私が居なくなった方が良いと気づいたのは、いつからだったでしょうか?
初めに、やり直すことを選んだ時?
自分以外に任せてみようと考えた時?
それとも、先生と一緒に居ると、キヴォトスがダメになってしまうと気がついた時?
まあ、どこでも同じですよね。
人は神の手を離れて、楽園の外の荒野に旅立たなければならない。
重要なことは、それだけなんですから。
努力をすれば、人間は誰だって、何でも叶えられる。
ちょっと、時間はかかるだろうけど。
それでも、
だから私の役割は、そんなに大したものじゃない。
同じことが出来る人が居るのなら、私である必要はない。
そう思ったから、私は先生の前から居なくなってみたんだ。
自分の代わりを置いて行ったりもしてみた。
連邦生徒会長という職務を空席にして隠れてたら、みんなが先生を中心に上手くやってくれる。
そう思ってたんだけどなあ……。
──
私と先生が手を組めば、生徒が成長しない。
先生が1人だったら、誰も先生の
一緒に生きて、一緒に成長していく。
そんな当たり前のことが、
エデンの園で、神様に守られているうちは、子供は成長しない。
でも、裸のまま楽園から追放したら、生きてはいけない。
神として干渉せずに、人として気づかれずに助けてあげる必要がある。
だから、私は
神として守るためだけではなく、子供として一緒に成長していけるように。
そうすれば、きっと……どの生徒も、先生も、誰一人として犠牲にしないで済むはずだから。
ねえ、リンちゃん?
リンちゃんはきっと、今でも私のことを探してくれているんだよね。
リンちゃんにとって……ううん。
私にとって、リンちゃんは友達だから。
リンちゃんにとっても、きっとそうだったら嬉しいな。
ねえ、先生?
私は先生にとっての何でしょうか?
ただのお助けサポートキャラでしょうか?
それとも、先生をここまで連れて来た得体のしれない子供?
それを聞く機会は、もう永遠に訪れないでしょうが……それでも、私は。
あなたのことを愛しています。
世界よりも深く、深く、深く。
だから──
──全部あげます。
あなたの幸せのために。
この命を、存在を、
全部…全部…あげちゃいます。
そうして、何も知らない
そうして、先生はいつまでも、この
たとえ、
“──娘を忘れて、幸せになれる父親など居るものか、馬鹿者”
「早速、敵が出て来ました! アルさん、どうしましょうか?」
「直進よ! 敵が前から出て来たことは、敵の後ろが正しい道ってことよ!!」
「ダンジョンでも、モンスターを配置するのはボスに続く道だからね!」
『………物申したいですが、道は合っているので否定できません』
無能な指揮官の突撃命令の如く、とにかくアトラ・ハシースの中をまっすぐに進んでいく、アル小隊長率いる部隊。
次元エンジンを破壊して、占領しなくていいのか?
電撃戦で相手の首を取れば、勝利だから問題ない!
疾風迅雷やね。
「何か、
「え!? えーと……直進あるのみよ!! よく考えたら、ワープで逃げられるんだから帰り道なんか気にする必要が無いわ!!」
「クヒヒ、こんな破滅的な作戦、初めてだよ!」
「玉砕覚悟の突撃……昔は良く教えられてましたね。まさか、校長先生の代になっても、やるとは思いませんでしたけど」
初めは目の前の敵を打ち破るだけで良かったが、占領してから来ているわけではないので、当然討ち漏らした敵が後ろから再び襲ってくる。
挟み撃ちになってしまうが、アルは最後はワープで帰れると気にせずに突っ込んでいく。
ヒヨリが、昔は自爆特攻を教え込まれたなぁと懐かしみながら、お菓子の詰まった大きなリュックと共にその後ろに続いていく。
「ん、ボスっぽいのが居る……どうする?」
「……私達、FOX小隊が残って相手をしよう。その間に陸八魔小隊長達は先に──」
「馬鹿を言うんじゃないわよ! 無視して直進! 無視が出来ないなら全員で潰して、全員で進むだけよ!! 私達は既に一蓮托生よ! 全員で生き残るか、全滅かの二択!!」
「ふふ、頼もしい隊長さんですね」
「甘いけど……嫌いじゃないわ!」
「じゃあ、ご期待に応えて、私達FOX小隊のエリートっぷりをお見せしよう!」
強大な敵も何のその。
これはゲームではなく
普通に敵の脇をすり抜けて前に進んだり、無理なら全員で叩き潰す。
人類最強戦術、袋叩きである。
「……クジ引きで決まったリーダーですが、意外と上手くいってますね。まあ、問題から目を逸らしていると言えば、それだけの話ですが」
「そこをフォローするのが、私達の役目じゃないかな、カヤちゃん?」
