『トビラマ、先生やめるってよ』
アロナから拡散されたその情報は、瞬く間にキヴォトス中を駆け巡った。
・アビドス某所
「先生が辞める…? ん、フェイクニュース」
「で、でも、シャーレの公式アカウントから出てるわよ、これ?」
「セリカちゃんの言う通りですね。もしかして……アカウントの乗っ取りでしょうか?」
「でも、先生がそう簡単に乗っ取られたりするでしょうか?」
「そう言えば、つい先日シャーレが爆破されていましたわね……そして行方不明に」
「……もしかして、おじさん達が思ってる以上に先生って不味い状態?」
「ん、救出に向かう。多分、前に行ったことある、あそこ」
・ミレニアム某所
「おい、リオ! いつまで引き篭もってんだ? セミナーの後輩共が心配してっぞ」
「ネル……ノックするみたいに、ドアを破壊しないで欲しいのだけど」
「お前が急に引き篭もるからだろ? そりゃあ、先生が辞めるってのはショックだろうけどよ」
「違うわ。それはフェイクニュースよ。現在、各所でネッシーの目撃情報のように無数に出現している先生。そして、シャーレの公式アカウントでありながら普段と違う喋り方。恐らくはアロナが絡んでいるわ」
「ああん? じゃあ、なんで引き篭もってんだよ」
「それは勿論、無数の偽情報の中から一早く先生の居場所を特定して確保するためよ。フェイクニュースでも、公式が言ってることに間違いはない。きっと他の学校も動き出しているわ」
・風紀委員会某所
「アコちゃん! 先生が辞めるって本当!?」
「現在調査中です! イオリはすぐに出動できるように準備を! チナツは事の真偽を連邦生徒会に問い合わせてください!」
「連邦生徒会に問い合わせるのは分かりますけど……出動はなぜでしょうか?」
「分からないんですか!? 先生が先生を辞められる話が本当なら、それは
「辞めるって、普通はそういうことじゃないと思うんだけど……」
「黙らっしゃい! いいですか? これは戦争なんですよ!」
・トリニティ某所
「ハスミ先輩! 正義実現委員会の倉庫にあったクルセイダーが盗まれ…あ、いえ、奪われ……借りられたっス!」
「イチカ? どうして、何度も言い換えて……それも穏便な方へ」
「あはは……無許可と言えば無許可なんですけど、持っていった人が人で……」
「それは一体誰が?」
「……ミカ様率いる、補習授業部っス」
「………取りあえず、ナギサ様とセイア様に報告を」
・万魔殿某所
「たった今、このマコト様の情報網で先生が子ウサギタウンの廃墟に潜伏していることが分かった! イロハ! 出撃の用意だ!! 私自ら出る!」
「は? あの、少しは説明を……」
「千手トビラマがシャーレを辞めるというのだ! つまり、連邦生徒会という中立の立場からフリーになるのなら、我が万魔殿に引き入れても何の問題も無い!! 急げ! 風紀委員会もすでに動き始めている!!」
「ま、待ってください。子ウサギタウンに出撃したら、連邦生徒会に喧嘩を売ることになります」
「あそこはカイザーグループが買い取った土地だ! よって、他学園や連邦生徒会に喧嘩を売ることにはならんから、出撃してもよし!」
・アリウス某所
「サっちゃん」
「
「姫、場所は?」
「アズサが教えてくれた」
「じゃ、じゃあ、共同戦線なんですね」
「それは分からない。でも、先生はまだ私達の校長。多分、そこら辺を考慮してくれたんだと思う」
・連邦生徒会某所
「リ、リン先輩……先生は本当に辞めるのかという質問が、様々な学校から山のように来ています。それから、クロノス報道部の取材依頼も」
「はぁ……事実無根。
「あ、本当に嘘なんですね」
「当然です、私達はクビにするとも言っていませんし。辞職の許可も出していませんので。それに、この大変な状況にしておいて1人だけ逃がすわけには……コホン。とにかく、辞表も受け取っていない以上、現段階では真っ赤な嘘としか言えません」
「では、そのようにお伝えしますね」
「はい、お願いします……全く、どうしてこんな面倒なことばかり」
そして、様々な者達の意志が扉間を見つけ出すという目的を持って、交差しようとしているのだった。
「困るんですよねぇ、勝手なことをされると。私達は一応ビジネスパートナーだと思っていたのですが?」
『私のせいではない。全ては陸八魔アルのせいだ』
受話器越しのカヤの嫌味に対して、ジェネラルは憮然と返す。
重要参考人として、事情聴取を行う予定だったが、そこはカヤと裏取引しているカイザー。
任意同行を突っぱねて、あくまでもビジネスパートナーである義理で電話越しでの対話のみに留める。
無理やり自白させられるのを防ぐためだ。
