千手扉間のブルーアーカイブ   作:トマトルテ

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おまけのまとめです。
一番下の最新分以外は今まで後書きに書いていたものと同じです。
まあ、まとめて読むための投稿と思ってください。






モラトリアム編
「ちょ~っとお時間貰っちゃうねぇ?」まとめ


 その壱

 

「重心がぶれておるぞ、ミチル。”影走りの術”というのなら、頭と手を動かすな」

「はぁ…はぁ…キツ~イ……」

 

 シャーレの執務室で、腕を上げた独特の走り方をするミチルを扉間が監視する。

 室内で何やってんだこいつらという状況だが、本人達は至って真面目だ。

 

「よいか? 一般人と忍で走法が違うのは、長距離を走りぬくための体力を残すためだ。通常の腕を振る走り方は、上半身が横に振れやすく下手な者では重心が動く。その反動の分だけ速く走るには向いているが、上体がぶれることで体力を消耗しやすい」

 

 独特な忍者走りを大真面目な顔で解説する扉間。

 ミチルも息も絶え絶えにしながら、必死に走る。

 ここ、室内なんですけどとツッコんではいけない。

 昨今の猛暑は火遁の術並みなので、外で走るのは危険なのだ。

 

「”影走りの術”とは読んで字のごとく音もなく影のように走ることだ。腕を固定し、重心のズレを極限まで減らすことで体力の消費を減らせる。敵地まで赴き、そのまま戦闘を行うことの多い忍のための走り方だ。また、体の揺れが少ない故、服に忍ばせた暗器の音も鳴り辛い。闇の中を移動し奇襲するのにも向いておる」

「な、なるほど~……ハァハァ」

「ふむ……少し休憩だ。忍者本に今の説明を載せたければ、メモでも取っておけ」

「りょうか~い」

 

 一頻り説明を終えた所で、ミチルの体力が限界だったので休憩を入れる扉間。

 ミチルはぐたーと倒れながら、だらしなく扇風機に当たる。

 

「おお~風遁の術~」

「水遁・運動補水液(スポーツドリンク)の術も食らえ」

「ありがと~先生殿ぉ~」

 

 しれっと水遁を推しながら、ミチルにスポーツドリンクを渡す扉間。

 水の無い所でこれ程の運動量を…! 信じられません!

 などと、ミネやセナに怒られるわけにはいかないのだ。

 

「はぁ~極楽極楽~、先生殿、術の修行に付き合ってくれてありがとうね~」

「遠慮するな。ワシは火影(せんせい)だぞ」

 

 ゴクゴクと喉を鳴らして、水遁・運動補水液(スポーツドリンク)の術を食らうミチルを見ながら、扉間は固い金属の板を手に取り、何やら絵柄を彫り込んでいく。

 

「先生殿? なぁにやってるの? ……鉢巻?」

「ただの鉢巻ではない。額当てだ」

 

 額当てを光にかざし、絵柄の出来を確認しながら扉間は答える。

 これは額当てだと。

 

「お前達の忍者本が完成したら、これをお前達にプレゼントしてやる」

「え、なになに~? それってそんなに凄いものなのぉ?」

「一人前の忍者の証だ。ワシの里の者は皆これをつけていた」

「おお~! 俄然やる気が出て来たぁ!」

 

 里の者という、それっぽい発言に興奮するミチル。

 そんな姿に扉間は、かつての忍者学校(アカデミー)を思い出しながら、微笑む。

 

「フ、まあ、まずは”影走りの術”を会得してからだな」

 

 平和な忍術も、偶には良いものだと。

 

 

 

 

 その弐

 

「おお~ッ! 分身の術ってすご~い!」

「フ……」

 

 エンジニア部が発明した3D分身装置。

 それで映し出された自身の写し身を見て、大興奮のミチル。

 分身の術って凄いだろうという顔をする、扉間。

 エンジニア部の発明でなければ、ワシの術だと言っていたかもしれない。

 

「ねぇ、先生殿。これって分身も物に触れられたりするのかな?」

「声は両側から聞こえるが……質量は無いように見えるな。影分身ではなく、分身の術か」

「影分身?」

 

