月のプププランド   作:AmanatuTaruTaru

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お目当てのモノには なかなか 出会えていない
えっとソレは、ふわふわ飛んでる 小さいヤツでぇ…


理のブローニャちゃん

 

 

 

「お兄ちゃーん!買おう!これ買おうよぉ!!」

 

「…この前サメ…ペンギン?の子を買ったばかりじゃないか」

 

「この前はサメの子だよ!今度は小判を付けたありがた~くて可愛い子だよ!ほら!ふわふわで撫でるとこの子も喜んでるように見えるよ!」

 

「やれやれ……母さんには秘密にしておいてくれよ?」

 

「やった!お兄ちゃん大好き!!」

 

ぬいぐるみショップでまた一匹、仲睦まじい兄妹にお買い上げされる光景がありました

妹さんは小判を額に付けた白いぬいぐるみを抱き抱えて嬉しそう。お兄ちゃんもそんな妹さんを見て微笑んでいます。理想の兄妹関係ですね

 

そんな光景にちょっぴり複雑な顔を浮かべている女性が一人

視線の先にはぬいぐるみショップの看板があるようです

 

『ちいさくてかわいいやつら』

 

その名の通り、多種多様なぬいぐるみが沢山が陳列されているお店ではこれまた多くのお客さんたちがぬいぐるみを求めて来店しに来ます

一番人気は黄色い身体にニヒルな顔付き、老若男女問わずに好かれるホムと呼ばれる子でした

 

複雑な顔を浮かべるのはブローニャちゃん

今日もドリルな髪型が決まっています

しかしそんな決まったドリルなのに顔は浮かない様子。どうしてでしょうか?

 

それはブローニャちゃんがマスコット愛好会会長にしてホムを更に売り出すためのテコ入れを行った人物だからです

 

今の地球は小さくて不思議な生きものが溢れかえっており、わにゃわにゃした生きものだからふわふわした生きものまで多種多様

今までのマスコット人気であれば先ほどのホムが不動の人気でありましたが、ここに来て未知なる生きものの登場で「かわいいマスコットは…いくらいてもいいよね!」ぐらいの人気の分散が起きてしまったのです

これには誕生日プレゼントに悩むならホムのぬいぐるみでいいですよ。デッカイ奴でと語るブローニャちゃんもちょっぴり不安になってしまいます

 

まさかホムが…旧来の立場に追いやられる…!?ホムが在庫セール行きなんて見たくない…!いやだ!私が死んでも100年ぐらいはホムは圧倒的シェアを誇ってほしい!!

 

確かにブローニャちゃんも不思議な生きものは可愛いと思いますし何なら愛でたりしますがそれとこれとは話は別です

かつては英雄だのウラルの銀狼だの言われてた過去と違い、今のブローニャちゃんは社会人です

つまるところ、いくら世間的人気があってもそれに胡坐をかけば落ちぶれているという現実を知っているが故の危機感と行動でした

 

しかし元から人気のホムにテコ入れをしようにもすでに色違いや疑似家族要素と言ったものは存在しています

ここから更に売り出すのも難しい話でブローニャちゃんと結成した愛好会メンバーの出した苦渋の決断とは、ホムのまったく新しい仲間を作り出すということでした

降って湧いてきた不思議な生きものとは違い、新しい仲間としてホムを一緒に売り出すというテコ入れはホムだけではこの先厳しいという現実を受け入れざる得ないことだったのです

 

その日、ブローニャちゃんは泣いた。薄汚れた資本主義と現実に屈する自分の情けなさに

ホムを愛してると言いながらホムだけを売り出せない自身の力の無さに

その横でキアナちゃんはポテチを食べながら呑気に「へー、これがホムの新しい仲間?かわいいね!」と感想を出していたようです

 

夢を見る子供にしか見えない妖精アランナラ

泣き虫な幽霊ウーウーボ

ホム博士が作り出した機械の友達ボンプ

悪夢を食べて寄り添ってくれる夢獏

 

それらはホムを含めて「ちいさくてかわいいやつら」と多くのぬいぐるみが売りに出されました

愛好会と有志の協力からデザインを重ねに重ねたホムに負けず劣らずの可愛いマスコットたちです

加えてアニメ制作と協力の元に子供向け映像作品を作ることで新参ながらも昔からそういう仲間がいたという形で世の普及を促しました

 

結果としては大成功

新しい仲間という従来のホムファンも受け入れられるかどうかの懸念点も不思議な生きものの登場によって元々の精神的ハードルも低くなっていることで思ったより世間は歓迎した様子でした

