忍術は使えないというのに、現状のキヴォトスだとヤバイ忍術が横行しているせいで、お偉いさん達からヤバい目で見られ始めている、普通の忍者! 

 あの羽沼マコトが最も恐れる生徒であると、もっぱらの噂だ! 

 

「ぐひひ、空に浮かぶ巨大な箱舟を爆破していいって聞いたんだけど? 本当だよね?」

 

 風倉モエ! SRT特殊学園・RABBIT(ラビット)小隊のオペレーター! 

 極度のトリガーハッピーで、仲間からは犯罪者一歩手前の存在だと警戒されているぞ! 

 アトラ・ハシースを、ラピュタの崩壊みたいにしていいぞと言われて、参戦だ! 

 

「わ、私なんかで本当に良いんでしょうか…? サオリ姉さんや、スバルさんの方が良い気が……」

 

 槌永ヒヨリ! アリウススクワッドのスナイパー! 

 仲間からは、裏切るだろうなと思われてたり、裏切ってもまあいいや……と思われたりしている! 

 でも、本人はちゃんと義理堅い! フライドチキンを前にしても、裏切らない強い子だ! 

 

「ん、デブシロコに嫌がらせをするチャンス。金目のものを拾って交番に届ける」

 

 砂狼シロコ! アビドス廃校対策委員会のメンバー! 

 またの名を、覆面水着団のナンバー2! 

 この中だと、ちゃんと相手に因縁があるという奇遇稀な選出だ! 

 

「ふふん。今までにないハイレベルな依頼ね……でも、大船に乗ったつもりで良いわよ! この便利屋68の社長である、陸八魔アルが味方なんだから!!」

 

 陸八魔アル! 説明不要の極悪組織、便利屋68の社長! 

 キヴォトス史上最悪の犯罪者! 

 司法を司るサンクトゥムタワーを崩壊させ、D.U.を半壊に追い込んだ、現代のモンキー・D・ルフィである! 

 

「さて、よく集まってくれたな。このメンバーが最終的に、アトラ・ハシースでワシと共に行動するメンバーとなる」

「あ、あの先生……選出理由をお聞きしても? 他の方々はともかく、私みたいな普通の生徒が選ばれるなんて……補習授業部でも、コハルちゃんやアズサちゃんの方が強いですし」

「そうだよ、先生! 本気でアロナを助けに行くのに、どうして私だけなのさ! 言ってもらえれば、アリスやネル先輩にも声をかけて来たのに!」

 

 ヒフミ、モモイ、ミチル、モエ、ヒヨリ、シロコ、アル。

 以上の7人が自分と共に動くメンバーだと告げる扉間に、ヒフミとモモイが質問する。

 どう考えても、自分達より適任がいるはずだと。

 

「確かに、純粋な戦力という意味では、お前達よりも適任は居る」

「だったら、なんで(あたし)達なのさ?」

「私はここで呼ばれなかったら、SRTの意味が無いからいいんだけどさ? やっぱり、選出理由が謎だよね」

 

 それに対して、ミチルやモエだけでなく、当の扉間も同意する。

 他に人はいなかったのかと。

 

「一番槍……つまりは、いつ死んでも構わないメンバーが、囮として集められたんですね? わ、分かりました。後続のみなさんのために、私も死力を尽くして自爆します!」

「違う。先生はそんなことはしない………でも、囮にはするかも」

「そうよ。臆病になったらダメよ? 私が居るんだから、仲間は誰一人として死なせないわ……でも、囮にはされるかもしれないわね。銀行強盗の時みたいに」

 

 まさか、囮かとビクビクする、ヒヨリ。

 そんなことはしないと言いたいが、相手が扉間なため自信の持てない、シロコ。

 銀行強盗の囮にされたことを根に持っている、アル。

 これが日頃の行いの大切さである。

 

「当然違う。むしろ、お前達は本命中の本命……敵のワシを仕留める切り札だ」

 

 だが、扉間は即座にそれを否定する。

 むしろ、この部隊は対世界を欺く者(プレナパテス)専用の切り札なのだと。

 

「切り札…ですか?」

「ユズならともかく、私は特に凄い一芸とか持ってないよ…?」

(あたし)達の何が切り札なのさ?」

「そもそも、各学園ごとに分けてる意味も分からないし……RABBIT小隊で纏めて呼んでくれてもよかったけど?」

「そう言えば、そうですね……アリウスだけじゃなくて、まるで各学園の代表のように選出されてますね」

「ん、分かった。相手の嫌がることをするため」

「要するに、相手の先生の嫌がることになるのかしら、私を含めたこのメンバーが?」

 