 影がつくことに何か意味があるのかと、首を捻るミチル。

 

「影分身の術は質量を持った分身だ。そのまま戦闘に使うもよし、分身ゆえ使い捨てで偵察に向かわせるも良しの素晴らしい術だ」

「お~! そう聞くと凄い術に聞こえる~! じゃあ、分身より影分身の方がいいの?」

 

 影分身はワシが作った術だ。

 もちろん、それにあった戦術もな。

 自分でやったのは数えきれないが……の説明をする扉間のドヤ顔に、ミチルも顔をほころばせる。

 美しい師弟愛である。

 

「忍術には難易度はあるが、良し悪しは戦況によって変わる。影分身はメリットも大きいが、それだけ分身の術よりも消費が激しい。相手を騙すだけなら、分身でもこと足りる場面もある」

「じゃあじゃあ! この分身の術で何か凄い事出来ないかな?」

「すごい事? ふむ……」

 

 何か凄い事と言われて、考える扉間。

 これが、分身と変化の術を極めた7代目火影なら、お色気の術にするかもしれないが却下。

 ラスボスにも効く、7代目火影の卑猥な術は禁術指定なのだ。

 

「直接の攻撃力がなく、触れない故、分身だとすぐに気づかれるだろう」

「あー、まあちょっと色違いだもんね」

「なので、一度相手に役に立たない分身と思わせたうえで、仲間の攻撃の目くらましにする」

「目くらまし?」

「あまり気分は良くないが、お前の分身の背後に隠れて銃を撃てば不意打ちが可能だ。何なら、一度お前が銃を撃って分身の方からは来ないと意識づけさせるのもいい。分身は無害と判断した所での不意打ち。威力以上にダメージを貰うはずだ」

 

 分身の術はある意味で幻術だ。

 相手に無いものがあると、あるものがないと錯覚させられるのだから。

 影分身と併用できれば、さらに相手の思考を縛ることが出来るようになるだろう。

 

「う~ん……やっぱり使い方が地味」

「待て。この装置をもっと増やせば、100人単位での多重分身が可能なはずだ。そうすれば、相手を怯ませることも出来る」

「お~! それは派手かも! でも、そこまでいったら声がうるさそう」

 

 機械を増やしての分身に、うるさそうと呟くミチル。

 だが、その言葉を扉間は聞き逃さなかった。

 

「なるほど……相手の聴覚を奪う術か。耳栓をした上で装置で人数を増やして大声で……いや、ウタハに頼めば音響弾を使う時の音を出せるようにすれば」

「あ、それなら音響弾そのものが分身すれば、いいんじゃない?」

「手裏剣分身の派生か。悪くない。質量は無理でも音が増やせるのなら、音響兵器にとっては影分身といっても差し支えないな。いや、音分身の術と名付けるべきか。良い発想だミチル。忍者本にオリジナルの術として載せるといい」

「え!? 先生殿のお墨付き? やった~!」

 

 新たな分身の術の発想。

 それを若者から得た扉間は、やはり教育は素晴らしいなと思いながらミチルの頭を撫でるのだった。

 

 

 

 

 その参

 

「ミチル、何をやっておるのだ? スイカ割りでもやるつもりか?」

「違うよぉ……“キヴォトスニンジャアスリート”のステージを再現してるんだよぉぉ~……」

 

 バットを支点に、グルグルと回るミチルを見て何事かと問いかける、扉間。

 そんな扉間をよそにミチルは、目を回しながら前に進もうとして倒れこむ。

 

「……忍者と関係があるのか? これは」

 

 床に倒れたミチルを助け起こしながら、扉間は呆れた目を向ける。

 敵の目を回すだけの術など聞いたことがない。

 

(そもそも、敵を回転させられる程に隙があるのなら、そこで殺せばいい。いや、幻術ならありか? だが、幻術ならもっと効果的なものを見せた方が……)

 

 その隙があるなら首でも斬って殺した方が早くない?