 

そう、世間は無事に受け入れた

それこそブローニャちゃんが微妙な顔をする原因でした

 

「浮かない顔をしているなブローニャ」

 

「ヴェルトさん…」

 

そんなブローニャちゃんに話しかける眼鏡の男の人

ブローニャちゃんの恩人兼仕事の同僚のヴェルトおじさんです

かつては文明の破壊者である律者でありながら人の側に立って戦った二代目理の律者であり、ブローニャちゃんはその座を継いだ過去があったりします

見た目はくたびれたおじさんそのものですが多くの人たちを救ってきたすごーいおじさんなのです

 

「その…分かってはいるんです。これが必要なテコ入れであることも…みんなが受け入れてるからこそ自分もちゃんと向き合わないと不誠実ですし」

 

「ふむ……」

 

命が失うかどうかの戦いに比べればブローニャちゃんの悩みは本当に些細な問題なのでしょう

それでも自分の好きなものが世間に受け入れられる時、成功すればするほどもっと上手くできたのではないかという心の贅沢が産まれてしまうのです

ホムが好きだからこそ、ホム以外の要素に頼ることが心理として受け入れづらいのでしょう

 

「気持ちはわかる。俺もかつてはアラハトの製作にはちょくちょくテコ入れをしていた時期もあったからな。昔の…それこそ50年前かそこらであれば勧善懲悪の基本がしっかりしていれば売れていただろうが今はそうも行かんし世知辛い話だ」

 

「アラハトも?そうだったんですか?」

 

「あー、ここだけの話だぞ?スポンサーからも敵もアラハトと同型を出してくれとか玩具が売れないから…とかな」

 

「…ああ、だから一時期アラハトに似た敵ばかりだったんですね…」

 

ヴェルトおじさんは世界を守る戦いをしてる一方で巨大ロボットを作るためのお金稼ぎにアニメを作っていた過去があります

それはブローニャちゃんも大好きなロボットアニメであり、現在では「ちいさくてかわいいやつら」のアニメ製作を受け持っています

 

「改めてヴェルトさんも協力ありがとうございます。実際のところ、あの手のアニメ製作に不備はなかったんですか?」

 

「いや、E.T Studioうちとしてもああいった子供向け番組のノウハウはなかったから新しい分野を広める面でも助かった。息子にも好評だから良いものができたと自負できるよ」

 

現在でもアニメーターとして活躍中のヴェルトおじさんはくたびれた顔ながらも目は輝いているようです

元々ロボットアニメを世界中に売り出した経験がありますがこうして新しい挑戦ができるのも平和になった世の中のお陰なのでしょう

 

新しい挑戦。なんと良い言葉なのでしょう

やりたいことをやりたいようにやれるなど一昔前では馴染みのなかった世界だからこそ、それは尊い言葉になるのです

ホムをもっと人気にしたいという気持ちも、そのためにテコ入れという心に引っかかることも、全てはブローニャちゃんがやりたいと思って行動した結果です

そうした行為に嘘は付けません。後悔だってしたくありません

 

新しい挑戦

それこそが今を生きて未来に歩める文明という理なのですから

 

「ん?あれは…」

 

おじさんはぬいぐるみ店に近づく小さい何かに気づいたようです

よちよちと複数で迫りくるのはワドルディの集団でした。不思議な生きものの来店ですが周囲のお客さんも店員さんも気にした様子はございません

精々小さな子供が手に持ったぬいぐるみと一緒にワドルディの後を歩こうとする光景が見れるぐらい。お父さん、しっかりお子さんを手を握ろうね

 

どうやらワドルディの目的もぬいぐるみがご所望のご様子

複数匹がかりで大きなホムぬいぐるみを運ぶとお金を出し合って無事にお買い上げ

わにゃわにゃと念願のぬいぐるみを買えたことに喜びの声を挙げる様に思わず周囲のお客様もぱちぱちと拍手が鳴り響きます

 

「はぁ……悩んでたことが馬鹿らしいと思えますね。あの子たちだってホムを好きになってくれてるというのに」

 

「クリエイターはいつだってそういうものだ。もっと上手くやれたんじゃないかと悩み続けても反応一つで喜ばしいと感じてしまう…そうしてもっと楽しいものを作ろうと続くわけだ」

 

「悩ましくともそれもまた真理ですか…」

 

「難しく考える必要もないさ。人は褒められると嬉しい。子育てをしているとそういう単純なことこそ大事だと痛感する」

 