 7人は学校も戦闘力も趣味もバラバラ。

 初対面同士の生徒もいる。

 その中でこそ、扉間が彼女達に求めていることは。

 

 

「お前達はワシからすると、全員──行動が読めんのだ」

 

 

 千手扉間(じぶんじしん)が行動を読めない。その1点にあった。

 

「こ、行動が読めない…? こんな普通の私の…?」

「え? そう? 私だって、ただのゲーマーだよ?」

「ちょっと、失礼じゃない? 私は特殊部隊のSRTだよ?」

「そうよ。私どころか、便利屋全体で変なことをした記憶なんて無いわ」

 

 ヒフミ、モモイ、モエ、アルが心外だとばかりに声を上げる。

 自分達ほど、お行儀の良い生徒もそうはいないぞ? 

 

「ヒフミ。お前はもはや何も言わん。モモイはアリスの裏口入学の件を忘れるな。モエは爆破したいという欲求で、ブラックマーケットを火の海に変えたことを、忘れたとは言わせんぞ? そして、アル………D.U.の惨状を見ながら、もう一度その言葉を言ってみろ」

 

 だが、扉間は軽く青筋を立てながら、そんな訳ねぇだろと毒を吐く。

 どいつもこいつも、自分のやらかしに対して楽観視しすぎている。

 

「いやいやいや! ちょ~っと待ってよ、先生殿! (あたし)は悪さとか特にしてないよね!?」

「私も先生の予想よりも食べ過ぎて、太ってしまったことぐらいしか……後、雑誌を貯めこみ過ぎて怒られたぐらいですし」

「ん、心外。先生の教えを忠実に守ってる」

 

 だが、特にやらかしていない組からは反発が出る。

 

「お前達はポジティブに、ワシの予想を超えていった側だ。特にミチルは、並行世界のお前を見て、成長の可能性に賭けた。ヒヨリもワシの予想を超えたが、ワシが悪いので別に怒ってはおらん。シロコは………むしろ、ここで一皮むけて欲しいぐらいだ」

 

 シロコは、なんだかんだ言っても、予想は超えてもグレーゾーンで抑える。

 強盗マニュアルを自主練で作る、優等生だ。

 だからこそ、シロコ*テラーの動きを読めた。

 しかし、自分以上の忍の才能を感じた以上は、予想を超える可能性は十二分にある。

 そんな期待の込められた選出だ。

 

「そして、各学園ごとに選出したのは、まさに連携を取らせないためだ。ワシの命令よりも、お前達の考えを優先させる」

「素人の考えだから、読み辛いということでしょうか?」

 

 そして、各学園より1人ずつ選んだのは、固定化された行動をさせないため。

 

「ああ。戦術としては愚策を通り越した愚策だが……このメンバー選出を敵のワシが読んでいたとしても、動きまでは読めんはずだ」

「攻略本片手にプレイするんじゃなくて、自分の直感でやるってことだね。ゲームでも、制作側からじゃ思いつかないような、プレイをしてくれる人とか出るからね」

 

 ゲーム開発側はバグ程度なら、見つけられたかぁと予測は出来る。

 だが、ゲーム機本体をホットプレートで熱してバグを発動されるのは、流石に予想できない。

 扉間的には、そういうので相手の裏をかきたいのだ。

 

「先生殿の考えは分かったけどさぁ……戦力的に大丈夫?」

「ヒフミとモモイは確かに不安だが……ミチル、お前はワシの認めた忍だ」

「先生殿…!」

「そして、モエはSRT。ヒヨリはアリウススクワッド。特殊部隊だ」

 

 考えが読めないという一点で集められたメンバーではあるが、実力も意外とある。

 

「シロコとアルは、肩書こそないが戦闘力は十二分にある」

「シロコさんは強いですよね……」

「まあ、それは私も保証するよ。陸八魔アルは強敵だったしさ」

 

 ヒヨリとモエが頷くように、特殊部隊が2人。

 それと戦えるシロコとアル。

 不安視されるヒフミとモモイも、やる時はやるので大丈夫だろう。

 

「ん、こういうのは意外と何とかなる。アビドスと同じ人数が居るから大丈夫」

「怖いなら、私の背中に隠れていなさい。目を瞑っている間に、終わらせてあげるわ」

 

 総勢7名……アビドスと同じだ! と、喜んでるのか、悔しがってるのか分からない表情のシロコ。

 見たところ、自分より年上が居なそうなので先輩風を吹かす、アル(※ミチルは年上です)。

 頼もしいかどうかは、自分で決めることにするよ。

 

「そういう訳だ。それに、あくまでもお前達は最終決戦部隊。道中はしっかりと仲間がいる」

「仲間?」

「キヴォトス全土の危機だ。しかるべき部隊も動くべきだ」

 

 仲間がいるよ…! 

