IS~Ichika Strange~ あるいはこんな織斑一夏 作:Exnyas
オリジナル設定爆発ですよぉ。
「さて、初日の授業も残すところ2時限となったわけだが……昼食は取ったか?」
昼休みが明けて5時限目。
教壇に立つ織斑先生は、居並ぶ俺たちを見渡しながらそう言った。
「IS学園はその国際色の豊かさから、購買も食堂も、様々な国の文化や風習に基づいた、様々な商品を取り扱っている」
「出身国由来の商品が無い場合でも、注文すれば取り寄せが利く事も多いですからね。積極的に利用して下さい」
「……さて、5限の授業に入る……のだが、その前に1つ、クラス代表を決めたい」
「織斑先生、クラス代表って何ですか?」
「文字通りクラスの代表で、他クラスとの交流会や委員会に出席する役割を負う。クラス代表交流戦出場なんて役もある。いわばそのクラスの顔役だ」
早い話がクラス委員長のようなモノか。
なら……
「織斑先生」
「どうした、織斑」
「俺、辞退します」
俺がそう言うと、クラス中から悲鳴が上がった。
『織斑くんを推薦しようと思ってたのにー』とか『せっかくの男性IS適合者なのにー』とか。
……悪いが見世物パンダになる気は無い。
「辞退は構わんが、理由を言え」
「はい」
俺は男性IS適合者として
それはつまりISについて学ぶため、と言い換えられる。
そんな立場の俺にとって、まずするべき事は、より多くISの知識を得る事。
授業の1コマでさえ惜しい。
だから委員会に出席している暇なんか無いし、他クラスとの交流に役なんぞ不要。
他クラスと交流したいなら、部活に入ればいいしな。
それとクラス代表交流戦だが、IS学園でやる以上、ISを纏っての戦いになるんだろうが……生憎、俺の本分は生身での戦いだ。
ISなんぞ纏っていては、勝てる戦いも勝てなくなる。
迂闊に使えないし、所有している事を、関係者以外に言えるはずもない。
そうして専用機が使えないばかりに黒星を積み重ねれば成績に響き、対外的な印象が悪化する。
IS学園内で肩身が狭くなり、やがては保護者……オヤジやオフクロの名前に泥を塗る事にもなりかねない。
「……以上の理由で辞退します」
「織斑くんのご両親って……?」
「
「九鬼財閥の中枢トップがご両親……!?」
「あれ? でも織斑先生も織斑くんも、名字が違うよね?」
「それについては私が話そう。私と織斑はいわゆる孤児でな。私もあまり覚えてはいないが、ある冬の寒い日に、九鬼財閥極東本部社屋前で、幼かった織斑を抱きかかえて倒れていたのを、義父と義母に拾われたそうだ」
これは後日、オヤジとオフクロから聞いた話だが、護衛をしていた師匠……ヒュームさんやクラウディオさんたちが、あと10分遅れて発見していたら、俺も織斑先生も凍死していたらしい。
「私と織斑の名前に関してだが、拾われた当時着ていた服に付いていた名札から取ったらしい」
「ところどころ擦り切れて読めなかった名札を、どうにかこうにか復元したら、こんな名前になったらしいぜ」
真実はちょっと違うが、また語る機会も来るだろうさ。
「なるほどね」
「……と言う訳で、俺はクラス代表を辞退します」
「良かろう。だが織斑、降りると言うなら、誰か代わりの者を推薦しろ」
「でしたら……ミス・オルコットを」
「まあ、わたくしですの?」
「ミス・オルコットは、若くしてイギリスの代表候補を務める実力者。将来の目標は立派だし、クラス代表交流戦で白星を稼げば、その目標達成率もグッと高くなる。美人なのも顔を売ると言う点では得だろう」
ちなみにオルコットはなかなか立派なサイズの双球を持つ、金髪の美少女だ。
「そこまで考えて下さっていたなんて。このセシリア、感激致しましたわ」
「オルコット、受けるか?」
「はい、織斑先生。是非に」
「他に推薦は? 自薦でも他薦でも構わんぞ」
専用機持ちイギリス代表候補。
そのネームバリューに挑もうとするやつはいなかったらしい。
ならこれでオルコットが代表に……と思ったのだが、待ったがかかった。
それも明後日の方向から。
「……ん? クラス代表の件だが、少し待て。A組のミューゼル先生から連絡があった……織斑」
「はい?」
「悪いがお前の辞退は認められなくなった」
「……は?」
織斑先生曰く、A組でも同じタイミングでクラス代表の話がされた。
そして俺のケースと似た流れが生じ、A組在籍の四季
いきり立った四季某が『ならこの場で分からせてやる、俺は空手の有段者だ!』とモモセンパイに殴りかかるも、強烈なカウンタージャブを受け、アッサリ倒された。
モモセンパイは倒れた四季某を冷ややかな視線で見下した後、面白い事を考えたと言って、ミューゼル先生を通じて織斑先生に掛け合った。
私はクラス代表になる。
だから俺もクラス代表になれ。
そしてクラス代表交流戦で私と戦え、と。
「どう言う事ですの?」
「つまりだな、ミス・オルコット。俺は隣のクラスの暫定代表にケンカを売られたんだ」
あの
「……どうするんだ?」
「……やります」
「受けるんだな?」
「ええ、織斑先生。ミューゼル先生を通じてあの
「伝言か? いいぞ」
「テメーの記念すべき20個目の黒星は、IS学園公式戦での敗退だ。衆目の前で無様をさらさせてやる」
「わかった……織斑。返答だ」
「何と?」
「それでこそ私の伴侶に相応しい、との事だ」
あの女郎め、徹底的に蹴り飛ばしてやる!