流石はカイザー。自分達がやっている側なので、この手の対策には詳しい。
「なるほど……つまり、
『貴様…!』
「違うと言うのなら、説明してくださいますか? ビジネスパートナーである私に相談もなく、先生の命を狙った理由を。せっかく味方につけて、争わずにすんでいた所で虎の尾を踏んだ意味を教えて頂けますか? ジェネラルさん」
ヒヤリとした声がジェネラルの首筋を蛇のように這う。
元々、カイザーの不正の証拠を握る扉間を何とかしてくれと言ったのは、ジェネラル側だ。
だというのに、ジェネラルは勝手に扉間の排除に動いた、二度までも。
『……我々は軍事企業だ。面子というものがある。たった4人の便利屋68に好き放題やられたままの訳にはいかない。汚名返上を行う必要があった』
「面子が潰されたと言うのなら、こちらもです。ヴァルキューレの公安局、その精鋭があっさりと便利屋68と不良達に突破されて、シャーレを爆破されたでは格好がつきません。カイザーPMCと手を組んだ便利屋68にやられたと言う方が、まだマシです」
たった数名の犯罪者に良いように利用された。
平然とバリケードを突破された。
そんなニュースよりも、凶悪犯罪者と軍事企業が手を組んだので止められなかったと言った方が、まだ面子が立つ。
「
子ウサギ公園から、えっほえっほと追いかけて来て、爆破されたと言うよりかは。
「それに私達の関係性は公に出来ないもの。実は裏金で繋がっていたと公表されるよりも、いつものように、子会社の暴走として切り捨ててしまった方が楽だとは思いませんか? どちらにとっても」
『私を切り捨てるつもりか? くだらない脅しだな。私達の関係性はお互いがお互いの眉間に銃を突き付けているようなもの。倒れる時は共倒れ以外ありえない』
自分を切り捨てるというのなら、これまでのことをバラすぞ?
そう告げるジェネラルの脅しは、的外れなものではない。
警察が一企業と裏金で繋がっているとなれば、ヴァルキューレ上層部の総失脚は免れない。
無論、その上の防衛室長のカヤも同じだ。
権力に執着しているカヤの性格的に、絶対にしないだろうとジェネラルは高を括る。
だが。
「―――構いませんよ」
『……なに?』
カヤはあっさりと肯定してみせる。
『下らない駆け引きはよせ。その地位に至るまで君がどれほどの苦労をしてきたか。大人である私には良く分かる』
しかし、ジェネラルはそれをブラフだと断ずる。
カヤの言葉を信じない。信じられるわけがない。
大人だからこそ、キャリアというものを築き上げる苦労を知っている。
何より、それに対する執着心を。
『あの超人染みた連邦生徒会長が消えた今ならば、君がその後釜につくのも難しくはない。君の野心の頂きに辿り着く機会を、どうして君自身が途絶えさせられるものか』
ジェネラルが口調を柔らかいものに変える。
まるで、駄々をこねる子供に対して、甘いお菓子を上げるから泣き止みなさいと言うように。
「小さいんですよ、器が」
『なに?』
「トビラマ先生が先生を辞める。このニュースを見ましたか?」
カヤはアロナが流したフェイクニュースのことを口に出す。
彼女は、それに加えてアロナから密告を受けている。
だからこそ、脳を殴られるような衝撃を受けた。
自分達を救うために、権力を投げ捨てる扉間の姿に。
『それがどうした?』
「先生は今回の事件の責任をご自分の首で取るつもりです。FOX小隊の社会復帰のためにご自身を犠牲にして……捕まるほどの罪は犯していないのに」
自身の立場も、権力も捨てて、犯罪者である
何も理解できずに、目が曇ったまま権力を欲していた自分と違い。
『なに? 貴様はまさか…!』
「そんな姿を見て、どうして私だけが恥知らずに、何も知らないフリが出来ると? それに――」
それを理解してなお、醜く権力にしがみつくことが出来る程、彼女は恥知らずではなかった。
自身の地位や権力よりも、生徒を大切にする先生。
なら、キヴォトスを平和にしたい自分も、また。
「―――私は先生の前では綺麗でいたいんですよ」
自身よりも、キヴォトスの他の生徒のことを思って動くべきだ。
『…ッ! この色ボケのガキ風情が…ッ』
「何とでも言ってください。少なくとも、私はもう二度とあなたの味方に付くことはないでしょうから」
決別の宣言。
彼女が薄ら暗い地中を這い回る虫と肩を並べられる訳もない。
彼女はもう、地を這う蛇ではなく―――龍なのだから。
「『警察は常に市民の安全を最優先に考え、他の生徒達に奉仕する立場であるべし』……まさか、今になって初代生徒会長の言葉を理解できる日が来るとは、思いもしませんでしたよ。そういう意味では、あなたに感謝しないといけないかもしれませんね」
『