 扉間のセリフと共に、5人の生徒が部屋に入ってくる。

 

「うぇッ!?」

 

 モエが若干だらしなくしていた体勢を、慌てて直す。

 だって、相手は()()なのだから。

 

「FOX1、七度(しちど)ユキノ」

「FOX2、吉野(よしの)ニコ」

「FOX3、高倉(たかくら)クルミ」

「FOX4、天神山(てんじんやま)オトギ」

「連邦生徒会防衛室長、不知火カヤ。以上の5名が皆さんを援護します」

 

 FOX小隊、そして防衛室長のカヤが扉間小隊の道を守る。

 一度は道を間違えたが、正義に立ち戻って来た者達。

 これぞ、扉間が繋いだ火の意志達である。

 

「援護って……むしろ先輩の方がメインだよね、先生!?」

「風倉モエ隊員。私達はまだSRTに復学できていない。上下関係は気にしなくていい」

「ユキノ先輩……いや…その…先輩の方が強いですし……」

「モエちゃん、あんまり気にしないでね? ユキノちゃんは一度決めたら、頑固だから……」

 

 だったら、隊員って呼ばないで欲しい。

 歯切れの悪い言葉を吐きながら、モエは内心でそんなことを思うが口には出せない。

 先輩を舐める訳にはいかないのだ。

 

「それに先輩だって言うなら、後輩を守るのは当然でしょ?」

「そうそう、陰ながら守らせてくれれば、それでいいからさ」

 

 そんな仲間を横目に、クルミとオトギは軽くため息を吐く。

 自分達のリーダーの頑固っぷりにも困ったものだと。

 

「FOX小隊もビックリだけど……それより、防衛室長って警察のトップじゃない!? 何で、前線に出てくるのよ!?」

「あなたにサンクトゥムタワーを破壊された上に、D.U.を半壊に追い込まれたからですが、何か? 上で指揮をとろうにも、情報網が潰れてるので、現場での指示はカンナ達に任せて、自分も出て動いた方が、効率的になってしまっただけですが、何か?」

「わ、ワザとやったわけじゃないわよ!?」

 

 要するに、行政機能が停止状態なので、現場より上のお偉いさんには出来ることが少ないのだ。

 原作でリンちゃんが、普通に最前線に出てきたのも、他にやれることが無かったからである。

 机がぶっ壊された以上は、机上の空論すら成り立たせられないのだ。

 

「そして、もう1人……いや、2人か。アトラ・ハシースに乗り込むには船が欠かせん。そのための人員も呼んでおる」

 

 さらに、もう1人(いっぱつ)! 

 扉間の仲間紹介は続く。

 

「全ての元凶と言うべきか、被害者と言うべきか……ともかく、相手が相手ゆえ出し惜しみは出来ん」

「まったく、どの面を下げて味方側に来てるんですかね……本当に」

 

 カツン、カツンと重々しい靴の音が響く。

 カヤがその音に苦々しく、それでいて呆れたような声を出す。

 そう、最後のメンバーは──

 

 

 

『あなたも最初は死んだトビラマ先生に認めてもらいたくて、褒めて貰いたかった。それが欲しくて先生を目指したはずです……私と同じなら。ですが、あなたの今を見てください。並行世界の全てを敵に回して、先生に会いたいとか愛しているなんて言って……結局はトビラマ先生の想いを踏みにじっているだけではないですか? そんなことでは、誰からも……トビラマ先生からも認めて貰えません。先生を受け継ぐはずだったあなたは、先生とは真逆の存在になってしまった。トビラマ先生の死という同じ悲しみを背負っているからこそ、あなたには腹が立つのですよ、イノリさん。あなたはただ、現実逃避をして逃げていただけです。自分の世界どころか、並行世界の生徒まで巻き込んでまで、あなたの道を突き進むのは、決して許されることではありません。元の道に戻って、生徒の1人としてしっかりと償ってもらいます……何もかもから逃げようとして……あなたはまだ卒業もしていない生徒です。現実から目を背けないでください。今更、先生になろうだなんて言い出さないでください。とにかく、卒業してから出直して来てください──この親不孝者』