 合理主義者らしい考えをしながら、扉間はバットを拾い上げる。

 そういう話ではない? それはそう。

 

「あ、あるよ~。忍者なら木の上に駆け上ったりぃ……飛び移ったりするからぁ……」

「確かに壁を駆けあがる以上、重力のかかり方が変わり三半規管に影響は出るが……流石に何回転もせんぞ? 隙が多すぎる」

 

 派手なバク転とかは確かに映像映えはするが、隙が大きい。

 そもそも、相手を一瞬でも見失うとか怖すぎる。

 扉間ならその間に飛雷神で相手の背後を取れる。

 

「そ、そんなぁ~……」

「………いや、高速でワープするための練習と思えば、使えんこともないか」

 

 落ち込むミチルに、若干甘さの残る対応をする扉間。

 飛雷神なら、超高速で空をワープしながら戦うので、確かに目を回さない練習は必要だ。

 もっとも、そんな超高速戦闘が出来るのは扉間とミナトぐらいしか居ないのだが。

 

「ワープ!? なにそれぇ! そんなカッコいい術があるの!?」

「ふ……自身をマーキングした場所まで飛ばす術でな。口寄せの原理を利用したものだが……ワシの自慢の術だ、ワシの」

 

 ミチルに飛雷神をカッコイイ判定をされて、上機嫌になる扉間。

 案外チョロいな、こいつ。

 

「先生殿! 飛雷神の術を教えて! 教えて~!」

「それは構わんが……まずは、“瞬身の術”からだな」

「“瞬身の術”?」

「こちらは単なる高速移動だが。まずは、速さになれんことには始まらんからな。それに、瞬身と飛雷神は組み合わせて使うことで、最大限の効果を発揮する」

 

 “瞬身の術”は足にチャクラを溜めての高速移動。

 難しい技術も要らない。

 だが、線で動く“瞬身の術”と点で動く“飛雷神の術”を組み合わせることで、より効果的に相手の隙を作れる。

 実に卑劣な戦術だ。

 

「というわけで、まずは足腰の強化からだな」

「えー、忍者への道は一日にしてならずだよ~」

「フ、せいぜい気張れ。期待しておるぞ、ミチル」

 

 そう言って、扉間はミチルに優し気な目を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 その肆

 

「先生殿~! 今日は遂に忍者本を完成させるんだぁ!」

「そうか。ワシの手は必要か?」

 

 遂に佳境に至った忍者本。

 それをニコニコと報告するミチルに、扉間は手助けが居るかと聞く。

 

「えっと、お気持ちは嬉しいのですが……」

「はい! これはイズナ達忍術研究部の活動ですから」

 

 しかし、それに対して忍術研究部のメンバーであるツクヨとイズナが首を振る。

 自分達で作り上げたものなのだ。

 やはり、最後まで自分でやりたいのだろう。

 

「フ、そうか。では、ワシは別の部屋で()()するとしよう」

 

 そんな子供らしい頑張りに、微笑みながら扉間は部屋を明け渡す。

 

(さて、ワシも完成を急ぐか)

 

 そんなことを考えながら。

 

 

 

 

「「「完成―!!」」」

 

 

 

 遂に完成した忍者本を前に喜び合う、ミチル、イズナ、ツクヨ。

 古風な紙に、達筆で記載された忍術の数々。

 その中には、扉間が教えた忍術も含まれている。

 因みに、穢土転生の術は入っていない。

 

「出来たか?」

「あ、先生殿! 先生殿のおかげだよ~」

「ワシはお前に助言を与えただけだ。作ったのはお前達だ。故に、お前達は一人前の忍だ」

 

 扉間は3枚の鉄の板を手に微笑む。

 

「……ミチル、イズナ、ツクヨ。少しこちらに来い。お前達に渡したいものがある」

「あ、もしかして……それはー!」

「はい? 分かりました!」

「それは一体?」

 

 以前に見た覚えのある鉄の板に、喜びを隠せないミチル。

 一方のイズナとツクヨは疑問符を浮かべている。

 

「少し目を瞑っておけ」

 

 カチャリと重い金属音が響く。

 同時に、布が髪とすれる音が聞こえる。

 

「よし、もう目を開けて良いぞ」

「おおー! カッコいい!」

「こ、これは…!?」

「額当て…?」

 