「……さて、そうなると、オルコットと織斑で一騎打ちとなるわけだが……戦力差が大きい」
「……わたくしが専用機を持っているから、ですわね?」
「そうだ。いくら生身の身体能力が高いとは言え、ISを着用してもなお、その身体能力がいかんなく発揮出来るとは限らん」
「そこで織斑くんに朗報です。織斑くんに、専用機融通の話が来ています」
俺に専用機を与える。
その言葉にクラス中が湧いた。
「すごーい!」
「入学初日から専用機ー!?」
「私も欲しい!」
専用機持ちともなると、色々としがらみも増えるんだが、言っても仕方ない。
これから学ぶだろうし。
「どんな専用機ですか?」
「それがですね。織斑くんに専用機を融通したい企業が数社ありまして。いま、各社の担当者と話し合いをしている途中なんですよ」
「ちなみにどんな企業が?」
「まず
……箒と合いそうな企業だな。
斬った斬られたは領分じゃないから却下。
「続きましてデュノア社。こちらも学園配備量産機ラファールの開発元で、実績は確かです。フランスの企業で、機動性と拡張性をウリにしています。豊富な実弾銃武装が特徴的で、後継機のラファール・リヴァイヴは『飛翔する武器庫』などと呼ばれます」
実弾銃は、山田先生ぐらいの射撃の腕がある事が前提で、
レーザーライフルがあれば、まだ考えたんだが……故に却下。
「そして……世界に名だたる九鬼財閥極東本部の宇宙開発部。学園配備量産機オウガの開発元で、IS開発者……あの篠ノ之束がトップを務める部門だな。実績は倉持やデュノアに負けず劣らずだし、束のネームバリューも強い。織斑に専用機を融通したい旨の声がきわめて高いな」
「オウガは近年の量産機では珍しく、近接格闘武装を積んでいるのが特徴的ですね。機動性も火力もラファールに次ぐほど高く、防御性能は打鉄に負けず劣らずです。」
「最近は気功術者向けの機体開発に精を出しており、私や織斑、隣のクラスの……さっき織斑にケンカを売った川神や、その友達だと聞く板垣のような気功術者にはうってつけと言えよう」
……まあ、トップの束姉も気功術者だし。
それにもともと、専用機の話は、九鬼財閥極東本部宇宙開発部に任せるってシナリオだからな。
ここへ来て今さら、倉持技研やデュノア社を選ぶ理由は無い。
「他は……言ってしまえば二流三流の弱小企業ばかりだ」
「織斑くんはどうします?」
「九鬼財閥極東本部宇宙開発部で」
「即答か、分かった。先方に伝えておこう……っと、どうやら話を聞いていたらしい。トップ本人が来た」
そこで開く教室の前ドア。
入ってきたのはもちろん束姉。
上半身は作業着のジャンパーを羽織っただけの、超大な双球の谷間が剥き出しのタンクトップ、下半身は作業着のズボンという姿で、巨大なレンチを肩に担いでいる。
「失礼するよ」
束姉はそう言って織斑先生の隣に立つと、自らの超大な双球の谷間から、小さなカードを取り出して、それを手裏剣のように、俺たちに投げつけてきた。
飛んできたのは名刺だった。
「初めまして。九鬼財閥極東本部宇宙開発部部長の篠ノ之束だよ」
束姉の自己紹介に、クラス中が騒然となる。
まあ、無理もない。
あの天才と名高いIS開発者本人が、九鬼財閥の肩書きを引っ提げて、自分たちの目の前に現れたのだから。
「あれが篠ノ之博士!?」
「スタイルヤバくない!?」
「顔ちっさ、うわ胸でっか、腰ほっそ」
「おっ◯いの谷間から名刺とか」
「あのスタイルでIS開発者は無理があるでしょ」
「ちなみに言っておいてやる。この束は私が小さい頃……私が九鬼財閥に保護された頃からの親友で、織斑の婚約者だ。生徒の方の篠ノ之の姉でもある」
織斑先生の発言でクラス中に悲鳴が響く。
「織斑くんの婚約者!?」
「2人は付き合ってるって事!?」
「つまり織斑くんはあの超ワガママボディーを好き放題してるって事!?」
……してるなぁ。
「篠ノ之さん、織斑先生が言ってる事って……」
「ああ、事実だ。そして私は、姉さんと一夏にくっついてほしい」
「妹さん公認のカップル!?」
「ぐへへへへ、捗る。妄想が捗る!」
……おい、クラスの中にオッサン混じってないか?
