キー! とロボット兵士の動く音が『廃墟』に響き渡る。
「……よし、行ったな。皆の者、進むぞ」
「了解」
扉間の言葉に頷き、モモイとミドリ、そして便利屋のメンバーが瓦礫の陰に隠れながら進む。
「連邦生徒会の兵力は撤退したって聞いてたけど、じゃあ、あのロボットは何?」
「行動パターンから考えたら、この辺りを巡回してる感じだね」
「じゃあ、何かを警備してるってこと?」
「さあ、そこまでは私達には分からない……そういうのは、先生の方が知ってるんじゃないの?」
明らかに規則的に動くロボット兵士の姿に、モモイが疑問を呈すとカヨコが自分の考察を話す。
そして、どこか疑わし気に扉間へと視線を向ける。
また、何か隠しているのではないのかと疑っているのだ。
「疑っておるようだが、今回はワシも何も知らん。あのロボットが連邦生徒会の置き土産なのか、それとも元からこの地に居た者かもな。何にせよ、ポケットマネーで払ってでも、お前達に護衛を依頼してよかった。明らかに敵の数が多過ぎる」
「フフフ、私達便利屋に護衛の依頼なんて先生も分かっているじゃない。しかも、場所は連邦生徒会が封じていた禁断の地なんて……ゾクゾクするわ」
そんなカヨコとは反対に、社長のアルは精一杯の悪そうな笑みを浮かべる。
みんなで冒険というイベントに、ワクワクしている姿を隠すために。
「便利屋68……凄い悪党だって噂で聞いたことある」
「へー、どんな噂なの?」
「えっと……」
既に便利屋を仲間として受け入れているモモイとは反対に、ちょっと怯えているミドリ。
そんな態度が面白いのか、ムツキはからかうようにミドリに絡む。
当然、ミドリはビクリとするが、何とか臆さずに答える。
「銀行を襲う凶悪集団とか、ゲヘナ風紀委員会より強いとか、気に入らないなら雇い主であろうと叩きのめすとか、盗んだお金は恵まれない相手にばら撒く義賊だとか、色々あるよ」
「あはは! 聞いた、みんな? 私達、すっごいアウトローだと思われてるよ!」
「ほ、本当のことが、ほとんどないですね」
ミドリの言葉にムツキは楽しそうに笑い、ハルカは風評被害に顔を引きつらせる。
「あ、やっぱり嘘なんだ」
「そうそう、今の中だと本当なのは1つだけじゃない?」
「1つ? 因みにどれが?」
悪評など所詮は噂に過ぎないと、本人達が言っていることに胸を撫で下ろす、ミドリ。
そんなミドリに対して、ムツキはいたずら心たっぷりに真実を伝える。
「気に入らないなら、雇い主であろうと叩きのめすって所だよ」
気に入らないなら、お前達も叩きのめすぞ。
そう告げるムツキにミドリは思わず後退りをして、モモイの方にすり寄る。
いざという時は、盾にしようという魂胆である。
「ムツキ、クライアントを脅すのは感心しないわよ」
「アハハ、ごめんって。大丈夫だよ、ミドリちゃん。あなた達のことは気に入っているから」
アルに注意されて、ペロッと舌を出すムツキの姿にミドリは思う。
これはゲームの四天王とかに良くある、サイコパスキャラと四天王最強の絡みだと。
狂人キャラで主人公に脅威を覚えさせ、それを従えるボスの底知れなさを描写する奴だ。
「……私達のことが気に入ってるの? なんで?」
「だって、ゲーム作りのためだけにルールを破って立ち入り禁止エリアに入るなんて、立派なアウトローでしょ? 自分のためならルールなんて知ったことかって姿勢は私は好きだよ」
お前らも同じ穴のムジナだと告げるムツキに、ミドリは何も返せない。
まあ、やっていることは不法侵入なので、便利屋と同罪扱いも仕方ないだろう。
「ミドリ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。便利屋は先生が選んだんだから」
「……どっちかと言うと、私達より先生の方を警戒した方がいいよ」
「え?」
ミドリに対して、楽観的な言葉を吐くモモイ。
カヨコはそんなモモイに対して、ため息交じりに忠告する。
