IS~Ichika Strange~ あるいはこんな織斑一夏 作:Exnyas
15時ジャストから始まった、オルコットとのお茶会。
互いに用意した飲み物を飲み、オルコットが自ら焼いたというマフィンを食べながら、あれやこれやと話をした。
……オルコットがメシマズ?
どこ情報だ?
マフィンは美味かったぞ?
改めて自己紹介をしたり、趣味や特技。
将来の夢やISについての考え方。
得意な教科や苦手な教科。
他にも幼少の思い出など、いろいろな話をして、お互いの理解を深めた。
好きな異性のタイプを話した時には、オルコットが食い気味の反応を示した。
曰く『わたくしの好きなタイプの異性は、織斑さんですわ!』との事。
オルコットフィルターを通した俺とは、勇猛果敢で力強く、普段から女性に対して無双の振る舞いで、それはきっとベッドの上でも変わないはずの男だと言う。
キラキラと瞳を輝かせながら『わたくしを抱いてくださいませんか?』と言われたときは、正直、正気を疑った。
虐げられるように荒々しく、ろくに前戯も施されず、襲われるように、奪われるようにして、俺に処女を捧げたいのだとか。
……あの膝蹴りで、腹部ではなく脳が逝ったのでは……と感じた俺はドン引きしたし、束姉は爆笑していた。
その後、束姉により、オルコットのバストサイズ測定が行われた。
具体的には束姉がオルコットの双球を直に揉んで調べた。
結果、俺に抱かれるためには、モモセンパイや辰姉と同じく、バストサイズが足りないと言われたオルコット。
『なるほど……わたくし、それなりのサイズだと自負しておりましたが、まだ足りませんのね? どれほど足りませんの?』という質問をして『目指すは束さんぐらい』と返されたオルコットは『壁は高いですわね。ですが必ずや貴方好みのサイズに致しますわ。お待ちになっててくださいまし』と答えた。
……まあ、そんな感じのお茶会で仲良くなった(?)俺たちは、別れ際、俺と束姉がオルコットをセシリア呼び、セシリアが俺を一夏呼び、束姉を
「では一夏さん、また明日。束さん、またいずれ」
「ああ、また明日な」
「ばいばーい」
何故か小走りで立ち去るセシリアの背中を見送りながら、セシリアは双球で勝負するのではなく、尻……いわば双臀で勝負するべきだろうと呟くと、束姉が吹き出した。
「ぷくくくく……確かに、安産型の立派なヒップだったもんね」
「あれ、確実に
あれじゃ『セシリア』じゃなくて『セ尻ア』だよ。
そんな話をしていると、再度ガントレットのディスプレイが開き、クッキーが、千冬姉からの着信を告げた。
俺はガントレットのディスプレイを外し、スマホのように耳に当てる。
「はい、もしもし」
《……もしもし? 織斑か?》
……呼称が織斑。
つまり千冬姉はいま、教師モードって事だよな?
「はい、織斑です」
《クラス代表選出戦直後の、休んでいる時間に申し訳ないが、制服に着替えて教室に来てくれ》
「制服に着替えて教室に、ですね? 分かりました」
何かあったかな?
クラス代表選出戦が終わったら、あとは休みだと聞いていたが。
《あと、連れて来れるならでいいから、束も連れて来い》
「束さんも?」
「ん? 私に用事?」
俺は耳に当てていた、取り外したディスプレイを、スピーカーモードに変える。
「ちーちゃん?」
《ああ、束。織斑と一緒にいたのか》
「うん。戦後のいっくんを労ってたから」
《ならちょうどいい。身なりを整えて、お前も織斑と一緒に来てくれ》
織斑先生によると、俺が束姉を貪っている間に、俺のクラス代表就任パーティーの開催が提案され、織斑先生と山田先生はそれを承認した。
喜んだクラスメイトはサッと話し合い、会場設営チームと飲食物買い出しチームに分かれ、設営チームは教室の飾り付けを……買い出しチームは購買に向かい、さまざまなお菓子や飲み物を買い漁り、今しがた準備が終わり、後は主賓……俺を待つだけになった。
「……ちーちゃん。話を聞いた限りだと、束さん別に要らなくない?」
《それなんだがな》
会場設営が終わる少し前、俺たちとの茶会が終わったセ尻ア……もとい、セシリアが合流し、クラス中が慌ただしい事を知り、その理由を訊ねた。
クラスメイトから説明を受け、理由を把握したセシリアは、なら束姉も招待してはどうかと提案。
IS開発者と直接話すチャンスがあれば、開発者からしか聞き得ない話で、ナニカを掴めるかもしれないから、と。
これにクラス中から賛同の意が集まり、満場一致で束姉も招く事になった、と織斑先生は語る。
「なるほどね」