「………はい、すいません」

 

 ──連邦生徒会長、(しらとり)イノリだ。

 ただし、現在進行形でウトナから『何もかもから逃げようとしやがって』と叱られている真っ最中だが。

 

「あーッ! 連邦生徒会長じゃん!! ミレニアムで敵対してたよね!?」

「……昨日の敵は今日の友とも言いますし、ゲームでも敵との共闘は熱い展開ですよね、 モモイさん? というわけで、仲間に入れて貰えないでしょうか?」

「いやいや! 推定ラスボスが味方になるなんて……結構あるね」

 

 主人公の両親を殺した仇なのに、最終戦で盾になって死んでいく元ラスボス候補。

 そう、オビト枠である。

 

「あ、そうだ。ウトナはTSC2をやってくれた?」

『今すぐ裏切ることも可能ですが? モモイさん』

「プレイの感想を聞いただけで!?」

 

 そして、イノリに対して説教をかましているウトナではあるが、こいつもどの面フレンズ。

 TSCのおかげで、色々と足止めや脳破壊が出来ていなければ、世界は終わっていただろう。

 やはり、TSCしか勝たん。

 

『……失礼いたしました。まだ、TSC2はプレイしておりません。時間がありませんので。残念…ええ、本当の本当に残念なことではありますが、残念』

「まあ、こんな状況じゃ気が散って、プレイに集中できないよね」

 

 れっきとした、断る理由があったことに心から安堵する、ウトナ。

 連戦に次ぐ連戦なのだから、序盤の強制プレイ以外は時間が無かったのは事実だ。

 

「じゃあ、全部終わったら一緒にプレイしようよ?」

『………え?』

「連邦生徒会長も、もちろん一緒にね! 先生になるなら、生徒のお願いは聞かないとね?」

「………え?」

 

 ニパーッと輝く笑顔で、死刑宣告を行うモモイ。

 死刑がコハルだけの特権だと、いつから勘違いしていた? 

 

「フ…ワシはモモイ達とよくゲームをやっておるぞ? 生徒との交流は、()()()()()だからな」

 

 そして、扉間が少し面白そうに笑いながら、逃げ場を無くす。

 先生になるのならば、楽な道ではなく、険しい道を歩く必要があるのだと。

 

「う……も、もちろんです」

『こんなにも辛いのならば、苦しいのならば……心など無ければよかったのに』

「並行世界とはいえ、会長がここまで恐れるとは面白いですね……」

 

 しぶしぶと頷く、イノリの姿を見ながらカヤが面白そうに笑う。

 悲劇とは、遠くから見れば喜劇とはよく言ったものだ。

 

「そう言えば、矯正局にゲームなどの娯楽を増やせないかと、矯正局長から掛け合いがありましたね……どうせミスズのことなので、囚人の願いを叶えようとしているのでしょうが……」

「あ、スズちゃんのこと? 良い人よね~。私も矯正局に入ってる時は、色々とお世話になったわ。誕生日には、便利屋のみんなと一緒に過ごせる時間をくれたりしたし」

 

 矯正局長の監原(かんばら)ミスズは囚人達は罪人ではないという、優しすぎる思想の持ち主。

 収監中の生徒のために、こっそりと持ち込み禁止の食べ物を与えたり、誕生日を祝ってくれる、お人好し。

 仮にモモイが収監されたら、面会と称してコッソリとゲームをさせてもおかしくはない。

 

「要望を叶えつつ、快適にし過ぎない……ありかもしれませんね」

 

 そして、カヤは悪魔のような考えを思いつく。

 矯正局の中を快適にし過ぎたら、罰にならない。

 故にゲームは持ち込めない。

 

(娯楽と見せかけたクソゲーを置けば、勝手に他のことに取り組むようになるのでは?)

 

 だが、TSC(クソゲー)ならば別だ。

 要望を叶えつつ、プレイした者にトラウマを刻み込む。

 ある種の罰にすらなりえる。

 ゲームから勝手に離れて、刑務作業に没頭してくれるかもしれない。

 仮にクソゲーに嵌った場合は……まあ、現実的には無害にはなるだろうから、ヨシ! 