本当にヤバい奴は扉間だと。
「先生が?」
「知らないうちに利用されてるかも知れないよ、あんた達」
銀行強盗の罪を被せられたことを思い出して、扉間を睨むカヨコ。
あのお陰で、というかあのせいで便利屋の裏社会での知名度は劇的にアップしたが、やはり許せないものは許せない。
「……このワシを責めるのか?」
「そうだよ! 焼肉おごってもらった時にシロコに聞いたけど、あれ先生の策だったんでしょ?」
「シロコ……ワシを売ったか」
それはそれ、これはこれである程度信頼しているし依頼は受けるが、怒りの感情は消せない。
シロコからの情報提供で、囮作戦の立案者を知ったカヨコの怒りの矛先が扉間に向くのも当然だった。
「あれは、お前達が先にアビドスに喧嘩を売ったからだ。敵対せん限りは生徒を利用することはせん。故に、モモイとミドリを利用することはない」
「……私には敵対したら、また利用するって聞こえるんだけど」
「フ、さてな」
やっぱり手放しでは信用できないと告げるカヨコに、扉間は笑う。
いい具合に警戒心が育っているなと思いながら。
「えーと……先生ってもしかしてヤバい人なの?」
「何を今更。まともな教師は立ち入り禁止地区に生徒と共に来たりはせん。そして、見つかった時はお前達も仲良く同罪だ」
「……お姉ちゃん、私達ちょっと早まったんじゃない…?」
冷や汗をかきながら、どうしようと呟くモモイにミドリはジト目を向ける。
きっと、これからは大人からの提案に二つ返事で了承しないように成長してくれるだろう。
「さて、おしゃべりはここまでだ。モモイ、
「そこまでは分かんないけど……バイブルなんだし、本じゃないの?」
「データになってる可能性もあるよ、お姉ちゃん」
「どちらにせよ、外で雨ざらしになっている可能性は低いか。一先ず、あそこの工場内でも調べてみるか」
扉間の指示に従い、全員が息を殺しながら工場内に忍び込んでいく。
工場の中はしばらく誰にも使われていないらしく、埃が溜まっていたり、所々に苔が生えていたりしている。だが、不思議なことに最低限の電気は通っているのか、真っ暗にはなっていなかった。
「使用者がいるのか……もしくは、ワシらが来たことで電源が入ったのか……」
「何にせよ、奥まで調べるんでしょ? じゃあ、立ち止まってても仕方ないわ」
何者かが影にいるのかと、訝しむ扉間とは反対にアルは前進あるのみと奥の方に進んで行く。
『接近を確認』
それと同時に、どこからか機械音声が響き渡る。
「アルちゃん」
「社長」
「アル様」
「わ、私は何もしてないわよ!?」
何をやらかしたんだと、仲間からジト目を向けられて慌てて首を振る、アル。
仲間内からの負の信頼の厚さが分かるというものである。
「喋っている暇があるなら、固まって武器を構えろ! 罠の可能性が高い!」
『対象の身元を確認します。陸八魔アル、資格がありません』
「資格って何!? 口座開設の? それとも車の免許!?」
「明らかに、そういう類ではなかろう!」
機械から流れる資格無しの言葉に喚くアルにツッコミを入れつつ、扉間は注意深く辺りを見渡す。
人の気配はない。ロボット兵が居るようにも見えない。
ならば、無人での罠か。
『対象の身元を確認します。浅黄ムツキ、資格がありません』
『対象の身元を確認します。鬼方カヨコ、資格がありません』
『対象の身元を確認します。伊草ハルカ、資格がありません』
扉間は壁に仕掛けが無いかを確認する。
壁に不自然な点はない。
『対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません』
『対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません』
次に天井を確認する。
天井にも不自然な点はない。
(ならば、後はテイルズ・サガ・クロニクルでの地雷のように……)
