IS~Ichika Strange~ あるいはこんな織斑一夏   作:Exnyas

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1話でまとめるのは無理だったので、前後編に分けました。
本作の一夏があらすじで『Ichika』表記な理由の一端が明かされます。


10.起動訓練、前編にて

食堂でしっかりと昼食を取り、迎えた午後。

隣の1組と合同で取り組む事になった、ISの起動訓練。

 

ISスーツ姿になり、第3アリーナに出た俺たち2組を待っていたのは、同じくISスーツ姿で仁王立ち……否、ガイナ立ちをするモモセンパイの姿だった。

 

IS学園支給の黒い……スクール水着状のISスーツに身を包んだその姿は、モモセンパイの抜群のスタイルがこれでもかと強調されており、強い色香がにじみ出ている。

同時に、緻密な計算と卓越した技術で彫られた彫像のようでもあり、見る者を性別問わず惹き付ける魅力に溢れている。

 

その証拠に1組で、唯一白いISスーツを着込んだ四季某が、顔を赤くして俯き、前屈みになり、股間に手を当てたまま微動だにしない。

 

十中八九、モモセンパイが放つ色香に刺激され、股間の四季ジュニアが臨戦態勢になってしまったのだろう。

 

これで口を開かなければ、極上の美少女なのだが……

 

「待っていたぞ一夏! さあ、私と戦え!」

 

……口を開くとコレだもんな。

 

俺を見つけるなり、嬉しそうな表情でそう言うモモセンパイだが……

 

「アリーナを破壊する気ですか」

 

「むう、なら組手でも構わんぞ」

 

「私が構うわド阿呆」

 

──ズパァァンッ!──

 

「い”っだぁ”!!」

 

……背後から音もなく現れた織斑先生の、音を置き去りにする出席簿アタック(教育的指導)によって撃沈した。

 

「ぐ、ぐおお……ジジイのゲンコツぐらい効いたぁ……!」

 

後頭部から白煙を上げつつ、しゃがんでそう呻くモモセンパイ。

辰姉は苦笑している。

 

「さて、コイツは放っておいて授業を始めるぞ」

 

「い、良いんですか?」

 

「ああ。保護者の鉄心さんから許可は得ている。コイツが暴走したら、遠慮なく叩き伏せろとな」

 

「っく、あの妖怪ジジイめ。小癪な真似を……」

 

言って立ち上がるモモセンパイ。

 

「ちなみに言っておくぞ、川神」

 

「……くっ、う……何です?」

 

「2発目以降の出席簿アタック(教育的指導)の話だ。2発目以降、私の出席簿がお前に放たれる度に、その報告が川神院に届く。そして1回報告が行く毎に、お前の次の仕送りが5%ずつ減るという話になっている」

 

「なあっ!?」

 

モモセンパイが驚くのも無理はない。

何故ならIS学園の生徒が在学中に使う金銭は、基本的に実家からの仕送りで手に入れる以外、調達の手段が無い。

 

在学中の生徒は、バイトが禁止されているしな。

 

オルコットのように国家代表候補生であるとか、俺のように企業の後ろ楯があるなら話はまた別だが。

 

「使える小遣いを減らしたくないなら、態度を改めろ」

 

「……わ、分かりました」

 

「分かったらクラスの列に戻れ」

 

「は、はい」

 

すごすごと1組の列に戻るモモセンパイを、黙って見送る。

下手に口を開けば、あの出席簿アタック(教育的指導)が自分に向けられるかもしれないし、なによりあんな一撃、分かって受けたくはない。

 

「では、授業を始める」

 

「まずみんなには……そうね。各クラスで4人ずつのチームを作ってもらうわ。ただ、1組は四季くん、川神さん、板垣さんを除いてちょうだい。それで人数が足りなくなっても構わないわ」

 

「2組は織斑くんとオルコットさん、篠ノ之さんを除外してくださいね」

 

「考えるのがメンドーなら、それぞれのクラスで、出席番号順にテキトーに分かれちまえ」

 