「まあ……一応は年下ですので、フォローしてあげましょうか」
そんな快進撃を続けるアル達を見ながら、カヤとイノリの2人が周囲に目を光らせる。
トップに立つ人間だからこそ、俯瞰的に戦場を見渡すことが求められるのだ。
何より、最年長かつ生徒を守らねばならない立場の2人。
火の意志が光り輝く。
『後、もう少しでナラム・シンの玉座に到着します。先生、シッテムの箱を離さないでくださいね? 何があるか分かりませんので』
「ああ、分かっておる」
そして、防御を捨てた捨て身の快進撃が実を結び、遂に目的地へとたどり着く。
そして──
「ようこそ、トビラマ先生。ナラム・シンの玉座へ」
「ウトナ…!? いや、並行世界のA.R.O.N.Aか……しかし、何故外に出ているのだ…?」
「ホログラムでしょうか…?」
アルを先頭に突撃に突撃を重ねて、遂に辿り着いたナラム・シンの玉座。
そこで待ち構えていたのは、ウトナと全く同じ姿をした
扉間は、どうやってAIが普通の人間と同じように、現実に出ているのかと困惑する。
『……なるほど、そういうことですか』
「ケイ? 何か知ってるの?」
『アトラ・ハシースの内部は状態の共存状態。さらに、ナラム・シンの玉座は
「そういうことか……肉体を得たのではなく、この空間特有の現象か」
そんな扉間達に対して、ケイがしたり顔で説明を行う。
相手のネタをあっさりと看破できるのは、流石は本家本元のアトラ・ハシース乗組員といった所だろうか。
「その通りで…え? あなたは、一体…? 何故、その“教室”にA.R.O.N.A以外の存在が?」
逆に、相手の
自分の家の中に、他人が居たら普通はビビるので、仕方がない事だろう。
『……なるほど、どうやら私がシッテムの箱に入れられた世界は、随分と珍しいようですね。今の所、3つの世界でこの世界だけみたいですので』
「………まさか、名もなき神々の王女の鍵ですか? シッテムの箱に代わりのOSを入れて動かすとは……流石は先生と言いますか、何と言うか……」
『残念ですね。これは私の発案です。まあ、発端は先生なのは間違いないですが』
理論は分かるけど、普通やりますか?
そんな、呆れた目を扉間に向ける、プラナ。
「それで、
だが、扉間の目線はプラナではなく、その隣の人物に向いていた。
鉄の仮面で覆われた、偽りの先生。
“…………”
「だんまりか? それとも、人の言葉を忘れる程に耄碌したか? 子供を守れずに、自分だけが生き延びるとは、マダラのことを笑えんな。ん?」
言葉を発しないプレナパテスを、苛立ちを込めた言葉で煽る、扉間。
扉間からすれば、相手は火の意志を忘れた、見たくもない、もしもの自分。
厳しい言葉をかけてしまうのも無理からぬことだ。
「……ん、先生でも先生の悪口は許さない」
「んッ! デブシロコ! ワープで戻って来た?」
「よわシロコ……」
そんな、辛辣な言葉を否定するように現れたのは、シロコ*テラー。
「ほぉ、マーキングされた状態で戻って来たか?」
「……ここまで侵入された以上は、隠れるだけ無駄。どうせ、敵が内部に居るならワープ攻撃されても大して変わらない……それに、最終決戦だから」
マーキングされたせいで、本拠地に帰れないプチ角都状態になっていた、シロコ*テラー。
だが、相手が既に本拠地に侵入しているのなら、もはや心配するだけ無駄だ。
戻って戦力として、戦った方がマシと判断した。
「なるほど、確かにな。それで……アロナはどこだ、
“……”
「無駄だよ。先生はもう……喋れないから」
「私達の
プレナパテスは答えない。
代わりにシロコ*テラーとプラナが、もう何もしゃべれないと答える。
そう、プレナパテスは動く死体に過ぎないと、衝撃の事実を口にする。
「死んだまま動いてるんですか!? あ……穢土転生の術ですね!」
「なんと言うか、衝撃の事実のはずなのに……見慣れたね」
「また、穢土転生の術かぁ……(倫理観が)壊れるなぁ」
「やっぱり、これ作るべき術じゃなかったよね?」
「死体の軍勢のボスも死体ですか……何と言うか…こう……虚しいですね」
「ん、捻りが無い」
「じゃあ、結局あっちのシロコが全部の黒幕ってことかしら?」
まあ、ここまで来た生徒達にとっては、あまりにも見慣れた光景なので驚きなどないのだが。
黄泉の門はもう、ガバガバ。
「穢土転生ならば話は早い。もう1人のシロコ。お前から大人のカードを奪って、穢土転生の主導権を握ればいい。そして吐かせる」
そして、扉間も自分の死体とか見慣れたものなので、平然と吐かせると告げる。
出るか! 二代目様考案の穢土転生の術が…!
