ピピピと音を奏でるのは鳥の声
木漏れ日から差し込む光を浴びる鳥は木々の枝で身体を休めている
静かな森は動物たちが身を休める丁度良い空間となっている
いいや、よくよく聞けばこの空間は静かではない
鉄と鉄が打ち合う音が響き渡り、されどその音を聞いて動物たちが逃げる様子はない
なぜなら動物たちは理解している。その音が自分たちを傷つけるものではないものだと
鳥の目の先にあるのは美しいまでの流れが生じている
流れが重なれば打ち合う音が奏でられ、音は草木を振動させる
流れを描くひとつは少年であった
日の光を浴びてきらめく金の髪を揺らし、まだ幼さが残る顔はあれど手に握る剣の流れに迷いは無し
もうひとつの流れは球体のような生きものだった
少年が光とするなら球体は影。漆黒の翼で飛び、表情が伺えない仮面を付けた球体だが、同じく手に握る剣の流れは鋭く重い
一合、二合を打ち合う
十合、二十合と打ち合えば少年が圧されていく
百を超える打ち合いに少年の流れよりも早く、球体の流れは少年の首を捉えた
「……参りました。今日も僕の負けです、メタナイト先生」
"ああ。だが昨日の指摘した癖は直せていた。彦卿殿の成長は早いな"
仙舟「羅浮」
星神の一柱「嵐」を信仰し、敵対する「豊穣の民」を殲滅するために広大な宇宙を旅する超弩級方舟型コロニーの一隻であり、その大きさは惑星に匹敵する規模がある
無論、そこに住む人々も相応の人民に加えて多種多様な種族も暮らしている
100年ほどの寿命の「短命種」、狐の耳と尻尾を持つ「狐族」、そして仙舟人民の多数を占める500年を超える寿命を持つ「長命種」
少年剣士である彦卿は長命種であるのだが、実年齢自体は見た目とさほど変わらない
しかしその卓越した剣技の才覚は仙舟「羅浮」を統治する将軍にして「一度剣を握れば、誰も彼に敵わない」と評されるものであった
若くして最強の剣士に相応しき才覚があるにも関わらず、少年は目の前の球体にまだ一本すら取れない日が続いていた
「…悔しいですね。将軍から紹介された時は何の冗談かと思いましたが指導でここまで打ちのめされると自信を失いますよ。これで食客の身なのも僕としては惜しむばかりです」
"ふっ…こちらとしても多大な恩を将軍に頂いてる身だからな。むしろ有望な剣士と打ち合えるのも我が身としてもありがたい話だ"
仙舟「羅浮」で起きた「豊穣の民」の襲来
同時期にメタナイトが乗る宇宙を駆る戦艦ハルバード号が事情によって羅浮に寄った際に問題解決のためにメタナイトも剣を振るった
本人からすれば羅浮に寄ったのもハルバード号には重度の怪我人がおり、早々と問題を解決して医者に診てほしかったためだ
惑星都市国家と言える規模の仙舟は戦争と身近でもある国であり、相応に戦うための技術はもちろん兵士を生かすための医療も発展している
部外者ながらも無辜なる民をも傷つけようとする「豊穣の民」を羅浮の兵士と共に剣一つで追い返し、義を魅せるメタナイトの姿に賞賛しない者はいなかった
見た目こそは可愛らしい球体ながらも広い宇宙ではそのような種族も珍しいわけでもない
むしろ義侠で持って正義を成し、人命を守らんとする戦士の誉れは羅浮に置いても尊敬すべき精神があった
そのような経緯もあってか羅浮の将軍直々から羅浮の食客となり、卓越した剣技を持つメタナイトはしばらく羅浮の兵士を指導する立場となった
メタナイトとしても自分が生きている年数の百倍どころではない戦いを続けている国の武術とそれを担う戦士たちと戦い合えるのも願ったりかなったりである
孤高の騎士と評される彼に、己の身を高める修行を休む日はないのだ
「おや…どうやら二人の打ち合いを見る前に終わっていたようだね」
「将軍!いらしたのですか!」
「少し暇を作ってね。羅浮が誇る天才剣士と私が招いた食客の打ち合いを見れるなら、それは日々の雑務に勝る価値があると思っているよ」
「あの、将軍…その評価は嬉しいですけど天舶司の場で言わないでくださいね…」
「ふふ…さすがに私の趣向で彼女らに呆れた目で見られたくないから弁えているさ」
やや気怠そうな顔をしながら近づくは帝弓七天将に名を連ねる「神策将軍」
羅浮の軍備を司る雲騎軍を率いる仙舟同盟の六将軍の一人である景元将軍であった
見た目こそ温和な好青年と言えども、そこは長命種が住まう国の一つのトップに座する者だけあってかその年齢は1000歳を超える
彦卿少年の100倍近い年数を生きるその身はただの歩きですら淀みが無く、隙も無かった。迂闊に攻撃をしようもならすぐさまに反撃と鎮圧を同時に行われてしまうだろう
「宝剣ギャラクシア…まだ抜かせてもらえなかったようだね」