「どうぞ、ご自由に。まあ、お互い余罪は腐るほどある身なのでお相子でしょうが」
そして、またの名を――
「連邦生徒会・防衛室長・不知火カヤの名を以てジェネラル、あなたを―――千手トビラマ殺人未遂の犯人として指名手配します」
―――龍神の灯火という。
「おい、みんな。依頼が来たぞ」
「依頼? 寮に戻ったとはいえ、SRTが閉鎖状態なのに……一体誰ですか、サキ?」
SRT特殊学園、寮内。
ラビット小隊の今までの貢献を認められて、立ち戻ったそこでミヤコは首を捻る。
公的な機関ではない自分達に依頼を出す物好きとは、一体誰だろうと。
「カヤ防衛室長だ」
「もしかして、私達ヴァルキューレ扱いされてない? それ」
「いいや、書面には正確にSRT特殊学園所属・RABBIT小隊殿と書かれている。それに、先輩達もついているんだから、大丈夫だろ」
「せ、先輩達が信用してるなら、大丈夫だよね…?」
依頼主はカヤ。
一瞬、自分達をヴァルキューレとして取り込むつもりなのかと、警戒するモエだったがサキに否定される。
ミユの言うように、ニコのバックに居る人間なら自分達を邪険にはしないだろうと。
「それで、一体どんな内容なんですか?」
「なんでも、先生を探して欲しいそうだ」
「あー、現状の先生って行方不明ってことになってるしね」
「で、でも、カヤさんは知っているんじゃないの?」
カヤからの依頼内容は、現在行方不明の扉間を探し出すこと。
それが犯罪者を探すためか、純粋に行方不明の人を探すためかは、まだ分からないが依頼そのものはおかしくはない。
「……しかし、カヤ防衛室長ならヴァルキューレに探させればいいだけなのでは?」
「先生とつるんでたから、私達なら居場所を知ってるって思ってるんじゃ?」
「それを言うなら、先生はニコ先輩とも一緒に居たんだからあっちも知ってるんじゃないのか? それに、探す場所は指定されてる」
「指定されてるって……どこに?」
だが、扉間の居場所ならカヤの方が知っていそうだと、ラビット小隊は首を捻る。
そして、サキはミユに促されて指定された場所を確認する。
「“子ウサギ駅”…? 何でそんな所を調べるんだ?」
「そこの地下に怪しい空間があり、そこに潜伏している可能性ありとは一体……」
「武装をしっかり整えていくようにって書いてあるね……」
「ねぇ……これ本当に先生の捜索依頼なのかな?」
怪しい。
絶対に痩せると宣伝する、ダイエット方法並みに怪しい。
明らかに、裏に何か別の意図が隠されている。
ラビット小隊の表情が硬くなる。
「どうやら、裏の裏まで読めるようになってきたようだな。ラビット小隊。SRTが閉校してからも、訓練を怠っていないようで感心だ」
そんなラビット小隊の下に、説明をするべく先輩の声が響く。
「ユキノ先輩…!? いったい、どうやってここに!?」
「私達は2年も多く、この寮に住んでいた……ただ、それだけのことだ」
突如として現れた七度ユキノ。
久しぶりに見るFOX小隊の隊長の姿に、ビクッとして姿勢を正す4人。
体育会系である以上、先輩の前では基本的にダラしない姿勢は取れないのだ。
「さて、時間も無い。手短に説明しよう。まず、子ウサギ駅には先生はいない」
「やっぱり……」
「代わりに居るのは、カイザーPMC。そして、違法武器が運び込まれた地下サイロだ」
「地下サイロ…!? あんな場所に?」
ユキノの要点しか言わない説明に、懐かしさを覚えつつラビット小隊は子ウサギ駅に潜む悪を知る。
有事に連邦生徒会を攻め落とせるように、作られた地下サイロを。
「恐らくは、対連邦生徒会のための施設だ。子ウサギタウンの再開発はこの地下サイロを誤魔化すためのものだろう。ラビット小隊には、その摘発を行って貰いたい。あくまでも、偶然見つけたという体でな」
「先生を追っていたら見つけた……ということにするのですか? それはなぜ?」
わざわざ偶然を装わなくとも、悪い事なのだから普通に摘発すればいい。
そう指摘するミヤコだったが、ユキノは黙って首を振る。
「月雪小隊長。今の
「だから、先生を捕まえるという名目で子ウサギ駅に入り、
「そういうことだ」
今のラビット小隊は民間人。
他人の土地に勝手に踏み入ることは出来ない。
なので、現在行方不明の扉間を見かけて、追いかけたら偶然地下サイロに迷い込んだ設定で行く。
「分かりやすく言うと……カリオストロの城の銭形警部のような感じだ」
「な、なるほど……『先生を追っていたら、とんでもないものを見つけてしまった! どうしよう!?』というわけですね」
(ユキノ先輩も映画とか見るんだな……)
(意外……訓練以外やってるイメージが無いのに)
(で、でも、古いから昔見た感じなのかな?)