「しかもこんなナリだが日本九鬼が1人、拳打鬼だ。滅茶苦茶強いぞ」
「えへへ……ちーちゃんから強いって言われると照れるね」
「……もう猫が脱げたのか?」
「照れたら脱げちゃった。それに、いっくんの前で取り繕いたくないからね」
「ミスタ・織斑をいっくん呼びですの!?」
オルコットが驚愕の表情を浮かべている。
「さて、いっくん」
「ああ、束姉」
「いっくんの専用機は、
「ファイナルアンサー」
俺がそう答えると、束姉は俺の席まで歩み寄って来て、俺に右手を差し出した。
俺が椅子から立ってその手を右手で握り返し、握手を成立させる。
するとクラス中から拍手がされた。
「じゃあこの握手をもって正式に、いっくんの後ろ楯は
「篠ノ之博士!」
そう言って教室を去ろうとする束姉に、オルコットが椅子から立ち、束姉に声をかける。
「キミは……イギリス代表候補のセシリア・オルコットちゃんだね?」
「わたくしの事をご存知ですの?」
「もちろん。束さんはIS開発者だよ? 専用機化されたISと、その操縦者のデータは、ひととおりココに入ってる」
言って左手の人差し指で、自分の頭をコツコツつつく束姉。
「でしたら篠ノ之博士にお願いが」
「何かな?」
「ミスタ・織斑の機体は、十全に仕上げてくださいまし。このわたくしが全力を出しても大丈夫なように」
言われた束姉は高らかに笑う。
「もちろんだとも。IS開発者として全力を尽くす。キミが仮に
「期待しておりますわ」
言われて束姉は『忘れてた、エネルギーを補給しなきゃ』と呟き、俺に5分にも渡る長い長いディープキスをし、その間自分の双球を揉ませ、それから満足気な表情で去っていった。
「……見せつけてくださいますわね」
「悪いな。だがこれで闘志が漲った」
まあ実際、既に手元にある
それに、もっとエグいレーザーライフルの射手の話を聞いてるからな。
と言うのも、これは岳人から聞いた話なんだが、川神市某所にある小さな町工場で、親父さんと協力して『それもうほぼISじゃね!?』という装着展開型ロボット【
その人は【
全弾
年下の男に『年上のお姉さんに飼われてみない?』などと訊ねるヤバい女の人らしく、実際に言われた【
岳人は岳人で『じゃあ俺様なんかどうよ』と言って筋肉アプローチをしたが『私、小柄で線の細い子が好みなんだ』と言われて玉砕したそうだ。
まあ、岳人は全身筋肉の大男だからな。
岳人……お前の将来に幸多からん事を。
「織斑、束からの連絡だ。専用機は3日以内に完成させる。その後、1週間ほどの習熟期間を経てからオルコットと戦え、だそうだ」
「分かりました」
こうして俺は名実共に専用機持ちとなり、やがて訪れるモモセンパイとの戦いに思いを馳せるのだった。
原作との主な変更点
1.束がIS学園生の前に現れるのが凄まじく前倒しされている(原作は3巻の【
2.クラス代表選出時に一夏が先んじて辞退する
3.セシリアが一夏に推薦される
4.一夏とセシリアが揉めない
5.
束が出てきたのには、一夏のクラスメイトを『いっくんに近付けるのは束さんぐらいに育ってる女だけ! 無資格者はお呼びじゃない!』と牽制する目的もあります。
資格とは何か?
もちろん双球のサイズです。
続きはまたいずれ