 

「さて、話が逸れたが……直接的に、アトラ・ハシースに乗り込むのはこのメンバーになる。地上には並行世界のシロコや黙示録の敵が居るが、他の戦力が残っていれば大丈夫だろう」

「それで、どうやって乗り込むの、先生殿? 相手は空に居るんだよね?」

『そこは私にお任せください。ウトナピシュティムであれば、アトラ・ハシースと同じ高度まで飛んでいけます』

「同時に穢土転生を詰め込んだミサイルで、バリアを破壊して乗り込む。そして、アロナを救出する」

 

 ミチルの当然の質問に、ウトナと扉間が力強く答える。

 

「ミサイルかぁ……そのボタンって私が押しても……あれ? ミサイル撃ち込んだ後の船に乗り込むのって、割と不味くない?」

「気がついたか……」

「バ、バリアが壊れるだけならいいですけど……効き過ぎたら沈んでいきますよね?」

 

 だが、モエとヒヨリがちょっとした問題点に気づく。

 ミサイルが効き過ぎたら、沈没船に乗り込む自殺行為になると。

 

「ん、でも、アロナは見捨てられない……」

「ちょうどいい感じに、爆破すればいいじゃない?」

「D.U.を半壊させたあなたが言いますか? あなたもワザとではなかったんですよね?」

「う…ッ」

 

 計算すれば大丈夫? 

 お前それ、陸八魔の前で言えんの? 

 

「い、急いで行って、急いで帰れば何とか……なりませんかね?」

「案ずるな、ヒフミ。お前達を安全に返す方法はある」

「はい。ウトナピシュティムの演算機能でワープさせます」

『あらかじめ、皆さんのデータと地上の座標を登録しておけば、一度限りの脱出シーケンスが可能です。帰ってくることは出来ませんが』

 

 生徒を連れていく以上は、天国への片道切符ではいけない。

 そのため、しっかりと脱出手段も確保していると、扉間、イノリ、ウトナが告げる。

 

「そして、ワシの飛雷神も合わせれば、脱出手段は2つになる。ただ、こちらはワシの近くにおらんと使えんからな。あまり過信してくれるな」

 

 そして、万能な術。飛雷神。

 いざとなれば『ワシらは飛雷神で帰る』で逃げればいいのだ。

 

「なら、大丈夫そうだね!」

「流石は先生殿、忍者は裏の裏まで読むものだからね!」

 

 モモイとミチルが、帰り道の保証にホッと胸を撫でおろす。

 そんな姿を見ながら、扉間は続ける。

 

「だが、危険なことには変わりない。ここまで話して、何を言っておるのかと思うかもしれんが……辞退したい者が居れば、遠慮なく言え。辞退は可能だ。誰も責めはせん。遠慮なく挙手をしろ」

 

 別に無理に戦う必要はないのだと。

 本当に、このタイミングで言うかということを告げる、扉間。

 おまけに挙手制だ。ダンゾウでなくとも、手が上げづらい。

 

「ただし、イノリとウトナ。お前達は強制参加だ」

 

 ただし、イノリとウトナ。テメーらはダメだ。

 

「敵をこの世界に招いた責任を取れ。元はと言えば、お前達のせいだ」

「事 実 陳 列 罪」

『ご安心ください。再び、トビラマ先生と共に戦える機会を逃すことはありません』

 

 逃げずに責任を取れ。

 というか、最悪他の生徒達が全員帰っても、この3人で何とかなるのは並行世界で実証済みだ。

 逃がすわけにはいかない。

 

「私達も帰る気は毛頭ありません。キヴォトスの平和を守るのはSRTの務め」

「はい。たとえ、SRTに戻れなくても……この気持ちだけは忘れる訳にはいきませんから」

「そもそも、首根っこ掴まれてる私達に選択肢なんて無いわよ!」

「まあまあ、流石にこれだけの功績を上げれば、復学できる可能性も出てきそうだし……そこら辺どうなんですか? カヤ室長」

「私も首根っこを掴まれてる状態なので、そこはなんとも言えませんね……先生?」

 

 しかし、FOX小隊の面々は本心から乗り込むことに同意する。

 罪を挽回するチャンスがやって来たので、張り切らない訳が無いのだ。

 