『対象の身元を確認します。トビラマ先生―――資格を確認しました』
「え! 先生が!?」
床を見る。
不自然な切れ目を発見した。
『先生の生徒として、他の者達も同行者として資格を与えます。それでは、今から
「総員! 入口に避難しろ!」
床が大きく開く一瞬前に、扉間達は工場の入り口の方に逃げる。
それ故、間一髪のところで大きく空いた穴の中に落ちることからは逃れられた。
ただ1人。
「え!? ちょちょっ! ま、待ってぇえええッ!?」
先に進んでいた陸八魔アルを除いて。
「アルちゃんが細かすぎて伝わらないネタみたいに落ちていった!?」
「あのバカ者め! だから、固まれと言ったのだ!」
パカリと開いた床の底に消えていった、アル。
余りにも綺麗な落ち方に、ムツキが少し感心しているが扉間は頭を抱える。
「こうなっては致し方無い。ワシが行く!」
「先生が? 大丈夫なの?」
「ワシには
「……分かった」
だが、アルが消えてしまった以上は追うしかない。
下に悪意ある罠があった場合は、命の危険がある。
先生が生徒を見殺しにするわけにはいかないのだ。
扉間はカヨコに隊を引き継ぎ、自身は穴の中に飛び込んでいく。
(落下の衝撃はアロナに頼る程ではないか。罠も無い……純粋に下の通路に繋がっただけか?)
「あ、先生! 良かった、1人で寂し……み、みんなが逸れて心配したのよ!」
扉間が飛び降りた先では、半ベソをかいたアルが居た。
どうやら、怪我などはしていないようだ。
「どうやら、無事のようだな……カヨコ! アルは無事だ! そして、罠のようなものも見受けられない!」
「分かった。こっちはどうしたらいい?」
「ミドリにサバイバル用のロープを持たせておいたはずだ。それをこっちに垂らしてくれ。それをつたって脱出する」
「あれ? ミドリ、そんなの持ってきてたの?」
「ダンジョン探索前には準備が大切だから。他には予備の服とかあるよ」
「泊まり込みでもする気だったの? ミドリちゃん達」
これならば、問題はないと判断した扉間は脱出の準備を始める。
一体どういう理由で穴が開いたのか。
そもそも、何故扉間が資格を持っているのかは分からない。
だが、今は取りあえずこの場からの脱出を図るべきだろう。
そう、考えたのだが。
「ちょっと、待って。先生……誰か居るわ」
「敵か? アル」
「いえ、敵というか……玉座に裸の女の子が座ってる」
「……どういうことだ?」
周囲を見渡していたアルが、おかしなものを発見してそれは中断される。
「アル、次は勝手には動くなよ」
「わ、分かってるわよ」
また何かを作動させないように釘を刺しつつ、扉間は考える。
触らぬ神に祟りなしとも言う。無視をして、戻ってもいい。
だが、仮に全裸の少女が生徒だった場合は放置するわけにもいかない。
「先生、何かあったの?」
「……作戦変更だ。ロープを固定して、全員下に降りて来てくれ。アルが何かを見つけた」
「え? もしかして
「いや、人が居る」
そして、全員が地下空間に降りて来るのだった。
「AL-IS…? アリス…?」
「いや、お姉ちゃん。Iじゃなくて1だよ」
玉座に眠る少女を前に、モモイとミドリが会話を交わす。
因みに少女が全裸なので、扉間は近づいてはダメと言われて大人しく遠くで見守っている。
ハラスメントに厳しい時代になったものである。
「それにしても、全く動かないわね……し、死体じゃないわよね?」
「瞳孔が開いていないか、心臓が止まっているか、呼吸が無いかを確認すれば分かる。それから臭いはどうだ? 腐臭を感じないなら比較的新しい死体だ」
「先生、なんでそんなに死体に詳しいの?」
「死体など、文字通り腐るほど見て来たからな」
「………こわー」
アルが恐る恐る死んでいないか確認している横で、ムツキが扉間にツッコミを入れる。
そして、腐るほど見てきたという言葉にドン引きする。
仕方ないだろう。生前は人の命などゴミのように軽かったのだから。