「……違う。先生は色彩の嚮導者になった影響で、死体が動いているだけ」
『色彩の…!? そんな馬鹿な……先生は「崇高」、「神秘」、「恐怖」のいずれも持っていないはずです……理解出来ません。また、禁術ですか?』
「先生に神秘が無いのは私も確認済みです。神秘があるのなら、私の奇跡で生き返らせることが出来たんですから……先生? もしかして、また何かの禁術を隠し持っていたんですか?」
「人を歩く禁術書のように言うな」
色彩が取るはずのない行動。
色彩や神秘に最も詳しい、ケイとイノリが扉間へ疑いの目を向ける。
自分が死んだ後も死体になって動く術なんて!? ……まあ、扉間なら作ってそうだな。
「……しかし、あちらの方が言っていることが事実だとしたら、あの先生は色彩に操られているのでは? 刑法的にはこの場合は、どうなるんでしたかね」
「死体を操って、本人が望まないことをやらせる…? 何と卑劣な…!」
「そうは言っても……改めて、客観視すると私達FOX小隊も酷い事してますね」
「暴れる死体をミサイルに詰め込んで撃ち込む……うん、地獄落ちね」
「まあ……実際に穢土転生の術を使ったのは、あっちだし…?」
色彩に操られて、非道なことをやらされていると言われても、あまり怒れない。
前世で積み重ねた扉間の悪行が、跳ね返って来たとしか思えないのだから。
「ええい! 作るべき術ではなかったのは、ワシも反省しておる所だ! とにかく、今はアロナの安否だ! あちらのA.R.O.N.Aが外に出ているとはいえ、ケイはシッテムの箱に入ったままだ。この空間では必ずしもAIが外に出る訳ではないのだろう。あちらが居場所を答えないのならば、シッテムの箱を奪うだけだ! アル、指示を頼む!!」
「え!? あ、そうよね……私がリーダーだものね」
結局、戦うことには違いないのだと、ちょっと誤魔化しつつ、アルに指示を仰ぐ扉間。
「取り敢えず──細かいことは! 倒してから!!」
そして、アルの指示は倒してから考えるというものだった。
色々と状況が複雑な時はこれに限る。
ここはキヴォトス。
殺さなければ、相手を気絶させるぐらいは日常茶飯事。
ぶちのめしてから話合えば問題ない。
まあ、約1名は既に死んでいるのだが(笑)。
「相手は先生を入れても3人です! 普通に考えれば、数ではこちらが圧倒的に有利です」
「多勢に無勢だけど、
「悪く思わないでね? ゲームでも主人公パーティの方が、数が多いのは常識だから」
ワープに無敵ガードの持ちの敵。
だが、こちらも限定的にだが同じ手が使える。
ならば、数の多いこちらの方が有利だと、ヒフミ、ミチル、モモイが告げる。
「主人公ですか……確かにそうですね。
「でも……忘れたわけじゃないでしょう?