《織斑のクラス代表就任祝いの場だ。どうせなら世間話程度に、小娘共にISの事などを語ればどうだ。現場の意見を拾う良い機会になるんじゃないか?》
「言われてみれば、確かにそうかも」
昔、揚羽さんが言ってたっけ。
『現場の事を知らん元請けは愚か者だ。そんな元請けだから、どこにも需要のない、無駄な商品を作るんだ』って。
「分かった。参加するよ。作業着に白衣で良いかな?」
《ああ、構わん。では、待っているぞ》
「すぐ行くよ」
俺たちは通話を切ると、2人で身支度を整え、教室へ向かった。
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「……という訳で、1年2組のクラス代表は、織斑くんに決まりました。はい、拍手」
教室にて。
山田先生にそう紹介され、教壇に立ってペコリと頭を下げると、クラス中から盛大な拍手が上がった。
「そして、織斑くんのクラス代表就任を祝して、織斑くんが所属する九鬼財閥極東本部宇宙開発部から、部長の篠ノ之博士が、織斑くんのお祝いに来てくださいました」
……という口実になっている。
もちろん、織斑先生や山田先生、箒は当然として……一応の関係者という事で、セシリアにも話を通してある。
「おめでとう、いっくん。宇宙開発部の部長として鼻が高いよ」
「ありがとう、束姉」
「……ねえねえ、おりむー」
俺と束姉の気安い呼び方に何かを察したのか、クラスメイトで唯一の萌え袖制服の美少女……
「ん? どうしたんだ? のほほんさん」
ちなみにのほほんさんが俺を『おりむー』と呼ぶのは、何も今に始まった事じゃない。
何なら授業初日のその日からおりむーと呼ばれてるし、俺もその日から、彼女の事をのほほんさんと呼んでいる。
「おりむーは、篠ノ之博士のどこが好きなの?」
「あー……」
「その、ねえ?」
のほほんさんの質問に、俺と束姉は揃って苦笑した。
「んっと……のほほんちゃん、でいいのかな?」
「はーい」
「いっくんと束さんの場合……いっくんが束さんに惚れた訳じゃなくて、束さんがいっくんに惚れたの」
束姉のそんな発言を聞き、教室中から黄色い悲鳴が上がる。
教室の隅では織斑先生が『誰が恋バナで盛り上がれと言った』と愚痴をこぼし、それを山田先生が『まあまあ』となだめている。
「……とりあえず織斑」
「はい」
「クラス代表就任、おめでとう。頑張ってクラスを盛り立ててくれ」
「はい!」
「良い返事だ。さて、堅苦しいのはここまでにしよう。せっかくパーティーの開催を承諾したんだからな。束と恋バナで盛り上がるのは、パーティー中だけにしろ?」
言って織斑先生が手をパンパンと二度鳴らすと、俺以外のクラスメイトの半分が椅子から立ち上がり、手にしていたビニール袋の中身を、テーブルの上にサササッと並べる。
ビニール袋の中身は、3割が紙皿や紙コップなどの食器類で、残り7割がお菓子やお惣菜、弁当類、酒の肴として親しまれている系の食べ物と、各種飲み物だった。
誰だ、ツマミを買い込んだのは。
「時間は……そうだな。18時までとしようか。ちなみにパーティーの終了時刻は、食堂の業務終了時刻と同じだ。明日の朝まで食堂は利用出来なくなるから、しっかり飲み食いしておけよ?」
織斑先生のその言葉で、1年2組は小さな宴会場と化した。
それから少しして、持ち寄られた飲食物の約半分が消費された頃、1年2組の教室に、お客さんがやってきた。
IS学園の2年生で【
クラス代表就任おめでとうパーティー中なので、手早くお願いしますねと伝えると、黛先輩はそれを承諾し、ICレコーダーを片手に、あれこれ質問をしてきた。
『織斑くんの本当の気持ちが知りたい』と言うので、ストライクゾーンど真ん中火の玉豪速球をブン投げてやったのだが、黛先輩は愕然とする事を繰り返していた。
本当の気持ちが知りたいって言うから、本当の気持ちを言っただけなのに。
そうして10~12ほどの質問に答えた頃。
黛先輩が『もっと知りたいけど、これ以上聞いたら、枠内に収まらない。号外を刷る必要が出てくるわ』と言いだした。
どうするんですか、と聞いたら『惜しいけど、写真を撮って終わりにする』との事。
最初こそ俺がソロで撮影されたが、束姉が俺に抱きついた瞬間にシャッターが切られたのを皮切りに、あれよあれよとクラスメイトとツーショット写真が撮られ、ついには織斑先生や山田先生も巻き込み、クラス全員で写真に撮られる事になった。
ちなみに写真はあとでくれるらしい。
そんなこんなで時刻は18時を少し回った頃。