意外だと驚くラビット小隊の目にも、ユキノは淡々とした態度を崩さない。
まあ、本人的には至って真面目なので、当然と言えば当然なのだが。
「さて、他に何か質問はあるか?」
「……1つだけ」
質問はあるか。
それに対して、ミヤコはこの作戦に抱いていた疑問をぶつける。
「この作戦を立てたのはどなたですか?」
何というか。
SRTらしくない作戦なのだ。
そして、ルールの穴を縫うようなやり口。
フェイクニュースで通報があったので、調べに来ましたという白々しい態度。
この卑劣なやり方に、ミヤコは覚えがあった。
「……先生自身だ。元々、私達に社会復帰の功績を立てさせるために、地下サイロをリークするつもりだったそうだ」
「やっぱり……」
そう、扉間だ。
平常時に他人の土地に踏み入るのは不法侵入だが、緊急事態ならばその限りではない。
こういった屁理屈を使わせれば、キヴォトスにおいて右に出る者はいない。
「ちょっと待ってください」
「何だ? 空井サキ隊員」
「先輩達の社会復帰のためなら、先輩達がやらないと意味がないんじゃないですか?」
サキからの真っ当な指摘に、ユキノは黙って目を閉じる。
あれ? 何か不味いこと言ったかなと、ちょっと挙動不審になる、サキ。
「……ああ、その通りだ。本来なら、その予定だったが……先生はそれに加えて、自身を捕まえさせることで、功績を上乗せさせるつもり
フェイクニュースを流すと同時に、カヤ達に密告を行っていたアロナ。
親しき者に裏切られると、誰であっても詰んでしまうと良く分かる、良い例だ。
「ええ!? 先生が捕まる理由なんて冤罪! ……でも、ないかも」
「そ、そうだね……モエちゃんと一緒」
「ねぇ? ミユ。なんか、最近私に冷たくない?」
先生が捕まるなんてあり得ない!
なんて言えたら良かったが、ラビット小隊は扉間の華麗なる前科を知っている。
火のない所に煙は立たないのだ。
「それで、先輩達は先生の提案を拒否するんですか?」
「ああ……穴があったら入りたいとはこのことだろう。私達フォックス小隊はSRTの復活のために、ありとあらゆることを行ってきた。罪のない連邦生徒会のメンバーを襲い、怪我をさせた。先生を危険視し、シャーレの廃絶と先生の排除も考えていた。後輩がデモという真っ当な手段で頑張っている中、現実的でないと見下していた」
真っ当な手段。
その言葉に、何とも言えない表情を浮かべるラビット小隊だったが、ユキノがシリアスなので、お口をミッフィーちゃんにする。
「だが、間違っていたのは私達だ。月雪ミヤコ、空井サキ、風倉モエ、霞沢ミユ。君達は愚かな先達とは違い、道を踏み外さなかった。君達はSRT特殊学園の誇りだ。君達こそが、新しいSRTを築いていくのに相応しい」
後に続くものに託す。
自身を犠牲にしてまで、それを体現する扉間の姿を見ればフォックス小隊も、己の過ちを認めざるを得ない。
「ユキノ先輩……」
「自分達を救おうとしてくれている人を無実の罪で捕まえて、その功績で自分達だけ救われるなど、流石の私達もこれ以上恥知らずの行動は出来ない。罪は私達の今後で償う」
そう言って、ユキノは踵を返す。
伝えたいことは伝え終えたとばかりに。
「では、地下サイロの件は任せたぞ。ラビット小隊」
「ま、待ってください! 先輩達はこれからどうするんですか!?」
もう、会うことはないと告げるような背中に、慌ててミヤコが問いかける。
それは、今後の身の振り方を聞いたものだった。
だが、それをユキノはワザとかそれとも無意識にか、これから行うものと変換する。
「私達は―――先生を助けに行く」
「見つけたぞ! 千手トビラマぁ!!」
「……来たか、ジェネラル」
子ウサギタウンの廃墟。
かつて、“所確幸”のアジトだったその場所で、扉間とジェネラル他、PMC兵士が相対する。
「不知火カヤを味方につけたようだが、どうやらその反対派の動きまでは統制できなかったようだな」
「……ヴァルキューレの内通者からワシの居場所を掴んだか?」
「その通り、まずは貴様からだ。私を指名手配したようだが、そんなものは不知火カヤの不正を発表し、次の防衛室長に金を掴ませればどうとでもなる。そして貴様の人生もここで終わりだ」
カヤとの仲間割れ後にカヤの反対派(仕込み)より、扉間の場所を教えられたジェネラル。
敵を逃がさないように、最大速で動いたジェネラルだが、彼はエリート。
しっかりと罠の対策もしている。
「私は獲物を前に舌なめずりをする馬鹿とは違う。以前のシャーレの爆破。そして、不可解な“忍術”を使うという噂。私に一切の油断はない。貴様が何らかの防御手段を持つことは想定済みだ。遠距離から貴様が力尽きるまで、じわじわと嬲り殺させてもらう」
大量の兵士が、蟻の逃げる隙間もなく敷き詰める。
そして、長篠の戦もかくやな交代体勢で扉間を狙う。
「貴様を殺すために用意した、この6千億発の銃弾……貴様が死ぬまで撃ち続ける!!」