「そもそも、これが終われば会長が帰ってくるのだ。お前達の立場の不安定さも元はと言えば、会長の責任……無理やりにでも協力させればよい」

「へ、並行世界の私のことなのに……自分が責められている気に」

『いえ、それで間違ってはいないかと。勝手にいなくなった以上は、勝手に利用されても文句は言えません。私達の世界でも、同じことが起きている可能性も……もしかすると、既に()()()()()()()()が着任しているかもしれませんね』

 

 そして、アロナ=連邦生徒会長なので、救出した後は責任を取らせる。

 そう、正式なSRTの復活だ。

 連邦生徒会長が居ないことで、おかしくなったんだから、帰って来た上で功績も上げれば、FOX小隊の復活は難しくない。

 

「それで……お前達はどうする? ついて来ようが来まいが、命の保証はするが」

 

 脛に傷を持つ生徒との話は終わり、次はヒフミ達だ。

 何の罪もないが故に、カヤ達のように逃げられないわけではないのだから。

 だが、やはりと言うべきか、この場に居る者達は皆、“ひの意志”を宿していた。

 

「わ、私は行きます! 選ばれた理由は未だに良く分かりませんが……それでも、こんな私でも、アロナちゃん救出の役に立てるなら!」

 

 ヒフミ(ブラックマーケット出入りの常習犯)。

 

「私も、もちろん行くよ! アロナは私達の友達だからね!」

 

 モモイ(生徒の不正入学操作の前科有り)。

 

「並行世界の私の敵討ちだからね? (あたし)も先生殿のお手伝いをする!」

 

 ミチル(コユキを人質に取ったことがあるけど……まあ、コユキなら無罪か)。

 

「私も行くよ、そりゃさぁ。先輩達にあんなこと言われたら……ちょっと憧れちゃうじゃん?」

 

 モエ(SRTの物資を横領した疑いあり)。

 

「も、もちろん、私も頑張ります…! 塩と糖と油のために……世界を守ります!」

 

 ヒヨリ(扉間暗殺事件の実行犯)。

 

「うん。私も……何だか行かないといけない気がする。それに、並行世界のものなら拾えば100%私のものになるし」

 

 シロコ(銀行強盗→便利屋への罪の押し付け→押収した武器の横流し→そして伝説へ……)。

 

「一度受けた依頼は、クライアントが裏切らない限りは完遂する。それが便利屋68のポリシーよ」

 

 アル(アル)。

 

「なんですかね……この、妙に釈然としない感じは?」

「戦力が確保出来たのだ。素直に喜んでおけ、カヤ」

 

 完璧な人間なんていない。

 だからこそ、人は手を取り合うのだ。

 これこそが、人類の美しさ…! 

 

「よし、それでは準備が出来次第、ウトナピシュティムに乗り込み──アトラ・ハシースの攻略に向かうぞ!」

 

 

 

 

 

「姫、準備が出来たぞ」

「ありがとうね、サッちゃん……先生、発射してもいい?」

『ああ、今はまだウトナピシュティムとアトラ・ハシースの距離は離れておる。この距離なら、誤射もあるまい。撃て』

 

 そして、下町アリウスミサイルが遂に発射される。

 

「ご先祖様……ごめんなさい」

「スバル先輩、ヒヨリが無事に帰ってくるためだと思って、我慢して」

「分かってますよ、ミサキさん……過去よりも未来を生きる後輩達のため。先生の教え通りに耐え忍びます」

 

 ミサイルの中からは、ゴリゴリと死体(何か)が蠢く音と、呻き声が聞こえてくるがスバルは無視をすることにした。

 これが人間ミサイル回天(かいてん)ジャーですか……。

 こういったことに耐性のあるアリウス生でなければ、SAN値チェックものかもしれない。

 

「じゃあ、行くよ? 1、2、の──3!」

 

 そして今、穢土転生ミサイルが発射される。

 数多の魂と、死体を乗せて、アトラ・ハシースへと近づいていく。

 そして──

 

 

『よし──でかした!』

 

 

 ──多次元解釈バリアを撃ち破った。

 




FOX小隊、実装おめでとう!
後、カヤちゃんもメイン張れそうで何よりです。髪下ろしカヤちゃん……ふつくしい。

ユキノの実装がまだ……そしてカヤちゃん。
これはユキノ&カヤちゃんのダブルピックアップですね! 間違いない!
花京院の魂を賭けてもいいですよ!

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