武器を置いて、もう戦うことを選ばずに社会の中に生きることにしたブローニャちゃん

やりたいことをやる

叶えたい夢がある

 

お月様で神様をやっている親友も、今は教師として生きている姉と呼んだ戦友も

誰しもやりたいことをやるために生きているのですから

 

「……よし!」

 

最初はもやっとしていた心もいつの間にか晴れていたブローニャちゃんは次の道を歩き出します

恩師にも友人にも、好きなものにも恵まれた今の環境こそが湧き上がる行動力の源泉となります

いつの日か、大好きなホムでもアラハトでもない、自分だけが作った何かを何処かの誰かに夢中にさせる

そんな夢を叶える日までブローニャちゃんは立ち止まる暇なんてないのです

 

 

 




ホム
地球で一番愛されてる黄色いウサギのマスコット
あらゆる娯楽に出てくる国民的マスコットぶりは不思議な生きものもトリコにしちゃう
新しい仲間がいっぱい増えて今日も地球はホムの人気が留まる事を知らない!


ブローニャちゃん
幼い頃から大人になった今でも変わらないドリルヘアー
かつては戦乙女として戦ってたつよーい女の子も今ではスーツの似合う大人の社会人
やりたいことをやれるように日々精進。そうした生き方が産んでくれたお母さんの望んだ未来の姿
現在はゲーム開発のプログラムの勉強中。やりたいことはいっぱいある世の中は楽しいな


ヴェルトおじさん
二代目理の律者にして崩壊対抗組織ネゲントロピーの盟主おじさん
今では律者は引退してアニメーターの仕事に復帰したアニメ製作おじさん
引き取った義理の息子を育てながら新しい日々に充実しているようだ


森の妖精アランナラ
夢を見続けることは現実で生きる導となる
夢に浸らず、夢を大事にし、大切な夢を持ち続ける子供だけが見れる妖精さん
もしも大人になっても見えるなら、それがあなたが子供の頃から大事にしている心を忘れていない証拠だよ

発案者:テレサ・アポカリプス
これからの時代で若い子が生きるための目標や夢を持ち続けられるか課題になると思うの
平和が当然となる時代だからこそ綺麗な願いを抱き続けるようにしたいわね


泣き虫幽霊ウーウーボ
さみしがり屋でいたずら好き、そんな幽霊たちは今日も集まって行動している
ちょっぴり泣き虫だけど仲間思い
今日はどんなことをして遊ぼうかな?

発案者:エリザベス・「長光」・マクスミス
テレサさんにせっかくだからと誘われてデザインしてみましたがまさかの採用とは驚きです
コンセプトは好奇心と罪悪感…まぁ私をベースにしてみたんですがそこにちょっとした願望も混ぜています
私は良い人にはなれませんでしたが、この子は良い隣人でいてくれると嬉しいですね


機械の隣人ボンプ
友達欲しさにホム博士が作り出したロボット
機械の身体に幼い心、好奇心の赴くままに行動するようだ
果たしてプログラムされた心は本物か虚構か。きっとそれは受け取る側が選び取ることなのだ

発案者:空の律者
人類の玩具に興味はないけど女王たる私の手にかかればあらゆるものより上よ
幼子も機械の人形を抱きながら虚構の友情に浸ってなさい


悪夢食いの夢獏
夢を食べる不思議な生きもの
特に濃い味のする悪夢を大好きで夢獏と一緒に寝れば安眠は約束されるようなもの
良い匂いもするし見た目も美味しそうだけど夢獏を食べちゃダメだよ?

発案者:スーサナ、アルヴィトル、李素裳
素裳様から神州に伝わる生き物を教えて頂きそれを参考にしてみました!柔らかくて良い匂いもして一緒に寝てくれる…まるでカービィちゃんみたいになってしまいましたね…
資料集めから何度もデザイン書き直しで苦労しました…これ天命の業務に関係ないから仕事減らないんですか?そうですか…
故郷に伝わる伝説の生き物が500年経っても語り継がれるってのも不思議なもんよね。元のほうだと化け物みたいな見た目なのにスーサナもアルヴィトルも可愛い子にしてくれたわ!





ブローニャちゃんはげきどした。仲間なのにだーれも自分に相談も悩みも打ち解けずに争うバカキアナと芽衣ねえさまに
自分もカービィも蚊帳の外、こんなことは許されない
こうなったらむりやりにでも頭を瞬間冷凍させてやると手に入れた律者パワーを全開だ!ふたりとも!はんせいしなさい!!
……カービィ、あばれる三人をなんとかして!
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