「己の身が未熟であると突き付けられる事は受け入れています。尚のこと、先生が去る前に抜かせてみせますよ」
メタナイトの使う剣は羅浮でも使われる一般的な剣であった
もちろんサイズは兵士用ではなく、メタナイトに合わせた特注品でもあるが彼には本来の剣が存在する
宝剣ギャラクシア
光の種族フォトロンが鍛造したとされる伝説の剣であり、宇宙広しと言えどもこれ以上の名剣は存在しないとされるほどの秘宝である
仙舟には使い手に力と破滅をもたらす自我が宿る魔剣と呼ばれるものがあり、ギャラクシアにも使い手を選定する自我が存在する
未熟な者が持てば命を落とす厳しい選定の上にギャラクシアを握る資格がある剣士とは、それだけに宇宙でもトップクラスの剣士を名乗れる力量があるということだ
メタナイトは食客になってから兵士を指導をする上でギャラクシアを使うことはない
武器の強さが戦士の強さではないことを証明するのが大事であること
何よりもギャラクシアを使う時のメタナイトは加減がない本気であることであり、そうなれば指導どころではない
しかしながら彦卿も指導を受ける身とはいえ、食客の本気を出させずに何が羅浮の天才剣士かとひとつひとつの指導を確実に己の力量にする
まだ先が楽しみだと思っていた少年が精神的にも急成長をする様に景元もまた目を細めて喜ばしく感じていた
「それは楽しみね。私ももう少ししたら改めて剣を学び直そうかしら」
「姫子さん?出歩いてて大丈夫なんですか?」
「私が連れてきたんだ。大丈夫、龍女殿のお墨付きさ」
景元の後ろが現れた赤髪の女性
全身に包帯を巻きながらも足取りそのものは怪我人とは思えない軽快さ
本来であれば痛々しいと評される見た目ながらも顔色はキチンと血色があって健康的に思わされる
彼女こそがメタナイトが羅浮に寄る切っ掛けを作った姫子であった
宇宙を航海中のハルバード号船内に突如としてワープして来訪した彼女は驚くべきほどの怪我を帯びており、瀕死に等しい状態だった
手に持つワープスターの欠片、そしてメタナイトを見た時に呟いたカービィという一言
これが無ければ治療は迅速に行われず、九死に一生を得ることすらできなかっただろう
姫子は仙舟で言うところの短命種に属する人であるが、遠い遠い地球と呼ばれる星からの来訪者であった
まだ宇宙へと旅立つのもままならない文明ながらも彼女の住んでいた星はある災厄によって滅びを迎えようとしていた
崩壊現象と呼ばれる文明に終焉をもたらす大災害
災厄の代弁者たる律者の覚醒
そして、教師であった姫子の教え子がその律者となり、姫子は災厄と化した教え子を止めるために戦った
サボり癖があって勉強嫌い、その癖自分こそが戦士の頂点を担うんだと誓う白髪の少女
真面目だが精細で、過去を悔やみながらも心を救ってくれた白髪の友に恥じないように生きようとした黒髪の少女
その二人が律者となり、一つの怪物となるのは如何なる悪夢も霞んでしまう光景だった
崩壊現象という災厄には崩壊耐性が必要であり、姫子は災厄と戦える戦士でこそあったが戦うための代償を支払わなければならない才しかなかった
命を削り、血反吐に塗れ、常に痛み続ける肉体を誤魔化してまで後に続く戦士と世界のために戦うのはなぜか
きっとそれは、理不尽に負けてないでほしいという祈りと願いだったのだ
世界は自分が思うよりも、美しくない
叶えたい夢があってもやることすら叶わず、大好きだった人は意味もなく死んで、今もこうして教え子たちが災厄となって暴れようとしている
そんな不完全極まりない物語に、絶望に屈せずに、アンタが望むような美しい世界に変えてほしいと
今でも姫子の脳裏に深く刻まれる激戦という言葉すら生温い戦いは一つの基地を全壊にし、異星より来訪したピンク色の球体の力を借りてどうにか災厄は抑え込めた
そこから意識を失い、気づけば宇宙を駆ける見知らぬ戦艦にいるのだから人生どうなるかわからないものである
果たして教え子たちは、そして地球はどうなっているのか今の姫子には分からない
心配は尽きず、死にかけていた肉体が高度文明医療によって治りつつあるとはいえ早く戻りたいという考えもある
だが、不思議とどうにかなるのではという気持ちはあった
自分の命を救い上げ、今は若い少年剣士の指導を行う黒色の球体とよく似たピンクの球体
ほんのわずかの共闘であったが、あの子がいればきっと教え子たちは道に迷うことはあっても間違えずに進めるのではないか
不思議とそう思える何かがあると、姫子は感じた
"剣か…姫子が来た時の怪我を考えれば故郷でも相当な戦いがあったのだろうな。だが星が違えば剣術は百通りに変わる。ついてこれるか?"