 目を開ける3人。

 そして、目を開けると同時に扉間が持ってきた鏡に映る自分が、目に入る。

 

「忍者本の完成、おめでとう。これでお前達は―――一人前の忍だ」

 

 額当てをつけた忍術研究部の姿が。

 

「ええーッ!? イ、イズナ達が一人前の忍びに!?」

「い、いいんですか…?」

 

 元々、約束していたミチルとは違い、知らなかったイズナとツクヨは当然驚く。

 そんな、2人に対して扉間は笑いながら頭を撫でる。

 

「ワシがお前達を忍として認めるのだ。これ以上の証明は存在せん」

「お、おお! 何だかわかりませんが、凄い信頼です!」

「あ、ありがとうございます……大切にします」

「先生殿ぉ! 一生大切にするねぇ!」

 

 恐らくは元祖額当ての製作に携わった木ノ葉の2代目火影が認めるのだ。

 扉間の言うように、これ以上の証明は存在しない。

 そんな想いが伝わったのか、イズナとツクヨも笑顔になる。

 

「さて、祝いがこれだけというのも寂しかろう。ラーメンでも食いに行くか、ワシの奢りだ」

「えー、流石に暑いよー。冷やし中華にしない?」

「……それもそうだな。2人もそれでよいか?」

 

 この時期にラーメンはちょっと辛い。

 ミチルの率直な意見に、出鼻をくじかれる扉間だったがミチルの言い分にも一理あると思い直す。

 なんか、ミチルには甘いな、こいつ。

 

「主殿に奢ってもらえるのでしたら、イズナは熱々のラーメンでも構いません!」

「は、はい……お任せします」

 

 そして、2人からも同意を得て4()()()忍びは昼時の街に消えていくのだった。

 

 

 

 

 その伍

 

「全く、お前達は……ツクヨ以外、宿題を忘れていたとはな。この量を前にしては……笑えんぞ」

「だってぇ~! 忍者本のことで頭がいっぱいだったんだもん!」

「イズナは、バイトで手一杯で……」

 

 夏休み終了まで後10日。

 止まない雨が無いように、終わらない夏休みも無い。

 いつかは現実と向き合い、大人にならなければいけない日が来るのだ。

 主に、遊びだけでなく宿題(ぎむ)をこなすという行動で。

 

「黙れ。ツクヨは計画的に取り組んでおったぞ? 何故あれだけの本を計画的に作れて、宿題の予定が立てられんのだ」

「あ、あの……先生、そこまで言わなくても」

 

 半ベソをかきながら、夏休みの宿題に向かい合うミチルとイズナ。

 その後ろでは、ツクヨがポンポンをもって応援しているが、どことなく申し訳がなさそうだ。

 

「むぅ……まあ、夏休みが終わったわけではない。期限に間に合えば、どのようにこなしてもいいのもまた事実か」

「ほらぁ~! だから、(あたし)達は悪くないんだよ~」

「だが、お前達がつい先程まで宿題を忘れていた事実は消えんぞ」

「お、おっしゃる通りです…うぅ」

 

 現状、別に悪いことをしたわけではないが、それはそれ。これはこれ。

 叱られることに間違いなどない。

 

「一人前の忍となったとはいえ、お前達はまだ下忍。忍術だけでなく、知識もつけていかんと上にはいけんぞ」

「ええぇ! まだ上があったのぉ!?」

「当たり前だ。お前達に教えることはまだ幾らでもある」

 

 下忍のまま火影になるなんてのは、どこぞの7代目火影ぐらいなものだ。

 そもそも、子供が死なないために任務をランク分けして、忍を階級分けしたのが扉間と柱間だ。

 下忍のまま、上の仕事をやらせたりなどするわけがない。

 

「に、忍者の道は1日にしてならず……ですね」

「当然だ。何事も、なってからが本番だ。お前達もいずれは弟子を取る時が来る。そのために中忍・上忍と上に行かねばならんのだ」

「道は険しいですね……」

 

 ツクヨとイズナが道の過酷さに、遠い目をする。

 私達はまだ登り始めたばかりらしい。この果てしない、忍坂を。

 