『先生! 流石に長時間はアロナガードが使えませんよ!?』
ハッタリなのか、マジなのか。
とんでもない数の銃弾を用意したジェネラル。
撃ち続ければ間違いなく、アロナの方が先に力尽きてしまうだろう。
「何故それだけの無駄な弾丸を? 廃墟なのだから、ワシごと生き埋めにした方が効率がいいだろう」
だが、そんなジェネラルの頑張りを扉間は小馬鹿にする。
起爆札6千億枚用意するより、札が札を口寄せする互乗起爆札を使った方がよくない? というマジレスだ。
「クックック、挑発したつもりか? 悪いがその手には乗らんぞ、千手トビラマ。爆破なら貴様には防ぐ手段がある。何より、貴様の死体をこの目で確かめなければ、安心できん」
「だろうな」
だが、ジェネラルにもそれが出来ない理由がある。
巡航ミサイルを防げるのだから、爆破なら何とかしかねない。
それに何より、死亡偽装の前科があるので、この目で死体を確かめないと枕を高くして寝られない。
なので、建物ごと爆破は手段として使えないのだ。
「そして、この廃墟の周りは大量のPMCの兵士で取り囲んでいる! お得意の子供の力を借りる手も使えないぞ?
そして何より、援軍を寄越されないように廃墟の外までビッシリとカイザーPMCの兵士で取り囲んでいる。逃げ場などどこにもないし、援軍が駆け寄ってくる余地もない。
『不味いですよ、先生!!』
「高々1人のためにこれだけの数を使うとは……大変だな、貴様らも」
ジェネラルの腕がゆっくりと上がり、射撃の合図を――
「殺してやるぞ、千手トビラマ…!」
―――出す。
「FOX小隊―――出動」
無数の弾丸が放たれる一瞬前。
フッと、扉間の姿が消える。
「消えた! どこに…!?」
何百もの銃声。壁が削れる音。そして、それらが狭い空間に反響する爆音。
だが、肝心の扉間が撃ち抜かれる音は存在しない。
まるで誰かに連れ去られたかのように、唐突に姿を消してしまったのだ。
「FOX1、FOX2は前に出て敵を打ち倒せ。倒した敵はそのまま盾として活用しろ」
「了解した」
「はい、分かりました!」
ユキノとニコが高速でPMCの兵士を薙ぎ払い、その身体でバリケードを作る。
そうすることで、後方の敵は味方に当ててしまうのを考慮して、撃つのに迷いが出る。
ついでに、盾としても使える地球にやさしいエコ素材である。
ありがとうPMC兵士。
「FOX3、FOX4はワシと共に後方で前衛を援護。残弾数は気にするな。足りなくなったら、敵から武器を奪え。6千億発ほどあるのだ、少々持っていっても構わんだろう」
「ど、泥棒……って、言ってられる状況じゃないわよね!」
「そーそー、キヴォトス無双だと思って頑張ろうか」
クルミが扉間の指示にちょっと引くが、多勢に無勢の状況なので文句を止める。
一方のオトギは雑魚を蹴散らす、無双系のゲームみたいだと思いながら連続でヘッドショットを決めていく。
「敵は出来る限り、前に居る者から倒していけ。そうすれば、敵の足手まといに…もとい足枷になる」
「それ! 言い直す意味あった!?」
「OK。負傷兵を増やすんだね? そっちの方が敵の士気を下げられるし、リソースも奪えるんだよね」
敵兵の屍(死んでない)でバリケードを築き上げていく、ヴラド3世のような扉間達。
これではどちらが、悪役か分かったものではない。
「先に生徒を潜ませていたか……それもFOX小隊とはな。どうやら、我々とは完全に袂を別つつもりのようだな!」
「いいや、辿り着く先はどちらも同じ刑務所だろう」
「裏切ってごめんなさいね」
蟻の子一匹入って来れないようにはしたが、先に潜まれていれば話は別。
流石に読めなかった、このジェネラルの目を以てしても。
「だが、それでも同じこと! 貴様らが特殊部隊と言えど、この物量に補給無しで勝つことは出来まい! そして、我々も
だが、その程度では大人はうろたえない。
ここは袋小路。
相手をここに留めて包囲しておけば、いつかは相手の方が力尽きる。
力で勝てないのなら、飢え死にするまで待つまでだ。
「今の貴様らはただの犯罪者! 誰も助けに来はしない!! せいぜい、無意味に足掻くといいッ!! フッフッフ…ハッハッハ…ハーハッハッハッ!」
外部からの助けでも来ない限りは、決してこの包囲網は破れない。
そう、盛大にフラグを建ててジェネラルは高らかに笑い、そして。
「―――私の大切な先生に何してるの!!」
「――ゴフッ!?」
ミカの投げた
「ミカ…!?」
「あ、先生、無事だったんだ……よかったぁ。補習授業部のみんなで迎えに来たよ」
まさかの登場に思わず声を上げる扉間。
そんな姿にミカは安心したように笑う。
まるで、天使のような笑みだ。
「ここをどうやって見つけた?」
「ハナコちゃんがなんか、色々やって場所を当ててたよ。まあ、後は現場に来たらやたらとお邪魔虫がいるから分かるし」
襲ってくるPMCの兵士の攻撃を蚊に刺されたように掃いながら、片手でボールのように兵士を吹き飛ばす、ミカ。
野球しようぜ!