織斑先生を除く3人の先生の指示で、1組も2組も、それぞれ指定されたメンバーを除き、4人ずつのチームを作った。

1組は4人チームが8個で、2組は4人チームが7個。

 

2組は都合1人余るはずだが、その1人は昼休みに体調不良を起こし、早退しているため、結果として余りが出なかった。

 

「よし……では織斑・川神・板垣の3人と、オルコット・篠ノ之・四季の3人は、それぞれでチームを組め」

 

言われたとおり、俺はモモセンパイと辰姉でチームを組む。

これは今日の昼休み、食堂で織斑先生と話した内容そのままだ。

オルコットと箒、四季が組まされたのは意外だが。

 

「あとは……1組の8チーム。それぞれ代表を1人選んで、チーム対抗のじゃんけんをしなさい。最後まで勝ち残ったチームは、2人ずつに分かれて、織斑くんか四季くんのチームに入るのよ」

 

こうして俺と四季のチームに2人ずつ増員があり、5人チームが2個と、4人チームが14個出来あがった。

 

そこからは簡単だ。

織斑先生が4人チームを3個と織斑組を。

山田先生が4人チームを4個。

ミューゼル先生が4人チームを3個と四季組を。

フォール先生が4人チームを4個。

それぞれ見る事が決まった。

 

「……では織斑には、私が監督するメンバーのリーダー役を頼みたい」

 

「俺ですか?」

 

「ああ」

 

他の先生たちを見ると、確かにそれぞれリーダーが決められているようだ。

山田先生のところは1組の見知らぬ子が、ミューゼル先生のところは四季が、フォール先生のところは2組(ウチ)ののほほんさんが、それぞれリーダーになったらしい。

 

のほほんさんもなかなか立派な双球を持っているな。

 

「分かりました」

 

「よろしくね、織斑くん」

 

「ああ、よろしく」

 

「さて、リーダーが決まったら、まずは今回の訓練で使う量産機を決めてもらう。織斑、チームメンバーに打鉄・ラファール・オウガの3種を分かりやすく説明しろ」

 

「はい」

 

言われたとおり、俺はチームメンバーに分かりやすく……俺以外のメンバーが全員初心者である事を念頭に、3種の量産機について説明を始める。

 

まず打鉄。

防御性能に注力された機体で、攻める事より守る事に向いてるIS。

基本装備(プリセット)は大型ISブレードとセミオートライフル、大型実体盾と長距離狙撃用実弾砲。

拠点防衛なんかが適役だな。

その分機動力は据え置きだけど、基本動作訓練で使うならうってつけだ。

 

次にラファール。

火力と機動力に注力された機体で、ガンガン行こうぜを地で行く。

基本装備(プリセット)はハンドガン・サブマシンガン・アサルトライフル・ショットガン・グレネードランチャー・バズーカが2丁ずつと、近距離用ショートブレードが2本に、大口径パイルバンカー内臓実体盾が1枚。

打鉄が本陣守護ならラファールは鉄砲隊。

高い火力と機動力は魅力だが、ラグが大きいからちょっとクセがある。

 

「織斑くん、ラグって何?」

 

「んー、例えるなら蛇口にホースを繋いで蛇口の栓を捻った時、ホースから水が出てくるまでにかかる時間かな。ラファールは他の学園配備量産ISに比べて、このホースが少し長いんだ」

 

「ホースが長い……ラグが大きいとどうなるの?」

 

「瞬間瞬間の行動にコンマゼロ数秒の遅れが生じるから、その遅れを計算しながら操縦する必要が出てくる」

 

「……つまり刹那のタイミングにクロスカウンターを打つにしても、コンマゼロ数秒の遅れを予測して打たなければならないのか」

 

「そういう事。まあ、後継機のラファール・リヴァイヴなら、そこまでラグは無いんですが」

 