「案ずるな。そのためにワシが居るのだ」

「先生殿ぉ…!」

「お前達が独り立ちできるその時まで、ワシが傍に居てやろう」

 

 下忍を放置しないように。

 子供達だけで戦って死なないために、担当上忍を作ったのも扉間と柱間だ。

 少なくとも、中忍になるまでは放置するわけもない。

 

 

「―――忍術研究部の顧問としてな」

 

 

 そう言って扉間は、彼女達がつけた額当てを見つめるのだった。

 

 

 

 

 その陸

 

「先生殿~! かき氷作ってきたよぉ!」

「この夏お世話になったお礼です……先生」

「主殿は甘いものが苦手なので、お抹茶で甘さ控えめに作ってみました。どうぞ!」

 

 夏と言えばかき氷。

 扉間といえば、甘いものにダメージを受ける歳。

 というわけで、甘さ控えめの抹茶でかき氷を作って来た忍術研究部。

 

「ほぉ、かき氷か。いただこう」

 

 自分の若い頃はこういうのは贅沢品だったなと思いながら、かき氷を受け取ろうと手を伸ばす扉間。

 

「あ~! 待って待って! 今日のは先生殿へのお礼だからぁ!」

「忍術研究部の合体技!」

「あ、あーんの術です……」

 

 スッ、スッ、スッと扉間の前に3本のスプーンが差し出される。

 美少女女子高生からのあーん。

 これが本当のおいろけ・ハーレムの術だろうか。

 

(む、まずいな……これでは毒が含まれているかどうかの判断が出来ん)

 

 しかし、やられている扉間からすれば、孫娘達からのおままごとのお誘いも同然。

 忍者的には確認もせずに、人から貰ったものを口に入れるのはご法度だが、断るのも心苦しい。

 

(かき氷の匂いは……氷故に匂いが抑えられておるな。そして、3人同時にスプーンをかき氷に入れる行為。スプーンに毒を塗っていた場合は、犯人が誰かを分かり辛くする効果か……こやつらも考えたな)

 

 忍の三禁。酒・女・金。

 忍者をダメにする欲であり、逆に言うとそれを利用して相手を貶める武器。

 あの歴代最強と名高い三代目火影ですら、晩年まで女には弱いままだった。

 一番弟子がアカデミー生のおいろけの術でやられる姿を見たら、果たして扉間はどんな反応をするだろうか。

 

「……いただこう」

 

 しばらく考えた末に取った行動は、3人を疑わずに食べること。

 忍の神ですら、孫娘には果てしなく甘かったのだから仕方ない。

 いや、やっぱりアカデミー以下の子供に、博打を教えたのは流石にどうかと思うが。

 

「美味いな。甘さも控えめで、ワシのことを思って作ってくれたことがよく分かる」

「へへ~ん。どう? 凄いでしょ~」

 

 ふふんと、胸を張るミチルの頭を撫でつつ扉間はかき氷を受け取る。

 

「さて、このまま1人で食べ続けるのも悪くないが、1人だけ食べるのもちと寂しい。冷蔵庫にアイスがある故、好きなものを取ってくるがいい」

「え? それでは、お礼にならない気が……」

「食事とは皆で取ってこそより美味くなるもの。より良い礼にするためだと思ってくれ」

「それなら……」

 

 イズナの言葉に、みんなで食べた方が美味しいと返す扉間。

 因みに、甘いものが苦手なのに冷蔵庫にアイスが入っているのは、生徒が遊びに来た時用である。

 爺孫あるあるである。

 

「やったぁ~! 早い者勝ちだからねぇ! 私、ハーゲンダッツ!」

「ミチル殿!? それは余りにも暴挙では!?」

「わ、私はファミリーパックの中の1つでいいです……」

 

 即座にハーゲンダッツの確保に動くミチルに、戦慄するイズナ。

 そして、自分は控えめで良いとおずおずと申し出る、ツクヨ。

 

「遠慮するな。食い過ぎは腹を壊す故にダメだが、1個までならどれでも好きなものを選べ」

 

 そんな3人に対して、扉間は何でも食えと告げる。

 大人の財力をもってすれば、ハーゲンダッツとて大した出費ではないのだ。

 