「ほら、外でクルセイダーに乗ってみんな待ってるよ?
「……信用してもよい相手ですか? 安全地帯に移動することに異存はありませんが」
なんか怪しいなと思うが、ここから脱出するルートは欲しいユキノが扉間の顔を窺う。
「ここに来た理由までは分からんが、信用できる相手だ」
「そうそう。じゃ、
それに対して、扉間は信用できる相手だと頷き返す。
扉間にとってミカは更生した、可愛い生徒。
何も恐れることなどない。
『待ってちょうだい、先生。先生はミレニアムに来るべきよ』
「抜け駆けは無しだってこった」
まあ、それは扉間に限った話なのだが。
「え!? あなたはミレニアムの……」
「ん? えーっと、そういや地下でチラッと顔見たな……」
『ネル、彼女はトリニティのティーパーティーの聖園ミカよ。久しぶりね、ミカ』
「あ、その声はリオちゃん?」
かつて、対ベアトリーチェで手を取り合った仲の、ミカとネルとリオ(ドローン越し)。
因みにリオ本人が居ないのは、自分が前線に出ると進軍が遅れるという合理的な思考からだ。
通常であれば、邪険な対応になることはない組み合わせだ。
だが。
『先生を無理矢理トリニティに連れて行くのは、感心しないわね、ミカ』
「……あは☆ 無理やりだなんて、酷いなぁ。私は先生が危ないから安全な場所に連れていこうとしているだけなのに。それにリオちゃんだって、先生をミレニアムに連れて帰ろうとしてるんでしょ? 先生好みのメイド服部隊なんて連れてさぁ」
「おいおい、うちを美人局みたいに言うんじゃねぇよ。潰すぞ、コラ」
扉間争奪戦となれば話は違う。
フリーになった有能人材とか、どこだって欲しいに決まっている。
「キキキ、間に合ったな」
「間に合ってませんが? 万魔殿が邪魔をするせいで、出遅れてしまったじゃないですか!」
「それはもうすんだことだろう! そもそも、貴様もゲヘナならゲヘナの繁栄のために手を取り合うべきだと分からんのか!? 天雨アコ!」
「どの口が言ってるんですか!?」
「この美しく清らかな口だ!」
遅れて、こちらもPMCの兵士を吹き飛ばしながらマコトとアコが到着する。
遅れた理由は、風紀委員会と万魔殿で嫌がらせし合っていたからである。
まあ、それもミカ達が到着するまでだが。
「さあ、先生! 今こそ我がゲヘナと手を組みキヴォトスに真の平和をもたらすのだ!」
「騙されないでください、先生。マコト議長が言っているのは、キヴォトスの征服を耳当たりよく言い換えているだけです」
「貴様は誰の味方だ!? 天雨アコ!」
「少なくとも、嫌がらせをしてくる万魔殿以外ですね」
しかしながら、今この場で勢力的には一番優勢のはずなのに、全く連携が取れていない。
これも普段からの嫌がらせの賜物と言えよう。
「やっぱり、ゲヘナは野蛮だね。それにみんな忘れてない? 先生を辞めるとは言ってるけど、アリウス学園の校長を辞めるとは言っていないんだよ?」
「あ! てめぇはガスマスク野郎! というか、同じ意味だろ、それ!」
「全然違う。校長と先生は別の役職。そもそも、生徒会長の私が許さない」
そして、混乱の場にさらにアツコが参戦して、アリウスマウントを取る。
「私達は明確に先生の学校の生徒だけど、あなた達は?」
「わ、私だって、先生は補習授業部の顧問だし……」
「校長の方が上だけど? はい、論破」
それってあなたの感想ですよね?