最後にオウガ。

打鉄に勝る機動力と、ラファールに次ぐ火力を持つ機体で、学園配備量産ISの中ではラグが一番小さい……と言うかほぼゼロ。

基本装備(プリセット)はアサルトライフルとサブマシンガンが2丁ずつ、ショットガンと大型銃剣(バヨネット)付きビームピストル、中口径パイルバンカーと肩部マウント型ミサイルポッド、肩部マウント型リボルバーキャノン、それに腕部打撃装甲【天上天下】と脚部打撃装甲【唯我独尊】だ。

打鉄に拠点を防衛させ、その前でラファールが銃壁を築くなら、オウガは敵の雑兵を蹴散らす切り込み役。

 

「腕部打撃装甲と」

 

「脚部打撃装甲?」

 

「相手を殴るために形成された腕の装甲と、相手を蹴るために形成された足の装甲の事。つまりオウガは世界でも数少ない、近接格闘武装を積んだISなんだ」

 

俺の言葉を聞き、モモセンパイの目つきが攻撃的になった。

 

「ほう、近接格闘武装か。ISで格闘……なるほどな」

 

「いちくんとモモちゃん、私の得意分野だね」

 

あとオウガは学園配備の量産ISの中で唯一、個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)が使えるISでもある。

 

個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)?」

 

辰姉がそう口にすると、織斑先生が寄ってきた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)という高等技術を、3回以上連続して行う超高等技術だ。機体にスラスターが3基以上搭載されていないと使えないし、お前たち1年はもちろん、3年はおろか、現役の国家代表にさえ安定発動が難しいISの絶技だ。実際にできるISパイロットは一握り……いや、ひとつまみしかいない」

 

「織斑先生は出来るんですか?」

 

「私か? 不甲斐ないが無理だな。仕組みを教える事は出来ても、自分では出来ない」

 

織斑先生曰く、自身が知っている限りでリボルバー成功者は、アメリカの国家代表【イーリス・コーリング】さんのみで、彼女でさえ成功率が40%を超えないらしい。

 

……俺も専用機(クッキー)を使えばリボルバーは発動出来るし、成功率は99.8%だけど、それを知ってるのは束姉だけだ。

 

「ちなみにコーリングのリボルバーは4連だ」

 

「それでも成功率40%止まり。発動を2回試みて1回発動するかしないか。発動を3回試みてやっと1回発動する……まさしく絶技ですね」

 

「……ってな訳で、これから使う量産機をざっと説明したけど、みんなはどれを使いたい?」

 

……結果は言わずもがな。

満場一致でオウガに決まった。

釈迦堂さんと同じく、世界に知られる武術家の1人、モモセンパイの『銃を無くし、剣も無くしたら、最後に頼れるのは自分の肉体のみ。なら、殴る・蹴るは出来る方がいい』と言う言葉で決まったような物だ。

 

「ちなみに1つ補足だ。IS多しと言えど、拳で殴ったり、肘打ちしたり……膝蹴りをしたり、足で蹴ったりは、オウガをベースに開発・カスタムされた……オウガ系列の機体と、さっき言ったコーリングが駆る【ファング・クエイク】系列のISにのみ許された、いわば特権だ。他のISで殴る・蹴るをしても、相手のISにダメージは全く入らないし、自分のISのSE(シールド・エネルギー)がゴッソリ減るだけだ。専用武器を装備すればこの限りではないが……覚えておけ」

 

『はい!』

 

ちなみに山田先生のチームはラファールに、ミューゼル先生のチームは打鉄に、フォール先生のチームも打鉄に、それぞれ決まったらしい。

 

そうして運ばれてくる無数のオウガ。

聞けば2年や3年の整備科に所属する生徒が、配備訓練の授業で、運搬用ロボットを動かして運んでいるらしい。

 

「……織斑先生」

 

「何だ?」

 

「運ばれてきたオウガですけど、1機だけ、手にバンデージを巻いているんですが、あれは?」

 

「あれか? あれは入学試験に際し、織斑が自ら内部パラメーターを調整し、着用……山田先生を倒したオウガだ。織斑が施した調整がそのままになっている」

 

「一夏お前、山田先生を倒したのか!?」

 