しかし、プラナとシロコ*テラーは冷静だった。
まるで数の不利など、初めから存在しないとでも言うように。
「あなた達の前にいるプレナパテスが、誰なのか?」
「まさか…!」
プレナパテスが大人のカードを取り出す。
酷く錆びた、使い込まれたカード。
魂を抜き取る禁術──
大人のカードを使う。
──ではない、
「あれは……私が持ち込んだカードじゃないですね」
「そう。このカードの効果は忍術じゃない……」
イノリがシロコ*テラーに渡したカードではない。
プレナパテスが生前より使い続けて来た、カード。
こちらの扉間と同じ効果を持った、大人のカード。
「シッテムの箱が制約解除された力。プロセス『ペレツ・ウザ』をお見せしましょう、
そして、2人のA.R.O.N.Aの存在により、数の制約から解き放たれた切り札。
『うわぁ……みなさん
普通のビジネススーツに身を包んだ、
『あれ、
長い髪に落ち着いた服装の、ゲームプログラマーが現れる。
『少しは背も伸びたと思ってたけど……もしかして、今の
背丈は変わっていないが、しっかりと色気を出した化粧をした、くノ一が現れる。
『ふーん……まさか、子供時代の自分と戦わされるなんてね』
シュッとした警服に身を包み、煙草を口にくわえた婦警が現れる。
『ああ……スリムな頃の私が目の前に……お言葉かもしれませんが、美味しいものの食べ過ぎに注意してくださいね?』
ふわりと柔らかそうなスカートを履いた、少しふくよかな女子大生が現れる。
『ちびシロコに、デブシロコ……ん、私がパーフェクトシロコ』
長い髪を動きやすいようにまとめた、パーフェクトボデイの銀行警備員が現れる。
『タダ働きはしない主義なのだけど……先生には昔の恩があるもの。出世払いってことにしておいてあげるわ』
胸元の開いた真紅のスーツ。肩に羽織った豪華なコート。
まるでマフィアのボスのような敏腕女社長が現れる。
「これは…! 大人のカードで──大人になった生徒を呼び出したのか!?」
扉間の切り札は、未来のシャーレの人間を呼べること。
その名前も、
『あれが昔の私か。何と言うか……表情が硬いな』
『ちょっとした同窓会みたいで楽しいですね。これが大人のカードですか』
『私とオトギは職場が同じだけどね』
『ふっふっふ、それじゃあひよっこ達に、大人の威厳を見せつけちゃうとしますか』
SRTのマークの付いた腕章にスーツを着た、女教官が現れる。
欠片も争いの痕跡など感じさせない偽装をした、保険の営業が現れる。
軍服を着た、今と大して背丈の変わらない軍人が現れる。
同じく、軍服を着た余裕たっぷりのスナイパーが現れる。
『ちょっ!? 呼ぶなら事前に言って頂けませんか! 徹夜続きで髪がボサボサで…! ああもう…! 先生に、こんな姿をお見せする気はなかったのに!』
服の襟が少しよれて、目の下に分厚い隈を作った、政治家が現れる。
「お、大人になった私達ですか!?」
「大して身長が変わってないのは……ちょっとショック」
(な、なによ! あの赤いスーツ! カッコイイ!)
大人になった自分達の登場に、混乱する者。
少し落胆する者。
理想の自分になっていて、喜ぶ者。
多種多様な反応をそれぞれが示す中。
『まさか……私がもう一度、生徒扱いされる日が来るとは思いませんでした』
「あちらの私は………先生になれたんですね」
そして、最後の
醜いアヒルの子から、美しい白鳥へと姿を変えた女性。
白い制服ではなく、黒のスーツに身を包んだ大人の先生。
「阿慈谷ヒフミさん、才羽モモイさん、千鳥ミチルさん、風倉モエさん、槌永ヒヨリさん、砂狼シロコさん、陸八魔アルさん、七度ユキノさん、吉野ニコさん、高倉クルミさん、天神山オトギさん、不知火カヤさん、鵠イノリさん。以上の13名と私達がお相手します」
大人のカードによって呼び出された、13人の使徒が扉間達の前に立ち塞がる。
全員が大人。それも成長した姿。
同じ属性に同じ属性をぶつけ合わせて、なおかつ火力で上回る三代目火影スタイルである。
「大人の
「いやぁ……まさか、私がただの警官をやってるなんてね。もしかして、ちょっと自制できるようになった?」
「上位互換……と、言うには少し体が鈍ってるような気が……」
ミチルとモエが、自分の未来に警戒する中。
ヒヨリは食べ過ぎたせいか、今よりも肉付きが良くなっている(歪曲表現)自分を見て、ちょっとショックを受ける。
おい、その先は地獄だぞ?