と、言わんばかりに周りを煽る、アツコ。
これには、口の上手い政治のトップ達も切り返す材料が無い。
『そう。私は先生の妹だけど? なにか文句でも?』
だが、リオは格が違った。
妹(血の繋がり無し)の特権を振りかざし、堂々とアツコに相対する。
「え?」
『家族が一緒の場所に帰ることは普通の事よ』
「……え? 先生ホントに?」
ドローン越しだというのに、この威圧感。
アツコは思わず冷や汗を流し、反論を失う。
そして、リオのはっちゃけた一面を知らないミカはマジで? と、扉間の方を見る。
「はぁ……妹分であることは否定せん。だが、別に血の繋がりなどないし、妹のように思っているのは生徒全員だ」
当然、扉間は部分的に否定する。
「というか、なんだこれは? ワシがどこの学校に行くだの、なんだの……アロナか?」
『見ましたか? これが先生の人望です』
扉間からすれば、アロナがフェイクニュースを流したことはアロナに伏せられているので、何故か先に情報を知られている状態。裏切りという行為の有効性が良く分かる。
「あー、やっぱりシロコちゃんが言ってたみたいに、フェイクニュース?」
「あなたは……ヒナ委員長が言っていた、小鳥遊ホシノ…!?」
「お、ホシノじゃん。何だよ、アビドスも先生の確保に来たのか?」
「いやー、おじさん達は先生がヤバそうだから来ただけなんだけど……なんか、別の意味でヤバそうになってるね」
そんな所に、遅れてアビドスの親分ホシノが登場。
以前来た場所でなければ、話が終わる前に辿り着けなかったかもしれない。
弱小勢力に情報戦は辛いのだ。
「で、どうなの? 先生辞めるって本当なの?」
「……事実だ。今回の件の責任を取り、後任に任せてワシは相談役に移行するつもりだ」
「連邦生徒会での責任など気にするな! ゲヘナでは新たなポストにつけて、給料も3倍出そう!」
「そういう問題ではない。
今よりいい給料を出すと叫ぶマコトに、扉間が溜息を吐く。
そういう問題ではないのだと。
『なるほど……先生らしい合理的な考えね』
「え? なに、どういうこと?」
「……ご説明お願いします、先生」
扉間の言葉の真意を瞬時に理解する、リオ。
よく分からずに、疑問符を浮かべる、ミカ。
分かってはいるが、納得がいかずに説明を求める、アコ。
「武力も政治権力もあり、今回のような事件が起きても捕まえられるどころか、お前達のような立場の上の者がスカウトに来る始末。ワシがボケていたらどうするつもりだ? それに、ボケずに後継に継いでも、“先生”という役職そのものに力がついてしまうと、後の代で権力の暴走や腐敗の種になりかねん。権力を分散できるタイミングで分散するべきだ。権力の集中を原因として挙げれば、今回の件でも分散に動くはずだ」
「……そういうことを自分から言う人、初めて見た」
「耳が痛いな……」
普通はそういうのは外から言われるものだろう、という顔をするアツコ。
ずっと黙って成り行きを見守っていたが、身に覚えがあって俯くユキノ。
「考え過ぎじゃねぇの?」
「そうそう。そんなに急がなくてもさぁ……おじさん達の卒業ぐらいまで待っても」
ネルとホシノは性急すぎないかと指摘する。
実際問題、別に今やる必要はないのだ。
じっくり足場を固めてからでもいい。
「先生という存在自体が、キヴォトスにおいては新しいものであり、今まさに定着し始めた所だ。お前達とて、先生に出来ることや頼めることを最初から把握していたわけではないだろう」
「まあ、それは……」
「だが、時が経てばそれが当たり前になる。当たり前という感覚はどんな幻術よりも恐ろしいものだ。正しいか、正しくないか。その判断の前に
習慣や慣例というものは、合理的な理由なく昔からそうだったで決まる。
今までは教師が部活を指導していたが、そこに給料が出たことはなかった。
じゃあ、何故教師がやってきたのかと言えば、
もちろん、当初は合理的な面もあっただろう。
強制ではなく、自主的にやっていたことかもしれない。
だが、それが当たり前になってしまったことで弊害が出てしまうのだ。
ならば、最初の内から明確にルールを定めてしまうのが良い。
『……先生の言い分は分かったわ。でも、後継者をそこまで急いで探す理由が無いわ。必要なのは先生の任期を決めることではないかしら?』
「そうだな。ミレニアムのビッグシスターの言う通りだ。気になるのなら、選挙を3年ごとにしてダメなら変えられるようにすればいい」
「そうだよ! まだ、時間はあるんだし、もう少しゆっくりやってもいいんじゃないかな? 後を継ぐ人だって色々準備だってあるだろうし」
「うん。それに私達からしたら、先生の方が何か私達とは違う
「そうそう……なんか生き急いでるような気がするよ、先生」