「……先生の許可で、ここに入れるようになったんだよね。それでそこにいた女の子」
「も、もしかして、先生がこの子を……」
そして、扉間だけが資格を持っていたことで、この少女に何かした犯人ではないかと疑うカヨコとハルカ。まあ、明らかに怪しいので疑うのも無理はない。
「心外だな。お前達はワシが誘拐殺人を誰かにバレるように行う人間に見えるか? ワシが本気なら痕跡など残さん。そして、お前達もこの段階で始末している」
「そこは普通に否定しようよ、先生」
「……この子を誘拐した罪を私達に押し付けるとかじゃなくて?」
「そもそも、お前達を連れてこなければバレようがなかったのだ。ワザワザ罪を押し付ける理由がない。いや、今回は本当に何もしていないが」
しかし、扉間は否定する。
善性から来る否認ではなく、そんな甘い計画は練りはしないという理由から。
モモイとカヨコはそんな態度に呆れているが、一応は信用したのか再び謎の少女の方を向く。
「取りあえず、裸だと可哀想だし、服を着せてあげよっか」
「えっと……聞こえているか分かりませんけど…お体に触りますよ」
「先生はあっち向いててね」
「分かった、分かった」
裸は可哀想という理由で、ミドリの予備の服を着せられていく謎の少女。
扉間はそんな少女から背を向けつつ、考え込む。
(ワシを
この状況を作ったのは間違いなく連邦生徒会長の意志だ。
そして、扉間をこんな状況に追い込んだ目的は間違いなく。
『状況の変化、および接触許可対象を感知。休眠状態を解除します』
「アルちゃん、今度はなにしたの!?」
「えぇッ!? 私じゃないわよ! この子が勝手に起きただけよ!」
謎の少女と扉間を引き合わせるためだろう。
「状況把握、難航。会話を試みます……説明をお願いできますか?」
「せ、説明と言われても……あの、名前とかあります?」
「本機の自我、記憶、名称、目的は消失状態であることを確認。データにありません」
「え、えっと……」
謎の少女にハルカが名前を聞いてみるが、機械的な返答にどうすればいいか分からずに口ごもる。
「……もう、着替えは終わったか?」
「あ、先生。うん、大丈夫だよ」
なので、扉間が引き継ぐことにする。
「まず、お前は何者か。そして、この場所を認識できているか確認したい」
「回答不可、本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定されます」
「連邦生徒会長、千手トビラマ。この2つの単語に覚えはあるか?」
「本機の記録データは消失状態であるため、回答することが出来ません」
「……そうか」
本機という呼び方。
機械的な受け答え。
明らかに機械的存在であることは明白だ。
だが、その見た目はどこまで行っても人間そのもの。
明らかに現代技術で作れるロボットとは性能が隔絶している。
「この子のこと、どうするのよ、先生?」
「………一度、シャーレに戻って生徒情報を漁ってみよう。記憶喪失の生徒の可能性も十分にある」
だが、ロボットっぽいという理由だけで、決めつけるわけにもいかない。
本当に誘拐された生徒の可能性もあるのだ。
「モモイ、ミドリ。今日はこ奴を連れ帰るので、探索はここまでだ。
「はい、それで大丈夫です」
なので、扉間は一度謎の少女を連れ帰って情報を集めることを選択する。
ミドリは人命を無視してまで、
一方のモモイはと言うと。
「記憶喪失で行く当てのない女の子……先生、この子は一先ず
何かを思いついたのか、謎の少女を自分達が保護すると言い出す。
「いや、シャーレで預かることは出来るぞ」
「いやいやいや! 先生だって仕事で忙しいでしょ? それに、記憶喪失の女の子をシャーレに連れ込んだなんて言われて、また疑われたりするかもしれないよ? 先生って悪人面だし」
悪人面と言われて、ちょっとだけ黙り込む、扉間。
大抵の罵倒は聞き飽きているが、悪意もなく放たれる子供の素直な言葉は、中々に効く。