「あら?これでも教導を担う側だったのよ?むしろ異なる星から発展した剣術…興味深いわ」
意識も回復し、メタナイトは姫子の身に何が起きたのかを聞いている
まさかメタナイトの住む星であるポップスターから消えた友にしてライバル、カービィが姫子の故郷である遠い遠い星にいるとは思わなかったのだ
その遠さは宇宙開拓が行われる文明があるほどの中で地球という星の言葉に聞き覚えがないほどの見知らぬ場所にあるということだ
ハルバード号の船員も知らず、メタナイトが食客となってから羅浮に調査依頼をしても見つからぬ星とは何処にあるのか
姫子の証言に嘘偽りなどはなかった
彼女が断片的に語るピンクの球体の騒動にもはやカービィ以外にありえないとメタナイトは判断を下し、何よりも彼女が握っていたワープスターの欠片が確信めいたものを抱かせる
「之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり……これから先を考えると鍛え直すついでに聖痕に頼らない力も欲しいところでもあるわ」
「ふむ…?知らぬ事を知らないと素直に認める事こそが知る事とする、か…良い詩ではないか」
「あら?将軍も…詩を嗜んでいらして?」
「仙舟では基礎教養の一つと言える。姫子さんも興味があるなら後で羅浮の詩集を療養所に送ろう」
思わぬところで姫子の呟く詩に反応するのは1000年生きる老齢の将軍だ
姫子も故郷では調べものついでに詩に触れる機会も多く、いくつかの詩を脳裏に刻むほどであったが生憎と周囲で詩が分かる者も数人もいない状態であった
教師の姫子からすれば教え子たちはまだ十代の少女、それも隣国の文化であればそんなものかと諦め気味であったが、異なる星や文明であっても詩が産まれるという発見に心の高揚は隠せない
それはさておき今後も地球に向かう予定のあるメタナイトの旅路についていく気である姫子だが、今のままでは到底自身の力が足りない事も事実だ
故郷では人工聖痕と呼ばれる技術によって崩壊耐性を後天的に手に入れる事はできるが副作用として肉体への大きな負担となり、それが姫子の寿命を削っていた
羅浮の誇る医療技術の賜物か、酒で誤魔化すほどの肉体の痛みは無くなっており、改めて艦隊規模での惑星間移動が可能な超文明には慄くばかりである
残りの人生でどれほど生きられるか分からなくても現状では無理をする必要はない以上、無理をしなくても宇宙の旅路についていけるだけの力を求めるのも必然であった
襲撃者を追い返すために力を貸したとはいえ、見知らぬ異邦人を受け入れ、死にかけた同乗者を救ってくれた羅浮とそれを指示した将軍にメタナイトが恩を感じるのも当然と言えるだろう
しかし将軍当人からすればこれは打算としての行動であるのは悟られないようにしている
(地球…メタナイト…これも次の戦の備えと言えるか…)
神策将軍の異名は彼は軍備を司る将でありながらも策を用いて万事を尽くし、過度に戦わずとも勝利と平和を保つところにある
メタナイトを食客を招く切っ掛けとなった「豊穣の民」の襲来ですら未来予知を可能とする太卜司の長から予期されてる以上は策の一つに過ぎず、目論見通りにメタナイトは景元に恩義を感じ取る関係となった
無論、太卜司の長から念入りに黒の球体と関係を結べと言われていたが、それこそが今後の羅浮の未来を左右されると言われると無下にもできない話だろう
なぜ彼らと関係を結ぶことが今後の羅浮を左右するのかまでは将軍でさえもまだ見通しはできていない
しかし、メタナイトが住んでいたポップスターという星が一つの判断を下す材料となった
広大な宇宙を数千年以上航海し続ける仙州同盟に置いて、当然ながら惑星規模の災厄と遭遇することもある
「豊穣の民」だけではなく、宇宙の運命を司る神の眷属「使令」…それは星一つを砕く事さえ可能な怪物あり、そのような存在との戦いを繰り広げる事もあるのだ
長年の宇宙の旅路は危険に満ちた中でポップスターを調べることは容易いぐらいに、呆れかえるほど平和と評価されるぐらいに何の変哲もない星であった