リオ、マコト、ミカ、アツコ、ホシノらの学園のトップ人から、指摘を受ける扉間。
扉間もまた、生徒達とは違う当たり前に囚われているのではないかと。
「ワシが…?」
「……先生は、以前私に言いましたよね? 『お前は物事を焦り過ぎる』と。今この言葉を先生にお返しします」
そして、止めにアコからかつて言った言葉を返される。
「……だが、次の代に引き継ぐのなら、やはり時間をかけるべきだ」
「先生が老人だって言ってもよ、明日明後日で死ぬわけじゃねぇだろ? ゆっくりでいいじゃん」
「そうですね。先生からは……何と言うか、死地に向かう戦士のような感覚がします」
そして、ネルとユキノからも常識の違いを指摘される。
戦争を生き抜いた世代と、そうでない世代の違いを。
(
自分が柱間から引き継いだ時も、扉間がヒルゼンに引き継いだ時も。
全て死別だった。
そして、穢土転生で蘇った後にうちは政策の失敗を知った。
今度は生きている内に完璧な引継ぎをと、無意識のうちに思っていたのかもしれない。
「ふぅー……どうやら、しっかりとお前達と話してから決めるべきだったようだな。ワシの常識では、同じようなミスを犯しかねん。カイザーのやつらを捕えたらお前達に話すとしよう……」
なんか片手間に片付けられたジェネラルとPMCの亡骸(気絶)を見ながら、扉間は決める。
「恐らくだが、ワシは―――この星の者ではない」
自らの存在の不確実性を伝えることを。
おまけ「トビラマ先生殿、ちょ~っとお時間貰っちゃうねぇ?」
「先生殿~! 今日は遂に忍者本を完成させるんだぁ!」
「そうか。ワシの手は必要か?」
遂に佳境に至った忍者本。
それをニコニコと報告するミチルに、扉間は手助けが居るかと聞く。
「えっと、お気持ちは嬉しいのですが……」
「はい! これはイズナ達忍術研究部の活動ですから」
しかし、それに対して忍術研究部のメンバーであるツクヨとイズナが首を振る。
自分達で作り上げたものなのだ。
やはり、最後まで自分でやりたいのだろう。
「フ、そうか。では、ワシは別の部屋で
そんな子供らしい頑張りに、微笑みながら扉間は部屋を明け渡す。
(さて、ワシも完成を急ぐか)
そんなことを考えながら。
「「「完成―!!」」」
遂に完成した忍者本を前に喜び合う、ミチル、イズナ、ツクヨ。
古風な紙に、達筆で記載された忍術の数々。
その中には、扉間が教えた忍術も含まれている。
因みに、穢土転生の術は入っていない。
「出来たか?」
「あ、先生殿! 先生殿のおかげだよ~」
「ワシはお前に助言を与えただけだ。作ったのはお前達だ。故に、お前達は一人前の忍だ」
扉間は3枚の鉄の板を手に微笑む。
「……ミチル、イズナ、ツクヨ。少しこちらに来い。お前達に渡したいものがある」
「あ、もしかして……それはー!」
「はい? 分かりました!」
「それは一体?」
以前に見た覚えのある鉄の板に、喜びを隠せないミチル。
一方のイズナとツクヨは疑問符を浮かべている。
「少し目を瞑っておけ」
カチャリと重い金属音が響く。
同時に、布が髪とすれる音が聞こえる。
「よし、もう目を開けて良いぞ」
「おおー! カッコいい!」
「こ、これは…!?」
「額当て…?」
目を開ける3人。
そして、目を開けると同時に扉間が持ってきた鏡に映る自分が、目に入る。
「忍者本の完成、おめでとう。これでお前達は―――一人前の忍だ」
額当てをつけた忍術研究部の姿が。
「ええーッ!? イ、イズナ達が一人前の忍びに!?」
「い、いいんですか…?」
元々、約束していたミチルとは違い、知らなかったイズナとツクヨは当然驚く。
そんな、2人に対して扉間は笑いながら頭を撫でる。
「ワシがお前達を忍として認めるのだ。これ以上の証明は存在せん」
「お、おお! 何だかわかりませんが、凄い信頼です!」
「あ、ありがとうございます……大切にします」
「先生殿ぉ! 一生大切にするねぇ!」
恐らくは元祖額当ての製作に携わった木ノ葉の2代目火影が認めるのだ。
扉間の言うように、これ以上の証明は存在しない。
そんな想いが伝わったのか、イズナとツクヨも笑顔になる。
「さて、祝いがこれだけというのも寂しかろう。ラーメンでも食いに行くか、ワシの奢りだ」
「えー、流石に暑いよー。冷やし中華にしない?」
「……それもそうだな。2人もそれでよいか?」
この時期にラーメンはちょっと辛い。
ミチルの率直な意見に、出鼻をくじかれる扉間だったがミチルの言い分にも一理あると思い直す。
なんか、ミチルには甘いな、こいつ。
「主殿に奢ってもらえるのでしたら、イズナは熱々のラーメンでも構いません!」
「は、はい……お任せします」
そして、2人からも同意を得て
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