「この子のお世話は
「まあ、お姉ちゃんの言う通りかもしれないけど……」
扉間は未婚であるが故に、特別子供の世話が出来るわけではない。
弟達も幼い頃に全員死んだので、経験的にはどうしても少ない。
そして何より、か弱い女。
おっさんが家に連れ込むのはどうしても角が立つ。
「……分かった、お前達にこ奴の世話は任せよう」
なので扉間はモモイの意見を採用する。
決して、悪人面と言われてへこんだわけではない。
「……その、私もよく顔が怖いって言われるけど……ちゃんと分かってくれる人はいるから」
「気を使わんでもよい」
そんな扉間をカヨコが慰めてくれるが、扉間は大人のプライドで何とか堪える。
というか、カヨコも悪人面に関しては全く否定していない。
久々の痛みが扉間の胸を襲う。
「じゃあ、これからよろしくね! えーと……アリス?」
「……本機の名称、『アリス』。了解しました」
そんな胸の痛みに抗っていたせいだろうか。
扉間は忘れていた。
モモイは柱間やナルトのような馬鹿であることを。
歳を取るにつれて柱間もナルトも大人しくなったが、モモイはまだ若い。
つまり。
(よし! これで後でヴェリタスにアリスが生徒になるようにハッキングして貰えれば、部員4名の条件をクリア出来る!)
釘を刺さないと、大抵何かをやらかすことを忘れていた。
「パンパカパーン! アリスは先生とエンカウントしました!」
「モモイ」
「ええ!? 先生、なんで私の頭を思いっきり掴んでるの!?」
アリスをゲーム開発部に任せて、数日後。
再び訪れたゲーム開発部で扉間は、モモイにアイアンクローを喰らわせていた。
「ワシはあの後すぐにシャーレに戻って、アリスの身元を探した。無論、最も近場のミレニアムからな。そして、その時にはアリスの存在は影も形も無かった」
「へ、へぇー、そうなんだー」
「だが、どういう訳か今はアリスがミレニアムの生徒となり、ゲーム開発部の所属となっている」
「せ、先生が見落としてたんじゃ――ああッ! ごめんなさい! 痛い! 痛いってぇええ!」
ギリギリと万力のような力でモモイを締め付ける扉間。
そんな光景に、アリスはオロオロとし、ミドリはやっぱりと溜息をつく。
因みにユズは扉間が怖いのでロッカーの中だ。
「まったく……シャーレの力でアリスの身分を保証しようとしておった所を、ハッキングなどで無理やり生徒情報を書き変えおって。バレたらどうするつもりだ? アリスどころか、お前達まで矯正局送りになりかねんぞ」
「え!? なんでヴェリタスのハッキングがバレて…!」
「やはり…ハッキングか…!」
「あ」
扉間にカマをかけられていたことに気づき、固まるモモイ。
しかも、ハッキングを行った集団まで口にしたので、色々と詰みである。
「ハァ……若者の特権と言えばそうだが、お前は物事を焦り過ぎる」
「な、なんで!? アリスは生活する場所が出来るし、私達は部員が増えるしでWINWINじゃん!」
「ワシを頼れ! ワシを! シャーレの権限を使えば、正式にアリスをミレニアムの生徒に出来たのだ! それをわざわざ後ろ暗い方法でやりおって……間違いなくセミナーは疑うぞ」
「………え」
やったことではなく、やり方に問題があったのだと叱る扉間にモモイは目を点にする。
そもそも、扉間も後ろ暗いやり方を非難出来る程身綺麗ではない。
だが、正攻法で行けるものをわざわざ汚いやり方にしたりはしない。
後々面倒ごとの種になるのだ。そういうものは。
「そもそも、アリスが他の学校の生徒だったらどうするつもりだ? お前のやったことは他校へ喧嘩を売るのと同義だぞ。ワシの調査が終わってからでも遅くはなかった」
「うぅ……」
淡々と、事実を羅列していく扉間にモモイは何も言い返せない。
ミドリもですよねと、白い目を姉に向けている。