「そ、それなら、主殿! 雪見大福は2つで1個と考えてもいいでしょうか!?」

「別に、それぐらいは構わん」

「2本がくっついて、パキッと割るタイプも…?」

「1個で構わん」

「それでは、ツクヨ殿。イズナと半々にしませんか? 綺麗にパキッと割りますので」

「え!? 私だけ仲間外れ! やっぱり(あたし)も皆で食べられるのにする!」

 

 こうして、忍術研究部の夏は過ぎていくのだった。

 

 




カルバノグ章まとめ 後書き

この章の最大の目標はカヤとFOX小隊を何とかすることでした。
そして、カヤとFOX小隊とぶつからないでシナリオ通り進むとどうなるか検証した結果……。
何も起きないことが判明! そうだよね、章ボスだもん……居なくなったら着地点なくなるよね。
というわけで、オリジナル展開に。
着地点を取りあえずSRT復活に定めて頑張ってみました。

後、他の学校の描写が多い理由は書くこと少なくなった影響。
因みに、ワカモは感想とか某掲示板でワカモどうなるんだろうと言う人が多かったので
「そういやそうだな、じゃあ出すか」で出した結果。
おかげでアビドスが潤いました(当社比)。

ブラックマーケット爆破は普通に、地下サイロに運び込まれる展開にしようか悩みましたが、アルちゃんが居たので『爆破しないわけにはいかない(使命感)』と思い爆破。
ETOのお披露目もついでに出来たし、ワカモ登場のフックにもなったし、元理事登場の伏線にもなったし、土地を売って軍事学校という名のアリウスの就職先も出来たし、全部アル様が居たおかげじゃないか。

それから、カルバノグは完結へのフックとして面が大きくなりました。
まあ、某メインヒロインさんとの決着が最終編の主題になるかと。

因みにカルバノグの狐の由来は、なんか狐キャラ多いなって思ったからつけただけです。



・FOX小隊
FOX小隊の今後は露骨なアリウス新章へのフラグ。
この小説内でも問題が起こるなら、FOX小隊に解決させる。
特に何もないなら、しれっと新キャラにアリウスの案内させて終了。
こんな感じで行きます。

・カヤちゃん
カヤちゃんのヒロイン化については、そのぐらい脳に衝撃与えないとカヤちゃんの改心って難しいなって思ったので。でも、可愛かったのでよし! 後、不知火って名前が良いよね。火を知ら不とか、感想で見た時、やはり天才かと思いました。調べてみると、面白い意味もありましたし。

・RABBIT小隊
サキが一番好きだけど、書いてたらなんかミユが面白いことに。
ヒヨリと化学反応を起してフライドチキンになったからだろうか?
やたらと、辛辣な言葉が似合う。

・カンナさん
カヤちゃんとFOX小隊を救う関係上、あんまり関われなかったんで、イベントで関われたらいいなと思ってます。
水着をセレクトチケットで買ったら、すぐに復刻来て作者を地味にへこませた子。
まあ、声が良いんで後悔は一切ない。

・ワカモ
作者の推しだけど、やべー奴過ぎて出すとこねぇなぁと思ってたけど、アビドススナギツネという手段を思いついたので登場。
通常・水着共に周年のすり抜けで来てくれた良い子。
でも、作中では卑劣様に塩対応される。テロリストだからしょうがないね。

・ア〇ナさん
カヤちゃんという恋愛系ヒロインが出て来たので、ちょっと本気を見せてくださいました。
多分、彼女の存在がこの作品最大のオリジナル要素。
ここだけは原作で明かされても、変更は出来ない部分。
こうなるに至った部分は最終編で明らかにします。

・陸八魔アル様
なんて…神々しいんだ…!


さて、次回からの予定ですが以前にも言っていた通り、イベントをやっていきます。
取りあえず、初回はコユキに拳骨入れてきます。
その次は満を持して、ミチル登場。
イベントはそんなに長くないので、2~3話ずつぐらいで消化していきます。

それが終わったら、最終章。章タイトルは『卒業編』をもって、完結予定。
まあ、だいぶ先の話にはなりそうですが、それまでお付き合いいただけると嬉しいです。

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