文明規模で言えば日常生活に便利な道具があるかどうかであり、資源こそ豊富であるが珍しいものもない
星の生物も大半が穏やかな傾向でもしも老後のスローライフとやらを楽しむならこの星が良いだろうと思えるほどの何もない故の平和な星だった
だが、1000年の時を生き、戦いに身を費やす仙州同盟の一将軍である景元は知っている
この宇宙に置いて武力も無しに「呆れかえるほど平和」を成し遂げられる星など存在しないのだと
ハルトマンワークスカンパニー
かの宇宙規模に名を知られるスターピースカンパニーに軍事産業であれば二分するとされる科学企業の名だ
スターピースカンパニーも経済取引に応じなければその星の経済を破壊するという大概なことも行うが、ハルトマンワークスカンパニーは事実上の侵略行為と星の資源略奪行為を無遠慮に行う
羅浮の記録に残ってるだけでも数百数千の星では効かないほどに文字通り食い潰される有様はもはやイナゴと変わらない悪徳企業と言えるだろう
宇宙に名を轟かせる軍事産業の名は伊達ではない
ハルトマンワークスカンパニーが本気を出せばそれこそ星一つを一日足らずで機械化と企業の尖兵にしてしまうのは宇宙規模の脅威と言える
そのような企業がポップスターを狙っていたにも関わらず、返り討ちされて撤退していたという情報こそが判断の決め手の一つ
そしてもう一つの判断がメタナイト自身だ
彼の強さ、精神性は武人として信じるに値する異邦人であるが、彼の持つ宝剣と経歴こそが羅浮にとって大きかった
8000年という長い歴史を持つ仙州同盟が産まれる以前から存在する宝剣ギャラクシアの使い手はそれだけでも剣士として敬意を集められる存在だ
自身の弟子である彦卿は言うに及ばず、彼が指導する多くの兵士は最初は可愛らしい球体であることを侮る者はいても今は存在しない
戦士としての強さは元より、認められない使い手が命を落とすとされる宝剣に認められた者はそれだけ精神性も高潔であるからだ
(まさか彼を調べる上でギャラクティックナイトを目にするとは…懐かしい名を思い出すな)
メタナイトの経歴は剣士としての逸話は大半がポップスターにあり、目立ったものと言えるものはない
しかし特に目を引いたのがギャラクティックナイトと呼ばれる銀河最強の戦士の名だった
どうやら星の持つ力で呼び出されたどんな願いでも一つ叶える機械を用いて、彼は銀河最強の戦士と戦うことを望んでいたらしい
眉唾にも等しい話であるが、ギャラクシアの使い手であるならありえるのではないかという考えはある
というのも、ギャラクティックナイトという羅浮ですらはっきりした情報のない伝説の戦士を実情を知るのは景元の仙州同盟歴代最強の師匠だけだからだ
珍しく酒で酔っていた師匠が若き頃の景元に語っていた
まだ今ほどの実力が無かった頃であったが、勝ち目がないと思わされたのは生涯通して十字仮面の戦士だけであったと
負けはしなかったし引き分けまでには追い込めたがなと付け足すように言う師匠の言葉を思い出しながらも、銀河最強の戦士と戦い生き延びただけでもメタナイトの実力は仙州同盟最強の剣士に並ぶものがあると思っていいだろう
最後は姫子…正確に言えば地球という星の存在
ハルトマンワークスカンパニーが一つの星に敗北撤退したという情報すら握れる羅浮の情報網を駆使してもほんの少しの影すら見つからない
もはやそのような惑星は存在しているのか?と懐疑的にすらなるが、実のところ宇宙では存在はしているけど存在が確認できない概念など珍しいものでもない
何よりも未来を見通せる太卜司の長も地球探索には後押しをしているのだ
曰く、未来を見通せない不可視な軸だからこそ今後の宇宙の未来に関わる、と
随分とスケールの大きな話になってしまったと景元も内心苦笑してしまう
羅浮内の平和を維持するだけでも将軍の役職としてはいっぱいいっぱいだと言うのに、宇宙規模が揺れ動く何かが起きようとしていると言われたようなものなのだ
だが、景元としてもそれは間違いではないと感じる
今の宇宙は多くの場が蠢こうとしている