「……どういうことだ? 理解出来ん」
『先生? 確かに、未来の生徒が出てくるのは理解出来ませんが……』
「いや、そうではないのだ、ケイ。何故相手は、相手のオレは──
そんな中、扉間は相手の意図が読めずに困惑する。
何故、ここに居る生徒と同じ人物を未来から呼び出したのかと。
『敗北を決定づける?』
「大人のカードは未来を確定させる。つまり大人のカードは、望んだ結末を引き寄せられます。死の運命すら捻じ曲げる代物……要するに、未来の私達が生きていることを確定させたのだから、ここで私達が死ぬことはない……そういうことですね? 先生」
「ああ、その通りだ。イノリ」
大人のカードは未来を確定させる。
五体満足で大人になった結果を呼び出した以上は、ここでアル達は倒せない。
今から戦うのに。一体何がしたいのだと疑問に思うのも無理らしからぬことだ。
「問題はありません。ここがナラム・シンの玉座ということをお忘れですか?」
『ッ! そういうことですか…! ここは
「お見事です。天童ケイさん」
全てが確定せずに、混ざり合った状態で存在する空間が、ナラム・シンの玉座。
ここでは、大人のカードの効果すら確定した未来にはならないのだ。
「つまり……ノーリスクで私達の完全上位互換を、呼び出したということですか。というか、先生の前でだらしない格好をしないで貰えますか? 恥ずかしい……」
「ん、また自分が出て来た……正直見飽きて来た」
「確定じゃないのね。あの赤いスーツはイカしてるから、ちょっと残念なような……い、いいえ! 未来は自分の手で切り開くものよ!」
生徒達が生き残る未来は確定していない。
だが、明確に今の生徒よりは強い存在。
それが、大人になった生徒だ。
「ん。正直、私も自分がまた増えるとは思ってなかったけど……とにかく、これでこっちが圧倒的に有利。子供は大人に勝てない……それがこの世の真理」
「そして、こちらは2人のA.R.O.N.A。しかも強化されたシッテムの箱で、先生の指揮ありです。素直に降参した方が良いかと」
シロコ*テラーとプラナが圧倒的有利を告げる。
この勝負はここで決したもの同然だと。
「チ、チートじゃん……ん? あれ?」
「モモイさん?」
しかし、勝負は決まってなど居ない。
他ならぬ、
「えっと、大人のカードって先生も持ってるなら……先生も大人のカードを使えばいいんじゃない?」
「あ! そうじゃん! この場所のおかげなら、こっちも使えばいいじゃん!」
「せ、先生、お願いします!」
相手も使えるなら、こっちもチートを使えるよね?
そんなモモイの気づき。
ミチルやヒヨリも、そのことに気づき扉間へ大人のカードを使うことを提案する。
「ワシの本来の大人のカードか……」
その言葉に、従うように扉間は大人のカードを取り出し──
「──もはや必要あるまい」
──大人のカードをへし折る。
「は? ちょ! ええぇッ!? それ切り札じゃないの、先生!?」
「カードの再申請処理は面倒だって聞いたことがある。アビドスは、借金持ちだからカードは作れないけど」
バキッと容赦なくへし折られた大人のカードに、素っ頓狂な声を上げる、アル。
シロコもカードは一度紛失すると、面倒なのにと目を丸くする。
「そうですよ、先生。一体何を…?」
「この空間の特性で、大人のカードの
イノリの言葉に首を横に振りつつ、へし折った大人のカードを放り投げる、扉間。
「未来を決めるのは老人ではない。お前達子供だ。
大人はすっこんでいろ。
自分にも、相手にもかかる言葉を吐きながら、扉間は大人になった敵の教え子を眺める。
これから生きていく上での、楽しみになりそうだと思いながら。
「ワシはお前達の可能性に全てを賭ける。相手が大人だからどうした? 子供とは大人を超えて行くものだ。この物語の主役は
『ふふふ、流石はトビラマ先生ですね……私も先生になって、そのことを毎日感じています』
子供は大人に勝てない?
だが、
いや、全ての世界において同じだ。
完成された大人と。未完成の子供。
どちらの
「ワシが確約出来る未来は1つだけだ」
大人の責任とは、生徒を信じ任せること。
そして──
「勝ったら、お前達全員に高級焼き肉を奢ってやる。気張れよ? 若人達」
──頑張った子供達を精一杯に労ってやることだ。
シロコ、シロコ、シロコ、ジェットストリーム
次回は5/12に投稿予定。
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