クラス代表就任おめでとうパーティーが終わり、クラスの片付けが済んだ後、俺は居住区に戻るため廊下を歩いていたのだが……
「もう! 事務所ってどこなのよ!」
……廊下の端でそう喚き散らす、1人の少女を発見した。
小柄な体格で焦げ茶色の髪をツインテールにした、見知らぬ少女。
「おーい」
俺は少女に声をかけた。
「え? だ、誰?」
俺の言葉に、驚いた表情を浮かべる少女。
「俺は織斑一夏。このIS学園の1組2組に所属している」
「織斑一夏……あ、セカンドマンね? アタシ、
ファン・リンイン……中国の代表候補生か……にしては日本語上手いな。
「よろしく……で? その中国代表候補生が、こんな時間にこんな場所で何をやってんだ?」
俺がそう訊ねると、ファンはボストンバッグを廊下に降ろし、ガックリと項垂れた。
「アタシね? 本来なら入学式にもちゃんと出て、正式にIS学園に在籍するはずだったの。でも本国の頭の固い連中が、書類手続きでヘマをやらかして、手続きが遅れちゃってね……急遽、身1つで編入って形になったの」
「……それで?」
「日本に来たまでは良かったんだけど、IS学園に来るためのモノレールが故障しててさ。やっと復旧したのがさっきなのよ」
IS学園は陸路だと、学園が建つ人工島と本土を繋ぐモノレールが唯一の道。
そのモノレールが故障したとあっては、大幅なタイムロスも仕方ないだろう。
一応、モノレールの線路の下には道路も通ってはいるが、基本的に歩行者は通行禁止だし、車両も本土側のゲートで止められ、ゲートで許可証を提示し、IS学園から確認が取れない限りは入れない仕組みだ。
「なるほど」
「で、IS学園に着いたら着いたで、編入手続きをしてもらうために事務所を探してたんだけど、IS学園ってメチャクチャ広いし、建物はどこも内装が似通ってるじゃん? 迷っちゃってさ」
言ってファンは頭をガシガシと掻き、深い溜め息を吐いた。
「……話は分かった。ちょっと待ってろ、何とかしてやれるかもしれん」
言って俺はファンに背中を向けながら、ガントレットからディスプレイを取り外し、千冬姉のスマホに電話をかける。
千冬姉は数コールで電話に出た。
「もしもし? 織斑先生ですか?」
《……ああ、私だ。どうした? こんな時間に》
「実はですね、教室棟の端で迷子を保護しまして」
《迷子だと? 名前とか分かるか?》
「ええと、名前はファン・リンイン。中国の代表候補生で、本来なら入学式に出席するはずだったんですが、書類手続きで問題が生じ、急遽編入という形になった、と聞いています」
《ファン・リンイン……ああ、報告書にあったな。分かった。織斑、ソイツを寮監室まで連れてきてくれ。後は私が引き受ける》
「分かりました」
プツンと通話が切れたのを確認し、俺はディスプレイをガントレットに戻しながら、ファンに向き直る。
「ファン」
「あー、ごめん。お願いだから鈴音、もしくは
何か事情があるのだろう。
まあ初対面だし、深くは聞くまい。
「分かった。ならリンと呼ばせてもらう」
「ありがと。アンタの事はなんて呼べばいい?」
「そうだな……このIS学園には織斑が2人いるから、もう片方と区別するためにも、一夏って呼んでくれ」
「イチカね? 分かったわ」
「それでリン。リンをこれからこのIS学園の学生寮寮監室に連れていく。寮監が何とかしてくれるそうだ」
「寮監室ね?」
「ああ。少し歩くけど、着いてきてくれ。ちなみに寮監がもう1人の織斑で、俺の義理の姉で、名前は千冬。1年2組の担任だ」
俺はリンを伴って、寮監室に向かって歩き始めた。
本作のセシリアは、初期状態だとセ尻アです。
ヒップは104程度を想定。
……オルコッ党の皆さんごめんなさい。
原作との主な変更点
1.薫子は割と真面目
2.薫子が写真撮影の際に数式を出題しない
3.鈴が一夏と遭遇する
4.鈴は一夏のセカンド幼馴染みではない
……りんちゃうなう。
第17話以降、四季姉弟はどうしよう?
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必要、一夏に絆されろ
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必要、一夏のかませ犬
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不要、フェードアウト
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四季姉弟よりマジ恋メンバー出そうぜ