知る限りでは「壊滅」や「豊穣」と言った災厄の勢力はもちろんのこと、スターピースカンパニーや天才クラブの動きも何やら怪しいものだ
星核ハンターと呼ばれるテロリストが星々に跋扈し、羅浮でも20億信用ポイントと見たことのない賞金額でカフカと言う女性の指名手配犯の手配書が飾られてるのも記憶に新しい
噂では宇宙開拓の切っ掛けとなった「開拓」の列車が再発進ともあり、数年以内に宇宙は良くも悪くも今以上荒れるという確信染みたものがあった
そんな状況下で将軍に出来ることは何処まで行っても策を練って備えることだ
「豊穣の民」の殲滅こそが同盟の使命であっても、景元将軍としては羅浮を、民を守ることを最優先にしなければならない
果たしてメタナイトとの関係が今後どのように左右されるのか。決して悪いものにはならないだろう考えはあれども彼の心に油断と慢心は存在しなかった
"丁度昼時か…休憩も兼ねて食事を取りに行くか"
「それなら白露先生からせっかくだからメタナイトたちと食べるようにって渡されたお弁当があるわ。一緒に食べましょう。それと…こっちにも珈琲豆があるのね。道具も貸してもらったからせっかくだし淹れるわ」
「いいですね。僕もごちそうになります」
この時景元の脳裏に電流走る
1000年の時を生きる将軍の人生の歴史も伊達ではない
その中でも数十年近くはスパルタ通り越して拷問染みた修行をしてくる師匠の存在と長い戦いの中で生き延びた事で生じる危機察知が明確に働いた瞬間であった
「むっ…!すまないが私はこれから太卜司の符玄殿と今後の活動内容を決める会議があるんだ。先に失礼するが彦卿、姫子さんのことを頼んだよ」
「はぁ…分かりました…(太卜司に用事なんて予定にあったかな?)」
逃げるように、されど弟子には悟られない自然な動きで景元はその場から退避する
なぜだか分からないがこの場にいると何かまずいことが起きる。そのような危機察知をしながらサラっと弟子を置き去りにするのも如何なものか
景元が離れて少し経った後、静かな森に食客と天才剣士の悲鳴が響くにはそうはかからなかった
どうやら姫子の作る珈琲は、宝剣の使い手も倒れ、長命種の将軍でも思わず退散するほどの宇宙最強の代物だったようだ
そのような事が起きても、羅浮の鳥は変わらずピピピと鳴いているのであった
メタナイト
みんなご存じ宇宙一カッコいい一頭身
どうやらポップスターからいなくなったカービィやデデデ大王を探しに宇宙を飛び回っているらしい
偶然ハルバード号にワープして瀕死だった姫子さんを救助した後、姫子さんからの話を聞いてカービィの居場所を知ったそうだ
今は地球という星を探しながら各地で修行しながら放浪する日々
孤高の騎士だけど面倒見は良いし、甘いものも大好きだけど内緒だぞ
姫子さん
地球という星から偶然宇宙を飛び回ってたハルバード号にワープしてきた人間の女性
手に握ったワープスターの欠片で地球からここまで来たみたい
今では体調も回復してカービィにそっくりなメタナイトにびっくりしながら地球の帰還を目指している
かつて夢見た宇宙の旅路に、遅れた青春を取り戻して精神的にも若返って見えるようだ
この後もメタナイトと姫子さんは地球に行くまでに多くの星々で冒険を続ける
多くの旅路で姫子さんも活躍したそうで、後の時代に宇宙を駆ける列車に乗る女性は同名でよく間違えられて困惑していたようだ
獣人惑星国家 アニドルフ
第四次ワンニャンペースト祭
天才を産んだ惑星 ブルー
マダム・ヘルタのきまぐれ実験 メタナイト量産計画
英雄の集う地 ティラートリ
真・格闘王の道 英傑十三番勝負
戦乱吹き荒れる星 ロランロー
星核争奪戦 星核ハンターの一週間戦争
甘くとろける銀河雲 ニトコルチーズ
甘味消失事件簿 探偵メタナイトと助手姫子の解決ファイル
数えきれない星々を巡る旅路の果てに、ハルバード号は胡散臭い自称商人の男と黒鳥の恰好をしたメモキーパーを名乗る女を乗せて地球へと向かう
どうやら地球には二人の力を借りないと行けないようで…?