「仮に無理やり部員を増やすのなら、無所属の人間に金でも払って一時的に在籍してもらえばよかろう。どうせ、今月中に成果を出さねば廃部なのだ。その期間だけでも居てもらい、結果が出ればそれをもとに正式な部員を募集すればいい」
と、ここで風向きが変わる。
扉間も中々にグレーゾーンの方法を提示してきたのだ。
「まあ、ここまで言っておいてなんだが、ワシはアリスをゲーム開発部に入れたこと自体は否定しておらん。最初に会った時よりも、随分と成長しておるようだしな」
モモイをアイアンクローから解放し、アリスに向き合う扉間。
「アリスは勘違いしていました。先生は仲間ではなく、勇者の行く手を阻むボスキャラだったのですね! ファイナル・ファンタズムで勇者を裏切ったアベルを思い出します」
「話が違う! 別に裏切ってなどおらんわ! ワシはお前達の今後のことを思ってだな」
「なるほど。先生は仲間のために敢えて裏切るふりをして、敵陣に潜入するキャラなのですね。そういったキャラは、途中で死にやすいので気をつけてください」
「モモイ」
「ゲ、ゲームで話し方を教えたのは私だけじゃないよ! ミドリもユズも教えたじゃん!」
ゲーム脳になってしまったアリスの姿に、思わずこめかみを押さえる扉間。
モモイは責任から逃れようと、ミドリとユズに助けを求めるが2人から無視されてしまう。
哀れ、モモイ。まあ、偏に自業自得だが。
「まあ……もう終わったことを言っても仕方あるまい。セミナーの方にはワシから話を通しておこう。どうせ、相手の方から疑ってくるだろうからな」
「セミナー、それがアリス達の冒険を阻む魔王軍なのですね!」
「それから、アリス。お前はゲーム以外にも人と交流しろ。流石に今のままでは将来が心配だ」
身元不明のアリスを保護したと先生が言えば、セミナーも飲み込むしかないだろうと考えながら扉間は今後のスケジュールを考える。生徒会長のリオともコネを作れるのなら、今のうちに作っておきたい。まあ、アリスの件でこちらが下手に出ることにはなりそうだが。
「あの先生……結局、アリスちゃんの身元は分かったんですか?」
「すまんが、シャーレで調べられる限りではどこの生徒でもなかった」
ミドリの質問に首を横に振る扉間。
「なーんだ。じゃあ、何も心配すること――痛たたッ!?」
「貴様は少しは反省しろ」
モモイの頭を拳でグリグリと抉る扉間。
「ああ、モモイが! 先生の攻撃は防御貫通型なんですか!」
「先生って……デバフとか毒系が…得意そう」
それを見ながら会話する、アリスとユズ(INロッカー)。
(アリスの存在……連邦生徒会長の差し金と仮定すれば、シャーレで面倒を見るのが一番だったのだが……こうも馴染まれてはな)
色々と不可解な存在である、アリス。
だが、機械的な反応しか示さなかった最初に比べれば、随分と人間らしくなった。
まるで、空っぽだった器に愛情が注ぎ込まれたように。
(……一度、様子見をするか。ワシも甘くなったものだな)
モモイを解放して、小さく溜息を吐く、扉間。
得体の知れない相手は、正体が判明するまで牢にでも入れておくのが一番だが、今回はそうはしない。
監視で様子見をするに留める。
「では、部員が4人揃ったのだ。早速、始めるとしよう」
「え? 始めるって」
「無論――」
そのために、扉間はアリスと交流を図ることにする。
ゲーム開発部がやらねばならない、至上命題。
「―――神ゲー作りとやらをだ」
ゲーム開発を始める。
「
「………必要か?」
「必須だよ!」
始まる?
書くとガチャに出るって本当なんですね。
リオのガチャ回したら、シロコ、ホシノ×2、イオリ、アコ、ヒナ×3が来てくれました。
後、トビラマチャンネルで絡ませたい筆頭のイズナ×2。
思わず「待っていたぞォー! イズナァァー!!」と叫びました。
え? 肝心のリオ会長? ……ポイント交換で来てくれましたよ。
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