「ギリギリでしたけど」

 

モモセンパイの質問を肯定する。

 

アサルトライフルとサブマシンガン、ショットガンは全弾撃ち尽くし、弾切れ。

大型銃剣(バヨネット)付きビームピストルは、展開(オープン)して早々に山田先生に撃ち壊され収納(クローズ)

ミサイルは撃つ端から弾頭を撃ち抜かれ、爆風でこちらがダメージを受ける始末。

リボルバーキャノンは数少ない有効打だったが、装弾数が少なく、途中で装填(リロード)が出来ないので、撃ち切った時点で収納(クローズ)するしかなかった。

 

「となったらもう、格闘しかないな……って」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)併用飛燕疾風脚(ひえんしっぷうきゃく)で距離を詰め、即座にパイルバンカーを1発。

吹き飛ぶ山田先生を瞬時加速(イグニッション・ブースト)併用サプライズ・ローズで追い、ヒットと同時にタイガーキックでカチ上げて姿勢と防御を崩し、幻影脚(げんえいきゃく)空砂塵(くうさじん)飛燕斬(ひえんざん)のコンボを叩き込み、パイルバンカーでノックアウト。

 

「……いちくんはアレかな? 格闘ゲームのキャラクターか何かなのかな? 聞いたことがある技ばっかりなんだけど」

 

「飛燕疾風脚、サプライズ・ローズ、タイガーキック、幻影脚、空砂塵、飛燕斬……龍虎に餓狼……なるほど、KOFだな? 私もいまでもたまにゲーセンでやるぞ。女性格闘家チームが好きだ」

 

「ちなみに織斑の場合、KOF系列の足技・蹴り技は全てマスターし、自分で放つ事が出来る。何ならKOF系列のみならず、スト(ツー)系列やGG(ギルギア)系列はもちろん、それが足技・蹴り技なら、格闘ゲームだけではなく、大抵はマスターしているからな。ぼくがかんがえたさいきょうのあしわざ・けりわざきゃらくたー、というヤツだ」

 

「ちょ、織斑先生、そこまで言います!?」

 

「そうは言うがな。これまでに発売されたゲームに登場するキャラクターの足技・蹴り技は、ひととおりマスターしているし、全部放てるだろう?」

 

「それは、そうですが」

 

「ゲームキャラの技か……私も覚えてみようか」

 

ちなみに束姉は俺の同類で、束姉の場合は拳技・殴り技の全てを網羅しており、俺より技のレパートリーが豊富。

ゲームキャラの技はもちろん、アニメやマンガのキャラクター技さえ使えてしまう。

禁じ手は某一撃必殺男(ワンパンチマン)から覚えた『マジ殴り』で、本人曰く、地球なんか簡単に消滅するとの事。

 

「さあ、無駄話はここまでだ。起動訓練を開始する。織斑は他のメンバーに説明をしながら、バンデージオウガを起動させろ。他のメンバーは織斑の説明を聞いた後、各自オウガを起動しろ」

 

切り替え切り替え。

さーて、頑張りますか。

 




原作との主な変更点

1.IS打鉄(うちがね)基本装備(プリセット)を原作を参考にオリジナル要素を加えて文章化
2.ISラファールの基本装備(プリセット)を原作を参考にオリジナル要素を加えて文章化
3.個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)の定義を独自設定で文章化
4.一夏は個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)を筆頭とする、様々な特S級IS技術を会得しており、発動成功と制御率は99.8%を誇る
5.一夏が格ゲーの足技・蹴り技キャラ化している

主人公を改変してスーパー化させると、名前がローマ字化するという古の風習がありまして。
本作の一夏もスーパー化済みなので、タグに『Ichika』があります。

本作のヒュームはマジこい仕様の『ジェノサイドチェーンソー』ではなく、KOF仕様の『ジェノサイドカッター』を放ちます。
なんならカイザーウェイブや烈風拳、ダークバリアやゴッドプレスなども容易く放ちます。
マジでルガールです。

続きはまたいずれ
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